宮崎正弘の国際ニュース・早読み
発行日:11/16
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成16年(2004)11月17日(水曜日)
第961号
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中国の農民暴動の大津波が沿海部へも波及している
広東で今度は住民3万人が騒ぎだした
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広東の福建省との省堺に掲陽という町がある。仙頭の西隣である。この行政区のど真ん中に溶華大橋がかかっていて住民からも「通過料」を回収している。ちなみに旧市街へ農作物を運ぶオートバイでも往復4元(55円程度だが、購買力平価から換算すれば実勢500円相当)。
料金所を住民およそ千人が襲い、事務所ビルに放火、車両十数両も焼かれ、一名が死亡するという事件がおきた(11月10日)。
手元にある『広東省交通地図冊』(広東省地図出版社、2000年)を開くと、溶華大橋は、掲陽市旧城内の南端で、南部の農村地帯を結んでいる動脈であることがわかる。
ことのおこりは通過料金を撤廃する約束ができていて、もともと料金の使われ方に疑惑があり、過去数年に亘って住民の抗議が続いていた。
2月には鳥インフルエンザの流行で農民の通行を制限し、7月には官憲の不正を訴えて政府ビルに数百人の農民が座り込み、一人の老人が死亡するという事件もあった。
道路料金の不正徴収は百万元に達すると言われる(「大紀元」、11月14日付け)。
「仙頭都市報」「掲陽日報」などを総合すると住民の不満はたかい通行料金で、これまでの交渉の結果、11月1日から無料と決まっていた。
しかし十日経っても相変わらず料金を徴収していたため怒り出した農民が払わずに通過しようとしたところ職員と乱闘となり、騒ぎに駆けつけた住民が、ガソリンを撒いて放火したのだ。
火は高く上がって掲陽の市内からも目撃され、三万の市民が現場に殺到、消防車も通れないほどの混乱となった。
警察は「凶悪な犯罪者が計画した暴乱」と発表し、24時間の警備体制を敷いた。
辺境、奥地、貧困の農村地帯で起きている暴動ならともかく沿海部の都心でさえ、こうした暴動が頻発している。
○ ▲ ○
{注 溶華大橋の「溶」は木偏}
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◎
(訂正)昨日付けで「王毅大使は和歌山で講演して『日中間に波風は或る』云々といった」箇所で、このセミナーは二階堂議員主催と書きましたが、事実上の主宰者は落選中の松浪健四郎前衆議院議員でした。訂正します。
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(お知らせ)小誌は11月19日から24日まで休刊となりますので、それまで頻繁に発行します。一日二回も来るのはイヤだとは言わないでね。
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(読者の声1)オランダのTheo van Gough(かのゴッホの兄弟の孫で、芸術家)の暗殺事件は、かなり根の深い問題で、欧米ではこの暗殺事件がかなり注目されています。
英語、フランス新聞の記事をあつめるうちに、「FrontPage」というアメリカ保守系論壇で重きをなす雑誌の論説が眼に留まった。読んで身震いしました。
以下、重要箇所を意訳してみます。
「高名な映画監督Theo van Gough 暗殺は起こるべくして起こった事件である。多文化共存=外国人移民に寛大な政策などとると大変なことになるということをオランダ政府は認めざるを得なかった。そういう趣旨の政府報告書を発表したのである。
オランダのイスラム系移民人口は総人口の10%、百万人に達する。
彼らは、オランダ人とは融和せず、都市部に集中して群れを成してゲットーに居住する。一種の国内の別国家のような生態を形成する。モロッコ、トルコ系移民の二世はオランダ人とは結婚はせず、祖国から配偶者を見つけてくる。
皮肉なことに、この多文化融合主義政策に政府が力を入れたことが逆にオランダ衰退の原因となっている。
理想の「完全社会」を目指して、ウーマン・リブ系の多文化融合主義者たちは移入民の子女にはアラビア語で教育させるようにしたことである。最大の過ちは、その結果、オランダ社会の中に別系統のイスラム系住民だけの民族分離主義 ethnic separatism がつくられてしまったことである。彼らが群れを成して作るゲットーにオランダ人が足を入れようとするとイスラム系住民は敵意を燃やして攻撃してくるという険悪な段階にまで達してしまった。
一つの国の中の二重の社会形成が進むにつれて、オランダ人のほうも不快感はつのり、危険さえ感じるようになった。とくに新たに流入してイスラム系移民たちの暴力、犯罪や組織犯罪が目立つようになってからこのことはひどくなった。
この政府報告書は、国の分裂を防ぐためには、イスラム系移入民の集中居住地区を取り壊し、彼らをオランダ人として教育、同化させる以外にはないと結論付けているとは言うものの、既に手遅れであろう。
イスラム系居住地区を取り壊すといっても、それがサンフランシスコの中華街やNYのハーレムを分解しようとするようなものでそんなことはいまさら不可能である。さらに、素朴な多文化主義の連中はイスラム原理主義がオランダに来ても危険などほとんどないと思っている。狼を危険な動物とは思わずに、羊小屋に引き入れるのと同じような認識でいることだ。
モスレム人口の大半は60年代以降にオランダに入ってきたものである。
彼らは暴力的ではなかったが、ヨーロッパでも一番自由にてリベラルなオランダの価値観を忌み嫌った。
彼らは、女性の権利、言論の自由、同性愛、麻薬・覚醒剤などオランダ・リベラリズムを象徴する自由と権利を軽蔑した。そして祖国の生活様式や信条のほうが価値あるものと信じている。彼らは「腐敗した」オランダの文化・しきたりをshariaでイスラム風に変えたいと思ったが、あくまで合法的かつ非暴力でその目的を達したいとは思っていた。イスラム系がみな破壊的だと言うようなことはない。
より重要なことは、オランダ国家の存立そのもののために考えねばならない。モスレム人口の中には必ず少数の「狂信的過激派」が混入していることである。
Theo van Gough を暗殺した犯人もその一人だが、この犯人はオランダの社会システムをすべてイスラム教の神聖政治に切り替えることを夢見て暴力で、残忍な殺害を犯したのである。それのみか、彼らはオランダ中の不信心人者を皆殺しにすべく、地上の目的(注:「地球の終焉」ではないと解釈する)に向かって「聖戦」を仕掛けるとうのである。
オランダ政府は民族融和のために、モスクに資金援助などをしてきたが、そういうモスクの中では、若者を徹底的に洗脳して命知らずの狂信派を育てて、自爆テロも躊躇しない人間爆弾を世に送り出してきたのである。それもタテマエから仕方のないことであったかもしれないが、サウジアラビアはそんな連中を助ける愚は冒していない。当然といえば当然だが。
印パ国境のカシミールなどの戦場に行けば、そこでオランダのイスラム教徒が実際の訓練を受けているところを目撃できたという。もっとも今すぐ彼らが大々的な聖戦テロを仕掛けるための訓練でオランダを離れるという段階ではない。ただ 殺害された Theo van Gough の胸の上に短刀で刺し付けられていた手紙には「これだけではない、もっと殺す!」と書いてあったのだ。
ヨーロッパ全域において「イスラム過激派軍」を組織しようとしているという兆候がある。
ある報告によると、ヨーロッパ在住の選ばれたモスレムがアフガニスタンで軍事訓練を受け、帰国して国内のイスラム教徒に習得した技術を指導・伝授しているという。彼らは東ヨーロッパの武器の闇市場で武器を調達し、人里離れた観光ゾートを借り切って軍事訓練をしている。欧州全土に広がっている地下諜報戦争はまもなく熾烈を極めるものになるだろう。
Theo van Gough 暗殺はその第一撃だったのかもしれない。このようなイスラム聖戦過激派はたぶんアイルランドのIRAスタイルのゲリラ戦の形をとるのではないか。北アイルランドのカトリック教徒居住地区を基地とし、また隠れ家としてゲリラ戦を展開している あのIRAのような形である。
またこういう状況下にあって、オランダ人は法律の保護によって自分の身を守れるかというとそうは思っていないようだ。ヨーロッパの他の国も同様だが、この30年間に、サヨクイデオロギーによって法律そのものがねじ曲げられ、犯罪に対して寛大すぎて弱化し過ぎて、法律によってイスラム過激派の危険に対抗するどころが、逆に法律が邪魔をしてイスラム過激派を助けているという面さえある。たとえば、北米テロリスト・グループへの支援という罪状で逮捕された12名のイスラム系オランダ人は有罪にはいたらずに釈放された。また2002年のパリのアメリカ大使館爆破計画で起訴された4人のイスラム系テロリストはロッテルダム法廷で無罪をかちとり、釈放された。いずれも重箱の隅をつつくような法の条文の技術的な解釈によってそうなったのである。
ついこの二月にオランダ議会が不法入国者26,000人の国外追放決議を可決した。しかし、彼らに航空代と小遣いを政府が支給してもそんなものは受け取らない、強制帰国は人権侵害だと騒ぎ立てれば、打つ手なしだとオランダ法務省は認めている。もはや不法入国者がオランダ市街を闊歩するのを阻止することはできない相談なのだ。
こういう状態を見てオランダの左翼の連中はどう思っているのだろう。東ヨーロッパの共産主義崩壊の後のときのように沈黙を保つか、正直のところ彼らはどうしたらいいのか分からない。分かるはずもない。
Theo van Gough を暗殺のあとオランダ人による報復的なモスク襲撃やモルレム学校放火の報道が飛び込んできたときもただ、困った顔をして役に立たないしぐさを繰り返すのみである。
オランダ社会を観察してきた者のひとりは、ヨーロッパの某新聞の記者の質問に対して、次のように答えている。
「Theo van Gough 暗殺事件以前に、オランダのエリートたちの国外脱出と資金の避難流出は既にひそかに始まっている。”モロッコ人に対する恐怖(モロッコ人の与える脅威)”がそうさせるのである。もしも事態が急速に制御不能のコースをたどれば、もっと多くの目先のきく「ネズミたち」は沈み行くオランダ国という船を見捨てるに間違いない。何を隠そう、この船の沈没の仕組みをつくった「ネズミたち」本人が逃げ出そうとしているのである。
(TK生、世田谷)
(宮崎正弘のコメント)恐ろしき事態が到来ですね。ねずみたちが逃げ出すなんて、いかにもオランダ的ではありますが。それにしても「オランダ王室」の箇所を「皇室」と置き換えれば比喩は同じになります。外国人労働者問題は、あるいは外国人参政権問題も、じつに深刻な要素を孕んでいるということですから。
◎
♪
(読者の声2)スタインハート工作は三国同盟の頃です。要するに戦後の歴史観は松岡を悪玉とすべく、あのインチキ日米工作謀略の脈絡を(インチキ牧師を信用した近衛の馬鹿さ加減と松岡が最初からこの牧師を見抜いていた)をさも日米の最後の望みであったと、それを松岡の姑息な嫉妬がこの近衛の日米和平工作をつぶそうとしたという物語が捏造であると言っているのではないでしょうか。スタインハート工作は故加瀬氏によれば正式なルートとして刺さっていた。ところが野村の無能によりこのインチキ工作が日本側の前面にでてアメリカ側もちんぷんかんぷんであったということです。松岡のアメリカ理解と愛憎の交じり合ったアメリカへの想いは大変なものであり(それは奴隷まがいの苦労を少年時代からしているのですから)、真の日米友好派であったこと(あの聯盟脱退後失意の下アメリカに立ち寄りルーズベルトにも面談さらに地方行脚も行い日米友好を訴えたのです)それが歴史は聯盟脱退は松岡のせいだとかヒットラーにほれたとか全て全く出鱈目な外務省ならびに海軍エリートの作り話なのです。そこを看過してはいけません。私にいわすれば大東亜敗戦でもっとも責任のあるのは海軍の連中なのですから。天皇独白録などはあの真珠湾の通告を怠慢により日本の名誉を傷つけた本来なら銃殺されてしかるべき外務省寺崎の捏造であることは明らかです。歴史にイフはありません。おっしゃる通リアメリカとの戦争は必然であったのかもしれません。でももし日米戦回避のため、あの日米インチキ工作を惜しかったというなら、松岡ラインハートの工作を惜しかったというのが歴史の真実ではないでしょうか?この松岡擁護論は是非月刊日本の昨年12月号”松岡洋右待望論ー言挙げせよ日本外交”をお読みになってはいかがでしょうか?
(昨日付けの「読者4」の松岡批判を偶々見た『月刊日本』愛読家)
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(読者の声3)前にもお知らせしましたが、11月12日のこのメールは同一内容のメールが4通配信されました。ウイルスかプロバイダーのサーバーのトラブルと思われます。
とメールをお送りしましたが、その後調査した結果をご参考までにお知らせいたします。
?私のウイルス撃退ソフト”ウイルスバスター”のトレンドマイクロ社に問合せたところ「それはウイルスではなく、サーバーに問題があるのでプロバイダーに訊いてください」
?プロバイダー(DION)のKDDIでは「同じメールが複数回配信されることはときどきあります。原因として、ウイルス撃退ソフトの作用があり、これを無効にすると改善されます」また「同じプロバイダーの利用者すべてに同じ被害があるわけではなく、ユーザーの設定によります」。
(HK生)
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◎三島由紀夫氏追悼「憂国忌」のお知らせ
http://www.nippon-nn.net/mishima/
今年も11月25日、三島由紀夫氏追悼会「憂国忌」を下記要領にて開催します。三島由紀夫氏の訴えを通して祖国の未来を熟慮する機会にしたいと存じます。
<<開催要項>>
とき 11月25日(木) 午後5時半開場 6時開会
ところ 九段会館・真珠の間(地下鉄九段下駅下車1分)
記念講演 井川一久(元朝日ジャーナル副編集長)「三島由紀夫と保田輿重郎」
会場分担金 2000円
?当日、直接会場までお越し下さい。どなたでも参加できます。
?追悼会終了後、同階館三階「翡翠の間」において直会。別途会費3000円。
お問い合わせ TEL/FAX 03-3200-2295 miura@nippon-nn.ne
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◎宮崎正弘の本◎
『世界経済のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房、1575円)
『中国財閥の正体―その人脈と金脈』(扶桑社、1600円)
http://www.m2j.co.jp/market/books.php(←同書の書評があります)
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『拉致』(徳間文庫、590円+税、以下同)
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◎ 宮崎正弘のホームページ
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(C)有限会社・宮崎正弘事務所 2004
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発行者プロフィール
宮崎正弘
http://www.nippon-nn.net/miyazaki/国際情勢の裏情報を豊富なデータと人脈から解析してゆく。独特な方法と辛辣な批判精神によるニュースの裏側で織りなされている人間模様に興味を持つ。筆者の人生観と執筆を継続する動機の基軸は同じ。ホームページは http://miyazaki.xii.jp/
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