国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2004/11/17

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成16年(2004)11月18日(木曜日)
       第964号  
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 四川省漢源ダム農民暴動とかけてNYロングアイランドの豪華別荘と解く
   「その心は?」  李鵬一族の水利ダム利権
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 悪名高い汚職の巣窟=太子党の象徴はトウ小平の次男、質方と李鵬の息子、李小鵬である。

 ハイドロ工学をおさめ、水力発電なら何でも首を突っ込む李鵬(前全人代委員長)一族は、汚職の元締め、中国官憲ビジネスの腐敗の源泉といわれる。

 香港と深せんの株式市場でインサイダー取引があればトウ一家と李一家の黒幕説が必ず出てくる。

 大がかりな不動産取引にも顔を出すのがトウ質方。かれは現在広東省珠海に逼塞中といわれる。
 李小鵬は一時スキャンダルが凄まじく米国に雲隠れしていたが、NYロングアイランドに豪華な別荘を構えていた。

 さて、四川省漢源の水力発電建設現場で起きた暴動だが、成都軍区が人民解放軍の正規軍一個師団を投入して鎮圧、治安を強圧的に恢復させ、現在、補償費用の増額などを農民と話し合っている。

 これは共産党の常套手段で、治安さえ回復すれば約束事はすべて反故になり、農民指導者はいつのまにかデッチあげの罪を着せられて逮捕される。 

 補償費用が低いだけではない。地方幹部のピンハネ、幽霊戸籍偽造による立ち退き料の二重取りは常識の世界である。

それならば、もっと上級の幹部は何をしているか。
 「セメントやら建築材料、建機などの誤魔化しによって国有電力会社から消えた金額は45億元、関連企業への「融資」などの名目で流用されて戻らない金額が30億元、国有企業の定款にない対外投資、借款が15億元、加えて工事の損出、修繕など完成までに消えていくカネが33億元」(林保華『自由アジア』所載論文、11月11日付け)。

 胡錦濤は「柔らかく農民に対処せよ、しかし暴動指導者は逮捕せよ」と命ずる一方で、「漢源ダム工事は強固な意志で続行する」と言明している。
 党中央は、四川省の暴動を「10・27不明真相的移民大規模聚集事件」と命名し、煽動した指導者いがい、一般群衆の罪を問わないとした。

 権力と政商が利益をもとめて展開した手抜き工事、立ち退く農民を放置した結果、引き起こされた抗議なのに、かれら真犯人の責任は一切問われないのだ。
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(読者の声1)オランダで暗殺されたTheo van Goughはヴァン・ゴッホのGrandnephewで芸術家、どの解説もoutspoken といっています。 
 激しい人で、マイケル・ムーアがブッシュを揶揄したようにイスラムのしきたりを滅多打ちに批判し、それがイスラム過激派の反感を呼んだもののようです。
 イスラム過激派は先進国の保守もリベラルもともに敵にすることになりますね。
 Theo van Goughの映画"submission"というイスラム女性の哀史が話題になったようです。美しいイスラム女性が徹底的にイスラム教義とイスラムの男性の暴力に痛めつけられることを激写したもののようです。この女性がたいへん綺麗なのです。
 思うにイスラム人口の少ないアメリカでは、「9:11」があって、イラク攻撃にする出ることができたが、大きなイスラム人口を抱えるヨーロッパはイラクがどうというより自国の内政・治安維持の観点からもイラクには手が出せなかった、という要素が十分にあったのではないでしょうか。
その曖昧なポジションがサマワからの来年三月のオランダ軍の撤退ということとも(勝手な)解釈できますね。これからイスラム、とくに原理主義過激派は先進国に大混乱をもたらすでしょう。 
 外国人参政権などたわけたことを言っていると大変なことになりますね。
          (TK生、世田谷)


(宮崎正弘のコメント)米軍の世界的規模での再編はイスラムの「不安定な孤」を囲む配置が第一義です。アフガニスタンからタジク、キルギスに米軍が配置され、イラクに大軍。これでイランを挟み込み、窮したイランは各開発を「中断」します。
 ところがロシアはタジキスタンへ軍の恒久的使用を認めさせ、さらに中国は「上海シックス」というテロ対応軍事機構を結成して、ロシア、ウズベク、タジク、キルギス、カザフと協定したうえ、モンゴル援助に乗りだした。これは既報の通りです。
 そのうえで中国はイランに接近し、この「上海シックス」への加盟を従容しています。米国の「イスラムの孤」と突き破るシステムと勘ぐれないことはない。世界政治は魑魅魍魎。イスラムの爆発力が、これらの安全保障システムに対してどのような対抗をしてくるのか。この続きは拙著新刊『世界経済はいま、三年後、五年後、十年後』で。


   ♪
(読者の声2)この数週間は、主として中国をめぐる波乱万丈の情報に振り回されて、つい全体像を見失いかける有様です。しかし、ふと冷静に第三の目で見直すと、現状はいずれも近い過去に予見されていたことの表出でしかありません。
  中国原潜の領海侵犯に対する遅すぎる警戒発令と抗議にも「適正だった。慎重であるべき」と腰が引け、昨日の北朝鮮実務者協議の結果に対しては「北の努力の跡は窺える。
 さらに精査を続ける必要がある」という小泉総理の発言に及んでは、わが日本の指揮者が何の国家観も気概(責任感)も持っていないことが繰り返し確認されました。
  どうも総理始め日本政府の中枢は、北朝鮮にせよ、中国にせよ、彼らを日本民族と同様に話せばわかる式に捉え考えているのではないか、と嘆息せずにはおられません。
アングラのミニコミ等が言うように、わが身の保身や利害だけでこのような国家的危機状況を看過しているのだと考えるには無理があります。
  私が言おうとするのは、日本人がもつ幻想つまり「アジアはひとつ」のようなセンチメンタリズムが、言葉を変えれば明治以前江戸時代からつづく支那文化への憧れと畏怖の潜在意識が、こうした感覚の下敷きになっているのではないかと思うのです。「アジア」は単に地理的概念であって、民族や文化や歴史やその他にいたるまで何の共通性も無いのではないでしょうか。福沢諭吉が唱えた「脱亜入欧」は、単に西欧の民主主義や文明に追いつけ論でなく、アジア諸国、特に支那文化との決別を意味した立国論ではなかったのでしょうか。
 11/17号メルマガの読者の声1で報じられたオランダのこと(モスレム人口の増加による国家内の別国家)と先生のコメントでは、まさに日本のごく近未来が描かれている感を持ちました
         (HS生、豊橋)


(宮崎正弘のコメント)ともかくテロリストの脅威は対岸の火事ではなくなりました。
 欧米の対策の迅速さにくらべ我が国の役所は、じつに鈍感で、嘆かわしい限りです。
       

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(読者の声3)パウエル国務長官の辞任が正式に報道された。彼はイラク戦争前後から影が薄く世界外交の場でほとんど活躍しなかった。そういう事を承知の上で彼は辞任前に日・韓・中を公式訪問した。これは一体何だったのであろう?
まさか万里の長城の観光が目的とは思えないが、果たして本当に解決すべき問題があったのであろうか。
このような疑問を投げるのは、台湾問題についてパウエル発言があまりにも中国よりであった事である。この結果台湾に大恐慌を来した。
確かに日本の有力者が中国高官を訪問した際、必ず靖国問題が”踏み絵”となっているが、それと同様に米中関係では台湾問題が踏み絵である。”踏み絵”とはつまり中国側の誘導にノーとは言いにくい雰囲気をさす、なかなか巧妙な心理的誘導作戦である。日本の政治家は見事な外交手腕に引っかかりノーと言う人はいなかったのではなかろうか。
 ところでパウエル発言はブッシュ政権のお墨付きを得たものであったのであろうか?或いは中国側の大歓待に感激し、パウエル氏がついリップサービスをしたのであろうか?逆に彼の辞任を前提に中国がほどほどの待遇しかしなかったので、パウエル氏の方から尻尾を振ったのであろうか?
あるいはひょっとすると辞任後のパウエル氏の就職先が中国との関連の深いものなのであろうか? ここでも中国の影が米国政府高官の個人の心理にまで及んでいる事態に驚いた次第である。
(MI生)


(宮崎正弘のコメント)「パウエル発言」の真意は判読不能、判定不能です。
クリントン前大統領は最後の最後に日本の頭越しに北京を訪問し、それから西安、上海を九日間も巡遊し、中国はひとつ、と喋って台湾を失望させました。
クリントンはいま、アーカンソー州リトルロックに一億五千万ドルを投じて「クリントン・ライブラリー」を建設中です。
退任直後、最初に日本に来て「慈善団体」の記念講演で4000万円稼ぎました。中国でもそこら中で講演し、数千万円の講演を稼ぎ出して、このライブラリー建設費に充てています。カリフォルニアにはニクソン記念館、レーガン記念館、いずれも日本が相当の寄付をしています。
 日本もお人好しですからクリントンからせがまれれば応分の寄付に応じたことでしょうね。企業でも自主的に寄付をした会社が数社あります。
 中国では背広と化粧品の広告にクリントン自らが出ています。呆れ果てる行為ですが、中国人は、そういうソフィスティケートされた賄賂の遣り方をするのです。
 考えてもみてください。共和党のお歴々だって、ヘンリー・キッシンジャー以下、アル・ヘイグもスコウクラフトも、みな、北京の代理店のごとき政治的コネを振り回して、その後のロビィスト生活を送っているじゃありませんか。ボルカー(元FRB議長)もダン・クエール(元副大統領)も、日本企業を買収する禿鷹ファンドの執行役員ですよ。
 パウエルは退任後どうするか。
まずは世界を講演行脚、ついで一年以上かけて回想録の執筆。それで数千万ドルを稼いで老後資金をつくり、それからロビィストになるか、党の重鎮として清廉な生活を送るか、それは彼自身の人生観に拠るでしょう。
 いずれにしても国際政治への影響力はレイムダッグ入りでしょうね。
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◎宮崎正弘の新刊本◎
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 ご予約を頂いた皆さん、有り難う御座います。サイン入りの拙著は11月20日から22日までに佐川急便にてお手元に届く予定です。
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◎宮崎正弘のロングセラー◎
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『中国のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房、1575円)
『拉致』(徳間文庫、590円+税、以下同)
『ザ・グレート・ゲーム』(小学館文庫、476円)
『ネオコンの標的』(二見書房、1600円)
『いま中国はこうなっている』(徳間書店、1500円)
『迷走中国の天国と地獄』(清流出版、1500円)ほか
http://www.bk1.jp/author/110000964320000.html
↑このサイトからも上記の本の注文が可能です(1500円以上は送料無料)。
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