国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2004/10/17

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成16年(2004)10月18日(月曜日)
     通巻 第932号  
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  中国の農民は恒久的に豊かになれないのではないのか
   中国版「JAバンク」の面妖なる改革が頓挫している
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 日本の農協、JAバンクに相当する「農村信用社」は現在29の省で「全面改革」の試行錯誤が続いている。

 超優良の金融機関=JAバンクとは正反対で、中国の農業金融は破綻寸前、貸し付けも十全でないうえ、不良債権の焦げ付き、もっと悪質なのは官僚機構特有の体質からくる、融通のなさ、行員の無能力、対応の鈍さ、要するに金融機関を名乗っているだけで、農政の邪魔物でさえある。

  農業への金融制度改革は朱容基前総理自体から云々されたが、一向に進歩がないのだ。
 
当局は「地方政府の農村信用社の改革努力と保護政策のミックスはモラル・ハザードや経営リスクを誘発しやすい。農村信用社の改革は加速しなければならない」と極めて抽象的な文言を並べ、指示をだしているに過ぎない。
 しかもたとえばチベットには農村信用社それ自体が存在しない。海南省農村信用社は経営が深刻な自体に追い込まれている。

 二十一省市(北京、広東、天津、河北、湖北、雲南、甘粛、山西、寧夏、青海、内モンゴル、遼寧、黒龍江、安徽、福建、上海、河南、湖南、広西、四川、新疆ウィグル)では前向きの改革案が提示され、試行錯誤が繰り返された形跡があるものの顕著な成果はあがっていない。

 温家宝首相は金融制度改革、農業改革の先頭にたっており、国務院主催の会議で農村信用社の改革をめぐる議論が活発化、連日議論が続いている。

 問題は貧富の差、金融機関としての役割軽視、経営マネージメントの無能。

 また視察へ行ってもモデル農業しか観察させず、地方幹部が二重三重に人垣をつくって党中央からの視察を妨害、或る地方で温家宝首相は「トイレへ行く」と偽って畦道を駆け下り、演出されたビニールハウス以外の、貧困農家、寂れた農場を視察し、その惨状に衝撃を受けた。


▲公的資金をいくら注入しても解決されない

 2004年6月末現在、全国17省の農村信用社における利益は53億元と報告されている。
 真偽のほどは不明だが、「儲かっている」気配が濃厚な農業地域とは山東、山西、江蘇、天津、重慶の五省市のみ。日本への野菜、鰻の養殖など輸出で振興しているからだ。
 他の13省では二十億元以上の損失が報告されている。
 とくに東北三省(遼寧、黒龍江、吉林)ではすくなくとも11億元前後の損出がでた。

 一部地域では農村信用社の管理機構を離れ、農村合作銀行、合併による法人聯社が誕生している。
  倒産するものは潰し、新しく銀行をつくった方が解決は早い、とするドライな考え方だ。
 江蘇、浙江、山東、貴州などの省では合計十社の農村商業銀行と農村合作銀行が開業し、また三十の農村商業銀行と農村合作銀行が設立許可を受けて準備が進んでいるという。

 また赤字補填の支援は380億元に及んでいる。
 中央銀行である中国人民銀行は五百以上の地方自治体に「特定項目手形」を270億元も発行し、農村信用社は合計230億元の不良債権を転換した。

 今後、農村信用社の営業税を3%減少させ、さらに中西部地域の信用社に対しては所得税徴収免除、東部地域の信用社に対しては所得税半減などの救済措置を発動した。
 しかし農村信用社の預金吸収能力には限りがあり、農民の反応も鈍く、改革に協力姿勢が見えない。

 農業信用社への預金が減少傾向にあるのも、損失負担が重いからで預金が紙くず化する懼れのある金融機関に農民は預金しないだろう。
かくして中国農業の金融制度改革、絶望的である。
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(おしらせ)地方講演のため10月19日―20日付けを休刊とします。
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(読者の声)先日、旅順と大連を見てきました。富麗華酒店(フラマホテル)に泊まりました。最近、大連は旅順等周辺と年を吸収合併して、人口約570万とのことです。宮崎さんの言われるとおり韓国の進出はすごい。フラマホテルのテレビでも韓国語放送が見られます
203高地では、神棚のお下がりのお塩・洗米混合物約3キロと神棚のお下がりの御神酒2リットル強を撒いて来ました。203高地を降りてきたら雨が降ってきて、戦争で亡くなられた日本兵、ロシア兵、シナ人たちが喜んでいらっしゃられるようでした。
その後、水師営へいきましたが、中国人のガイドは、建物は第二次大戦後に復元したものであり、棗の木も後に植えなおしたものであることを正直にいっていました。
正直言ってあまりにも反日的でないことにびっくりしました。
一週間ほど前、中国政府が昭和20年4月に米国海軍の潜水艦の魚雷で沈められた日本の赤十字船阿波丸を引き上げると発表しました。北京原人の骨が乗っていた可能性があるというのが発表された理由です。
40年ほど前、財宝が乗っていたといううわさがあり、多くの中国人が潜水して宝物漁りを行なったことがありました。あの時は、中日友好協会会長の寥承志氏の、「みっともないことはやめろ」の一喝でことなきを得ましたが、今度どうなることやら。
日本のマスコミは報道せず、政府は抗議せず、愛国団体すら沈黙気味です。
  (ST生、神奈川)


(宮崎正弘のコメント)そうですか。数ヶ月前に旅順の記念館へ行った或る議員のはなしでは「反日展示が多く、中味もデタラメなので、ガイドに文句を言った」という報告を聴いたばかりでしたから「反日ムード」が希薄だったというのはよほどベテラン・ガイドにめぐまれた所為もあるのではないでしょうか?
 水帥営の棗が偽だということは多くの日本人作家、学者が随分とあちこちに書きましたので先方もフィクションをみずから認めるようになったのでしょうね。
 阿波丸の引き上げには日本の資金援助はないのですか?
 ちょっと興味がありますね。
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