国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2005/04/04

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成17年(2005年)4月5日(火曜日) 
通巻第1085号 
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金門島に軍事的緊張は消滅している
 「ミサイル危機」は本当にあるのか? 錯覚するほどの平和惚け
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 中国と台湾の軍事的対峙の現場は、金門諸島。十二の小島で構成されるが、そのうちの幾つかが無人島である。肉眼で対岸のアモイが見える。
 反対にアモイへ行くと、ドイツが残した砲台址から、双眼鏡をのぞくと台湾兵士の顔つきまでみえる!

 昭和37年に石原裕次郎主演(芦川いずみ、二谷英明らが競演、音楽は黛敏郎)で『金門島にかける橋』がつくられた。
あの頃、両岸は砲撃を繰り返し、至るところが軍事要塞だった。島中に歩哨がたち、警備兵がいた。砲撃戦では日本人記者(読売新聞)が死んでいる。この人は金美齢さんの友人でもあった。

 すべては昔話となりつつある。
 金門島では、潜水艇の待避壕やトーチカまで観光客に開放され、駐在する台湾軍は激減。緊張をほぐすための軍人相手のゲーム・センター、娯楽施設、飲み屋の大方が潰れ、代わりに観光客相手の海鮮レストランが多くなった。
 十数年前に行ったときは軍服、軍帽などが安く売っていた。いまはない。

観光客がそぞろ歩き、名物の包丁を買い求める。金門砲撃戦の砲弾からつくった包丁は台湾ばかりか世界的に有名。現場はそういう風景なのである。軍事的緊張なんぞ無い。
 
三年前に行ったとき、すでに金門本島からアモイへ連絡船があり、本島の船着き場から週に三回、直接アモイへ行くフェリーが就航していた。
荷物の数量制限があるが、クスリ原料を大量に抱えて大陸から「行商人」がやってくる。台湾からは電子製品や西側のクスリを買って、抱えきれないほどの荷物を担いで帰る。台湾と大陸の直航便は、いまのところこれが唯一である。

 一番東寄りの無人島(金門に属する)から大陸まで僅か2・9キロメートルしかない。
「これなら泳いでもわたれるなぁ」と筆者は金門島へ取材したおり、ふと嘆息した記憶がある。

 事件は、しかし現実になった。
 2004年の6月2日、アモイから4キロの大胆島(金門本島の北西)へ泳いで台湾へ逃げてきた民主活動家が出現したのだ。
この亡命事件の主役は燕鵬氏といって89年の天安門事件につながる人物だ。02年に「国家政権転覆煽動罪」なる容疑で懲役一年半、政治権利剥奪が二年。保釈後も監視されたため燕鵬は漁船をチャーターして観光を装い、途中から海に飛び込んで金門諸島のひとつに泳ぎついたのだ。

 ならば台湾は歓迎するかと言えば、マスコミが殆ど無視するほどに民主活動家は「歓迎すべからざる客」なのである。
 「?」。
 でもこれが偽らざる台湾のこんにちである。

  80年代後半まで、台湾では大陸からの亡命者を歓迎し、ミグ・パイロットなどには天文学的な懸賞金をつけて奨励したが、いまは誰も大陸からの亡命に関心がない。
 大陸との”三通”を目指す台湾当局は十年来、台湾最大財閥の王永慶(台湾プラスチック総裁)が要求してきた福建省への火力発電所など大型投資を許可した。

 三年前、筆者は運良く李主峯県知事と面会できた。
 李知事は若くて大柄、ただし「新党」の支持者で会うなりに「いずれ金門からアモイへ橋梁を掛けるプロジェクトを進めます」と言った。

 思わず「大陸は台湾向けに五百基ちかいミサイルを配備し、台湾軍事侵攻を辞さずと言っているのに?」と尋ねると「そんなことはあり得ない。台湾からの投資を歓迎していますから」とテンから楽天的な態度だった。あまりの打算と現実の変化にはたいそう驚かされた。
それが中国との軍事的脅威の最前線=金門諸島の実際の雰囲気である。

 さて中国は台湾向けに、いまでは700基のミサイルを配備した。脅迫で台湾を揺さぶり、心理的に追い込む作戦の一環である。

 しかし軍事評論家の佐藤守氏によれば、「使えるミサイルはせいぜいが200発、そのうち精度がよくて、台湾まで飛んでくるのが75発と計測して良いでしょうが、距離を飛ぶので、火薬は250キロ前後。これはたとえ命中しても25センチx2メートルの破壊力しかない」と分析されている。
      ◇ ◇
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   ♪
(読者の声)大正末期から昭和初期にかけて、日本企業が低労賃の中国の租界に進出、それを共産党に扇動された暴民によく襲撃されました。それで租界の安寧を保つ為、軍が派遣されたのです。それが上海事変(1932)を誘発し支那事変(1937)の原因になりました。
歴史は繰り返すと言われていますが。
     (BEN)


(宮崎正弘のコメント)「上海事変」と決定的に異なるのは、こんどは共産党が困ることです。社会擾乱に乗じて、反共産党勢力が政権を転覆する状況がでてくることを一番警戒しているのが共産党でしょう。
 ともかく、こんどの反日騒ぎで新幹線プロジェクトはなくなりましたね。日本の新幹線を中国へ技術ごと供与するのは嘗ての「西原借款」に酷似し、すべてとられて借金は返さない。その懼れが消える。まずはめでたし。めでたし。
          ◇
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<<台湾建国烈士・鄭南榕先生を偲ぶ集いの御案内>>

 「鄭南榕事件」は「台湾の三島事件」と言われています。

 1989年、鄭南榕烈士は、台湾独立建国聯盟主席だった許世楷氏(現駐日代表)の論考「台湾共和国憲法草案」を主宰する「自由時代」に掲載した。すると検察は反乱罪容疑で召喚しようとし、鄭烈士は頑として応じず、自由時代社に籠城した。
言論の自由を求め「国民党は私を逮捕できない。逮捕できるとすれば私の屍だ」として、4月7日午前9時過ぎ、警官隊が包囲する中、宣言通り自らガソリンをかぶって火を放ち、覚悟の自決を遂げた。享年42歳。
この事件は「台湾新憲法事件」と称され、もっとも激烈な形で台湾の歴史を塗り替え、その民主化と台湾化の流れを加速させた。鄭烈士が「建国烈士」と称揚される所以だ。鄭烈士のこの事績に感銘した日本人有志が主催し、台北駐日経済文化代表処および賛同する在日台湾人団体の後援で、記念講師は許世楷・駐日代表。また自決直後、『台湾青年』編集長として鄭南榕記念特集を刊行し宗像隆幸氏。
下記の次第で鄭南榕烈士を慰霊顕彰し、広く日本人にその事績を伝える「台湾建国烈士 鄭南榕先生を偲ぶ集い」を開催します。
 
           記
 とき    4月6日(水)午後6時30分〜9時(6時開場)
 ところ   アルカディア市ヶ谷4F「鳳凰」
       【交通】JR、地下鉄有楽町線・新宿線・南北線「市ヶ谷駅」徒歩2分
 講 演   許 世楷(台北駐日経済文化代表処代表)
       宗像隆幸(アジア安保フォーラム幹事、元『台湾青年』編集長)
 参加費   おひとり1500円
 主催    日台交流教育会、日本李登輝友の会、台湾研究フォーラム
 申込み   日本李登輝友の会 03-5211-8838 FAX 03-5211-8810
       E-mail ritouki-japan@jeans.ocn.ne.jp
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    <<宮崎正弘のロングセラーズ>>
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『中国のいま、三年後、五年後、十年後(改訂版)』(並木書房、1575円)
『世界経済のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房、1575円)
『中国財閥の正体―その人脈と金脈』(扶桑社、1600円)
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創刊日:2001-08-18  
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