国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2004/10/20

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成16年(2004)10月20日(水曜日)
     通巻 第933号  
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『ダカーポ』547号より再録
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「中国のナショナリズムは官製」(宮崎正弘の談話)

 <編集部>9月19日、中国共産党の四中全会(第16期中央委員会第4回全体会議)は、江沢民中央軍事委員会主席(78歳)の辞任を承認し、胡錦濤総書記(61歳)がその後任に就くことを決定し、閉幕した。これは、軍拡路線・台湾強硬路線を推進してきた江沢民権力の、事実上の終焉を意味する。

 この人事は、サッカー・アジア・カップの反日ブーイングとまったく無関係とは言えないだろう。直後、「こうした『愛国』には誰も喝采しない」と共産主義青年団機関紙「中国青年報」は報じたが、国際環境の平和的安定を志向する胡錦濤指導部にとって、江沢民の創り出した過剰なまでの「反日」路線は、むしろ厄介なシロモノであった。江沢民の影響力を完全に封殺してしまうことが、対外的にも急務の課題となったと思われる。

 中国ウォッチャーとして知られる作家の宮崎正弘さんに、中国「反日」感情の背景を聞いた。

 宮崎「江沢民チルドレンと言われる反日教育を刷り込まれた若い世代は、反日しか表現の自由がないんです。彼らが心の底で一日も早い民主化と共産党政治との決別を望んでいたとしても、そういう表現は許されない」

「反日サッカーは、攘夷感情の発露として?官製やらせ暴動?の義和団事件(1900年)と似ています。しかし、攘夷暴動が有能な指導者に導かれたとき、間違いなく?倒幕?へと向かう。当局がサッカー場で警備を強化したのも、日本人を守るためではなく、暴徒が「反政府」「反共産」に向かわないかを監視するためだったのです」

――ではなぜ、大衆の反日感情が当局の規制を超えて暴発してしまったのだろう。

宮崎「中国共産党指導部は、反日という憎しみを梯子として利用し、失政をすり替えるための情報操作、政治宣伝、謀略を日常化しています。中央集権の統一メカニズムを維持するために、常に反日感情を必要としているのです」

 ――東京新聞8月23日付の報道によれば、共産党幹部が職権を乱用し、外国企業の負担で子弟を海外に留学させたり、賄賂として受け取った多額の現金を親族が海外に持ち出したりする事件が続発しているという。こうした腐敗官僚に対する国民の不満はくすぶっている。その目くらましのために、中国指導部は反日のアクセルを踏んだりブレーキを踏んだりの?芸当?を行うわけである。

 宮崎「反日感情を煽っているのも、規制しているのも中国共産党指導部です。ですから、日本人は中国人の反日に少しも慌てることはない。反日感情の暴発の根底にあるのは、中国人の日本人に対する嫉妬と侮蔑の感情です。黄河4000年の華夷秩序のなかで、東の蛮族=倭と蔑視してきた日本が経済大国にのし上がったことが妬ましい。そしてようやく経済成長の渦中にある中国が、過去の負債を取り返すかのように居丈高になっていることは事実でしょう」

 ――宮崎さんによれば、しかし中国ナショナリズムは?笛吹けど踊らず?の擬制のナ
ショナリズでしかないと言う。

「そもそも「中華民族」という概念は学問的にも根拠のない、情報操作のための完全なフィクションです。ところがこれを何百回、何千回と唱えていると「真実」になるらしく、江沢民は「中華民族」という言葉を党大会にまで持ち出しました。

しかし、中国人にとって実感として手の届く感触は、福建人、上海人、北京人、湖南人といった地域特性の濃厚なコミュニティであり、大風呂敷としての中華民族など、実態としては理解しがたいのです」

「中国人には滅私奉公という考えはなく、国のために死ぬという価値観もありません。彼らは?大和魂?という言葉は知っていても、架空の観念のために一致団結できる日本人の精神が理解できません。

中国人にとって第一義的に守るべき価値は自分であり、家族であり、親戚であり、友
人、同郷人です。滅私奉公の精神がなく、夕方5時になると一目散に家路につくこの
国では、中華民族・中華文明という概念は、自らを偉大に見せる観念の道具でしかな
いのです」

 <<中国には確かに反日感情をプロパガンダする過激な活動家集団がいる。しかし、反日が経済成長の算盤勘定に合わないことは当の中国人がよく知っていることだ。情報操作としての反日現象を、冷静に分析する目が必要であろう。>>
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(おしらせ)小誌の総発行部数が10月18日に150万部を突破しました。登録読者は年内に4000名を越える見込みです。◎
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(読者の声)宮崎正弘さんの『正論』11月号に書いた「通州、通化事件の現場はいま」に全国から反響が多いそうですが、僕も終戦時に満州にいたので、非常に類似した経験があります。
夜な夜なソ連兵に押し入られ暴行された婦女、あるいは家財を略奪され路頭に迷う日本人、街頭に転がる奥地からの脱出者や死体、日本人子供の人身売買、暗黒の町に繰り広げられるこれら目を覆わんばかりの惨状を数多く目撃してきました。ソ連兵の程度の低さと暴行略奪、満人(中国人)の大暴動、それもひつこく何度も繰り返し、無一物になるまで徹底的に略奪する。それと朝鮮人の陰湿な密告、或いは日本人労働組合(にわか左翼)の横暴と同胞弾圧です。
色々と危険な目に遭いましたが幸い一家は切り抜けて無事に帰国できたのは、ただただ幸運だったからだ思います。ですから通化事件の経験者の思いは更に一層強烈だと感じます。
戦後日本では社会主義・共産主義を賛美した左翼系の人々が多くいましたが、もし彼等がこのような事態を経験をしていたら、到底ソ連や中国を我が祖国と信ずる気にはならなかったと思います。彼等はこういった事は日本が起こした戦争の結果だと言いますが、確かそうでしょう。が、国際間の関係は日本人が頭に描いているような甘い関係では無いのです。極めて厳しい法則、即ち力の支配、優勝劣敗の原則、に支配されるのです。だから一度秩序が崩ればたちまち無法地帯化し、阿鼻叫喚の巷となる。この辺は中東での出来事をみればよく分かるのですが。
ところでイラクで捕まりながら幸運にも解放されたあの女の子、「もう一度イラクに行きたい」といったが、今はどう考えているのでしょうか?   
(ジャライノール) 
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(サイト情報)10月14日、日本政府に対する規制改革要望書(2004年)がUSTRから提出された。
(1)リリース:United States Calls on Japan to Bolster Regulatory Reform: Submits  Far-Reaching Recommendations 10/14/2004
http://www.ustr.gov/Document_Library/Press_Releases/2004/October/United_States_Calls_on_Japan_to_Bolster_Regulatory_Reform_Submits_Far-Reaching_Recommendations.html
(2)アメリカ大使館による翻訳)
http://japan.usembassy.gov/j/p/tpj-j20041015-50.html
(3)日本政府に対する規制改革要望書:Annual Reform Recommendations from the Government of the United States to the Government of Japan under the U.S.-Japan Regulatory Reform and Competition Policy Initiative、October 14, 2004.  69p.
http://www.ustr.gov/assets/World_Regions/North_Asia/Japan/Regulatory_Reform_Initiative/asset_upload_file229_6538.pdf

(4)米中経済・安全保障調査委員会(USCC)が出した米国の中国や他のアジア諸国へのプロダクション・シフトがもたらしている現状に関する報告書:
http://www.uscc.gov/researchreports/2004/cornell_u_mass_report.pdf
(5)同上リリース:
http://www.uscc.gov/pressreleases/2004pressreleases/04_10_15pr.pdf
(6)米国説明責任院(GAO:前会計検査院)の報告: "U.S.-China Trade: Opportunities to Improve U.S. Government Efforts to Ensure China's Compliance with World Trade Organization Commitments," by Government Accountability Office (GAO)。
http://www.gao.gov/new.items/d0553.pdf

(7)10月18日ブッシュ大統領は、拉致問題を含めた北朝鮮の人権問題の改善強攻策を
盛り込んだ法案(HR4011)に署名した。 「北朝鮮人権法」(North Korean Human Rights Act of 2004)のフルテキスト:http://thomas.loc.gov/
↑をクリックし、法案番号(HR4011)をタイプ、6番目の[H.R.4011.ENR]が最終テキスト。日本人拉致問題の解決を含めた項目は Title II のSection 202。
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  三島由紀夫研究会「公開講座」の御案内
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中東・イラク、ロシア・チェチェンそして東南アジアでもイスラムのテロが荒れ狂っています。世界を震撼させるイスラムのテロですが、どうも欧米では「9・11事件」以来、無辜の民を無慈悲に巻き込むイスラムの自爆テロと我が国のかつての「神風特攻隊」を同一視する論調が目立ちます。そこで今回は、『特攻のレクレィム』で論壇に衝撃を与えた工藤雪枝さんをお招きし、三島由紀夫が「神風特攻隊」をどう精神史的に位置付けていたかを背景に、イスラムのテロリズムと日本の特攻精神の違い等々について。
                    記

日時    10月25日(月曜日) 午後6時半開場/7時開演
場所    大正セントラルホテル・3階大会議室【高田馬場駅前・ビッグボックス前】  
      http://www.taisho-central-hotel.com/
講師    工藤雪枝氏(ジャーナリスト・拓殖大学客員教授)
演題    「特攻のレクレィム−−無私の犠牲的精神について」
会場分担金 二千円
問い合わせ 3200-2295/ miura@nippon-nn.netまで
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◎宮崎正弘の近刊予告◎
『世界経済のいま、三年後、五年後、十年後』(仮題、並木書房から11月下旬発売)
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◎宮崎正弘のロングセラーズ◎
『中国財閥の正体―その人脈と金脈』(扶桑社、1600円税込み)
『中国のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房、1500円+税)
『拉致』(徳間文庫、590円+税、以下同)
『ザ・グレート・ゲーム』(小学館文庫、476円)
『いま中国はこうなっている』(徳間書店、1500円)
『迷走中国の天国と地獄』(清流出版、1500円)ほか。
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