国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2005/02/03

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成17年(2005年)2月3日(木曜日)弐
通巻第1032号 増刊号 
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 中国は9・5%もの高度経済成長というけれど。。。。
  なぜ株式市場は6年間も低迷し続け、57の証券会社が赤字なの?
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 昨日発売の「TIME」(05年2月7日号)が特集を組んだ。
題して「中国市場の病弊」。
 
 中国政府の9・5%成長発表のその日、株式カウンターのVIPルームは空になった。華々しいニュースを聞いても、誰も投資しようとは思わなかったのだ。
 これぞ中国市場の病弊である。
 
 6年前まで中国は高度成長に平行して株価は高騰・暴騰をつつけた。が、ある日、株式から投資家がごっそりと去った。
 国有企業の民営化が「株式上場」だった。この銘柄は誰々が幹部、この会社は共産党の誰々の娘が社長などという噂で、株価が不思議に上がった。

 もちろんその多くがインサイダー取引で、その後、上場して調達した資金の持ち逃げ事件が相次ぎ、さらには企業情報開示の不透明さが投資家に巨大な疑惑を産んだ。
 調達したカネも工場の新設や次世代製品の研究開発費には使われなかった。

 三年前から投資家が株式市場から散逸し始めたのは国有企業の民営化といっても七割の株式が依然として、国の保有である事態に変わりはなく、本当の意味で資本主義的競争に耐えられないと判断したからだ。当局の規制が多すぎるうえ株式利益の課税も高すぎた。
 投資マネーは三年前から規制の少ない不動産、商品に向かった。

 上海と深センの株価指数は三年間で実に46%も下落した。
 「昨年一年間(03年12月から04年同月)だけでも18・5%下落した」(『エコノミスト』、1月22日号)。

 上海株式市場における取引量は2001年2月18日の週が1780億元だった。先週1月24日から30日までのそれは310億元だった。
 中国全土の証券会社の三分の一にあたる57社は赤字決算を発表した。
 
 まさに「世界一の経済成長の国が世界最悪の株式パフォーマンスを演じた」(前掲TAIME誌)。
 中国経済が高度成長? 中国政府が公表する偽の統計数字に御用心あれ。
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(読者の声1)先週都内で開催された或るエコノミストの講演内容はあらまし下記のようなものでした。繰り返し「政治は弱者を掬い取るべきもの」、「弱者を切り捨てる政治ではいけない」と訴えていました。
 今年のキーワードは次の五つ。?米、 ?中、 ?デジタル、 ?個人消費、 ?政策
 論点は次の2点である、とエコノミスト氏は強調しました。
1.景気黄信号を鳴らさぬマスコミの罪
2.政策路線の抜本転換が不可欠

(景気黄信号を鳴らさぬマスコミの罪)
日本経済はかなり危険な景気悪化のとば口にさしかかっている。鉱工業生産指数は2004年5月にピークを記録している。鉱工業在庫指数は2004年1月に大底をつけ、上昇に転じている。景気動向指数の一致系列は2004年11月に判断の分かれ目となる50%を4ヶ月連続で下回った。3ヶ月連続の50%割れが、景気後退のシグナルである。2003年夏から始まった景気回復はわずか1年で悪化に転じようとしている。国際環境も日本経済にアゲインストに転じつつある。これをマスコミは伝えず政策当局に警鐘を鳴らす責務を果していない。政府は2001年から丸3年継続して景気拡大していると云っている。3年続けて景気は拡大しており、日本経済は増税を吸収できると主張している。
実際には2003年に再悪化した。生産指数の前年比を見ると判りやすい。2003年4月28日にバブル後最安値の株価7,607円をつけ、りそな銀行危機問題で金融恐慌直前まで行くほど景気は落ち込んだ。それから徐々に回復してきているが、ここにきて小泉政権は増税、定率減税の縮小、雇用保険料の値上げ、2007年には消費税率上げと景気に冷や水を浴びせる施策をオンパレードしている(しようとしている)。この状況は、橋本内閣下の96年、97年とたいへん酷似している。96年半ば政府は、2003年10月から景気拡大して3年経過しているので、増税を吸収できると主張した。事実は95年にいったん悪化している。95年1月阪神淡路大地震、3月地下鉄サリン事件、4月ドルレートの80円突破があった。それから回復して1年の段階で大増税をした。当時私は増税は時期尚早と強く訴えた。
喉もと過ぎて熱さを忘れてはいけない。2004年は外からの支援で日本経済は浮上した。米国の景気拡大、中国経済の急拡大、この二つが日本経済を牽引した。そこにデジタルカメラ、DVD、薄型テレビのブームがオリンピック効果を伴い作用した。製造業を中心に日本ははっきり回復したのである。問題は、この景気の持続力が弱いことである。
第一の問題点は、経済の改善が企業部門、とりわけ製造業に偏っていることだ。上場企業の企業収益は史上最高を更新している。 他方名目GDPはほぼゼロである。このことの意味は、資本分配率は上がっているが、労働分配率が下がっていることを意味している。つまり雇用所得が大幅に減少している。
第二の問題点は、2004年の生産回復をもたらした要因が総て逆回転を始めていることである。牽引車の外需(米国の成長、中国の成長)の減速が予想される。デジタル家電の市場拡大は続くものの価格下落が企業収益に影を落としている。原油価格の上昇、原材料価格の上昇も減速要因となる。

 (政策路線の抜本転換が不可欠)
日本のGDPの6割は個人消費に支えられている。個人の所得環境が悪化する下では、個人消費拡大⇒生産増大⇒所得増大という持続的拡大の循環は生まれない。
日銀短観2004年12月調査で業況DIがプラス30を超えている大企業の業種は27中6であった。列挙すると石油・石炭製品、鉄鋼、非鉄金属、一般機械、自動車、精密機械ですべて製造業である。製造業の一部が先述の三要因(米、中、デジタル)を背景に業績を著しく改善させた。だが、日本経済に占める製造業の比率は2割に過ぎない。2002年に5,331万人とされている就業人口は、製造業21.2%、サービス業29.5%、卸・小売・飲食業22.2%、建設業9.5%、運輸・通信7.2%、金融・不動産4.2%、公務4.1%である。経済成長持続の最大条件はGDPの6割弱を占める個人消費の拡大にある。分配所得の増大分が最終支出の増大を齎すとき、成長は持続力を持つのである。3%生産が増え、個人所得が3%増え、連動して個人消費が3%増大すればいいのである。3%の消費増大は次の生産の3%増大をもたらす。 個人消費を中心とした「生産−所得−支出」の拡大サイクルが成立するとき、成長は自立的な持続力を持つことになる。
96年、日本経済は消費主導に成長サイクルを成立させた。しかし政府は97年に大型増税を強行実施し、日本経済は沈没した。もうこれ以上同じ失敗を繰り返すべきではない。
しかしながら政府は同じ失敗のレールの上をゆっくり歩み始めている。
個人消費の安定的な拡大を誘導するために、第一に短期的な経済動向にたいする信頼感の付与。 第二に中長期的な社会保障制度、財政状況に対する信頼感の付与、である。買いたいものが無いから消費が伸びないのではない。構造的に消費が低迷する大きな原因は、将来不安であり、その最大の要因は政府の社会保障制度、財政バランス回復に向けての政策が信頼されていないからである。失業を解消することこそ政府の最優先課題である。 政治の役割は国民生活の安定である。多くの失業者、自殺者を放置してごく一部の資本家の利益の増大を優先するべきではない。やや高めの成長を持続することにより、経済の不均衡は解消する。これと同時並行的に経済の供給サイドの問題に取り組むべきである。供給サイドの効率化だけを叫び、経済的弱者を切り捨てる手法は企業資本家を優遇する政策でしかない。政府は、短期の成長誘導政策と長期の財政バランス健全化政策をセットで打ち出すべきなのである。これが筆者の10年来の持論である。財政健全化を重視する考えに反対したことは一度もない。批判してきたのは、経済の回復を阻害する近視眼的な財政収支均衡化至上主義なのである。
700兆の国家の借金をどう返済したらいいのかという議論があるが、電力会社が長期固定債権としているが如くコントロールされていればよく、返済する必要はない。
(HN生 丸の内)


(宮崎正弘のコメント)こんなに克明にメモを取られたのですか。ミクロの政策論議ですので、小生は殆ど興味を引きませんが部分的に賛成できるものも多いですね。
 たとえば「2004年は外からの支援で日本経済は浮上した。米国の景気拡大、中国経済の急拡大、この二つが日本経済を牽引した。そこにデジタルカメラ、DVD、薄型テレビのブームがオリンピック効果を伴い作用した。製造業を中心に日本ははっきり回復したのである。問題は、この景気の持続力が弱い」という指摘など。
 とくに「構造的に消費が低迷する大きな原因は、将来不安であり、その最大の要因は政府の社会保障制度、財政バランス回復に向けての政策が信頼されていないからである。失業を解消することこそ政府の最優先課題である」とするあたりはまったく賛成です。
ならばどうするか。
これは教育の抜本的是正、とくに歴史教科書、国語問題など、しっかりした子供が育つ環境を構築しなければ構造的には実現しないでしょう。将来への不安があるのは、政府への信頼がないからであり、将来への安心が産まれるのは自国の歴史に誇りと自信を回復した世代が、希望と自信に満ちあふれた行動をとるところから始まるのではないでしょうか?


   ♪
(読者の声2)小生はひとつ疑問があります。 日本國予算は約100兆とかでそのうち半分が借金ということのようです。アメリカ合衆国はどうなのでしょうか 国家予算のうちどのくらいが借金なのでしょうか?。 いろいろ調べたのですが分かりませんでした。
  日本は軍隊もなく 海外と戦争などはしてないし 国民も勤勉と思うのですが。ドル紙幣に依存してるからですか?
日本の政府はなぜ国連の常任理事國になりたがるのですか?。負担金がふえるだけでしょう、もともと赤字ならそれをたてなおしてからではないでしょうか、いずれにしても軍隊もないのですから 意味ないとおもいます。議員の先生はなにかメリットあるのですか。ここまで経済的に世界的にも下からのほうがはやい格つけされてるのに 日本の左翼、共産党などの力の源泉はどこのあるのでしょうか すでに勝負はついてるのに日本ではなかなかしぶとい感じです。 日本はまったく資源がないので原子力(核融合)などすすめないと生きていけないと思いますが なぜ反対運動はあれほど頑強なのでしょうか。
 日本ってあまのじゃくがおおすぎていやになります。
原子力反対しながら電気は平気でつかってるのではないでしょうか。 マスコミの偏向も聞いていていやになります。 日本人というのは何事も理論的に考えられないというか その場の空気に追従するだけのような気がします。
    (住宅サービス X生)


(宮崎正弘のコメント)第一に日本の予算は87兆円前後、国債費は15%程度でしょう。国債依存度は単年度の比較をすれば、米国より多いはずです。増税が出来ないため、こうなります。歴代政権は増税を回避するためにひたすら輪転機を回し続けてきたのです。
 累積債務は地方政府分もいれて700兆円から800兆円あります。国民の金融資産が1400兆円ありますから政府は「安心して」借金を続けます。つまり国民が自覚しているかどうかは別として、国家の借金は、国民の資産を担保としているのが「実態」でしょう。
 第二に米国の借金ですが、対GDP比でも日本より低い。累積赤字は7兆ドルを超えている筈です。日本が購買している米国債権はおよそ6400億ドルです。(いずれも統計は直近のものではありません)。
 あれだけ天文学的な赤字をつづける米国の通貨が、なぜいまも世界中で信頼が厚く、あれほど口汚く米国をののしる中国にしても米ドルがタンス預金の主流なのは何故でしょうか。現代のローマ帝国だからでしょうね。
 第三に国連常任理事国入りですが、これは日本外務省主導の考え方で、多くの保守派は疑問視しております。軍事的貢献を強要されるのに、なぜ?大人でもないのになぜ?というわけでしょう。
 第四に左翼の強さですが、不満分子を糾合するノウハウ、人間のもつ憎しみ、嫉妬をエネルギーに転換させ派閥を太らせる能力を「保守」ではなく、左翼がいまも持続しているところに日本の病弊があります。
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◎紀元節を祝う会のお知らせ◎
〔日時〕2月11日(祝・金)午後2時〜4時(午後1時開場)
〔会場〕日本青年館中ホール(JR「千駄ヶ谷」、銀座線「外苑前」)
〔紀元節祭〕神武天皇即位建都の大詔・浦安の舞・紀元節の歌ほか
〔記念講演〕講師 萩野貞樹氏(元産能大学教授・国語学者)「神武建国を尊ぶといふこと」
〔参加費〕千円(学生無料)
〔主催〕紀元節奉祝式典実行委員会 TEL/FAX03-3918-9524(三澤浩一)
http://www.geocities.co.jp/WallStreet-Stock/2024/non.html
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(休刊のお知らせ)地方講演のため2月7,8日号を休刊します
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◎宮崎正弘のロングセラー◎
『世界経済のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房、1575円)
『中国財閥の正体―その人脈と金脈』(扶桑社、1600円)
『中国のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房、1575円)
『拉致』(徳間文庫、590円+税、以下同)
『ザ・グレート・ゲーム』(小学館文庫、476円)
『ネオコンの標的』(二見書房、1600円)
『いま中国はこうなっている』(徳間書店、1500円)
『迷走中国の天国と地獄』(清流出版、1500円)ほか 
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