国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2005/01/31

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成17年(2005年)2月1日(火曜日)
通巻第1029号  
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G7(2月4日から)にオブザーバー出席の中国
 人民元切り上げに中国は急速に傾いていると市場の一部につよい観測
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 今週4日からのG7蔵相会議にオブザーバーとして中国人民銀行の周小川総裁(日銀総裁に相当)らが北京から出席する。

 席上、米国から人民元の切り上げ要求が再度出されることは明瞭だが、これまでの観測では、中国が面子にかけても「切り上げ」を回避するとする説が有力だった。

 ここへきて風むきが急変した。中国が切り上げに傾いているというのだ。

 最大の理由は輸入石油決済代金がドル建てであることだ。
原油代金の暴騰は諸国を悩ませているが、石油の建値はドル建てであり、一バーレル55ドルのピークを打ったあとも45ドル前後を一貫して維持している。サウジなどが値崩れをおそれて増産に踏み切らないからだが、逆に石油輸入の増えた中国も石油代金値上げに悲鳴をあげるに至った。

 日本の反応が鈍いのは円高の所為である。
 一ドルが360円のときの石油代金と、一ドルが101円のこんにちで、たとい石油が20ドルから50ドルに上がっても、日本のガソリンスタンドの価格は横ばいである。だから中国の原油代金への悲鳴はよく分からない。
中国は人民元のドルペッグ制度によって、これまでのメリットが突如反転し、デメリットになっているようである。
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こんな国から逃げよう、こんな軍は辞めよう
 外交官の海外逃亡ばかりか党、軍からの逃亡も始まった
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 中国要人の海外逃亡は公式統計で四千数百人にも及ぶが、本当はこの十倍はいるだろう。
持ち出された貴重な外貨は380億ドルに達する(ちなみに2004年、中国への海外企業の直接投資は580億ドル)。

 中国の外務省(外交部)は予算縮小の対象となって夫人同伴の赴任が少なくなっている事実は知られてきたが、外交官の逃亡事件も後を絶たない。
 98年に21人、99年に17人が赴任地から忽然と”消えた”。なかには当該国への政治亡命を求めたケースがある。2000年に逃亡組は9人にとどまったが、01年に再び17人、02年は15人、03年は14人となった。このなかでも参事官、公使クラスの逃亡が四人、一等書記官が10人、集団的亡命と失踪が含まれノルウェィ、スイス、フィンランドで報告されている。

 軍はどうか。
 共産党中央軍事委員会規律審査委員会総政治部といういかめしい組織が以下の報告をだした〔『争鳴』、05年一月号)。

 軍紀違反によって軍を離れる軍人は毎年一万五千人から二万人もいる。
 目立つのは大幹部で、高級将官や副司令官クラス、とくに顕著なのは共産党青年団出身者であるという。
 また軍紀違反で目立つのは物資の横流し、訓練費の横領、軍用地の貸し付け。とくに軍用地を民間に勝手に転売して得た収入は分かっているだけでも7千億元となる。軍の密輸事件は80件以上が報告されており、燃料や電子部品の転売が多いそうな(「月刊中国」)。

 パイプラインの送油管から石油を抜き取り、組織的な転売が後を絶たないが、これも軍のアルバイトが目立つらしい。

 もっとも庶民はガスの送油管から風船のような容器にガスを横領して使用しているケースが各地で報告されている。あるとき人民日報が写真入りで報じていた位だから日常茶飯の風景である。
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<<<今週の寄贈本>>>

浜田和幸『未来ビジネスを読む』(光文社)

 日本には数少ない未来学者のひとりが著者の浜田和幸さんだ。米国に学び、ワシントンの有力シンクタンクCSISにも在籍した。
 本書は、主としてアメリカの未来学者との深い個人的な交わりから、日米間の危機認識の乖離を第一に問題とする。
安全保障のみならず新事態の技術に関しても、まったく危機意識が足りない日本人は「マーケット志向」のイノベーションが得意だが、未来に人類の運命とか戦争観とか、思わぬシナリオ、意外な展開にはうろたえる性向がある。
「日本人に欠けているのは『未来を奪い取る』という貪欲な姿勢と行動力である。言い換えれば日本では個人も組織も慣れ親しんだ情報や価値観を必要に応じて切り捨てる勇気に乏しい」という肺腑を抉るような箴言から本書は始まる。

 たしかに日本の未来学は精神世界を軽視し、人間性をぬきにしての技術開発に力点を置きすぎたきらいがある。
デジカメもロボットも「正月特集」のパラダイムでのみ極めて明るく論じられてきたが、「おこって欲しくない未来」は日本では語られなかったのである。
 たとえば医療の発達、新薬の開発は良いにしても、「バイオ・テクノロジーはDNAの解析をすべて終え、理論的には人間と動物の遺伝子交換を可能にするところまで進歩してしまった。脳と中枢神経いがいは人工臓器で人間を生かすことが出きるとみられ、その意味で身体の半分以上は機械という人間が誕生する」。
 脱線だが、小生は将来の戦争がロボットに移行するようになると早くから予想していたので、『軍事ロボット戦争』(1983年、ダイヤモンド社)を世に問うたが、日本の知識人から殆ど相手にされなかったことを思い出した。
 そうした未来の恐怖について米国のシンクタンクの研究は凄まじい。
 未来学の沿革や画期的業績を築いてきた人達の簡潔な紹介ページもあるが、もちろんハーマン・カーン、アービン・トフラーなど日本人でも知っている著名学者の業績が要約して記されている。
 さて未来学者のスーパースター、シュオルツが提唱した、「これから世界を動かす七つのパワー」とは?
(1)国際社会における同盟関係の総入れ替え
(2)技術の爆発的進歩と普及
(3)地球規模で吹き荒れるプラクマティズムの嵐
(4)人口増加と移動
(5)エネルギー消費の増加
(6)地球環境の変化と地域的概念の増大
(7)情報経済社会のグローバル化

 また“インターネット時代のエジソン”といわれるのがサンマイクロシステム社のビル・ジョイだが、かれは「人類を滅ぼすことが可能な技術として(1)遺伝子工学(2)ナノ・テクノロジー(3)ロボットの三分野を挙げ、「なぜ未来はわれわれを必要としないのか」という衝撃的な論文を書いたことも紹介されている。
 このコンパクトな技術紹介論は、ビジネスマンのみならず、教養をこえた警告でもある。
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(読者の声1)金曜日の先生の出演されたラジオ日本の番組を聞いておりました。じつに多彩な問題に宮崎さんは鮮やかに答えられていました。こういう番組をどうして他のラジオではやらないのでしょう? もうまともなラジオは毎週金曜日のミッキーしかないのでしょうかね?


(宮崎正弘のコメント)特定の番組名は別として、ちゃんとした番組も結構多くあると思いますよ。テレビも「櫻チャンネル」が登場し、苦労が多いとはいえ、毎日毎日視聴者が増えているという頼もしい情報を聞いております。
 ただし小生のように活字媒体を専門とする“ものかき”にとって、地上波であれ、なんであれ、電波媒体に出ることは基本的に不得手です。電波怪獣には、所詮、なれないのでしょうねぇ。       ◎ ◎ ◎
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<三島研究会・国防研究会合同“公開講座”の御案内>
2月25日 西村幸祐「反日の構造と三島由紀夫最後の檄文」
3月10日 池 東旭「拉致問題と北朝鮮制裁」
いずれも午後7時から高田馬場の「大正セントラルホテル」三階大会議室にて
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◎宮崎正弘のロングセラー◎
『世界経済のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房、1575円)
『中国財閥の正体―その人脈と金脈』(扶桑社、1600円)
『中国のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房、1575円)
『拉致』(徳間文庫、590円+税、以下同)
『ザ・グレート・ゲーム』(小学館文庫、476円)
『ネオコンの標的』(二見書房、1600円)
『いま中国はこうなっている』(徳間書店、1500円)
『迷走中国の天国と地獄』(清流出版、1500円)ほか 
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