国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2005/06/26

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成17年(2005年)6月26日(日曜日)
第1165号 臨時増刊
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<<今週の書棚>>


越智道雄『秘密結社(アメリカのエリート結社と陰謀史観の相克)』(ビジネス社)
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 アメリカ通の越智道雄教授の新作は、科学万能時代の先進工業国家にさえ、いまも蔓延する、いかがわしき陰謀史観と、過去はともかく現代社会では、いかがわしくもかび臭い秘密結社の深奥部にぐさりとメスをいれた力作となった。
これらは日本でもっとも誤解されている話題である。
 評者(宮崎)は、この種の話は興味津々。いやはや面白いなぁ。まず普通のアメリカ通でも知らない克明な政治人脈の情報が満載されていて、この本、新書版スタイルだが、書き加えられている内容はゆうに単行本を越える。
 ホウジという男が居る。
『フォーリン・アフェアーズ』という、国際情勢を分析する雑誌をつくるCFR(国際関係評議会)の編集長をつとめる。日本の右派のなかには、ここが世界謀略の総本山と位置つける向きもあって、ともかく毀誉褒貶が激しい。
 ホウジに象徴されるアメリカ人エリートらの世界解釈とは?
 北朝鮮と韓国の関係は、「東独と西独でおきた事柄をデータ・マップとして北朝鮮=韓国にかぶせ、北朝鮮の崩壊度と韓国側の衝撃度を、とっくにシミュレーションし終え」ており、「韓国には自作の作戦がある」とCRFは見ているという。
 筆者の越智教授は「韓国と中国との提携がはやまる」と考えており、「金正日以後の政権保持は殆ど僥倖に近い。かつての東独の崩壊で西独が激しくよろめき、さしものマルクも未だにかつての強さを回復出来ない」ように、経済的に強くなった韓国さえ、単独では北朝鮮の難民を支えきれず、「韓国は倒壊する懼れが高い」。
 だから中国とて表向きの強硬態度とは別に、内心では気が気ではなく、アメリカから見れば、こうした朝鮮半島の危機に際して、日本との安保条約を充実しない限り、日本が核武装するだろう、とホウジらは描いている事実も紹介される。
 (なるほど、先日のキッシンジャー論文も、まさにそういう考え方に近い分析をしていましたっけ)。
 またブッシュ大統領の反テロ戦争は「あくまで口実」であり、中央アジア、中東、つまり「ロシアの下腹」と「中国の背後」にアメリカ軍を駐屯させる戦略行使である、と結論している。このへんは評者(宮崎)の分析と軌を一にしている(拙著『テロリスムと世界宗教戦争』(徳間書店、2001年を参照)。
 さてアメリカにおける「ネオコン」と「キリスト教右派」をいかなる構造図式で描いているか、と言えば「ネオコンが頭脳」で「手足がキリスト教右派」。
つまり「ブッシュ息子政権が頭脳はネオコン、心臓と胴体は米系多国籍企業、腕力は軍産複合体、手足はキリスト教右派という異種縫合の『フランケンシュタイン』である」とみる。
 本書は、こうした視点に立脚して「フリーメーソン」(米国歴代大統領のうち25人)、「スカル&ボーンズ」(ブッシュ・ジュニアもケリーもエール大学の学生秘密結社で同窓)、またCFR、BB(ビルダバーグ)、TC(日米欧委員会)、最後に「911テロ」前後の陰謀史観について細密を極める分析がある。
 この本はしかしながら、従来ありがちだった陰謀、秘密結社を大げさに取り上げて、過大な脅威を煽る類書と、越智道雄教授とは明らかに立場をことにしている。越智教授は淡々として事実を列記し、その人脈、裏側でのコネクションを叙するのである。
 これ以上詳しく書くと本の販売に影響がでるだろうから、陰謀のプロセスなどは本書にあたってもらうほうがいい。
 とにかく面白いが、蛇足をひとつ。この書籍は基本的にアメリカの政治知識が乏しいと理解できない難解な箇所も多い。


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藤井厳喜『破綻国家、希望の戦略』(ビジネス社)
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 さて越智教授の上記を読み終えたところへ藤井さんから新作をいただいた。前の『新円切り替え』など悲観的な経済予測と今回は打ってかわって徹底的な楽天主義未来予測かと思いきや。
現実の米国の戦略や中国の謀略について、リアルに熱情的に書き込んである。
 ネオコンの評価を、真摯な受け止め方をしている点でも越智教授の分析とは異なる。
 藤井さんによれば「ケリーが当選していたら、外交はカーターやクリントンの外交政策と似たものになっただろう。ケリーは半ばユダヤ系のヨーロッパ人であり、その世界観は、デリバティブの魔術師と言われるジョージ・ソロスに近く、シャロン(イスラエル首相)からは遠い」という。
 しかし「ブッシュはネオコンの影響を受けて、イラク侵攻を決意し」た。ところが、「戦後統治の困難さから、ブッシュはネオコン路線の誤りを認識して、2004年春から夏にかけて、対イラク方針をほぼ180度転換している」と言う。
 これに素早く反応したのはプーチンだった。ロシアはテロリストに国内的には強硬にでたが、ついにイラクへの派兵をしなかった。水面下で、ブッシュは執拗に静かにロシアからの派兵を要請していた。
 そこで「ブッシュの国際協調路線への復帰は、一部のネオコン勢力を著しく苛立たせた。エドワード・ルトワックやロバート・ケーガンらは、なんと米軍のイラクからの撤兵を訴え始めた。彼らの目標はイラク統治の成功ではない。イラク混乱から中東大混乱を演出し、一挙に『ナイルからチグリス・ユーフラテス』までの『大イスラエル』を建設することであると思われる」と藤井教授は大胆に予測する。
 それはそうかも知れないが、シリアはシリアで「大シリア主義」があり、ネオコンとイスラエルの戦略が円滑にいくとはとても思えない。
 一方、リアリスティックなブッシュ政権の選択とは「慎重にイラク民主化を実現させつつ、イラクの原油を確保し、パイプラインによる原油輸出が大きく妨害されない程度の治安が確保されればよい」のであり、今後は「パレスチナ問題の処理」にかけるだろう、と藤井厳喜さんは分析している。
 ということは、ブッシュ政権はネオコンと大きく距離をおいており、いまや絶縁しつつある、と見るべきなのか?
 さて本書の201pには小生のことまで出てくるが、それはどうでもよいことで、表題にある「希望」のシナリオが本命の筈だ。
日本経済を再活性化するには国民の旺盛な消費需要を喚起するために政府通貨を発行し、国債の消化不良、1400兆円にものぼる赤字解消、円のドル化防止を防ぐ必要があると、丹羽春喜教授、スティグリッツ教授(ノーベル経済学賞受賞)らの積極的な政策提言を援用している。
 これら通貨政策とBRICSなどの新興工業諸国の経済状況報告など、日本のマスコミに伝わらない裏情報が網羅されていて参考になった。
 インドネシアに浸透する中国の影響などについても考察がある。
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<<公開講座のお知らせ>>   28日(火曜)です!
 
 「中国、反日と台湾独立阻止の狙い」
  宗像隆幸氏(『台湾独立運動私記 35年の夢』(文藝春秋)の著者、『台湾青年』元編集長)を招いて。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4163513906/qid=1119041161/sr=1-3/ref=sr_1_10_3/249-3895267-9563539
 中国の反日デモは一応おさまったかに見えるが、靖国参拝、歴史教科書、国連安保理常任理事国入り、東シナ海ガス田開発、尖閣領有等々で、中国は悉く難癖をつけ我が国の主権を侵害する暴挙に出ている。
 「反日」に狂奔する中国はまた、台湾独立を武力で封じ込めるべく三月には「反国家分裂法」を制定して台湾を威嚇する一方で、甘言を弄して国民党の首脳を北京へ招待し「第三次国共合作」を実現しつつあります。宗像隆幸氏をお招きし、中国の日本並びに台湾に対する意図と戦略・戦術について講話を伺います。 
            記
と き    6月28日(火曜日)午後7時
場所     市ヶ谷駅前「アルカディア・市ヶ谷(私学会館)」4F 飛鳥の間
       http://www.arcadia-jp.org/
会場分担金  2000円
       どなたでも参加できます。予約も不要です。
問い合わせ  三島由紀夫研究会. TEL 03-3200-2295
       e-mail:miura@nippon-nn.net 
 HP:http://www.nippon-nn.net/mishima/
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(休刊のお知らせ)小誌は6月29日付けが休刊の予定です
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<<<自治調査研究会 勉強会のお知らせ>>>
 こんどは前財務官の溝口善兵衛(国際金融情報センター理事長)を招いて、「国際通貨の動きードル、円、人民元、ユーロ」の演題でお話を伺います。どなたでも参加出来ます。
         記
とき      7月27日(水曜日)午後6時^(来月です!7月の27日)
ところ     横浜西口 三越裏 徒歩三分「かながわ県民サポートセンター」304
会費      おひとり 2000円
お問い合わせ  (045)263−0055
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(読者の声)先日、台湾ツアー旅行したら中国語を喋る一団がいた。最初は在日台湾人かと思ったが、話をしてみると実は満州で孤児となった日本人であった。流石に彼等の中国観は鋭く的を得ている。中国では本音と建て前とは完全に違う。だから北京や上海の動きは単なる政治的変動(建て前)であって、中国の本当の動きでない。
例えば中国全土を揺るがしたあの文革でさえも、根本的には北京・上海の問題(つまり権力闘争)であって、地方は関係ないのだそうだ。中国の統一を維持するにはどうしても”皇帝”が必要だ。天安門事件も単に民主化だけの問題ではない。本当は皇帝(小平)の死後誰を次の皇帝にすれば宮廷が満足するか、いわゆる皇太子選びであり、中国人はそういう視点でこの件を見ているのだそうだ。日本の新聞は表層だけしか見てない。中国社会の最大の根本問題は失業問題なんだそうだ!つまり今日の中国の大繁栄も実は外見だけであって、中国全土の民が鼓腹撃壌を楽しんでいる(満足に飯を食っている)と考えたら大間違いなんだそうだ! 日本のバブル崩壊などは中国全土の体制変化(人民公社・国有企業の崩壊)に比べれば取るに足らないものらしい。貧しい連中の最大の夢は依然として米国等の先進国への移住にある。
彼は自分が日本人だから日本に来た訳ではない。彼の子供に外国国籍を取得させるために帰国したのだそうだ。帰国孤児の半分が本当は日本人でなく、脱中国を図った朝鮮人であり、これは公然の事実なんだそうだ。
(MI生)


(宮崎正弘のコメント)ご指摘の通りなのです。いわゆる“残留孤児”の偽物、そして日本へ帰国できた人達が「育ての親」とその親族を呼びます。最初はともかく、あとで殆どが偽物(デッチアゲの戸籍などで日本へ入国するわけです)。その数、一説に真贋とりまぜて12万人ともいいます!
 このことは拙著でも何回か指摘しましたが、当局からの反応はゼロでした。
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<<宮崎正弘の最新刊>>
『中国よ、“反日”ありがとう』(清流出版刊、1400円+税)
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『瀕死の中国』(阪急コミュニケーションズ刊、1600円+税) 
日本のマスコミが伝える繁栄中国の裏側に廻ると、その暗部にある真実は?
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<<宮崎正弘のロングセラーズ>>
『中国のいま、三年後、五年後、十年後(改訂版)』(並木書房、1575円)
『世界経済のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房、1575円)
『中国財閥の正体―その人脈と金脈』(扶桑社、1600円)
『拉致』(徳間文庫、590円+税、以下同)
『ザ・グレート・ゲーム』(小学館文庫、476円)
『ネオコンの標的』(二見書房、1600円)
『本当は中国で何が起きているのか』(徳間書店、1500円)
『迷走中国の天国と地獄』(清流出版、1500円) 
『胡錦濤・中国の新覇権戦略』(KKベストセラーズ、1480円)
 (ほか宮崎の全著作目録は下記のサイトに。↓)
http://www.nippon-nn.net/miyazaki/tyosyo/index.html
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