国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2005/07/01

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成17年(2005年)7月1日(金曜日)
第1170号  
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中国軍は2年以内に「台湾制圧」の軍事能力を保有する
 米国情報筋、いまごろなぜこういう報道をさせるのか?
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 台湾海峡、以前よりも戦雲の広がりが見える?

 米国の保守系有力紙、ワシントン・タイムズ(6月26日付け)に依れば、「今後二年以内に中国が軍事力を駆使して台湾を制圧できる能力を保有することになるだろう」とペンタゴンの専門筋がみていると報じた。

 ワシントンタイムズはブッシュ政権にもっとも影響力をもつメディアだけに、もし事実とすればこれはペンタゴンの中国分析・評価替えであり、注目すべき出来事である。
 とくに最近、中国軍の拡大と増強のスピードが従来米側が予測してきた数値よりはるかに迅速であり、テンポが速い。
 こうなると二年以内に台湾海峡を越えて軍事攻撃をかけることが可能だとする評価を下している。

 これに対して中国が慌てて反論した。
「米国国防省は過大な数字を並べているだけ」(新華社、27日)。

 傑作なのは台湾国民党の反応で、新華社と同じなのである。
 「われわれは中国の軍拡がそれほど進んでいると見ていないし、げんに連戦国民党主席の訪中で和解ムードが拓けている」と党スポークスマン。

 国民党は本気で米国からの防衛兵器購入に反対している。理由は「中国を刺激してはいけない」(ついでに統一派で中華思想丸出しの台湾「新党」は、宋楚諭についで訪中するが、北京と南京の反日記念館をわざわざ日程に入れて北京の反日行動に同調している)。 

 リチャード・ローレス国防副次官(東アジア・太平洋担当)は、「中国軍の効率向上や規模拡張について根本的変革が90年代央から起こり、軍システムが強化されている」と発言している。
 とくにロシアから購入したキロ級潜水艦の新鋭艦八隻のうちの最初の一隻がまもなく中国側に引き渡される。また潜水艦の拡充ぶりは凄まじく、「元」級を含む十四隻が完成。


▲オリンピックへの配慮? 「それがどうした」と中国軍
 
 さらに驚くべき中国軍の動きとは、台湾への軍事攻略を考察するに際しても、軍は北京オリンピックへの悪影響を考慮していないとワシントンタイムズが伝えたことだ。

 一方、香港紙「東方日報」(6月29日付け)は、中国海軍研究所と無錫船舶研究センターが共同で空母の設計を終えて、ちかく空母建造を開始する予定にあると報道した。
 中国は空母建造のために三十億元(約450億円)を投入する。新空母は七万六千トン級で、江南造船所で建造される計画だという。空母には艦載機38(スホイ33が主力機),時速32ノット。

 東方日報が伝えるには中国の空母は自ら防御装置を兼ね備えており、駆逐艦と護衛艦が共同編成で軍事行動を展開する特徴をもつアメリカ式と異なるらしい。しかし空母が単独行動型で移動する軍事思想はあり得ず、このはなしそのものが幻影的としか思えない。

 ウクライナから空母の残骸を三年がかりで輸入し、マカオのカジノホテルにするなどと偽って大連へ曳航し、偽装工事を施していたはずの、かの「ヴァリヤーグ」は、一体どうなったんでしょうね?

 「軍事技術を盗み出すために中国は世界中に3200のダミー会社を設立して訪問学者やらジャーナリストの仮面をきたスパイが各地で暗躍している」(ワシントンタイムズ)。

 だが「ブッシュ政権が中国のユノカル買収に際しても一切コメントも出来ず、これほどの軍拡に抗議の声も挙げないのは、ひたすらイラクで手こずったまま、北朝鮮問題での中国の努力に期待しているからである」(ロイター)。

 米国がなんだか、頼りなく見える。
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(読者の声1)貴誌第1168号でJH生さんの投稿に対する宮崎さんのコメントに補足させて頂きます。
宮崎さんは「前大連市長、現商務大臣の薄き来は、薄一波の息子で、大の知日派」と述べておられますが、薄き来は親父のコネで江沢民に胡麻を磨って汚職で失脚するところを逆に出世して商務大臣になった。なにしろ、薄き来は大連市長時代に中国で最初の巨大な江沢民の肖像画を大連市内に建てた超ゴマスリ男。(中国の政治家の表側の有能そうな顔の裏側にあるゴマスリと権謀術数には長けているが、官僚の助けがなければ実務的には無能な姿をよく認識するべきだと思います。昔からよく言う「外見は100点、中味は0点」)
 太子党の権化である薄はさておき、宮崎さんのコメントに抜けていたのは、現大連市長の夏徳仁のこと。夏徳仁は1955年6月生まれで先日50才になったばかり。この人、東北財政大学という地方大学の財政金融学部を卒業し、そのまま大学に残留して遂には校長まで出世。その後遼寧省長であった薄き来に抜擢されて遼寧省副省長となり、間もなく大連市長に就任。夏徳仁は東北財政大学の校長時代に職権を乱用して、当時大連市長であった薄き来に博士号を送って胡麻を磨ったので、後に薄により遼寧省副省長に抜擢されたという話もあるが、夏徳仁出世の理由は彼が江沢民の外甥(姉妹の子供)であるというのが真相と言われています。今年の春に夏徳仁が来日した際に、私の友人が「あんたは江沢民の外甥と聞いたが本当か」と直接に尋ねたら、夏は即座に否定した由ですが。(聞くだけ野暮な話で聞いた私の友人がおかしいが)反日の親玉である江沢民の親戚である夏徳仁が統治している大連で教材問題が起こったことは、こうした背景を考えればよく理解できるのではないでしょうか。
夏徳仁は大した人物には思えませんでした。(正直言って、最近訪日する中国各地の市長と会っても大物と思える人はほとんどいません)
     (商社員)


(宮崎正弘のコメント)太子党は「ふにゃふにゃ世代」だけれど同時に“阿諛追従、曲学阿世、面従腹背”と三拍子揃った処世の天才も多いですね。「大物」を感じさせる中国の指導者が不在という分析には賛意を表します。小生のせまい経験でも、いまの王毅大使は単なる出世亡者、豪腕の印象をうけたのは朱容基・前総理くらいでしょうか?


  ♪
(読者の声2)最近のアメリカは、イラク問題で、嫌気がさしていて、中国問題がCNOOC(中国海洋石油)の買収問題で、話題に上っています。中国を敵視すれば、敵になる、敵にしなければ、敵ではなくなるとの論調があり、下院で反中国的な論調、たとえば天安門事件を引き出して、民主的な国にならない限り、友好的な国には、なれないというのも、ありますが、新聞論調はむしろ対中協調路線の主張が多く、それに対抗する形での、台湾関係を持ち上げる論調は皆無。
その意味で台湾は陳政権が現アメリカ政権から友好的に見られていない事もあって、台湾はこれから非常に困難な状態に陥る気がします。
    (CY、在米)


(宮崎正弘のコメント)ワシントンにおける、台湾のロビィ活動が劣化していることは日本と同様におおいに気になるところです。
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(訂正)昨日付けの(宮崎正弘のコメント)のなかで「大連は率直に言って知日派の多い大都会。背後に市政府、地方政府などの権力闘争も絡んでいそうですね。大連のある遼寧省の新省長は、河南省からきた李克強の筈、かれは胡錦濤派です。前の大連市長、現在の商務大臣薄き来は、薄一波の息子で、大の知日派です」の箇所ですが、
李克強は、「遼寧省書記」でした。
李は北京大学、共産主義青年団出身。次のホープの最右翼のひとりといわれるのは胡錦濤のおきにいりであり、しかも李克強は安徽省出身(胡と同じ)です。
 なお遼寧省省長は、張文岳(福建省出身の地質学者)。
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  • 夢 哲人2005/09/05

    すみません、教えてください。

    扶桑社の教科書にしか出て来ない歴史上の人物(25人?)のリストを、少し前の貴メルマガで読みましたが、これは、今の時点で、どうすれば「検索」出来るのでしょうか? 検索が難しいなら、そのことを書いたメルマガの日付を教えてください。