国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2005/05/13

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成17年(2005年)5月13日(金曜日)
通巻第1123号
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米中の「通商摩擦」、どうやら抜き差しならない状況に陥った様相
 一律27・%関税法案から「為替操作」を名指し、この遣り方は「ならず者国家」名指しの発想と同じ
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アメリカの選挙民は不公正、不平等といわれると敏感に反応する。

米国連邦議会上院の「中小企業委員会」(スノー委員長、共和党、メーン州選出)は、中国をはじめ貿易相手国による為替操作」を阻止するための法案を5月11日に提出した。
米国が一方的に定義している「為替操作」なるもので、中国が「人民元を不当に安く維持した結果、米国の対中貿易赤字が膨らんだ」といつものようなステレオタイプの批判を展開している。

ほぼ同じ内容の法案が下院にも提出されている。
これは米国の対中国貿易赤字が年間1300億ドルを超えた事態に絶えられないため、とくに地元企業からの悲鳴を受け止めて対中姿勢を強硬に演じなければいけない下院議会は、当然の流れだが、上院も揃い踏みは極めて異例である。 

 法案は、中国だけをいまのところ「為替操作国」と名指ししているが、いずれ日本も対象になる懼れが強い。
 法案はブッシュ政権が途中で議会を説得して廃案になる可能性がいまのところ高いが、先月もシューマー上院議員が「中国からの輸入品に一律27・5%の関税をかけよ」とする法案が提出されたばかり。

 米国議会に流れるアンチ中国感情、日本の想像をこえた深刻な状況である。
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(読者の声1)先週まで10日間ほど南インドに行っておりました。ヒンズー教について感じる所がありました。(貴誌1121号にヒンズーへの所感があるので)。
 ヒンズー教は、日本の江戸時代までの神仏混交のようなものです。教義は様々な派によって異なりますが、次の様な理解をすれば統一的理解できます。
 1.根本的に一神教である。
   全てのものは絶対神の現れであると考える。(でも、シバ神とかガネーシャとかいろいろいますが・・・)
2.その絶対神は様々な形で現れる。
   創造の神様とか破壊の神様とか竈の神様とか、神様の何代前とか。このレベルを見れば多神教にみえる。(ところで人間は神様になれるのでしょうか?)
3.人間は神になれる
   人間が絶対のレベルに到達すれば神になります。(悟れば、なれるということです)
 3の神になった人間は、人間のままで神であるので、一神教であるはずの1と矛盾しないのか? これは矛盾しません。絶対のレベルというのは、人間の意識の中で到達します。
どう到達するのかといえば、「私は神様の表れで、私の一番精妙な部分は神様そのものだ」という境地です。これを悟りといっても梵我一如といっても同じです。こうなった人は絶対神であって、しかも、それが2の多様な形であらわれている姿、ということになるわけです。仏陀も様々な聖者もサイババも、そしてキリストやモハメットも・・・。
 さて、このような考え方は多かれ少なかれ日本人の宗教観です。神道の天地垂迹説はこれそのものですし、日蓮宗の宗教観はこのようなものです。絶対神というか、大神様というか、大日如来というか、天照大御神というか、法身というか、これらは言葉の上の問題です。そして、東アジア各国の宗教観も概ねこのようなものではないでしょうか。
 この意味において、東アジア各国はヒンズー化しているといっても(インド人的には)いいのです。我々は、神様が違うとか、礼拝の仕方がちがうとか思うのですが精神において同様であると考えるのがヒンズー教です。
そしてそのように教義を拡張しつづけています。教義を拡張する神様が現れるわけですね。
 ここまで来ると、キリスト教もイスラム教もユダヤ教も、ヒンズー教のサブセット、といった考え方も出来なくありません。上の1の部分だけの宗教なのね、という理解です。事実、インドの方にはそのようにお考えの方もいらっしゃいます。これが宗教的寛容の根本になっています。違う姿の神様を祈っているけれど、祈っているものは同じということです。なんとなれば、全ては絶対神の現れだから、と。もちろん、イスラム教徒とかはこう考えませんので対立がおこります。
 ところでインドと中国の結託はありうるかという点ですがいくつかの点ではありうるかもしれないが、長続きはしないと見ます。それは
  1. 印パの対立    両者が核をつきつけあっている
  2. 体制の違い    民主主義と全体主義
  3. 宗教の違い    ヒンズー教と唯物史観
 1の対立はかなり感情レベルにも影響していて、メディアがパキスタンのことを書く場合、かなり引いた書き方をします。小泉総理がインド訪問後パキスタンを訪問した記事など読みましたが、「インドでは合意文書をつくらなかったけどあちらのほうでは合意文書をつくったみたいね」というようなニュアンス。例えていえば、日ソ/日露関係みたいなものです。もちろん、今回の小泉インド訪問はトップニュースの扱いでした。(私は、印パ歴訪はミスだと思います。インドの方が重要なのだから、歴訪するなら印スリランカ、印バングラ、印ミャンマーとかでしょうに)
 3の違いは決定的です。現在、お金と力に目のくらんだインド人は中国提携へ向けて走っています。しかし、付き合いが長くなればインド人が中国人をいやになってしまうでしょう。中国が名実とも共産主義国家でなくなる(いまの台湾のようになる)時がくれば、インドと中国の結託が持続することはありえると思います。しかし、中印友好といいながら周辺諸国にバンバン橋頭堡をつくる唯物的行動は、ビジネスでも同様ですから、そうは胸襟を開いた付き合いにはなりえません。
日印はどうか?英語を介してつきあうと、どうしてもある線を越えられないように思います。わたしは、インドにおける日本語の普及が日印の歴史的時代を決定づけると。直に話せば、「なーんだ、そっくりじゃない」となるわけですから。
   (HI生、大阪)


(宮崎正弘のコメント)インドへは五回しか行っておりませんので、小生はとてもヒンズーを語れません。ヒンズーを語るにはバラモン、古代の宗教としてはマックス・ウェーバーが研究した古代ユダヤ教と、ニーチェの研究したゾロアスターと基本の歴史を抑えなければいけないし、ですからせいぜい遠藤周作の『深い河』を二回読んで、それから三島由紀夫の『暁の寺』を五、六回読みました。
 インド人との付き合い方は、ベンガルとデリーとムンバイとで性格も人種の違うようですし、中国人以上に難しいとは思います。インドへの梃子入れとは中国とのバランスです。ついに日本の経済援助はインドが第一位になりました。戦略的発想の根幹がようやく日本外交にも整ってきたか、整いつつあるというところでしょうか。
 ところでインドと中国の暫定的仲直りは打算いがいの何者でもありません。
 いずれアフガンが落ち着いたり、イラクが収まったりすれば、ミャンマー、ネパール、バングラをめぐって対立を再開するでしょう。


   ♪
(読者の声2)こんにちは、いつも楽しく勉強させて頂いております。(5/12)配信の「読者の声2」の「MS生」様の一言が気になり、これを宮崎先生に送信する次第です。
 「MS生」様は文中で、「スーサイドボンブというのがありますが 日本だと以前の特攻隊でしょうが 日本の場合は正々堂々としており隠れかくれて何かするということはない誠といさぎよさが違います」とおっしゃっています。
おそらく何の気なしに書かれた言葉だと拝察しますが、自爆テロと特攻隊を同義で語って頂いては困ります。
 「特攻隊」は目標とする相手と戦闘状態であり(戦争中だという一種の合意)、その目標物は軍隊や軍艦であり、一方のsuicide bombingは、民間人をも巻き込む形の無差別攻撃です。報奨金が出ているケースもあると聞きます。
おっしゃる通り精神的な面も随分違っているでしょうが、それとは別に、その「あり方」という点についても、全くの別物と考えませんと、サヨクの方々と同じ思考回路ということになります。
 この自爆テロ=特攻という論理展開は、9/11テロ以降アメリカ等の諸外国のメディアでも多く見られましたが、この日本でもそのようにもっともらしく語る人も多く、困ったものです。9/11当時、当方アメリカにおりましたが、CNNなど当初は、これはパールハーバー以来の悪夢だ、などと延々と報道しており聞いていてホントに嫌になりました。
   (HR生)


(宮崎正弘のコメント)アメリカ人からみれば怖いという一点で同一視されがちでしょうし、日本人から看れば無辜の民を巻き込むのは武士道、特攻の精神に反するものであり、一緒にされるのはとんでもないことです。
 じつは工藤雪枝さんが、この差違や日本の特攻の精神について昨年米国を講演行脚しました。各地で反論の渦に巻き込まれたり、カリフォルニアでは反日中国人に囲まれたり、それでも果敢に闘ってきたそうです。
 特攻の美学は楠木正成、大塩平八郎、赤穂浪士、西郷隆盛の系列ですから、日本の歴史そのもの。アイバン・リスは理解が深く、最後に三島をおいて『高貴なる敗北』という名著を残しましたが。。。
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(おしらせ)小誌5月16日号(月曜)は地方講演のため休刊します。
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<< 新刊のおしらせ >>
宮崎正弘の新刊が月末(5月27日)に二冊でます。

?『瀕死の中国(ドラゴン)』(阪急コミュニケーションズ刊)。

?『中国よ、“反日”ありがとう(これで日本は普通の国になれる)』(清流出版刊)。

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     <<宮崎正弘のロングセラーズ>>
http://www.nippon-nn.net/miyazaki/saisinkan/index.html
『中国のいま、三年後、五年後、十年後(改訂版)』(並木書房、1575円)
『世界経済のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房、1575円)
『中国財閥の正体―その人脈と金脈』(扶桑社、1600円)
『拉致』(徳間文庫、590円+税、以下同)
『ザ・グレート・ゲーム』(小学館文庫、476円)
『ネオコンの標的』(二見書房、1600円)
『いま中国はこうなっている』(徳間書店、1500円)
『迷走中国の天国と地獄』(清流出版、1500円) 
 (宅配便による注文は下記サイトでも取り扱っています)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/search-handle-form/ref=s_b_rs/250-2645852-0546630
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◎宮崎正弘のホームページ http://www.nippon-nn.net/miyazaki/
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