国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2005/02/15

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成17年(2005年)2月15日(火曜日)
通巻 第1038号  
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 中国のニュー・メディアが北朝鮮の核保有宣言に批判的
  NYタイムズが小さな変化の予兆に注目している
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 北朝鮮が核保有を公式に宣言し、六カ国協議には無期限の中断を一方的に通告した。
 こうした態度はあまりにも無謀であり、各国の平和への期待を裏切り、世界に挑戦したことになる。
 (ま、いままでのことを考えたら十分に予測可能な事態の到来ではありますが)。。

 ライス米国務長官は12日、北朝鮮の声明を受けてただちに李肇星・中国外相と電話で会談した。(日本の頭越しですね!)。
 北朝鮮が「無期限中断」を表明した六カ国協議について、早期再開に向けてこの問題に積極的に取り組むことで中米両国は一致したという。
 しかし直前まで米国は北朝鮮をはずしての”五カ国協議”の開催を外交の裏舞台で働きかけようとしていたんですがね。。。

 ライス新国務長官は北朝鮮の対応に懸念を表明し、「六カ国協議が再び開催されることを望んでいる」と中国の李外相に強調した。


 ▲ロシア、韓国の反応は認識が甘すぎるが。。。

 ロシアのイワノフ国防相は2月12日に、訪問中のドイツ・ミュンヘンでの安全保障会議の場で、核兵器保有を宣言した北朝鮮について言及し、「誤った選択をした」と明確に批判した。(余談ながら同ミュンヘン会議はヒラリー上院議員に「世界女性政治家賞」なるアワードを贈ったそうです)。
 ロシア国防相は「北朝鮮をNPTにとどめるには、核問題をめぐる六カ国協議の中で妥協が必要である」とのんびりしたことを述べたに過ぎない。

 韓国の潘基文外交通商相は、訪米先の米国でCNNのインタビューに答え、「北朝鮮の核保有宣言および六カ国協議への「無期限中断」表明は”交渉戦術”だ」と述べた。これまたのんびりした認識である。

 また韓国外相は「核問題は米朝二国間の問題ではなく地域、地球規模の問題だ」とし、北朝鮮が求める米国との直接対話は「六カ国協議がいったん開かれれば、米朝間で直接対話が可能になる」とした。
 その上で「米韓両軍の緊密な連携で脅威には対応可能だ」とする楽天的な認識を披瀝し、北朝鮮の軍事的脅威を封じ込めていけるなどと発言した。
 

 ▲日本は唯我独尊的な認識で「人権法案」を議論しているが。。。。

 一方、拉致問題だけが当面の外交課題とする日本は国際的な動きとは別の地点にいる。
経済制裁議論は日本国内で高まっているが、国際的には殆ど議論されていない。

「北朝鮮人権法案」策定を急ぐ自民、民主両党案がそろったが、日本国内に受け入れる(予定の)”脱北者”の定義、その範囲や拉致問題の扱いなどについては両党案には依然、相当な隔たりがある。
 連立相手の公明党は「いたずらに北朝鮮を刺激しない方がいい」と様子見の構え、かなり無責任である。
 
 自民党案では「脱北者の身元確認が難しい」、従って「治安対策への配慮」を重視しており、在外公館での保護は「努力義務」にとどめ、国内への受け入れも「一定の要件を満たす場合」と一定の条件をつけている。


 ▲「きちがいに刃物を持たせるな!」と中国のチャット・ルーム

 前置きが長くなった。
 中国は北朝鮮の六カ国無期中断を最初特筆して報道したが、核保有宣言を報じなかった。
これは「核保有宣言そのものが北京にとって驚きだったからだ」(NY TIMES、2月13日付け)。

 ようやく核保有も報じたものの、扱いは小さく、テレビなどは批判していない。
 ところが中国国内のインターネット世論に微妙な変化が出てきた事実をニューヨークタイムズが見逃さなかった。
 
 舞台は2月13日の「SINA.COM」である。
 通常、中国のインターネットのチャット・ルームは二十四時間監視されており、国家公安部の検閲が厳しく、政府の方針いがいの投書は削除される。
 すべてがモニターされている状況に次のような投書が載ること事態が異常である。中国は北朝鮮の態度を腹に据えかねている証拠でもある。

 「台所のナイフは料理用であり、子供やきちがいが持てば、それ以外の目的に使用される懼れがある。われわれは北朝鮮が核保有することを許せない」

 むろん、北朝鮮を擁護する投書もSINA.COMには散見されたが、「敵の敵は味方であり、米国に挑戦する北朝鮮を我々は支援しよう」といった程度の感情的反米的な投書が多かった。
 
 中国の北朝鮮支援は食糧が90%、石油が50%、それでも金正日体制をかろうじて支援してきたが、最近は金体制崩壊の軍事クーデタがおこっても、中国は金王朝擁護に廻らないだろう、とする観測が強くなっていた。 中国人の心理の変化、これは定量化できないが、巨大な変化への要因になりうる。

 米国は、しかし、これほど些細な変化を,言ってみれば針小棒大に報じなければならないほど北朝鮮への制裁ができない苛立ちがあり、その表現のひとつとして捉えることが出来るかも知れない。世界一の軍事大国で、強い筈の米国がイラクに戦争を仕掛けても、ついに北朝鮮の原爆ひとつ叩くことが出来ない苛立ちだ。
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(読者の声1)「東アジア共同体構想」の胡散臭さについて(1037号)、先生が直接言及されることが無いのを不思議に思っていましたが、当該の問題に関する原稿が財界掲載のためにメルマガで取り上げなかったのですね。
それにしてもインド洋津波のあとの援助合戦は抜きつ、抜かれつの外交戦そのものです。日本がアジアにおいても国家戦略を持たず、場当たりの外交を繰り返しているのは悔しい思いです。
        (HS生、豊橋)


(宮崎正弘のコメント)もうひとつ、東アジア共同体に対しての拙稿は3月月末発売の『日本文化』に掲載されます。


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(読者の声2)「こうした援助合戦に噛みついたのはドイツで、個別援助(ドイツは結局、日本をしのぐ九億ユーロを拠金)」とあります(貴誌1037号)が、実際は「拠金」ないし「拠出」ではなく、「約束」(pledge)しただけです。 通常、こういった支援のpledgeは最終的には1割から2割しか実施されません。 
支援を受けるためにはさまざまな条件が設定され、その条件に見合う支援要請が約束した予算枠に満たないからです。またBBCニュース等も指摘しているようにドイツの支援策にはドイツにとっても見返りのあるいわゆる「ひも付き」のものがかなりあるようです。その点、日本の支援は、半額が国連残りがインドネシア等の被災国に今年の3月末までに直接渡されます。その後の用途にはまったくひもがついていません。
だからこそ、BBCニュース等事情が分かってかつこの点を指摘する自由度のある報道機関は日本政府の支援策が破格のものであると絶賛しているのです。5年後に見てみれば、おそらくドイツの支援はひもなしで1億ユーロ、ひも付きが2億ユーロくらいで終わっていると私は勝手に推測いたしております。 
    (ST生、神奈川)
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<<公開講座のお知らせ>>
日時 :2月25日(金)午後7時〜
「反日の構造と三島由紀夫の檄文」
 講師:西村幸祐氏(評論家) 
 要旨:今、中国・韓国・北朝鮮は執拗な反日キャンペーンに狂奔しています。その殆どは根拠のないデマの類ですが、何故かくも彼らはデマ・キャンペーンに狂奔するのか?
  その背景を剔抉すると同時に、それによってもたらされた深刻な日本のアイデンティティー危機を分析し、併せて三島由紀夫が訴えた「最後の檄文」の今日的意義を明らかにします。
 場所 :高田馬場「大正セントラルホテル」三階会議室
 会場分担金 :会員1000円,一般2000円
 問い合わせ 三島研究会 東京都新宿区高田馬場2-5-23-1205
TEL 03-3200-2295 e-mail:miura@nippon-nn.net
HP  :http://www.nippon-nn.net/mishima/
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(休刊のお知らせ)地方講演のため、小誌は明日2月16日付けを休刊します。
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◎宮崎正弘のロングセラー◎
『世界経済のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房、1575円)
『中国財閥の正体―その人脈と金脈』(扶桑社、1600円)
『中国のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房、1575円)
『拉致』(徳間文庫、590円+税、以下同)
『ザ・グレート・ゲーム』(小学館文庫、476円)
『ネオコンの標的』(二見書房、1600円)
『いま中国はこうなっている』(徳間書店、1500円)
『迷走中国の天国と地獄』(清流出版、1500円)ほか 
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