国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2005/04/02

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成17年(2005年)4月3日(日曜日) 
通巻第1080号 臨時増刊号
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台湾野党代表団の訪中に一定の成果あがる?
 連戦主席の党主席居直りが前提で第三次「国共合作」へ
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 国民党主席にまだ居座っている連戦は、政治家としては珍しい「連戦連敗」のレコード・ホルダー。
 2000年総統選挙で国民党候補。結果は24%の得票で、たもとを分かった「親民党」の宋楚諭にも敗退した。
 要するに国民党分裂選挙となって陳水扁が漁夫の利を得た。

 2004年3月の総統選挙では、その宋を副総統候補として「国親共闘」を実現したにもかかわらず陳水扁再選を阻めずに惜敗、しかし「あれは不正投票」と「陳総統暗殺未遂は自作自演」と言いだし、裁判所が最終決定を出したいまも敗北を認めない。

  台湾の民衆は「支那人はああいうことを平気でする。連戦は金持ちのぼんぼん、とても政治家とは言えず、まして北京と交渉したら良いように操られる」と低い評価が普遍的である。

 だから国民党内部でも新陳代謝をもとめる声が強く、六月の国民党大会で主席を降板し、若い馬英九(台北市長)か、王金平(国会議長)と交替するスケジュールになっていた。
 世論調査では圧倒的に馬が優位だが、党内事情では王支持派が多い。「もはや国民党は外省人の政党ではない」と新鮮はイメージをふりまく必要があり、馬は最近、とみに”台湾本土派”意識を強調した路線に修正している。ただし326反国家分裂法反対百万人デモには参加しなかった。

 俄然、連戦は巻き返しに出た。まず国民党大会を延期し、八月に主席選挙をやろうと言いだした。
 ついで三月末、突如訪日した連戦は安倍晋三・民党幹事長代理、森喜郎前総理などと連続会見し、「適当な時期を選んで訪中する」と東京で記者会見したのだ。
 「?」。
 ”過去の人”を北京が呼ぶ意味がない。意図もないだろう。それでは第三次国共合作にならないではないか。
 ということは、連戦はその時も「国民党主席」にとどまっていなければならない。居座りを前提とした戦術行使に思える。
 もっとも北京は「いかなる政党の党首でも招待して話し合いをしたい」と言っており、早速「私も行く」と応戦したのは民進党の蘇貞昌主席だった。その前から親民党を率いて宋楚諭も訪中の意思を表明している。


 ▲明らかに「第三次国共合作」の下準備ではないのか

 さて国民党が共産党に敗れて台湾へ逃れてから56年ぶりに、国民党幹部が公式に北京を訪問し、共産党序列四位の賈慶林らと会った。

 国民党の代表団(団長=江丙坤・党副主席)は、賈慶林と会見したあと、唐家旋・国務委員とも会談した。(唐は前の外務大臣、日本に「靖国へいくな」と厳命(言明)した人物として悪名高い)。胡錦濤は最後まで出てこなかった。 

 賈慶林はこの席で、「国民党などの団体が経済文化交流を推進していることを称賛する」とし、連戦・国民党主席の訪中を招請した。
 また台湾の国連WHOへのオブザーバー加盟に前向きの示唆をした。つまり「WHOカード」を切ったのである。正式メンバーではなくとも台湾の国連復帰への巨大な足がかりとなる。
 台湾政界への分断工作と揺さぶりの心理戦争の延長である。

 江副主席ら一行34名は広州から南京へ廻り、北京へはいる前に烈士廟やら南京では孫文陵などを見学した。しかし広州でも市委員会副書記クラスしか応対せず、周りを囲んだのは内外のマスコミだけ。

 北京郊外の香山にある孫文記念堂も訪れた。
 孫文を表向きの看板にたてている中国共産党と、まだ孫文を全面にたてた歴史解釈をしている台湾の国民党は、このメンタリティで一致する。

 江副主席は「両岸人民は孫文氏を師として、ともに利益を得られる局面を造り出すべきだ」として交流の必要性を説いた(ちなみに江丙甲は通産大臣を何度も務めた政策通で、日本語もぺらぺら。もし連戦が当選していたら首相就任確実といわれた実力者)。

 蘇起・前大陸委員会主任は訪中の成果を前向きに評価し「徒らに対立した過去の両岸関係より、対話が出来て雰囲気が醸成された。
  陳水扁政権のもとでデッドロックに乗り上げた両岸関係を改善し、民衆は『反国家分裂法』を忘れるほどの効果をあげたことは評価すべきであり、我々は正しい道を歩んでいると確信している」と述べた(ワシントンポスト、4月1日付け)。

  こうした台湾分断の老獪な外交を展開する北京の遣り方に陳水扁総統は「台湾内でも与野党間および政府とのあいだにコンセンサスがないのに『国共コンセンサス』を追求しても何の意義があるのか」と批判した。 

 反国家分裂法を制定し台湾への武力行使を合法化したタイミングを選んで訪中した国民党は、私的外交を展開して国家の分裂状況を自ら招いた結果だが、それにしても一体、何を考えているのか。
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(読者の声1)『正論』5月号に掲載された宮崎先生の「『@の時代』に変質するM&Aへの危惧」をじっくりと拝読しました。よく米国の類似パターンを比較研究されていてわかりやすかった。すくなくとも感情的な外資排斥の攘夷論が多い中で、冷静な分析は出色でした。しかし中国とか、ミシマ論が専門とばかり思っていたら、宮崎先生はウォール街のウォッチャーでもあるのですね。多彩なカバー領域に改めて脱帽しました。
      (YT生、横浜)


(宮崎正弘のコメント)ウォール街にはバブル経済が破裂した直後まで、取材のため、じつに何十回も通いました。日本短波放送(現在の日経ラジオ)の番組を週二回受け持っていた関係もあり、そのうえロスアンジェルスの「ラジオマネー局」と英語の中継番組をやっていましたから。
 またウォール街の資本の論理から中国経済を眺める視点をえたことも有益でした。
 したがって「国際エコノミスト」的な領域でもかなりたくさん仕事をさせて頂き、『ウォール街 凄腕の男立ち』など合計20冊以上の、経済分野の著作もあります。最近はアメリカ帰りの横文字経済学が主流で、小生ら伝統的経済学を説く論客はマスコミ主流からはずされておりますが(苦笑)。
 その結果が破廉恥ともいえる「ほりえもん」の登場でした。政界、マスコミ、財界を震撼させた、このM&Aの事例は、アメリカ流経済学の間違いをも同時に示唆している。
今月の『諸君』と『自由』が偶然にも「ほりえもん」評価を有名人に問うていますが、前向きに評価したのは鹿島茂氏ら極少数の変わり者だけ。いずれ我々伝統派が回帰できると信じています。


  ♪
(読者の声2)貴誌4月2日付け(通巻第1079号)の「チャイナリスクに直面、今度はアサヒビールが槍玉に。中国進出ではなく撤収を考える企業が増えるだろう」の記事中ですが、先生は「反日ブームが韓国、中国で沸騰してきた。大歓迎といきたいところである。」としてきされていますが、なぜ「大歓迎」なのですか?
     (YS生、栃木)


(宮崎正弘のコメント)小誌で、或いは他の雑誌で何回か書きましたが、「反日は反政府、反共産党の記号」という側面が強い。中国のヤングは、いずれ「反日」で大結集するかに見えて、突如デモの矛先を中南海に向けるでしょう。反政府運動の本格化です。それを懼れる共産党は、じつは反日運動さえ封じ込めたい。
 民衆にとっても敵は日本ではなく、共産党支配の独裁政治ですから。だから歓迎したい、という比喩です。
 

  ♪
(読者の声3)「反日ブームが韓国、中国で沸騰してきた。大歓迎といきたいところである」。
賛成です!私の周りでも最近はっきりとした変化が出てきております。前の慰安婦問題や教科書問題のころとは「雰囲気」が違ってきております。
この「空気の変化」は「世論の変化」と繋がるでしょう。あとは報道するマスコミがいつ「転向」するかでしょう。以前ご指摘のアサヒの「大転向」も有る也もしれません。この前の時は「インターネット」も有りませんでした。朝鮮半島もシナ大陸も日本にサイバー攻撃をする暇があったら、自国の過去を「鏡」として歴史を勉強しなおすべきでしょう。
      (桃太郎)


  ♪
(読者の声4)貴誌「反日」についてですが、活動家(?)によってJALがつけられたいちゃもんは知りませんが、(脅迫されて転向声明を書かされた?)許文龍氏然り、中共は支那に利害を持つ人士たちを脅す作戦に出てきているのですね。ならば当方も中共をサイバーでも鉄砲ででも脅怒してやればいいのです。 が筆を生業とする分を弁えて、相手の脳みその神経回路が変調をきたす文字思想攻撃です。
ところで花岡信昭氏が、4月1日付け配信の”平河瓦版”に次のように述べています。
『李登輝氏は意気軒昂であった。反国家分裂法についても「あんなもの、台湾にとって何の意味もない。いま出してきたのは、向こうの国内事情によるんじゃないのか」とばっさり切って捨てた。』
まさにその通りだと観ます。だいたい直前まで法文内容を公にできなかったのは、台湾が独立するといったり、制憲する挙に出たら”武力攻撃”するぞと、という勇ましい断固とした言い方が出来なかったからでしょう。”非平和的”な方法でという、なま温い言い方では軍部が納得しないからでしょう。だからなかなか公表できなかったのでしょう。
コキントウ(胡錦濤)の腰が引けているのを看て取るべきです。 農村問題、治安問題、為替問題、バブル崩壊の恐怖、軍の暴発の懼れ、経済発展と正比例の共産党員の汚職、そ
の一方で減り続ける共産党員、云う事を聞かない北朝鮮・・・。
こんなに難問を抱えていたら、台湾にはおとなしく現状維持でいてほしいでしょう。その足元を見透かして、台湾とその支持勢力は独立と制憲、国連加盟と正名にまっしぐらに突き進めばいいのです。 小泉首相の靖国参拝を阻止することは、支那のマルクス・レーニン式一点突破作戦の肝です。これを阻止され、一点突破されたら台湾どころか日本が気持ちの上で侵略され始めることを意味します。
8月15日に小泉首相が参拝したら、潮の流れは日本から支那に押し返され、支那の現政権は存亡の危機に見舞われるでしょう。 日中間の攻防の力関係を決するものとなるでしょう。その意味で時宜と意義あるご提言と感じました。
     (HN生、丸の内)


(宮崎正弘のコメント)台湾は実業界が目先の利益に浮き足立って、どっしり構えている李登輝さんの忠告を聞きません。浮かれに浮かれてずるずると大陸ののめり込み、さらに上海のマンション投機に走っているのも、三分の一は台湾の金持ちですよ。
 ユダヤの昔から、モーゼの預言を信じなかった人は、神罰があたった。嗚呼。
  蛇足ですが、小生の台湾紀行は4月18日発売の『月刊日本』、4月30日の『エルネオス』、5月10日の『自由』にそれぞれ李登輝先生会見記、国会議員会見記、分裂法以後の台湾政局の混乱などで分載の予定です。
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 「台湾建国烈士・鄭南榕先生を偲ぶ集い」の御案内

 1989年、鄭南榕烈士は、台湾独立建国聯盟主席だった許世楷氏(現駐日代表)の論考「台湾共和国憲法草案」を主宰する「自由時代」に掲載した。すると検察は反乱罪容疑で召喚しようとし、鄭烈士は頑として応じず、自由時代社に籠城した。完全なる言論の自由を求め「国民党は私を逮捕できない。逮捕できるとすれば私の屍だ」として、4月7日午前9時過ぎ、警官隊が包囲する中、宣言通り自らガソリンをかぶって火を放ち、覚悟の自決を遂げた。享年42歳。この事件は「台湾新憲法事件」と称され、もっとも激烈な形で台湾の歴史を塗り替え、その民主化と台湾化の流れを加速させた。鄭烈士が「建国烈士」と称揚される所以だ。
鄭烈士のこの事績に感銘した日本人有志が主催し、台北駐日経済文化代表処および賛同する在日台湾人団体の後援で、記念講師は許世楷・駐日代表。また自決直後、『台湾青年』編集長として鄭南榕記念特集を刊行し宗像隆幸氏。下記の次第で鄭南榕烈士を慰霊顕彰し、広く日本人にその事績を伝える「台湾建国烈士 鄭南榕先生を偲ぶ集い」を開催します。
            記
 とき    4月6日(水)午後6時30分〜9時(6時開場)
 ところ   アルカディア市ヶ谷4F「鳳凰」
       【交通】JR、地下鉄有楽町線・新宿線・南北線「市ヶ谷駅」徒歩2分
 講 演   許世楷(台北駐日経済文化代表処代表)
       宗像隆幸(アジア安保フォーラム幹事、元『台湾青年』編集長)
 参加費   おひとり1500円
 主催    日台交流教育会、日本李登輝友の会、台湾研究フォーラム
 申込み   日本李登輝友の会 03-5211-8838 FAX 03-5211-8810
       E-mail ritouki-japan@jeans.ocn.ne.jp
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 <<宮崎正弘のロングセラーズ>>
http://www.nippon-nn.net/miyazaki/saisinkan/index.html
『中国のいま、三年後、五年後、十年後(改訂版)』(並木書房、1575円)
『世界経済のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房、1575円)
『中国財閥の正体―その人脈と金脈』(扶桑社、1600円)
『拉致』(徳間文庫、590円+税、以下同)
『ザ・グレート・ゲーム』(小学館文庫、476円)
『ネオコンの標的』(二見書房、1600円)
『いま中国はこうなっている』(徳間書店、1500円)
『迷走中国の天国と地獄』(清流出版、1500円) 
   (御注文と宅配便発送は下記アマゾンでも取り扱っています)
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