国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2004/12/04

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成16年(2004)12月4日(土曜日)
       第982号 
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 台湾総選挙土壇場の情勢 投票は11日
  与党連合が過半数確保の勢い
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 一週間後に迫った台湾の国会議員(立法委員)選挙。

 今日(12月4日)、民主進歩党は全土で大集会を催し、憲法改正を訴える。
 連立をくむ台湾団結連盟も、明日(5日)に同様の集会を催すが、台湾団結連盟は主導者の李登輝前総統のカリスマ性が突出して、肝心の候補者は無名な人ばかり、しかも先に民進党が集会を行うと劣勢になる。
 両党あわせて過半数を一議席うわまわる113議席確保の情勢。

 国民党は惨敗にいたる模様だが、宋楚諭率いる親民党が30議席を確保する模様で、合計で97議席。ほかに無党派連合と無所属が合計14議席を確保しそうな勢いで、これから一週間で、この情勢が覆るのは中国からの「積極的な介入」だろう。たとえば胡錦濤が強硬発言をおこなえば、反射的に与党連合が116議席までにのびる可能性がある。

 いずれにしても憲法改正と台湾独立を前面にそれぞれ押し出した与党連合が辛勝するというのが現段階の予想である。(現在、与党は過半数をとっていないため議会がつねに陳水扁路線に反対してきた)。
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(サイト情報)ついにスノー財務長官の“無能論”がでた(NY TIMEsのトーマス・フリードマン、12月2日付け論文)↓「いつまで財務省に居座るつもりか」と。
http://www.nytimes.com/2004/12/02/opinion/02friedman.html?oref=login&th
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(読者の声)たまたま散歩で立ち寄った自由が丘の本屋で、ロバート・ライシュ 「アメリカは正気を取り戻せるか」 (リベラルとラドコンの争い)(東洋経済)を買った。
ライシュは 貧しい家庭から ハーバード大学教授、民主党政権時代には政府の高官(クリントン政権の労働長官)をつとめ、頭脳、人格とも抜群。
 早く眼が覚めてしまったので、寝床の中で読み始めたら、すっかり引き込まれてしまった。
60年代から今日に至るアメリカのリベラルと保守の対峙の構造が、これほど分かりやすくかつ正直に書かれている本は珍しい。論点が明快である。
  彼はリベラルだが、いま話題のテロ、自由、信仰、道徳、ジェンダー/SEX、貧富差などの諸問題を 保守との比較において述べている。
  アメリカ史においていかにベトナム戦争というものが大きな思想史上の事件であったかよく分かる。自分が現に係わってきたアメリカ内部にこのような思想のドラマがあったのか改めて驚いている次第だが、教科書問題はじめ日本の現在の思想問題を見るうえでもきわめて重要な 問題の核心を浮き彫りにしてくれる。
  ライシュ自身自分の育ってきた自伝的要素も交えながらこの問題をきわめて理性的に論じている。
  彼の論点は理解できるが、リベラルが「場外ホームラン」になったときどうなるか、人間の自律作用を信じるかどうか、今のアメリカの保守化といわれるものが自律バランスの回復過程なのかそうでないのか、・・・・・・ライシュはアメリカの保守化の肥大化を憂うあまりにこの本を書いたといっているが、われわれの眼からはアメリカの大学における左傾化こそ憂うべきものであると見える。
  もしライシュの見るアメリカが、良くも悪くもアメリカであるなら ブッシュの勝利は論を待たない、自明のことである。
  ライシュはきわめて常識的ないしは良識的な人であり、健全な保守と健全なリベラルの 対立を理想とするように見えるが、それゆえに過激保守 Radical Conservative=ラドコン に対する嫌悪と警戒はきわめて強い。ライシュはネオコンをそうは呼ばずに「ラドコン」と呼んでいる。何れにせよこの本は アメリカ現代思想 を読み解くのにきわめて有益な本である。
  ライシュの弱点を指摘することも、日本の大学サヨクを叩く論理を与えるであろう。
  また抽象論ではなく、具体的名人名、事件を下に話を展開するので、この本に登場する人名、事件を繙くと、アメリカの思想地図もはっきりと描けるようになる。
  小生がこのライシュを初めてすぐそばで見たとき、背の低さに驚いた。アメリカでもっとも驚いたことの一つである。一種の小人(コビト)である。彼はこの肉体的コンプレックスと、家が貧しく毎月の月末に小切手が切れるかどうか心配する両親を見て育った、その経歴が、今日の彼の思想を形成していると率直に語っていることには、好感が持てる。同時に リベラル・サヨク(彼はサヨクではないが)というものは、韓国の <恨(ハン)>なしは フランスの <ルサンチマン> のごとき反体制情念と無関係でないことは注目される。
 
その点、日本のリベラルは文化勲章(の受賞根回し)に執念を燃やしたり、東大教授の地位を渇望し、ひとたびその目的を達し後には、リスクない安全な場所で若者をアジテーとするいやらしさ。
そういうものはロバート・ライシュにはない。爽やかである。ライシュがバークを賞賛するのも彼の公正さからであろう。 
それではライシュのようにやればアメリカはよくなるか?
まったく逆だと思う。
       (TK生、世田谷)


(宮崎正弘のコメント)ライシュが1993年、クリントンの労働長官指名を受けて雛壇にほかの閣僚たちと並んだとき、頭みっつほど背が低いのに、発言は一番目立った記憶があります。
 そしてクリントンの曖昧な政策に苛立ちを強めつつ、真っ先に閣僚を辞任した経緯を振り返っても、その人生観を貫くのは「処世」ではなく、「信念」ということを想像してはおりました(苦笑)。ライシュの新刊のご紹介、有益でした。有り難う御座いました。
           ◎
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◎宮崎正弘の新刊本◎
忽ち再版! 
『世界経済のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房、1575円)
http://www.nippon-nn.net/miyazaki/saisinkan/index.html
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◎宮崎正弘のロングセラー◎
『中国財閥の正体―その人脈と金脈』(扶桑社、1600円)
『中国のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房、1575円)
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『ザ・グレート・ゲーム』(小学館文庫、476円)
『ネオコンの標的』(二見書房、1600円)
『いま中国はこうなっている』(徳間書店、1500円)
『迷走中国の天国と地獄』(清流出版、1500円)ほか
http://www.bk1.jp/author/110000964320000.html
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