国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2005/01/05

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成17年(2005年)1月5日(水曜日)
通巻 第1005号    
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ひとつの時代が終わったーー台湾財界総理・辜振甫氏が急逝
 台湾と中国の太いパイプは切れた?
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 辜振甫氏は七カ国語に通じた言葉の天才だった。くわえて京劇は演ずることにおいても玄人はだし、話術もうまく、誰からも尊敬を集めた。
 筆者も何回かお目にかかっているが、文字通り「儒商」のイメージが湧いてくる紳士だった。
2日、ちょうど李登輝前総統が日本旅行を終えて台湾に帰国した日に訃報が報じられた。

 辜振甫が代表する、あの日本を懐かしむ、日本語で哲学を表現できる世代が台湾から退場しつつある象徴的出来事となったのである。
中国の江沢民の「先輩」格にあたる汪道涵・海峡両岸関係協会会長(元上海市長)とも二回にわたって台湾海峡をめぐる政治問題を話し合った。またAPECでは江沢民・前中国国家主席とも対話するなど中国と太いパイプを誇った。

辜氏は台北帝大卒業後、東京帝大へ進学した。
父の辜顕栄は旧日本軍が台北へ入城する際に協力し、その後は日本から「功労者」として実業を起こし、貴族院議員を務めた。
その前はヤクザで、台北・淡水あたりの市場でマフィアを従えて町の顔役からも睨まれる命知らずだった。
だが、腐敗した清朝の役人を追い出すには日本軍の力を必要とした。
辜ファミリーの「辜」は罪人を著すように、出自は賢きところの出身ではなかった。辜振甫の甥にあたるリチャード・クー氏が、漢字名を用いないのは、ひょっとしてそうした負い目?(辜の中国語発音はクー)

辜振甫自身は蒋介石時代に監獄入りなどの辛酸をなめたが、台湾セメント経営を皮切りに中国信託商業銀行を設立、台湾財界の大立て者として内外に有力な地歩を築いた。
李登輝前総統時代の1991年に「海峡交流基金会」の理事長に就任し、カウンターパートの汪氏とは93年4月にシンガポールで、98年10月には上海で会談した。
北京でも江沢民と会った。 

 95年からは「アジア太平洋経済協力会議」(APEC)の台湾代表をつとめ、江沢民ら中国側の要人と接触した。
 江沢民が酔っぱらうと炭坑節を日本語で歌うという逸話は、辜氏から漏れた。
森喜朗前首相とも深い関係を結んだほか、昭和天皇の大喪の礼や小渕恵三元首相の葬儀にも参列した。陳水扁総統の資政でもあった。 

 98年11月に有楽町の国際フォーラムで京劇を公演し、自ら『三国志演義』の諸葛孔明に扮して熱演した(実は小生も見に行ったが、なかなかの熱演だった)。ロビィには日本の政財界、実業界から500本前後の花輪が並んだ。
 台湾を代表する、もう一つの人物である。
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(読者の声1)先日、TVニュースを見ていましたら、李登輝前台湾総統が自動車で京都大学の前を通って行く映像が映っていました。何でも、京大側に中に入るのを拒否されたとかその映像を見て情けなくて、申し訳なくて、恥ずかしくて、又、李登輝前台湾総統の寂しそうなお顔見て、涙が出ました。京大って、一体なんですか大学の構内なんて誰でも入れるじゃないですか。
李登輝さんは犯罪者か?ふざけるなと言いたい。こんな大学即刻潰すべきだ。何が自由な校風だ。こんな大学に税金が使われていると思うと・・・本当に日本の大学はいちいち挙げませんが腰抜けばかりだ。正月早々非常に嫌な気分になりました。
         (HT生)


(宮崎正弘のコメント)李登輝さんへのヴィザ発給を阻止しようとして失敗した駐日中国大使館筋は、京大に圧力をかけた由。しかも北京は、其の夜、嵐山「吉兆」での李氏と友人達との会食も「中西輝政のような色のついた人物と会食したのは政治活動だ」とまで難癖をつけたそうです(『自由時報』)。


   ♪
(読者の声2)敗戦後多くの日本人の意識の座標軸が左に傾いてしまって、そこから健全な国家意識や愛国心が育たない現状を嘆いている者です。先生の多くの資料に基づく的確な御発言に勇気付けられております。さて1月3日の先生のコメントの中で「厚生省は資格を「美容師」「整体師」「看護師」と「師匠」の扱い」とありますが、「整体師」は存在しません。整体は、国家資格ではないのです。医療系の国家資格は、「医師」、「看護師」、「臨床検査技師」、「あん摩マッサージ指圧師」、「はり師」、「きゅう師」、「柔道整復師」であります。気がついたものですから、ご報告しました。瑣末な事で恐縮です。先生の論点とは、関係ありません。私にも師」と「士」の違いがわかりません。 
 (「日本を見直す会」代表KM)
 

(宮崎正弘のコメント)師匠格という伝統的雰囲気から厚生族は「師」が好き。法務省関係はもののふ、士太夫のイメージからの命名と考えられますが。。。


   ♪
(読者の声3)「インド洋大津波」報道に接していて、冷凍鰹鮪の仕事でモルジブに出掛けていた当時を思い出しました。マレから、離れ小島に立ち回り魚を検品し買い付けをしていました。電気が通らず夜は真っ暗で星に包まれて寝ました。モルジブの鰹は油が無くて節向きのいい魚質です。でも獲ってから港に運ぶまで葉っぱを被せて太陽光を禦ぐだけなので劣化してしまい使い物にならないものが結構ありました。当時はそこにニッスイや宝幸の鰹節の合弁工場がありました。
テニアンにもよく出掛けていました。サイパン空港から六人乗りセスナで十分でテニアン空港です。
パイロットはWW?で米軍機を操縦していたと自慢(?)するサンダル履きのお爺さんでした。エノーラゲイの飛び立った滑走路は島の北にあり雑草に飲み込まれつつ焼けたコンクリが無為に晒されていました。漁船の着く岸壁は島の南にあってそこには近鉄経営の木賃宿や日本人向けのダイビングスクール、アル中米人とチャモロの奥さんが経営するシップチャンドラー兼よろず屋がある程度でした。
島の人口は千人余りで牛のほうが多い島でしたが今は大きなギャンブル場が出来て静かな面影は無いと聞きます。
       (HN生、丸の内)


(宮崎正弘のコメント)旅の想い出的でもなく、現地の裏事情がよくわかるお話でした。有り難う御座います。


    ♪
(読者の声4)スマトラ沖地震に関してマスコミが奇妙にも殆ど取り上げないことがあります。 高いところでも海面から数メーターしかない島国のモルジブでの死亡者数が極めて少ない理由です。 総額6600万ドルを掛けて防波堤が造られていて、これが大被害となることを 防いだのです。日本の援助活動の一環として建設され、費用の大部分は日本が負担しました。日本の土木・水利技術の高さをも証明しています。 
私は以前スキューバ・ダイビングをしにモルジブに行きましたが、本当にまっ平な島でした。 
地震後現地を取材に行った日本人ジャーナリストが乗ったタクシーの運転手に料金を払おうとしたら、「こんなにしてくれた日本人からお金を取れない」と言われたという美談もあったとのことです。 日本のマスコミは奥ゆかしいのでこういう事はあまり書かないようです。 
では海外のマスコミは何故書かないのですかね。
      (ST生、神奈川) 


(宮崎正弘のコメント)沈黙が金という価値観が、まだ日本人のこころの隅に残っているからかも知れませんね。ただし、上記の日本の援助についてモルジブから絶大に感謝されているニュースは幾つかの邦字紙でも報じたと思います。
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◎宮崎正弘のロングセラー◎
『世界経済のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房、1575円)
『中国財閥の正体―その人脈と金脈』(扶桑社、1600円)
『中国のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房、1575円)
『拉致』(徳間文庫、590円+税、以下同)
『ザ・グレート・ゲーム』(小学館文庫、476円)
『ネオコンの標的』(二見書房、1600円)
『いま中国はこうなっている』(徳間書店、1500円)
『迷走中国の天国と地獄』(清流出版、1500円)ほか
http://esearch.rakuten.co.jp/rms/sd/esearch/vc?sitem=%B5%DC%BA%EA%C0%B5%B9%B0&sv=30
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