国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2004/11/06

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成16年(2004)11月6日(土曜日)
        第948号 臨時増刊
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(本号はニュース解説はありません)
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(読者の声1)米国大統領選挙は、宮崎さんの予測通り、ブッシュ大統領が勝利しました。今後10年、20年は米国の政治の主導権は共和党が握るのかもしれませんが、長期的に見ると、米国社会はヒスパニック系住民の増大により、より複雑な多人種国家に変貌すると思われます。その結果、民主党に有利な政治環境となり、民主党が恒久与党、共和党が万年野党と化すことも考えられると思いますが、宮崎さんはどうお考えになりますか?
        (MT生)


(宮崎正弘のコメント)まず人口動態ですが、選挙毎に人口の流動比率によって、州別の「大統領選挙人」が変動します。そのうえ下院議員は二年ごと改選ですが、毎回、人口比によって「選挙区」が変動しています。
 第二にヒスパニックばかりか、多民族国家アメリカで、その民族の構成比が迅速に変化しており、最大の注目点はイスラム教徒の増大です。黒人、ヒスパニック、アジア系につぐ勢い。おそらくムスリムは500万から600万人の間でしょう。
 嘗てアメリカは「WASP」が支配しました。
現在最大の人口はドイツ系、ついでアイルランド系、三番目がWASPです。ついで黒人、その次はヒスパニック。しかしヒスパニックはカリフォルニア州とニューメキシコ州の「チカノ」(おもにメキシコから流入)とカリブ海(とくにキューバ、ドミニカ、ジャマイカあたり)から移住してくる東海岸のヒスパニックに大別できます。かれらはうちの後者は、今回とくにブッシュ支持が多かった(典型はフロリダ州)。ブッシュは奥さんがヒスパニック系であるうえ、大統領自身がスペイン語をかなり流暢に喋ります。
 第三に民主党はたしかに黒人、ユダヤ、ヒスパニックが強固にささえてきた沿革がありますが、それはケビン・フィリップスが『富と貧困の政治学』などで説いたように、所得格差と税金論争が原因だった。貧困層の味方である(と広く信じられてきた)民主党の候補者が東海岸出身の鼻持ちならぬエリートで、奥さんが大金持ちだとくれば、党派を超えた反発が強い。嘗ての図式は成立しにくくなっています。
 ケリーがあれだけの猛追が可能だったのは、東部海岸のエリートのいう国際主義からうまれたイラク政策への疑問からです。
民族の識別が共和、民主と単純に割り切れなくなり、ましてや民主党最大の票田だったユダヤ系は、今回、イラク戦争への態度でブッシュへ25%の票が流れた。ジョージ・ソロスは「反ブッシュ」の先頭にたって巨額を献金しましたが、あれは財務長官狙いという露骨な打算のため、じつは多くからそっぽを向かれていた。
 第四にアジア系ですが、日系の優位は消え、中国系の進出は瞠目すべきでしょうね。
 すくなくともカリフォルニア州という(もし独立したらカリフォルニアだけで世界七位のGDP)民主党左派の金城湯池の地域では、ゲイ、差別反対、金持ち優遇の減税反対など60年代からの左翼運動のメッカとなり、アジア系も運動の主翼です。
 ハリウッドはユダヤとイタリア、ここに映画競作などで中国がどっと入り込み、アメリカの世論形成に巨大な影響力を行使しようとしています。シュワちゃんを例外として、殆どの映画スターは民主党支持ですが、あれは東海岸のエリートへの知的劣等感からくる追随という要素もあるでしょうね。
 というように民族構成比は従来の党派概念を崩し、共和、民主と識別不能、というよりも各論争によって、アドホックな、民族を越えた「連合」がうまれており、その波にのったほうが選挙に勝つというアメーバ的状態に変貌していると言ったほうが良いかも知れません。
ですから今後、共和党政権が長期化する展望は希薄で、2008年はおそらく民主党が分裂を克服して新しい党派に生まれ変わり、政権を恢復するでしょう。ヒラリーがこれから狙うのは、党の再統一。これに失敗すれば2008年ヒラリーの目がつぶれ、民主党が分裂選挙。そうなれば漁夫の利で共和党、もういちどの勝利もありえますが。。
ともかく長期的に一党の恒久政権というシナリオは、二大政党の歴史をほこるアメリカでは考えにくいと思います。


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(読者の声2)いつも、先生のメルマガを読ませて頂いております。アメリカの大統領選挙ですが、やはり、自分も同じですが、先生の予想通り、ブッシュが勝利を収めました。今回、アメリカの大半のメディアは、報道が慎重でした。そのようななかで、FOXニュースだけは、オハイオでのブッシュの勝利を伝えました。元来、オハイオは共和党の地盤ゆえ、妥当な結果であったと解釈しています。選挙の結果自体は、ブッシュの僅差での勝利ですが、取れる州を確実に押えたという点から共和党の作戦勝ちという見方もできるかと思います。一方で、投票率の高さを追い風にできなかったのはケリー陣営にとって誤算だったでしょう。いかがでしょうか?
 前置きが長くなり申し訳ございませんが、ニューヨーク・タイムスやワシントンポストは民主党寄りとのことですが、共和党寄りのメディアはTVはFOXニュースとしても、新聞では、どちらの新聞社が共和党寄りなのですか?教えて頂ければ、早めに情報収集をしたいと考えております。
 つぎに先生の盟友でもあります、中川八洋先生がお書きになられた「日本核武装の選択」とう著書はお読みになられましたか?この著作で、中川先生はロシアの脅威を説いているのもかかわらず、政府は、まったく触れていません。先生には、ぜひ、メルマガやラジオなどで、ロシアの脅威を伝えて頂ければ幸いです。
 今後とも、先生のメルマガは熟読します。日本人があまり知らない記事の掲載を期待します。
                 (ST生、調布市)


(宮崎正弘のコメント)後者のご質問から先に。中川八洋さんの近作、じつはまだ読んでおりません。したがって確答を避けますが、ロシアの脅威については極力ページを割いて行きたいと思います。
 つぎに共和党系の新聞ですが、ウォールストリートジャーナルとワシントンタイムズ、強いて追加すればクリスチャンサイエンスモニターでしょうか。
 もうひとつはシンクタンクの報告書、とくにAEI、ヘリティジ財団の関連が良いと思います。いずれもインターネットで繋がります。ただしウォールストリートジャーナルだけは有料です。
 選挙分析は新聞のそれとプロの分析が異なり、現段階でのコメントは拙速になりますゆえ、差し控えます。


   ♪
(読者の声3)先生のメールマガジンにて,(宮崎が出演のラジオ)「金曜1時から3時まで」という予告がありましたので,「それなら天気も良いし,じゃあウォーキングしながらでも聞くか」と考え,ラジオを手にちょうど1時に自宅を出てスウィッチを入れたところ,おや,まあ,すでにご出演ではありませんか.もうすでにかなりの時間,何かの話題(アメリカ大統領選挙?)で話し合っていて,盛り上がっているではありませんか.始める時間はきちんとしていただかなければ…などと,まあ,それはどうでもよろしいのですが,「聞き逃したかもしれない.その時はご容赦を」という意味で付け加えます.
 ブッシュ再選に関しては,先生もメールマガジンにて「だから言ったじゃないの」とお書きでしたが,私も「やっぱり,ね」という気持ちです.というのは,すでに昨年辺りから,ボストンの新聞やユダヤ系の雑誌が「ケリーは,今までカトリックだと思われてきたし,自分でもそう信じていたが,彼のルーツ探しの結果,実はユダヤ人だ」という記事が出ていたからです。
もちろんアメリカで公然と「彼はユダヤ人だ(だから,反対だ)」とか,逆に「彼はユダヤ人だ(だから支持する)」というのは,公的な場面では語れないはずだということは知っています。
人種差別になると判定されてしまうでしょうから。従って決して日本のマスコミに載るような形ではアメリカでも話題にはなっていなかったと思いますが,アンダーグランドでは両陣営とも十二分にそのことを知っていたし,それを前提に行動していたと思います(残念ながら具体的な証拠はありません.私のカンです)。
 私は,民主党の候補者選びで(私からすれば)意外なほどの支持を得てケリーが瞬く間に候補にまで上り詰めることになったのも,彼がユダヤ系だと知ったユダヤ系マスコミ(WPとか,NYTなどほとんどの大手マスコミ)が言論活動で世論づくりの面で,また,ソロスなどユダヤ系資産家が全面的に資金づくりの面でバックアップしたからであろうと思っていました.ルーズベルトがユダヤ系であったという噂があることは知っていますが,しかし,それにしても,「ユダヤ人のアメリカ大統領」というのはまだまだタブーのはずですから,ユダヤ系アメリカ人にとって,今回はこのタブーを壊す絶好のチャンスでした。
数年前まで純粋のカトリックと見なされていて,いかにも東部のエスタブリッシュ然としていて,あまりユダヤっぽくないユダヤ人であるケリーが今回の選挙で大統領になることはユダヤ人がアメリカ大統領(世界最大の権力者)になる千載一遇の機会でしょう。
ひとたびユダヤ人大統領というタブーが壊れてしまえば,あとは次々にユダヤ系の大統領を生み出すことも可能でしょう。キッシンジャーとか,オールブライトとか,ユダヤ系の人々の中には,メシアニズムの伝統のせいか,やけに政治家がたくさんいますので,供給できる人材は豊かです。
もちろん,中西部・南部はたんに保守的な地域だと言えばその通りですが,しかし,今回の選挙結果を見ると,まさに伝統的なキリスト教徒が多数を占める州,とくに,メキシコ系,キューバ系などラテンアメリカ系のキリスト教徒が多数を占める中西部・南部は圧倒的にブッシュ支持でした。
ユダヤ系のマスコミ・資産家たちがしゃかりきになって押しているケリーがユダヤ人であるからこそ,中西部・南部のアメリカのキリスト教徒は断固としてブッシュを支持するであろうし,まだユダヤ人が大統領になることを決して容認しないであろうと,思っていました。
 結局,「(遺伝的に)ユダヤ人であることが,ケリーの息の根を最後に止めた」と思います。私のカンが正しいかどうか,わかりません。
しかし,ユダヤ人の交渉術に関する著作をお持ちに先生ですから,この点に関して何か一家言をお持ちのはずです。せっかく番組の中でミッキーさんが,「この番組は,タブーのないところが他の番組とは違うんだ」という趣旨のことをおっしゃっていましたので,「ケリーがユダヤ人であること」について話し合ってもよかったのではないかと,いささか残念でした.
          (YN生、八王子)


(宮崎正弘のコメント)ご指摘の件は、きわめて微妙です。つまりWASPのアメリカ人に聞いても口を濁しますから。
ただしユダヤ系に対する見えない差別は、一昔前ほどではなく、全般的にみても人種間の差別意識は希薄となっている現実はあります。東部および西海岸の若い世代はとくにそうです。
 ユダヤ系でいえば、クリントン政権は国務、国防、財務という中枢閣僚の三人がユダヤ系でしたが、大騒ぎにならなかった。四年前のゴア候補のときも副大統領候補だったリーバーマンは歴としてユダヤ教徒、今度再選されたNY選出の上院議員シューマーもそうです。世代間の認識の差、地域差があってなんとも結論を出すのは危険ですが、ご指摘の要素は、もちろん十分に加味されるべきでしょうね。
 蛇足ながらラジオを聞いていただいたそうで、あの番組自体は12時半から始まりますが、小生の出番は1時から三時まで。番組はそのあとも午後四時まで演歌をやっています。12時半から一時まではミッキーさんの独演会です。ですから予告はいつも小生の持ち時間の1−3時を予告しております。ご了解のほどを。
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{拉致問題}、緊急国民集会のお知らせ
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家族会、救う会、拉致議連は、第3回日朝実務者協議開始前日に、「もう我慢の限界だ!拉致被害者全員の救出を!緊急国民集会」を開催いたします。ぜひご参加下さい。
          記

と き 11月8日 18時開場、18時半開会、20時半終了
ところ 星陵会館(地下鉄有楽町線・半蔵門線永田町駅6番出口5分。駅出口から衆議院議長公邸沿いに路地を下り右側、北海道東京事務所隣)
    星陵会館の住所=千代田区永田町 2−16−2 TEL:03−3581−5650 

登壇者 家族会(横田滋・早紀江代表夫妻ほか全国の家族)、救う会(主に在京役員)、議連(平沼赳夫会長他役員等)。
参加費  無料(定員400名、先着順)

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(お知らせ)小誌は11月7,8日付けを休刊します。
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◎宮崎正弘の近刊予告◎
『世界経済のいま、三年後、五年後、十年後』(予価1500円、並木書房から11月下旬発売予定!)。 
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◎宮崎正弘のロングセラーズ◎
『中国財閥の正体―その人脈と金脈』(扶桑社、1600円税込み)
『中国のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房、1500円+税)
『拉致』(徳間文庫、590円+税、以下同)
『ザ・グレート・ゲーム』(小学館文庫、476円)
『いま中国はこうなっている』(徳間書店、1500円)
『迷走中国の天国と地獄』(清流出版、1500円)ほか
http://www.bk1.jp/author/110000964320000.html
↑このサイトからも上記の本は注文が可能です(1500円以上は送料無料)。
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