国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2005/04/24

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成17年(2005年)4月25日(月曜日)貳
通巻第1107号 臨時増大号
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本号はニュース解説がありません。
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<<今週の書棚>>

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西村真悟『真悟の憂国』(高木書房)

 いまの日本で最もエネルギッシュに正論を訴え続ける政治家はこの人。京都大学で法律を学び、弁護士でもある。あの上海列車事故のときの遺族側弁護士として、上海に赴いた経験もあるという。
爾来、中国には行ったことがない、と小生も出演した「真吾十番勝負」の録画収録のときに感慨深げに語られた。
本書は憂国の熱情がほとばしる。
「世界最大の債務国(米国)が好況を謳歌し、世界最大の債権国であり、かつ世界最大の国民資産をもつ国(日本)が十年以上の不況に苦しんでいる。これはどう考えてもおかしな現象ではないか。経済学者は、ややこしい難しいことを言うが、普通の政治家なら、これはマネーゲームの何かの戦略に嵌っているのではないかと考えて当然だ」。
だから西村代議士は郵政民営化なるものは米国が資産をねらっている危険性があり反対だと論旨明解である。
(でも小泉首相はどうしてこんな後ろ向きの政治に専念しているのか)。
また中国について「北朝鮮と韓国からなる朝鮮半島が如何になるかは、中国次第」と予測される。しかし「その中国が如何になるかは日本が握っている」とされ、「これが近現代の歴史的に明らかにされた日本の戦略的存在であり」かつ「日本の戦略的存在を左右するのが日米関係である」。
平明簡素な文章のなかに正論があふれ出てくる。基本構造をしっかりと把握され、優しい言葉で読者の前に提示する文章力は、弁護士時代に鍛えられたのだろうか。
一方で、この日本に「驚くべきことに国防思想がない」と嘆かれる。国防思想は、しかし自衛隊にも希薄である。予備自衛官になる人が退役軍人に少ないという実態は寒気を催すほどのおどろおどろしい事態だが、国を守るのは自衛官は定年になったらやめてしまうんでしょうかね。
このほか、本書の随所にはっと迷妄を開かれる箴言がちりばめられている。


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許世楷・廬千恵『台湾は台湾人の国』(はまの出版)

 許世楷さんは嘗て日本へ留学し、早稲田大学で学んだ。以後、東大で博士課程を終了された。法学博士。
一方、東京の私生活においては仲間とともに台湾独立運動に専心され、さらに津田塾大学で憲法、国際法を教えられた。
いまは台湾大使(正確には台北駐日経済文化代表処、代表)である。
 許さんは台湾独立の憲法を起草したことでも知られる。
 過日、鄭南熔烈士の追悼式典に小生も出席したが、許さんが記念講演をされ、憲法改正草案を鄭氏が主宰した雑誌に載せるまでの苦労話などを披瀝された。拝聴しながら、落涙するばかりであった。(鄭南熔(「熔」は木偏)は台湾独立のために国民党と闘い、国民運動を組織し、雑誌を発行し続け、壮烈に死んだ。この点で「台湾の三島事件」と言われる)。
 鄭烈士は自裁する日の朝、許さんにFAXで遺書を送った。その写真も本書に公開されている。
この小説よりも面白い(と言っては失礼だが)波瀾万丈の物語を、ここで紹介しては意味がない。
しみじみとこんなに台湾独立までに時間を要するとは思わなかったと感慨深い回想場面もしんみりとなる。
この本はひとりでも多くの日本人に読んで貰いたい。台湾の苦しみ、人間としての苦しみ、いかに台湾の人達が蒋介石政治にいじめられ、それでも果敢に闘ってきたかの強靱なる精神の記録でもある。
 本書でもうひとつ教えられてことがある。蒋介石監視スパイの暗躍で、独立派学生にはヴィザの延長がなかなか認められなかった時代が日本にさえあった。
そのとき許世楷さんの身元保証人を大胆に引き受けられ、ヴィザの延長に動いたのは我妻栄教授、その裏にあって法務当局を動かしたのが時の総理大臣・岸信介氏だったことを小生は本書で始めて知った。


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佐々木俊尚『ヒルズな人たち』(小学館)

 いまとなってはフジテレビと手打ちがおわり、ほりえもんが稼いだのは1400億円。米国のグリーンメーラー顔負けの奇襲成功譚となって長く名前が残るだろう。本書は、フジテレビ相手に丁々発止をわたりあっていた時に上梓されて斯界の話題をよんだ。
 小生は『正論』に「『青の時代』から『@の時代』のM&A」という拙文を書いて、日本の伝統的な経営方式の危機を訴えておいたが、じつはこの時点もいまも産経グループへの支援組より、世間ではほりえもんの方が人気が高かった。
発表誌の『正論』といえば、読者は50歳以上の保守派が圧倒的であり、しかもほりえもんは「正論路線は要らない」と批判していたため、ほりえもん批判組ばかりと思っていた。
 あけてビックリである。正論編集部には抗議の電話が山となって、ほりえもん支持者が60歳代以上の保守派ですら人気が高いという現象がおき、そのことを小生、或るパーティであった大島編集長から教えられた。
 (なぜ?)
 本書を読むと、なんとなくわかる。ヒルズな人、とは六本木ヒルズにオフィスを構え、従来日本に存在しなかったライフスタイル、ビジネススタイルを展開しているIT新人類たちを扱っている。60歳代の多くがほりえもんを支持したのは、じつは自己の人生を振り返り思う様の行為が出来なかった反省とほりえもんへの羨望とが折り重なった反応ではないのか。
 さて本書をまとめた著者は、随分とフットワークが強く、文章もヒルズなものでなくて、しっかりしている。力量のあるものかきに育ちそうだ。
 通読して面白かった。新人類である若い日本人たちがどういう価値観を持っているか、それは歪んでいてアメリカ的で伝統軽視で、じつに嘆かわしい限りだが、それでいて多少は浪花節的なところもある。そのこともよくわかる本である。
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(読者の声1)オーストラリア在住の国際ニュース・早読みの愛読者です。
豪州政府は、どちらかと言うと中国贔屓で、中国とフリートレード条約を結ぼうとしているのが現状ですからマスコミも今回の反日デモも中国側の主張に沿った報道しかしていません。昨日の新聞(The Age)には、『日本、戦時中の悪行を謝る』との大きな見出しで、例によって中国寄りの報道をしていますが、その中に下記のような、とんでもない記事がありました。
 『ミスター小泉が毎年訪問する事で議論を引き起こしている靖国神社とは、東京の郊外にある戦争犯罪者の墓地で、戦時中の首相だった東条英樹も埋葬されている』
 そうした偏った記事を読みながら口惜しい思いをしている時に中国の反日デモがおさまってしまうらしいとか。残念でなりません。
日本政府は情報部員をひそかに中国の地方に送り込んで、農民を煽動して政府指導ではない大反日デモを起こさせたら如何なものでしょう?
アメリカのCIAがよくやる手口です。中共政府はさぞ慌てるでしょうし、中国に進出している日系企業も改めて中国進出リスクについて考えるでしょうし、結果として
中国政府は強硬なデモ鎮圧で国際社会から非難を浴び、あの横暴な態度も少しは和らぐのではないか、と夢想したりしています。
 今回の小泉首相の「お詫び」については腹が立ってなりませんが、考え方によっては、「お詫び」を国際会議の席上で発表したことで、今後中国に「日本は過去の反省をしていない」というカードを使えなくした利点は評価すべきかも知れませんね。
   (在豪州、KS生)


(宮崎正弘のコメント)まず「東京郊外云々」は事実誤認ですから、大使館の投書のかたちか、或いは貴兄が投書されると良いと思います。事実誤認だけは、いかなる新聞でも訂正する筈です。
{The AGE}は、昔、小生の知り合いも記者をしておりましたが、なにしろ日本理解がまるでありません。かのグレゴリー・クラーク程度が豪州出身では、一番の日本通ってことになっておりますからね。
 ところでオーストラリアの教科書は、アボリジニ虐殺についてどれほど触れているのでしょうか? 米国の教科書もインディアン虐殺はさらりと数行、その前の歴史は、いきなり恐竜時代です。


  ♪
(読者の声2)熱心な読者です。
(1)いつも迅速かつ目配りの効いた論評をありがとうございます。特に前号と今号(1106号)の簡潔な海外メディアの動向要約は,きわめて有益でした。

2)さて,小泉首相の今回のAA会議における演説は,関西のおっチャンまで「なんでまた日本が謝らねばならんのや」と批判するように,非常に評判が悪いのですが,私は少し違った見方をしています。
(演説全文http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/enzetsu/17/ekoi_0422.html
を読んでみると,第一に,謝罪は冒頭で簡潔に触れられているだけで,本文はいかに日本が戦後の世界平和と発展に貢献してきたかを強調しています。謝罪はともかく貢献したことを高らかに言挙げすることは大変に結構だと思います。
第二にその謝罪も必ずしも日本が中国に対して謝っているのではありません。アジア・アフリカ諸国全体を前にして,「かつての植民地支配と侵略によって,多数の国々.に対して多大の損害と苦痛を与え」たことを「お詫び」して,その反省から「経済大国になっても軍事大国にはならず,いかなる問題も,武力に依らず平和的に解決するとの立場を堅持しています。今後とも世界の平和と繁栄に貢献していく決意である」と,堂々と宣言しています。

3)日本は確かにアジアの国ですが,同時に,旧植民地帝国でもあります。
この会議に出席している旧宗主国は日本だけではないでしょうか(もちろん,最後の植民地帝国である中国は除きます).日本以外で,植民地支配を一大国際会議で公然と謝罪したというのは,聞いたことがありません.出席していたAA諸国がいったいこの小泉演説をどのように受けとめているのか,まだわかりません(宮崎先生にはぜひこのあたりも情報収集していただけると幸甚です)。
資源収奪型のスペイン・ポルトガルの植民地支配,自国商品の販路確保型のイギリス・フランスの植民地支配に比べて,開発型の日本の植民地支配がこの3型の中で最善であったことは,朝鮮・台湾での実績を見れば歴然としています。

4)中国や韓国に謝るだの謝らないだのという些末な問題を超えて,ここで日本はかつての植民地帝国であった諸国全体の代表として,「植民地支配と侵略」を謝罪したのだと私は見ました.これは会議前の中国との軋轢を考慮すると,非常に巧みな「論理のすり替え」です。もし,これを外務省の誰かが明確な意図を持って企画したのなら,「すばらしい」と賞賛したい。
いつからこんな「芸当」が出来るようになったのでしょうか。
なぜならAA諸国の目から見て,「植民地支配と侵略」を謝罪しなければならないのは,むしろイギリスであり,フランスであり,オランダでありましょう。最も賞賛されるべき植民地支配をした日本でさえ謝罪したのだから,より過酷な収奪を行い,過酷な支配をしたイギリス・フランス・オランダなどは,もっともっと謝罪を迫られて当然です。日本による先進ヨーロッパ・旧植民地帝国諸国への強烈な批判とも言えます。

5)やはり日本の外交当局も,「江の傭兵」・「マキコ」は問題外としても,K女史の時代から,かなり良い方向へ変わってきているのではないかと思います。
この演説は先進国全体のリーダーシップを取るという意思表示とも見ることができるので非常に格調高い、と見ます。
私は小泉首相には何の係累もない、普通の国民ですので,別に肩入れしているわけではありませんが,いつも「ダメだ.ダメだ」としかってばかりでは子供が育たないように,良いことをしたときは,褒めてやるのが「育児」の基本かと思います(首相や外交当局に失礼な物言いですが).

6)小泉純一郎は,「総理・総裁になったら,絶対に8月15日には靖国に参拝する」と,公約して総裁に当選し、まだこの公約を果たしていません。
このままでは「嘘つき」です。今年の夏にはちゃんと公約を果たしていただこうではありませんか
    (YN生、八王子)


(宮崎正弘のコメント)素晴らしいご意見と分析を頂きました。有り難う御座います。とくに「AA諸国の目から見て『植民地支配と侵略』を謝罪しなければならないのは,むしろ,イギリスであり,フランスであり,オランダでありましょう.最も賞賛されるべき植民地支配をした日本でさえ謝罪したのだからより過酷な収奪を行い,過酷な支配をしたイギリス・フランス・オランダなどは,もっともっと謝罪を迫られて当然です。日本による先進ヨーロッパ・旧植民地帝国諸国への強烈な批判とも言えます」などのご指摘は目から鱗でした。
中国は例によって都合良く解釈し、日本が謝罪したと、それだけをつたえ、日本のマスコミと言えば、謝罪した、手打ちした、と一面的。全体の分析が殆どありませんでしたからね。大変貴重なご指摘でした。
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4月28日は「主権回復記念、国民集会」!
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「春の憂国忌」の異名をとる国民集会は、井尻千男、小堀桂一郎、入江隆則各氏の呼びかけで始まり、今年は「現行憲法・教育基本法の呪縛を解け」がテーマ。
発起人は伊藤憲一、大原康男、加瀬英明、勝田吉太郎、佐伯彰一、佐藤欣子、田久保忠衛、西尾幹二、長谷川三千子、福田和也、宮崎正弘、渡部昇一の各氏ほか。
 どなたでも入場できます! 
          記
 とき     4月28日午後六時(五時半開場)
 ところ    九段下「九段会館」大ホール
 入場     無料
 挨拶     井尻千男、小堀桂一郎、入江隆則
 弁士     城内実、藤井厳喜、八木秀次、山谷えり子ほか。
 連絡先   (03)3991−6173 (FAX兼用)
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(休刊予告)小誌は4月29日より5月6日までの連休中は休刊となります!
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<<自治問題調査会 勉強会>>
これは5月27日です(4月ではありません。ご注意ください)。

 あの熊本出身のラスト・サムライ、元ペルー大統領アルベルト・フジモリ閣下が縦横に世界情勢を語ります。横濱周辺の皆さん、絶好の機会です。どなたでも御参加できます。

         記
  とき    5月27日(金曜) 午後六時
  ところ   横浜西口(三越裏)かながわ県民サポートセンター304会議室
  講師演題  アルベルト・フジモリ元ペルー大統領閣下
  会費    おひとり 2000円
  問い合わせ (045)263−0055
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     <<宮崎正弘のロングセラーズ>>
http://www.nippon-nn.net/miyazaki/saisinkan/index.html
『中国のいま、三年後、五年後、十年後(改訂版)』(並木書房、1575円)
『世界経済のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房、1575円)
『中国財閥の正体―その人脈と金脈』(扶桑社、1600円)
『拉致』(徳間文庫、590円+税、以下同)
『ザ・グレート・ゲーム』(小学館文庫、476円)
『ネオコンの標的』(二見書房、1600円)
『いま中国はこうなっている』(徳間書店、1500円)
『迷走中国の天国と地獄』(清流出版、1500円) 
 (宅配便による注文は下記サイトでも取り扱っています)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/search-handle-form/ref=s_b_rs/250-2645852-0546630
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◎宮崎正弘のホームページ http://www.nippon-nn.net/miyazaki/
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http://www.melma.com/mag/06/m00045206/a00000060.html
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