国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2005/01/04

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成17年(2005年)1月4日(火曜日)
通巻 第1004号     
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謹賀新年 万事如意
          ◎ ○ ◎ ○ ◎
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(宮崎正弘の近況)


(某月某日)鮫島敬治氏(日本経済新聞元北京支局長、元日本記者クラブ理事)の訃報に接した。
鮫島さんは<ボーン上田賞>を受賞したチャイナ・ウォッチャーとして知られた。文革中に一年半にわたって中国当局に拘束された。朝日新聞だけが北京特派員の駐在を許された時代である。産経の柴田穂さんは真っ先に国外退去となった。
 その後、鮫島さんは「あの拘束時代」を書かないことで、社内的には日経専務にまで上り詰めた。奇妙な処世と言われた。
 二十年まえ、小生が『ザ・日経』(上下二巻)を著して当時の日経ブームの先駆けをつくったが、もちろんその取材過程で鮫島さんにインタビューをしている。北京で監禁の日々、氏は「真向法」で精神を鍛錬し体力を温存した、と語った。「なぜ、拘束されてときの手記を書かないのか」と問うと「いずれ書きます。メモは取ってあります」と答えた。
じっさいに鮫島氏と会うと、風体も仕草も古武士のような人で、なかなか話術もあり、魅力的な政治記者だった。いや、政治センスがいかにも中国的感覚であった、と書くべきかもしれない。
 なぜスパイと間違えられたか、あの文革の狂気の時代だから外国と通信しただけでも市井の中国人は拘束されていた。文革当時の上司は小島さん(その後、日本短波放送社長)で、小島さんにも会いに行って聞くと「うっかり、鮫島くんに『なにか、情報はないか?』と書き送ったのが一因」と言う。
なぜなら中国語で「情報」は「諜報」の意味であり、日本でいうところの「情報」は中国では「消息」だから。
 いまとなれば笑い話だが、それでも現在なお北京にいる外国人新聞記者の電話は盗聴され、パソコン通信はモニターされている。
 その後、論文をいくつか送って頂いた。鮫島さんとの年賀状の交換は二十年つづいた。訃報に接する直前に年賀状を出したばかりだった。葬儀には在日中国人の学者も多かったという。


(某月某日)三鷹の「かぶら家」という酒場で突然、青森の銘酒「八仙」の利き酒大会。誘ってくれたのは中村彰彦氏だが、行ってみて驚いた。利き酒友の会やら蔵元ツアーがブームと聞いていたが、その現場に遭遇した感じなのだ。
「陸奥八仙」の特別純米(19度)からはじまって「赤ラベル(17・7度)」、「黒ラベル(17・6%)」、「緑ラベル(17・7度)」などの「陸奥八仙」シリーズと「陸奥男山」(これは特別本醸造で、アルコール度は17・8%)がズラリ八本。新酒の品評会を兼ねる。
本醸造、純米など、全部を「冷や」で愉しんだ。蔵元の社長さんが、一本々々をわざわざ八戸から出向いての説明。狭い会場にぎっしり40名。年末なのに、なぜかカップルが多く、日本酒の通が何人か混ざっていた。
この光景を見ていて思った。
(何かの雑誌のグラビアになりますね)。
会費のわりに料理の量が多い。胃の小さい小生は半分以上を残したが、さらに金目鯛、蕎麦まで供されて、和気藹々の雰囲気の中、時計を見ると午後十時近い。冷酒を呑むうちに時間をわすれていたのだ。
それにしても蔵元の解説を聞きながら、その酒を飲むというのも格別の風情である。
寒風のなか、会がおわってから駅裏のスナックまで歩く。この店は中村氏との定番コースで、演歌軍歌など何曲か歌って文壇のはなしなどをしているうちに、またもや午前一時過ぎになってしまった。
三鷹に中村氏が仕事場兼書斎をもっている関係で、最近は小生もすっかり三鷹、吉祥寺通になった。後者はとくに洒落たレストランが多く、南口方面は井の頭公園までエスニックな風情の商店街がつづく。東京新名所といわれてから久しいが、渋谷より落ち着いているので「おとな」が来る理由かも。だからというわけもないのだろうが、この周辺の図書館やら高齢者会館などにも講演に呼ばれることが多くなった。
タクシーで中村を保谷の自宅まで送り、小生の在所へ帰還したら、ちょうど午前二時だった。


(某月某日)スマトラ沖地震による津波災害は世界的に巨大な被害をもたらした。
 個人的にはペナンの海岸沿いのホテルのプールが津波に襲われたフィルムに身震いした。あのホテル、あのプール、あの海浜。十数年前に二回ほど泊まったところではないか!
 プーケットもモルジブも行ったことはないけれど、同じような被害が出ている。日本のマスコミは例によって日本人の犠牲者のことに報道を集中させている。ドイツ人も数百、ロシア人の行方不明も多い。ミャンマーとバングラデッシュの被害の詳細がフィルムとともに伝わらないのも妙だと思っていたら中国はプーケットに特別機を飛ばした。
 プーケットに中国人観光客が170名も居たというのも、地震ニュースの中で驚きに属するものだった。もうひとつ、TSUNAMI(津波)と表現する英語媒体が多かったが、最近、TAIDAL WAVEとは書かなくなったらしい。
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(読者の声1)京都出身者にもう一人特筆すべきおかしな人がいます。生まれは関東ですが、京都帝国大学医学部卒業の石井四郎陸軍軍医中将です。ああいう人や後に陸軍次官にまでなった富永某のような例外的に悪辣な日本人が日本の悪口を言う人たちに口実を与え
ているのは残念です。
京都大学といえば、攘夷堂は今どうなっているのでしょうか。吉田松蔭松陰が弟子たちに攘夷のために闘った先人を顕彰するように祭られるべき人たちの名前を列挙して遺言として残しました。後に松陰の弟子の品川弥次郎氏が造り京都帝国大学に寄贈しました。今どうなっているかご存知ならお知らせください。
      (ST生、神奈川)


(宮崎正弘のコメント)攘夷堂の現在はあいにく存じ上げません。京都大学は会田雄次、高坂正堯、矢野暢の各氏らが大活躍の頃、よく行きましたが、当時からあの大学の新聞は左翼で学生の知り合いは稀でした。李登輝さん、なんとか司馬遼太郎の墓前に詣でたようですね。新年に墓参りはしないものですが、今回は例外でしょう。日本中、行く先々で大歓迎を受けましたが、台湾帰国時には桃園空港に二千名前後の出迎えがでたと聞いて熱いものがこみ上げてきました。


  ♪
(読者の声2)『いま日本は、いわゆる生ぬるい保守と「共産主義と一体化していた左翼進歩平和主義」とが対立しているものではもはやない。後者は例の゛週刊金曜日゛に屯するていどの矮小グループに転落した。代わりに保守が二つに割れて、日本改造の構想力をもつ行動的保守と、リベラル左翼にほぼ重なっている生ぬるい現状維持の保守、外交的にいえば中国不信派と中国眉態派、威嚇や恫喝に屈しない派と威嚇されれば無限に謝罪する派とに分裂し始めているといってもいいであろう。』以上は《愛国者の死》と題した西尾幹二氏の、坂本多加雄氏追悼文の一節です。年頭この論に接して自分らは”日本改造の構想力をもつ行動的保守”に連なりたいと誓い、また”中国不信派”・ ”威嚇や恫喝に屈しない派”でありたいと念じます。
西尾氏は昨年11月の福田恒存氏に関わる講演会で <文化や学問で人は果たして死ねるか>というマックス・ウェーバーの言葉を引用しています。この鋭い刃を持った言葉を日本の知識人に突きつけたのが福田恒存氏であると。命を懸けてというと誤解を招き反論を浴びるもの云いですが、旧制高校、旧制大学に蔓延った『知的あり方』とそこを拠所とした”知識人”が批判の的です。
微温的で、閉ざされた狭い世界で限られた仲間と薄っぺらな知識と軽薄な自尊心で民を啓蒙しているとうぬぼれている日本の”知識人”への痛罵です。知識や論を弄ぶ輩は所詮いのちを差し出してまで事を行なう覚悟はあるまいという卓見です。その意味で三島由紀夫は日本文化を守ろうと命を懸けた例外的な稀有の存在です。 
『日本人が国境を越えた外のものに公平で、憧れをもって遠望し、近づいてくれば無邪気にこれを歓迎するのは、太古からの本能みたいなものではなかろうか。縄文以来といえばべつに証拠はないので大げさといわれるかもしれない。』(諸君掲載の西尾氏論文より)。
そんな無邪気な日本人はいつになったら福田氏の悟達に至れるのでしょう。
文化面だけではありません。80年代あれほどうまくいっていた日本的経営を守れず、90年代にグローバル・スタンダードというアングロ・サクソン基準で見事なまでに欧米に食い潰されボロボロにされた日本経済。それに手を貸したMBA帰りの同胞諸兄。日本の安全、国民生活の安寧を守ることが言葉や言論を以ってどこまで可能なのか。自らを助けることが出来る国に果たしてなれるのか。
それは何時になるのか。そんな自問自答を正月、半酔半醒の中でしています(笑)。
          (しなの六文銭)


(宮崎正弘のコメント)文中にでてきた福田恒存氏のことでいろいろなことを思い出しました。三島さんとは晩年、演劇の劇談経営をめぐってライバルの関係にも有りましたが、よき理解者でした。オスカー・ワイルド的な福田さんとワイルドの悪趣味をいつのまにか超克して違う世界にはいっていた三島さんとは最後の演劇論で次元の違う言い合いをしていたように思います。
 学生時代、何回も講演をお願いした福田さんでしたが、どういうわけか、小生は全部の評論を読んでおらず、その後も熱狂的なほどにはなれない対象でしたね。
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◎宮崎正弘のロングセラー◎
『中国財閥の正体―その人脈と金脈』(扶桑社、1600円)
『中国のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房、1575円)
『拉致』(徳間文庫、590円+税、以下同)
『ザ・グレート・ゲーム』(小学館文庫、476円)
『ネオコンの標的』(二見書房、1600円)
『いま中国はこうなっている』(徳間書店、1500円)
『迷走中国の天国と地獄』(清流出版、1500円)ほか
http://esearch.rakuten.co.jp/rms/sd/esearch/vc?sitem=%B5%DC%BA%EA%C0%B5%B9%B0&sv=30
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