国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2005/07/17

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成17年(2005年)7月17日(日曜日)
          通算1186号 臨時増刊
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台湾「国民党」主席に馬英九(台北市長)が当選
 08年の次期台湾総統選は熾烈な闘いとなるだろう
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 台湾の最大野党である「国民党」の次期主席は7月16日に党史初の党員による直接投開が行われ、事前の予想通り馬英九(台北市長)が、対立候補のベテラン政治家、王金平(国会議長)を大差で破った。
馬の得票率は72・4%、王は27・6%に留まった。投票率は50・17%。

 これは連戦・国民党主席の退任にともなうもので、専門家は「党内に敵のいない王金平、友人がいない馬英九」と揶揄してきたほど盛り上がりを欠いた。
 両候補とも主張にそれほどの隔たりはなく単に政権奪回と中台関係の改善を訴えただけだったが、馬の勝因は18万人の退役軍人である。
また馬陣営には嚇(カク)白村(元首相)ら、有力な軍人政治家がついた。王金平には宋楚諭(親民党主席)らが応援に廻った。
 
  馬候補が選挙キャンペーン中、たびたび日本を批判し、台湾外省人の底流にある反日意識を刺激した事実は記憶するに値する。
馬の父親は湖南省出身。湖南省は毛沢東、劉少奇、胡耀邦などいくたの政治家を輩出したが、荒っぽくて大胆で覇権好きな人間が多い。

 党内はともかくミーハー世代に人気のある馬英九には、小泉純一郎的なポピュラリティと石原慎太郎的な漠然とした期待感に包まれており、世代交代と改革を訴えたことに女性の票も集まった。
流暢な英語のほか、台湾本省人のホーロー語を訛りの強い発音で喋る。

 国民党主席の連戦は二〇〇〇年と〇四年の二回の総統選で連敗し、”連戦連敗”という不名誉な渾名を頂戴していた。
 連戦は西安出身の”お坊ちゃん”で、党内を纏める能力を欠いた。
 しかし着実に巻き返しをはかり、04年十二月の立法委員(国会議員)選挙では、選挙区割り当てが勝因となって国民党は議席数を六十六から七十九に増やした。
 また連戦は四月から五月にかけて北京、西安などを訪問し、胡錦濤総書記とも会見した。その功績から国民党に新設される名誉主席に就任する運びとなった。


 ▲馬英九は副総統に誰を選ぶか?

 馬英九は台湾大学法学部卒。米ハーバード大大学院で法学博士号を取得した。米国での法律事務所勤務を経て台湾に帰国、故蒋経国元総統の英文秘書を務めて頭角を現し、「国民党のプリンス」と呼ばれた。

 李登輝政権下では93年に法務部長(法相)として入閣。ついで国民党副秘書長や総統府秘書なども歴任し、党内での基盤を固めてきた。
 さらに馬英九は九八年に台北市長選に出馬し、現職の陳水扁氏を破った。二〇〇二年に再選されている。

 馬英九は当選が決まると台北で記者会見し、「次期総統選で政権奪回を実現する」と勝利宣言した。主席就任によって、2008年の次期総統選で馬が国民党候補となるのは確実となった。

 しかし台湾の有権者の85%は本省人だから、三月の反国家分裂法で強硬に反対表明をしたように今後、馬英九は意図的にも対中強硬ポーズを取り本土派意識を前面に押し出すだろうと予測される。
また副総統候補には本省人から選ぶ可能性が高いだろう。

 馬英九の総統当選シナリオを背後で支援するのは北京も同様だ。北京と国民党の「国共合作」がこれから展開されることになる。

 韓国でノムヒョン大統領が朝鮮戦争をしらない世代に支持されたように、国境内戦も共産党の残忍さもしらない若い台湾世代は馬支持が強い。
 とくに台北から台中市以北のサラリーマンと若い女性には圧倒的な人気があり、この趨勢がつづくと次期台湾総統に一番近い政治家となる。

 一方、政権維持をはかる与党、民主進歩党の蘇貞昌主席は、馬英九当選を祝福するステーツメントのなかで、「反対党の野党ではなく与野党が協調して政策を実践しよう」と訴えた。
蘇は与党の次期総統候補のトップを謝長挺(首相)とともに走る人物。
 
 或る事情通が言う。
 「馬英九は80%の可能性で次期総統です。
これを逆転するには、もう一回、中国にミサイルを撃たせるような劇薬が必要。2008年7月がオリンピック、その直前3月が総統選挙ですから。むしろ胡錦濤をけしかけて北京オリンピックもろとも吹き飛ばす仕掛けが要るんじゃないですか。馬英九のご先祖は湖南省。馬姓は胡人(非漢族)でしょう。騎馬民族か、出なければ西安あたりのイスラム教徒がご先祖と推測できます(馬(ま)姓はマホメットに由来)。ともかく米国がいつまで北京と協調するかも次のシナリオの分かれ目、台湾のような小さな国の政局が北東アジアをひっくり返すほどのファクターを擁する時代となりました」。
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(読者の声)『諸君』8月号の「何故しぶとく生き延びるのかゴキブリとマルクス」(稲葉振一郎)が面白いですね。 主張軸が明確で論理鮮明、哲学的な考究が私の個人的趣味に合っていますし(笑)。
兵頭ニ十八氏の「『国家の罠』佐藤優の狂えるロシア認識」は主張軸は明確ですが、文章が判りにくく苦手です(苦笑)。
鎮霊社については、高森明勅氏あたりがお詳しそうです。しかし「賊軍」の西郷隆盛、会津藩士、軍人でない民間人、それだけでなく全世界の戦没者までも祭ったという奇天烈な祠。これが昭和40年に靖国神社に興された背景に興味が沸きます。病没した東郷平八郎、自刃した乃木希典は、本殿はおろか、鎮霊社にも奉られていないのでしょうか。これも不思議です。(HN生、丸の内)
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