国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2004/12/19

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成16年(2004)12月20日(月曜日)
     第995号 
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 パリとミラノの免税売店は中国人が日本人を席巻中
  来年はひとり1800ドルの買い物に興じる中国人ツアーが日本団体を凌駕するだろう
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 いまから二年前にパリとフランクフルト、ロンドン、ミラノなどの主要免税店で「人民元」が使える、と聴いたとき、心底から耳を疑った。
(世界でもっとも信用のない通貨がなぜ?)

 今年九月までの中国人のヨーロッパ観光旅行ツアーは90万人。ひとりが平均して1800米ドルを落とす。日本人より乗客である。
 人民元からユーロに交換可能な両替も、かなり目立つ。

 かつて「たまりすぎた外貨」にネをあげて日本の当局は海外旅行での持ち出し外貨制限を取っ払った。それまでは随分とながいあいだ、一人一回1000ドルまでという厳しい制限があった。日本円は二万円までだった。

 いま、中国では人民元の持ち出しに制限がある(6千元まで)が、これもまもなく上限が拡大する。
欧米では、全額キャッシュで不動産を買う中国人も、いまでは日常の風景である。
 香港は年間1100万の大陸からの観光客に潤い、来年10月のディズニーランド開園を前に破竹の勢い、日本人観光客は、いまではまったく目立たない。

 いずれ世界各地で上記の現象が起きることになりそうである。
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(資料)張超英氏の台湾総選挙結果分析

 「さよなら中華民国、こんにちは台湾」

 (下記は「台北駐日経済文化代表処」元顧問兼新聞部長・張超英さんの分析です)
  ◎

 この度の台湾の立法院議員選挙は、緑陣営(民進党、台湾連盟)と藍陣営(国民党、親民党、新党)のどちらかが議席の多数を取れるかが、注目されていた。新聞報道ではあたかも、藍陣営が圧勝したかのごとく、報道されているが、実情はさほど大勝したわけでなく、戦術的な勝利でしかない。総統選挙で勝った民進党があまりにも多数の立候補者を乱立させたのが裏目に出たことが主な原因であるが、その他の敗因も否めない。

 まず筆頭に上げられるのは、民進党政権の内政上における失政が挙げられる。台北では感じられないことではあるが 政策不在による、台中以南で産業空洞化から引き起こされた不景気と、失業問題が深刻化しているし 台中市では、暴力対策の特別警備隊を中央から派遣しなければならない程、治安が悪化しているのである。
 
この現象は中間層の離脱を意味している。この情勢の変化に対応すべく、選挙の終盤戦に慌てた民進党は、友党である台湾連盟の正名運動を、民進党の主張項目に加えるなど、共食いの現象がおきた。
前総統の李登輝の率いる台湾連盟は台湾正名運動、台湾国憲法の制定を声高く叫んだが、むしろ一席減少した。一方の民進党の得票は前回の立法院選挙時の33.28%から35.72%に、即ち、約1.64%増加にとどまった。相手のブルー陣営の得票率は、国民党、及び親民党の得票率は第5回目の立法院選挙の46.73%から、47.12%の変化に留まった。五回目の立法院選挙時の国民党の得票率は28.56%から今回の第六回目の32.83%増加したが、これは親民党が18.57%から13.9%に凋落した分が国民党に流れたことを意味しているに過ぎない。
即ちブルーとグリン陣営の膠着化を意味している。
議席数で見れば、国民党は68席から79席に、親民党は46席から34席に、新党が一席とって、合計114席で、目前の115席から言えば、むしろ一席減少したことになる。
一方の民進党は89席に留まり、前回の立法院選挙時に比べて一席の増加に過ぎない。
問題は政権を握っている民進党がなぜ、得票が伸びなかったかである。

台湾には「鉄票」という言葉がある、これは何が何でも台湾人の政党である、民進党なり台湾連盟に投票する人たちを指す。今回の選挙で鉄票は取れたものの、中間層の200万票が行方不明になったことである。
実はこの中間層が陳政権に疑問符を投げかけたのである。
陳政権の外交の進め方に、大きな不安を抱き始めたことがまず挙げられる。たとえば、最近の中国籍潜水艦の日本領海侵犯事件で台湾側が日本に事前通告したと陳総統が訪問中の日本の要人に得意げにしゃべり、それをまた即刻、日本の官房長官が公式に否定されたことや、正名運動(台湾の国有企業や在外公館の台湾名への名義変更)などを選挙の主要項目に掲げ、即刻アメリカ国務省が公式に「そのような主張は台湾海峡の安定に寄与しない」と批判された。
挙げた拳の下ろし場がなくなったことも、知識階級の中間層から、陳政権の外交音痴との認識を新たにしたことである。

冒頭に挙げた、産業空洞化への無為無策、台湾海峡の安定に寄与しない選挙目当ての言動など、これが民進党の悲願である、国会の多数獲得に水を差したのである。
 台湾人の台湾は、2000年の李登輝氏と彭明敏氏の得票率が75%あったことは、本土化の実力が75%あることであるを意味する。
問題は、何が何でも、北京と一戦を交えても、独立宣言を主張する強硬派は、台湾ではまだ少数派で、数字で言えば、台湾連盟の得票率、7.79%がそれにあたる。その主張は2006年に憲法を起草、2008年の北京オリンピック開催に合わせて、独立を宣言する。オリンピック開催を犠牲にまでして台湾海峡を中国は武力で攻撃して来ないとの見解が、その主張の根底にある。
 結論として言えば、台湾の多数の人たちは、「去中華民国、建立台湾国」ではなく、穏やかな、「さよなら中華民国、こんにちは台湾」の穏健的、且つ、ゆっくりとその最終目標と到達する方向を選んだことである。
  △
(張超英さんは前駐日台北代表処顧問兼スポークスマン。30年近く、台湾政府の対アメリカ及び対日広報を担当し、著作には、中央公論社から「もっと台湾を知ってほしい、日本の友へ」がある。
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● 祝 小誌総発行部数175万部突破! ● 登録読者4200名突破!
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(読者の声1)前号(994号、18日付けの「書評」欄、黄文雄さんからの引用箇所)ですが、以下はちょっと牽強付会のような気がします。

 一方で儒教が誕生した中国本国では「儒教教育は、ただ『五常』や『五倫』など、忠孝や仁義の徳目を羅列するだけで、いったい『仁』とは何か、『義』とはなにかと、それを唱える教祖の孔子でさえそれぞれの概念を規定し」なかった。だから「孝」と「忠」は両立しがたい矛盾であるにもかかわらず語らなかった。「どういう道徳にもとづいて『仁』や『義』が成り立って、なぜそれが徳になるのか、なんの議論もせずに、ただありがたい言葉としてしか、人々に与えてこなかった」。
「これは外的強制であっても宗教的な内発的なものではない」と黄さんは断じている。

1.『五常』や『五倫』は孟子以降言われたのであって、孔子は言っていない。
2.孔子の『忠』は「まこと」という意味で忠義と言う意味に使われ始めたのは漢の時代以降である。
3.『義』を重視したのは荀子で孔子はあまり言及していない。

「それを象徴するのは、アメリカの日本研究者ヘレン・ミアーズの著書『アメリカの鏡・日本』の邦訳禁止である」といわれましたが、もうひとつ米国における発禁本があります。
カナダ人のジェームズ・バクー氏著、「消えた百万人」(邦訳は」光人社、原題「Other Losses」)です。ドイツ降伏時点でフランスには大量のドイツ人民間人がいました。子供や老人を含む彼らが収容所に入れられ、劣悪な状況の下で百万人とも言われる死者を出しました。収容所を逃げ出したものの中には近在のフランス人の家にかくまわれたひともあったそうです。この本がつい最近まで米国では発禁本となっていました。
      (ST生、神奈川)


(宮崎正弘のコメント)後者『消えた百万人』は存じ上げませんでした。早速、古本屋さんに手配して入手します。ご教示、有り難う御座いました。


  ♪
(読者の声2)事情はよく飲み込めませんが、中国での銃殺処刑の新聞記事です。巨大掲示板2ちゃんねるにリンクが多数貼られています。

http://www.peacehall.com/news/gb/china/2004/12/200412130335.shtml
http://www.peacehall.com/news/gb/china/2004/12/200412130343.shtml

グーグルで検索してみたところ、もっぱら日本語のサイトにリンクが張られています。

http://www.google.com/search?hl=en&lr=&q=%22%2Bwww.peacehall.%2Bcom/news/gb/china/2004/12/200412130343.shtml%22

http://www.google.com/search?q=%22%2Bwww.peacehall.%2Bcom/news/gb/china/2004/12/200412130335.shtml%22&num=50&hl=ja&lr=&filter=0
      (KT生)
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◎宮崎正弘のロングセラー◎
『世界経済のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房、1575円)
http://www.nippon-nn.net/miyazaki/saisinkan/index.html
『中国財閥の正体―その人脈と金脈』(扶桑社、1600円)
『中国のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房、1575円)
『拉致』(徳間文庫、590円+税、以下同)
『ザ・グレート・ゲーム』(小学館文庫、476円)
『ネオコンの標的』(二見書房、1600円)
『いま中国はこうなっている』(徳間書店、1500円)
『迷走中国の天国と地獄』(清流出版、1500円)ほか
http://esearch.rakuten.co.jp/rms/sd/esearch/vc?sitem=%B5%DC%BA%EA%C0%B5%B9%B0&sv=30
(↑このサイトからも上記すべての本の注文可能。1500円以上は送料無料)。
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 (C)有限会社・宮崎正弘事務所 2004 
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