国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2004/12/18

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成16年(2004)12月19日(日曜日)
     第994号  臨時増刊
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「サンドイッチ型産業構造」から「ドーナツ型産業構造」へ
  台湾経済の変質は、「エンジニアが空洞化」という本質的な危機を露呈
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 嘗て台湾経済の特徴を「サンドイッチ型である」と自ら台湾の産業人は銘々していた。

 要するに日米のハイテクと安い労賃金で追い上げるマレーシア、フィリピン、インドネシア諸国に「挟まれて」(sandwitched)、四苦八苦する台湾の経済ジレンマを象徴していた。

 その後、台湾はアメリカから留学生が帰国し始め、日本を猛追するハイテク産業を育てた。新竹にみられる「ハイテクパーク」には高度コンピュータ産業が蝟集し、とくに半導体、集積回路での躍進が顕著となる。
台湾は空前の繁栄に酔った。80年代後半から90年代央にかけてである。

 台北の副都心にはアジア最大の「TAIPEI・101」という高層ビルがそびえたっている。101階の高層ビルは周辺を睥睨し、物見遊山の観光客を含め、連日、空前のにぎわいを見せている。上海の最高層の「金茂ビル」は88階。いまや台北にその地位を譲った。

 かくして時代は流れ、状況は百八十度変わった。
 台湾の所得が激増し、町はピカピカのビルが建ち並び、マイカーが疾駆し、ファミリー・レストランが繁盛し、回転寿司も超満員。若いひとは日米に夥しく留学する。

 労働賃金が急上昇した。
 このため中国大陸へ台湾企業が陸続と進出し、いまや六万社、駐在しているエンジニアとマネージャーが70万人から百万人。
投資金額は、おそらく1000億ドルを超える(台湾の公式統計は400億ドル内外だが香港経由、米国の台湾企業現地法人経由などで、その二倍から三倍のカネが出ていった)。

 李登輝前総統の流れを組む人達(たとえば呂秀蓮・副総統ら)は、これを「愚かな行為、いずれ人質となる」と強く牽制したきたのだが、商売人は、何処吹く風。

 そして台湾経済は再び、歪つな産業構造を形成する。製造に必要なエンジニアが台湾に不在となり、大学卒のエンジニアが大陸に派遣され、とどのつまりは基本的製造業が、台湾国内で「空洞化」したのである。

 この異形な産業構造を矯正するために、今後は産業的な改編が必要であろう。
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◎宮崎正弘著『世界経済のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房刊)。売り切れ店、続出! まもなく三版。
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(トピックス)http://www.asahi.com/international/jinmin/TKY200412170242.html
(安徽省書記を解任。河南省書記を遼寧省へ移動に続き)↑
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(読者の声1)岡崎久彦氏が先日、某所で講演した中で「靖国」に触れた箇所を掻い摘んでみます。
「私は’79年から’81年にかけて外交問題に関わる国会審議の想定問答集の作成を担当していた。当時靖国問題についてあれこれ考えたりしたことは一度もなかった。その必要がなかったのである。つまり、その時までは靖国はまったく外交問題化していなかった。
日本国首相の靖国参拝を歴史的に振り返ってみよう。
終戦直後の1945年10月、幣原喜重郎首相は靖国参拝を行なった。占領軍は政府の戦死者に対する神道関係行事への関わりを禁じた。吉田茂はサンフランシスコ条約の調印後施行前占領軍の了解を得て、首相としての公式参拝を復活した。
吉田首相は戦死者遺族への気持ちを汲んで参拝したと当時の新聞が報じている。吉田は在任中計4回、岸、池田、佐藤、田中の各首相はそれぞれ2回、5回、11回、5回と在任中に参拝している。三木首相はそれまでの首相と異なるユニークな存在で民心に阿る平和主義者のポーズをとった。公人と私人の区別を靖国参拝に持ち込み、私人として参拝した。
因みに防衛予算にGNP1%枠を持ち込み、その後の幾つかの内閣をこの箍で苦しめることになった。佐藤内閣が定めた共産圏や紛争当事国への武器輸出を慎むという武器輸出三原則を勝手に一切禁止するものとした張本人でもある。
1952年サ条約発効後、戦犯として獄に繋がれた人々を釈放する運動が沸き上がり58年迄に戦勝国の同意を得て全員が釈放された。それとともに東京裁判で処刑されたり獄死した人々を犯罪者ではなく、戦争犠牲者と見做し遺族への年金支給を認める恩給法改正を国会は全会一致で可決した。東京裁判で有罪とされた人々の合祀は1959年に始まり78年に14人のA級戦犯を合祀して終了した。
この間、中国を含め海外から一切抗議はなかった。
1979年、大平首相が、80年と81年鈴木首相が参拝したが、何の問題も引き起こさなかった。1982年教科書問題が日本を襲った当時も中国は教科書問題を取り上げるのみでA級戦犯の靖国合祀には一切言及しなかった。
中曽根首相が1983年、84年に靖国参拝した時に至るも何ら問題は生じなかった。
つまり靖国問題はわずか16年前の1985年からなのである。
 戦後政治の総決算を掲げた中曽根首相は1984年に靖国神社問題についての諮問委員会を設置し、1985年8月15日に靖国を公人として参拝した。その直前の8月7日に朝日新聞は、中国は靖国問題について日本の動きを注視している、と報じた。当時の「人民日報」や新華社電を精査してもそのような中国の動きはまったく存在していない。
人民日報はこの朝日の記事を受けて8月11日付けで、日本国内に首相の靖国参拝に批判的な動きがあると報じた。ついに8月14日中国政府スポークスマンは中曽根首相の靖国参拝はアジアの隣人(中国人民)の感情を傷つけると正式な反対表明をするに至った。
かくして「無」から「有」が生じ、日中間で互いに相手国で靖国が斯様に論じられ報じられていると木霊のような遣り取りが始まった。朝日新聞社のこんな巧みな詐術・外交術を日本の外務省は今だに持ち合わせていない。私が韓国に赴任していた当時、意を含む人々から幾度か、韓国に対する日本の戦時賠償問題について質問してほしいと云われた。質問したら最後である。 そこから問題が生じ大きな黒雲となっていく。 だから無視した。 黙ってやり過ごすことが賢明な態度である」。

こういう外交官は日本の外務省に何人いるのでしょう?
「太平洋戦争」開戦の日本の宣戦布告書の提示の遅れは在米日本大使館の外交官たちの失態だというのが定説になっています。この汚名を晴らそうという動きが外務省の一部OBにあります。最後通告部分の打電を故意に遅らせた軍部に責任があるのだというのです。
また小和田国際司法裁判所判事が1997年の国際法シンポジウムで、あの文面では宣戦布告の最後通牒とは国際法上認められない、と云っている。だからたとえ真珠湾攻撃前に米政府に渡っていたとしても陸軍がモディファイ(Modify)した、あの文面では意味がなかったと、強牽付会な論まで展開しています。
身内の潔白を晴らすより、自分らの外交術の未熟さや思い上がりが日本の国益を損なってきたことに思いを致してほしいものです。
       (しなの山猿)


(宮崎正弘のコメント)靖国は率直に言って、いまの中国でも深刻な問題ではない。邦字紙が火をつけ、訪中する日本人政治家のなかに、靖国をことさら御注進に及ぶ輩がいるのが、最悪にして深刻な問題でしょう。
 中国は対日カードが少なくなって、東シナ海のガス盗掘、日本の領海侵犯、日本における中国人の凶悪犯罪など、それらをいっぺんにすり替えるに、ほかの手品を使い果たし頼んで「靖国」をカードにしているだけと推測出来ます。「内政干渉」と突っぱねて、あらゆる「抗議」を門前払いとすれば、いずれ静かになります。
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◎宮崎正弘のロングセラー◎
『世界経済のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房、1575円)
http://www.nippon-nn.net/miyazaki/saisinkan/index.html
『中国財閥の正体―その人脈と金脈』(扶桑社、1600円)
『中国のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房、1575円)
『拉致』(徳間文庫、590円+税、以下同)
『ザ・グレート・ゲーム』(小学館文庫、476円)
『ネオコンの標的』(二見書房、1600円)
『いま中国はこうなっている』(徳間書店、1500円)
『迷走中国の天国と地獄』(清流出版、1500円)ほか
http://esearch.rakuten.co.jp/rms/sd/esearch/vc?sitem=%B5%DC%BA%EA%C0%B5%B9%B0&sv=30
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