国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2004/10/31

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成16年(2004)11月1日(月曜日)
     通巻 第942号  
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モンゴル、中国・ロシアを両天秤にかけて逞しく
        米国にも秋波、日本には朝青龍
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 冷戦時代のモンゴルは、ソ連植民地と同様だった。ウランバートルは裏寂れ、経済は停滞し、ひとびとに活気はなかった。
 チンギス・カーンの末裔達に光明が射し込んだのはソ連の崩壊以後である。

 昨年7月、胡錦濤がウランバートルを訪問した。
 同時に3億ドルの経済援助を申し出たが、当時のモンゴルの外貨準備高と同額であり、しかも六ヶ月後に北京は2億2600萬ドルを振り込む。
直後、モンゴルは旧ソ連時代の借款2億5000萬ドルをモスクワへ返した。

 これはモンゴルがロシアへ手切れ金を、北京から融通してもらって支払ったと同義語であり、かつ「保護者」を交換したことになる。

 一方で軍事的な支援を米国に仰ぎ、ウランバードルにはマイヤース統幕議長、アーミテージ国務副長官も訪れている。

 ウランバートルで第二外国語は英語、ついで中国語が人気。ロシア語を選択する学生はまれになった。
日本語? 朝青龍くらいじゃないの。

 中国はモンゴルばかりか、近年慌ただしく近隣諸国との関係を改善した。
 宿敵インドに異様な接近を試み、カザフスタンとは石油パイプラインを餌に、ミャンマー、バングラデッシュはすでに中国軍政下にある、と表現しても決して大げさではないだろう。
 
 ラオス、カンボジア、タイへは鉄道と道路を敷設し、国境〔領海)紛争を抱えるベトナムとも啀み合いは減ってきた。

 フィリピンにはクラーク米軍空軍基地跡とスービック湾をむすぶ高速道路を中国が建設している。
これも異常接近、背後から台湾を脅かす格好となる。

  これらの国々と北京との貿易は過去三年の間に年平均で28%増大した。
 カザフスタン、インドなどとの通商は60−75%も増えている。
 
 残るは北朝鮮、韓国との関係、敵対する台湾との関係だけがあやふやで、日本への敵視政策は変わらない。
 
 だが、ほかの近隣諸国とは宿敵ロシアとさえ、国境策定協定を秘密裏に締結し、中ロ国境紛争に取りあえずの終止符を打った。やはり靖国神社問題で批判攻撃的な中国への不快感を募らせる日本は例外的である。
 しかし、かえって中国がそのことで焦燥を募らせてきたようでもある。
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(今週の寄贈本)

?丘(きゅう)永漢『口奢りて久し』(中央公論社刊)
 このユーモラスで蘊蓄のある食事に関しての連載エッセイは『中央公論』誌上に四年以上にわたって連載され、単行本化が待たれていた。『食は広東にあり』以来の丘(きゅう)さんの面目躍如たる名物シリーズである。
 最近、めったに小説を書かなくなった氏は「お金儲けの神様」、「食通エッセイスト」として全国的に知られていて、奥様が最近も近所の人から「ご主人と同じ名前の作家がいますのね」と言われたそうだ。
 デビューの頃の丘さんの小説は『香港』『濁水渓』など、いずれもみずみずしい感動があった。丘さんが直木賞受賞のときの芥川賞受賞者は石原慎太郎。その石原さんと当時、流行作家としてならんだ藤島泰輔氏は天皇陛下のご学友。で、藤島さんが或る日、渋谷、中野、杉並(当時の東京四区)から衆議院議員に立候補する決意を固め、小生は当時、『浪漫』という出版社の企画室長で、雑誌の編集長だった藤島氏を応援するため、一年ほど事務所に泊まり込んだ。その事務所が丘さんの渋谷の本丸「Qビル」だったのである(拙著『三島由紀夫以後』を参照)。
一階では大森実が『東京オブザーバー』なる新聞を出していた。藤島事務所は三階。地下が丘さんの個人事務所で、毎朝、白いロールス・ロイスでご出勤され、よく近くのレストランでもお目にかかった。じつは其のレストランも丘さんが経営なのである。
或る晩、九段の料亭で一緒に食事をしたが、あまりに見事な食べ方に感動したことがある。魚の骨を綺麗に捌いて食せられた。作法の美意識は中国人ではない。日本人としてのそれだった。
本書はたしかに食事の案内書でもあるが、同時に最新の中国ビジネス事情が詳細に書き込まれている。
たとえば、「中国のミラノ、温州へ行こう」という箇所では、中国のユダヤ人といわれる温州の町で、意外にもワンタンが抜群にうまいはなしと並んで、ミラノ・ファッションの下請け工場が蝟集している同地ではイタリアと同時発売的に最新のファッションを買える、などの得する情報もさりげなく挿入されている。温州は「中国のユダヤ」といわれるほど、商売のうまい人が多く投機集団も盛んだが。。
古都の開封(河南省)では「第一楼」の小龍包(ショウロンパ)がおいしいとの紹介もある。じつは小生も二年ほど前に宋街を一周したあとで、ここで食べて感動した。タクシーの運チャンに案内してもらったのだ。
「上海蟹と鎮江酢と紹興酒」の項では名物の見分け方なども書かれているが、紹興の威亭酒店で30年ものの紹興酒があまりにうまいので氏もお土産にされたとか。これまた小生も二回もかよって臭いを嗅ぐだけでも酔っぱらうような店内で古酒をのんだことを昨日のことのように思い出すのだった。


?正論別冊『日本海海戦と明治人の気概』(発売・扶桑社)
 「戦勝百年記念」と銘打たれたこの別冊は、内容がどっしりとしていて貴重な資料になるだろう。
いまの日本は反戦平和の退廃的ムードが世を覆い、重要なる正論を隠蔽している時代。真実は遠くなり、大衆はとうとう明治の精神も日露戦争の世界史的意義も理解できなくなった。
 冒頭に石原慎太郎、福田和也の対談だがテーマが多彩で、かつ中味にも含蓄あって、非常に面白く読める。小堀桂一郎先生は「乃木希典と明治の精神」を、佐々敦行さんは「明石元二郎なき平成ニッポンへの提言」を、そのほか入江隆則、名越二荒之助、黄文雄、岡崎久彦氏ら多士済々が力作を次世代へのメッセージを籠めて書かれている。
 意外に面白かったのは当時の号外を復刻して見開きのグラビアに配置してあること。これは小生もはじめてみるものばかりだ。編集部が力を入れてエネルギーを注ぎ込んだ跡がわかる別冊となった。〔▲注・この別冊は11月5日発売〕。
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(読者の声)先日トルコ航空でトルコを往復する機会があったのですが、その際、機内テレビに出てくる現在地を示す地図を見て唖然としてしまいました。
行きの時は気付かなかったのですが日本帰国時、日本にいくら近付いても「日本海」表記が出てこないのです。南、東シナ海やフィリピン海等はちゃんと表記されているにもかかわらずです。これは隣国の例の運動のせいですよね。
これまで隣国籍航空会社ではそのようなことはありましたが全く関係のないトルコ航空でもこのようなことになっていたとは驚きです。トルコ航空も隣国に乗り入れているからでしょうか?
宮崎さんはこの件に関してどのような御意見をお持ちでしょうか? また他の第三国籍会社での実態はどうなっているのですかね?
私達のような素人はこのような場合にはどのような運動をすれば効果的なのでしょうか? 恐らく隣国民は脅迫に近いクレームを関係会社等に行っていると思われますが、日本人が同様なことを行えば日本人の美徳に反してしまいますし。
       (AF生、江戸川区)


(宮崎正弘のコメント)おそらく中国製か、どこか、廉価版のソフトを入れているのでしょう。トルコのような親日国家といえども、飛行機はリースかも知れませんしね。さらにお互いに調べてみましょう。
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(サイト情報)10月26日IEA国際エネルギー機関より、2004年世界エネルギー展望が発表された。
(1) World Energy Outlook 2004
http://www.worldenergyoutlook.org/
(2)プレスリリース IEA Director Releases Latest World Energy Outlook, Says Current Energy Trends “Call for Urgent and Decisive Policy Responses” International Energy Agency. 10/26/2004 
http://www.iea.org/Textbase/press/pressdetail.asp?PRESS_REL_ID=137
(3)要約版 (10p.)
http://library.iea.org/dbtw-wpd/textbase/npsum/WEO2004SUM.pdf

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◎宮崎正弘のロングセラーズ◎

『中国財閥の正体―その人脈と金脈』(扶桑社、1600円税込み)
『中国のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房、1500円+税)
『拉致』(徳間文庫、590円+税、以下同)
『ザ・グレート・ゲーム』(小学館文庫、476円)
『いま中国はこうなっている』(徳間書店、1500円)
『迷走中国の天国と地獄』(清流出版、1500円)ほか
http://www.bk1.jp/author/110000964320000.html
↑このサイトからも上記の本は注文が可能です(1500円以上は送料無料)。
         
◎宮崎正弘の近刊予告◎

『世界経済のいま、三年後、五年後、十年後』(仮題、並木書房から11月下旬発売)
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(お知らせ)小誌は11月5日−8日が休刊となります。
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◎ 宮崎正弘のホームページ
 http://www.nippon-nn.net/miyazaki/
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(C)有限会社・宮崎正弘事務所 2004 
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