国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2005/05/11

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成17年(2005年)5月12日(木曜日)
通巻第1121号   
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中国側は徹頭徹尾、論理のすり替えに終始
 王毅駐日大使、“反日暴動”を謝罪せず、開き直り
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 11日午後、都内のホテルで王毅駐日中国特命大使の講演会が開催された。筆者も招待を受けたので「拝聴」しに行った。

 反日暴動の謝罪には一切触れず、大使はいきなり「長期的な日中関係の安定」を展望した。
 それは対立や食い違いがあっても「共通の利益」に対話のチャンスを求め、前進しなければいけないと得意の抽象論。
なぜなら日中関係は重要な二国間関係であるからだそうな。

 「まず米中関係を展望してみると、利害の対立もあるが、お互いの共通の利益がある。第一は反テロで一致している。第二は(北朝鮮に代表される)大量破壊兵器の削減、そして第三が米中経済協力だ。社会制度の差違、外交スタンスの違いを乗り越えて、これらのことでは共通の利益を目標に安定的成長が得られる」と米国との関係の深さを強調した。
 (中国が保有する大量破壊兵器の削減は?)


 ついで王大使は「ロシアとも中国はうまくいっている」として「各々が領土保全および独立分子の取締り活動で協力した」(「上海シックス」をさす)。
「お互いが多元主義を認め国際関係の民主化に動き、経済的補完ができる関係だ」と自画自賛。ロシアからの武器購入やカザフスタンをめぐる資源争奪など一切触れずに、つぎに「中国インド関係」の礼賛へと移る。

 「中国とインドもお互いが脅威とはならず、パートナーであると認識し、発展途上国どうしとしての協力、お互いの経済関係を見直すことによって国境問題も沈静化し、ダライラマ問題も静かになった。温家宝首相はインドを訪問し”戦略的パートナー”の関係が確立された」。
 (インドの背後にあるパキスタンへ核技術を提供したこともバングラの軍を育成してインドを挟み撃ちし、目の前のミャンマーに中国が海軍基地を築いたことも中国にとっては対印度友好外交の範疇にはいる?)。

 「というわけで日中関係だが、基本的には友好尊重であり、お互いが安全保障状の脅威を協力して解決していかなければならない」と曖昧模糊として抽象論議に切り替えた。

 そのうえで王毅大使は「日中間の基本的な共通の利益とはなにか」を演繹した。
 第一は共同の発展と繁栄だそうな。
 曰く。「一年に四百万人の往来があり、日中貿易は往復で1700億ドルを突破した。中国の市場はまだまだ拡大一途であり、中国は調和のとれた社会の安定を目指している」
 (安定目標はわかったが実際は暴動頻発、貧富の差の拡大、沿岸部と中西部の格差が拡大しているぞ)
 
「アセアンとの対話、および東アジア共同体は是非とも実現しなければならない」 

 いよいよホンネがのぞいてきた。王大使に依れば「東アジア共同体の構築は日中共通の利益だが、むしろ日本が主導しているのであり、とくに北東アジアの安全にとっては北朝鮮の核兵器開発、朝鮮半島の平和システムの構築、北東アジア全体の安全の枠組みを確立させるためにも必要だ」。
 (米国が反対していることは「地域内の米国の利益も尊重する」とだけ発言)。
 
 「さらにグローバル化のこんにち、公共衛生、犯罪捜査協力、エネルギー開発、環境問題等で日中は利益共同体である。食い違いを超えた共通の利益のためにお互いが努力しなければならない」
  (東シナ海のガス田盗掘問題は?)
 
 ようやく最後になって「反日デモ」について触れ、「中国は平和を追求しているのであり、対日友好政策を反日は否定してしまう」だが「それは日本の歴史を鏡として反省と過去の日中共同声明などの遵守で(日本が)誠意をみせる必要がある」などとのたまわるのだった。

 徹頭徹尾論理のすり替え、そして今回も謝罪は無かった。聴衆の大半もあきれかえって聞いていた。
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(訂正)1120号「今週の書棚」のなかで八木秀次氏の『国民の思想』(扶桑社刊)を『国民の歴史』と誤記しました。このシリーズ、みな「国民の〜〜〜」ですから、ついうっかりでした。すぐさま何人もの方からご指摘頂きました。

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(読者の声1)「軍歌」について再度。たしかに軍歌自体を知らない世代が多くなっているという事実は、宮崎先生のご指摘の通りだと思います。公共放送では「軍歌ご法度」という暗黙の鉄則があるというのが一番大きなネックになっているのでしょうね。
 その昔、靖国神社について歌っているという理由で、島倉千代子の「東京だよ、おっかさん」が、長い間、歌うことを禁止されていたと聞いたことがあります(戦時下の「統制」か?と思わせるようなエピソードですね)。しかし軍歌の中には、メロディーも歌詞もすばらしい名曲が多くありますよね。
 「加藤部隊歌」、「月月火水木金金」、「ラバウル海軍航空隊」、そして「出征兵士を送る歌」など、どれをとっても名曲であります。私のお気に入りは「愛国行進曲」で、カラオケに行くと必ず歌っています。
学生(院生)の身としては、やはり学徒出陣を歌った「ああ紅の血は燃ゆる」を歌うと、本当に血が燃えてきますね(私の母校である早稲田大学からも、多くの先輩方が出陣されていきましたから)
 ちなみに、「同期の桜」は、やはり涙なくしては歌えない歌でありましょう。
   (IJ院生)


(宮崎正弘のコメント)まだ単行本にはなっておりませんが、藤井厳喜さんが『月刊日本』におととしあたり六回ほど連載した「日本軍歌考」は非常に内容に富んで、蘊蓄の深い詩歌論+歴史論になっていました。はなしは飛びますが、イラクで拘束された外人部隊21年の斉藤さん、弟さんもじつに立派でした。「兄のことで国が方針を曲げることはならない」と。小野田さんがフィリピンからでてきたときの感動を呼び起こしてくれました。外人部隊の先駆者・柘植久慶さんのコメントも聞きたいところです。


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(読者の声2)「今週の書棚」に<ニーチェのキリスト教は邪教です>があり、大変興味ありましたので書店へいこうと思います。
 誰しも本当の本当に信じていますか?と聞かれたら宗教についてなんと答えてよいかわからないという方も多いのではないでしょうか? 日頃思っていたことなので、本題からちょっと離れるかもしれないのですが、たとえば処女マリアの懐妊、キリストの復活とかあります。これこそ神の奇跡であり真実であるといいます。本当にほんとなのでしょうか。いや比喩でありそんなことを言うものではない冒涜であるというかもしれません。
 信じるのが当然であり、疑問をさしはさむものではないというでしょう。しかし真実ではないとしたら、詐欺でしょうか?
この信じた場合の持ち上げと 信じない場合の突き落としの落差が大きく多くのそれこそ善男善女はうけいれとこうと判断する根拠ではないでしょうか。宗教は千年以上にわたって生きてきておりその時その時の逸話というか(悪く言うと 作り話で受けがいいのが残ったと思います。)
キリスト教だと小生の疑問に思うのはいろいろな逸話の真贋です。また先生のおはなしだったかと思いますが、ユダヤへの蔑視があるとおもいます。キリスト教とイスラム教はユダヤ教から分派したと聞きました。これらの一神教の世界は紛争が耐えません。
最近の中東をみてもイスラム教の原理主義のおそろしさは問答無用という感じと民主主義とは縁遠い女性差別などがあるとおもいます。また以前筑波大教授が反イスラム的書物を著したということで大学構内だったとおもいますが 殺されてしまいました。なんか血なまぐさく目的のためには手段をえらばない怖さがあります。スーサイドボンブというのがありますが 日本だと以前の特攻隊でしょうが 日本の場合は正々堂々としており隠れかくれて何かするということはない誠といさぎよさが違います。
 仏教に関しても いろいろ衆生を救うという趣旨で出家したり修行したり説教したりということですが、仏陀自身が釈迦l国を捨て家族を捨てて出て行ってしまったわけです、一家の大黒柱が女房・子供をうっちゃっておいて世間を助けるもないでしょう。個々の家庭の平和と幸せを実現出来ない者に何が実現できるのでしょうか?
(すごい反論がありそうですが、おゆるしを)それから 釈迦は何か人とあっても決して首を縦に振らないとのことです。たとえば あさって午後5時の訪問を依頼しても約束してまんいち守れないとまずいので約束しないで 微笑をもってそれにかえたといいます。あまりに無気力というか頼りない感じがします。このようなことをいうと、権威あるかたはお怒りになるかもしれませんが。
というわけで小生はいまインドのヒンズー教はどうかなという興味が出てきているところです。仏教の祖国でそれに変わって発達した宗教ということでききかじりでは仏教ほどの虚無感や無力感がなくほどほどの感じをうけています。
それと 広島や長崎の原爆投下 東京の大空襲 バシー海峡の船団大虐殺 ナチのユダヤホロコースト ソビエトの隠れ大虐殺 第二次大戦後のシベリア抑留 近年ではオウムのサリン散布まで目を覆う地獄絵が続いています。すくなくとも平和と幸福を守護するわれわれが考えるような都合のよい神はいないのではないでしょうか?
いてほしいのですが、いたとしたらなぜ上記のようなことになるのかわからない。ひょっとしたら神にもえこひいきがありアメリカ合衆国ひきかもしれません、なぜかというと比較的めぐまれているようにみえるから。
 来世にて幸福になるというのがあります、前述のスーサイドボンバーは来世は殉教者としてあのような砂漠でなく 緑あふれる楽園で老いさらばえない永遠の処女とのたのしい来世があると信じているからあのようになれると聞いたことがあります。
小生は正直言ってわかりません、来世があるのかないのか 現世がこれですから 隔絶の感のある来世というものも 望みうすではないでしょうか。とはいえ そういいきってしまっては生きる意欲もそがれますので 聖書にしても仏教経典にしてもコーランにしてもよいなとおもわれるところはできるだけ取り入れて生きていこうとおもっております。
とにかく 先生のこのメルマガが一番のお気に入りです、楽しいし検閲もなく赤裸々にみなさんの意見が読めます。小生は現状いまひとつ時間がとれないのですが あと何年かすると時間できそうに思えるのでそうなったら先生の講演会にもでかけたいと思っています。
      (MS生)


(宮崎正弘のコメント)話題が多岐に渉りすぎているので、ひとつだけ。ヒンズーはインドでしか影響しなかった。マレーシアからインドネシアにかけては、後からやってきたイスラムに勢力圏をとられてしまった。ヒンズーが残ったのはバリ島だけ。しからば何故インドだけ、いまもヒンズーが脈々と生き続け仏教を追い出してしまったのか。小生は、この点に興味を持っています。
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(三島由紀夫研究会公開講座の御案内サイト)
http://www.nippon-nn.net/mishima/koza/
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(おしらせ)小誌5月16日号(月曜)は地方講演のため休刊の予定です。◎
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     <<宮崎正弘のロングセラーズ>>
http://www.nippon-nn.net/miyazaki/saisinkan/index.html
『中国のいま、三年後、五年後、十年後(改訂版)』(並木書房、1575円)
『世界経済のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房、1575円)
『中国財閥の正体―その人脈と金脈』(扶桑社、1600円)
『拉致』(徳間文庫、590円+税、以下同)
『ザ・グレート・ゲーム』(小学館文庫、476円)
『ネオコンの標的』(二見書房、1600円)
『いま中国はこうなっている』(徳間書店、1500円)
『迷走中国の天国と地獄』(清流出版、1500円) 
 (宅配便による注文は下記サイトでも取り扱っています)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/search-handle-form/ref=s_b_rs/250-2645852-0546630
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◎宮崎正弘のホームページ http://www.nippon-nn.net/miyazaki/
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(新刊予告)宮崎正弘の新刊が月末(5月27日)に二冊でます。
?『瀕死の中国(ドラゴン)』(阪急コミュニケーションズ刊)。
?『中国よ、“反日”ありがとう(これで日本は普通の国になれる)』(清流出版刊)。
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