国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2005/01/26

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成17年(2005年)1月26日(水曜日)
通巻第1025号  増大号 
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 ソウルを「首爾」(シュエル)と改名した韓国の”正名”運動
   ならば東京都も「大江戸」がふさわしいのではないのか
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 19日に韓国は、ソウルを「漢城」から「首爾」と、その中文名を改名すると発表した。
  ソウル市長の李明博は21日に記者会見し、「漢陽の城」(漢城)では「漢族の城、あるいは漢字の城と間違いやすい」とし、SEOULの発音にちかい中文から首爾を選んだ、とした。

 ソウル市では昨年一月に「ソウル中文名称改名促進委員会」が組織され、検討を続けてきた。
 同時に中国に対しても漢字名を「首爾」と変更を要請し、その場で拒否された。もし北京がこれを認めたら台湾に澎湃として起きている正名運動(中華民国を台湾共和国に換える前段階として企業名、団体名などを「台湾」に変更中)も拒絶出来なくなるのが最大の理由であろう。

 もともと李氏朝鮮(1392−1910)の初期のソウルは「漢陽」と呼ばれていた。それが中華帝国に朝貢するうちに皇帝から「漢城」を賜った。屈辱の命名である。
 日本時代にソウルは「京城」(けいじょう)と呼ばれ、日本の敗戦とともにソウル(中文が「漢城」)と改められた。

 近年の韓国ナショナリズムは高句麗の歴史論争で中国との対決姿勢を示し、それが燻り続ける。
 韓国の歴史意識は千五百年もつづいた中国の支配に対して、恨みを抱くものの、露骨な反発を示威出来ないため(その分、二倍も三倍も反日を示すのだが)、潜在的なナショナリズムによる中国離れが動機である。

 戦後、韓国の奇妙なナショナリズムは漢字の廃止に動き、いまや若者の多くはハングルしか読めない。漢字で書けるのは自分の名前だけである。つまり心理の底において彼らは反中華なのだ。

 さて幕末の日本では国学、水戸学、朱子学が入り乱れたが、遷都に際して京を「東」に移した意味の「東京」は、中華思想からみると南京、北京、西京(西安)と同列だから、夷としてふさわしい都市名となる。つまり中国人の潜在意識において「東京」は中華皇帝に臣下の礼をとるべきであり、朝貢国であることにならないか。(脱線だが清王朝初期までシナ大陸で「東京」と呼ばれたのは現在の遼陽である)。

 であるとすれば東京を大江戸と改名する運動が日本でおきてもしかるべきであろう。
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(お知らせ?)宮崎が本日より地方講演のため、小誌は明日(27日)付けを休刊します。

(お知らせ?)28日(金曜日)午後一時よりラジオ日本(1422khz)の「ミッキー安川のずばり勝負」に宮崎正弘が生出演します。関西方面の方は午後二時まで。関東方面は午後三時まで。テーマは「国会、教育、朝日vsNHK問題」などの予定です。
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米国共和党内部で公然と囁かれている「イラクからの撤退」
 ハト派のキッシンジャーとシュルツが逆に「撤退反対」の共同論文を発表した
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 先週、共和党の内部に詳しい友人が来日したのでホテルで食事をとり、それから六本木へ飲みに行った。
そのとき彼は「ワシントンでは共和党政権といえども、半年以内にイラクから撤退するスケジュールに賛同組が支配的だ」と言う。

「ラムズフェルドもウォルフォウィッツも国防総省のトップに居残り、ブッシュ大統領に近いライスが国務長官となって、それでもイラクから逃げ出せば、ネオコンは壊滅ということか?」と問うと、「周知のように米国は半年ほどで熱狂が醒める習性があるでしょ」と笑うのみだった。

 さてこの友人の議論は少数意見ではなかった。米国マスコミに大きく出ないが、共和党のなかですら公然とイラク撤退が多くの人々によって、ささやかれているのだ。

 そしてこのムードが「危険」だとして反論を書いたのが、誰あろう、キッシンジャーとシュルツ(両人とも歴代国務長官だが)、その共同論文がでたのもハト派の「ワシントンポスト」(1月25日付け)。

 要旨は「米軍のうかつな撤退はイラクの内乱をまねき、第二のユーゴスラビア化する。それは自動的にアラブ諸国に跳ね返り、産油地帯が泥沼化すれば、いま以上の介入を米軍はせざるを得なくなる」。
だから反対、と単純明快の論理だ。
 
また「政府がふらついていては現場の兵隊が自信をもって戦うことは無理である」とも主張している。

 さらにキッシンジャーとシュルツは言う。
 「米国は選挙以後のイラクが、米国の価値観に添い、世界的な安全保障を確保できるという長期的なビジョンを指し示す必要があり、正式にうまれるイラク政府が自分の軍隊を保持して安全を確保できる目標のためには訓練されたイラク国軍を育てるべきであり、この点では人口の60%を占めるシーア派とて、選挙後の目標があいまいである。
 イラクは(1)選挙前にスンニ派の独裁であったような、どの派閥かが再び独裁の地位を確保することを回避し、(2)イラクのどの地方であれ、タリバンに繋がる無法地帯をうんではならず(3)シーア派が多数だからといってイランのような宗教国家に転換させることを阻止し、(4)イラクの民主化の過程では宗教自治の可能性も残すべきである」。

 民主党や過激リベラルのいう撤退論はイラク戦争の選択そのものが間違いだという非現実的論旨だが、共和党重鎮はブッシュ政権が選択を誤らないようにとの趣旨で貫かれている特徴がある。
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<<今週の寄贈本>>

?中国少数民族研究会・編集『中国少数民族研究』(創刊号)
 政治学者の殿岡昭郎氏を中心として安東幹、三浦小太郎の各氏らがつくる少数民族研究は短文ながらも、それぞれが独立していて面白く、やがて切ない内容が揃った。巻頭論文「清朝の民族政策」は、ウィグルやチベット族の文化を尊重した清朝の文化政策が述べられ、また戦前のはるか満州開拓前にウィグルからチベットを単独で踏破しようとした民間人の冒険など意外な事実が紹介されている。
 特集は「東トルキスタン亡命政府」。この亡命組織は米国で誕生しているが、日本のマスコミが一行も伝えない。ダライラマ猊下の亡命政府はインドにある。これまでウィグルの反体制派(反中国、ウィグル独立を目標)はイスタンブールを拠点としたが、分派が多くなかなか亡命政府樹立どころではなかった。
 また中国国内の民主諸派の動きも簡潔に紹介されている。
 同誌は一部500円。申し込みはFAX(03−3664―2003)
 大変貴重な研究分野であり、同誌の今後の発展を祈りたい。


?森田勇造『地球を歩きながら』(原書房)
 森田氏は知る人ゾ知る大冒険家。過去40年間に140ヶ国以上を駆け回り、一人で古代文明の謎に挑むかと思えば数千名規模の「徒歩き大会」を北京で十年続けた。そのおりに次代のホープと言われる李克強にも面談したり、政治コネがあるかと思えば、文化の活動家でもあり、日本のみかは世界各地に神出鬼没である。
 かれが日本を最初に出たのはオリンピックの年で、そのままぶらり世界七十二ヶ国を三年もあちこちと放浪し、帰国してすぐ放浪記を書いた。これはベストセラーとなった。
 森田氏はまたカメラもプロ並みの腕前を誇り、あちこちで珍しい写真をたくさん撮影してきたので、スライド上映会もお得意である。
 冷戦がおわって新彊ウィグルからカザフスタンへの鉄道が通ると聞けばいてもたってもおれなくなって韓国のプサンから北朝鮮→中国→カザフ→イスタンブールまで、冷戦後初のアジア鉄道横断を日本人として初めて敢行したのも森田氏だった。
 この冒険家は同時に世界の子供の遊び方の研究家でもあり、文明史の研究家でもあり、多層の才能に恵まれる一方で、三年前からは長野県高遠にある青年の家の館長も務める。
 というわけで一年に数回会ったかと思えば、最近は一年以上お目にかかっていなかったが、疲れを知らない御仁である。
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(読者の声)中国の薬事情(貴誌1月25日付け)を興味深く拝見しました。
 中医学は日本ではそれなりに評価されているのですが、薬の世界は無法地帯です。
 こういった薬が日本でネット販売されて被害者が出ているのです。欧米の薬を上海などで模倣して製造しており、特許侵害のみならず、模倣もいいかげんなため安全性にも問題が出ています。
 漢方もまがい物が出ているので、安易に手を出さないことが大切です。漢方と表示し、実は医薬品につかわれる成分が入っていたりします。漢方だから安全と謳っていますが、即効性のあるものは、たぶん、化学成分が入っていると思います。危険な成分も入っている可能性もありますから、むやみに手を出すと危険です。日本のような厳しい発癌物質の規定もありませんから、その点にも注意が必要です。
    (KY生、医事評論家)


(宮崎正弘のコメント)なにしろ中国へのお土産で一番喜ばれるのは日本のクスリ。個人で中国旅行へ行くときも必ず常備薬などを持参してから行きます。読者の皆さんも気をつけて。
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◎宮崎正弘のロングセラー◎
『世界経済のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房、1575円)
『中国財閥の正体―その人脈と金脈』(扶桑社、1600円)
『中国のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房、1575円)
『拉致』(徳間文庫、590円+税、以下同)
『ザ・グレート・ゲーム』(小学館文庫、476円)
『ネオコンの標的』(二見書房、1600円)
『いま中国はこうなっている』(徳間書店、1500円)
『迷走中国の天国と地獄』(清流出版、1500円)ほか 
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