国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2004/10/14

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
  平成16年(2004)10月15日(金曜日)
        通巻 第930号  
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台湾総選挙、立候補届け出を締め切り
  与党(民進党と台湾団結連盟)が過半数確保の勢い
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 台湾の総選挙。投票日は12月11日である。

 立候補の受付は12日に締め切られたが、小選挙区では相当の激戦が予想されている。
国民党の大物・王金平(国会議長)は比例区へまわり、新党が国民党に合流し、八人の中華思想過激派候補者が「国民党」からでる。

民進党は比較優勢にあるとはいえ、さきの党首=施明徳やら、元党首の許信良も無所属で出馬し、マスコミからピエロ扱いされているほか、有名な評論家兼作家の李傲がまたもや出馬。李は北京とおなじ「中華思想」の持ち主でほとんどの著作が大陸でも売られている。

このうち許と李のふたり人は四年前の総統選にも立候補、けっきょく泡沫候補としてあえなく沈没、施は二年前の高雄市長選挙にも立候補し、投票前々日に「使命はおえた」という“名言”をはいて事務所をたたんだ逸話をもつ。

それにしても「中華民国は台湾、台湾は中華民国」と言って北京に対話を呼びかけるや、たちまち北京から拒否された陳水扁総統ひきいる与党・民進党は李登輝元総統率いる「台湾団結連盟」と協力しても、現在、議会小数派である。

次の選挙では与党連合が議会内与党(113議席以上)として勝利しなければ、憲法改正はおぼつかなくなる。
いまの趨勢では「議会内多数派=国民党+親民党が議席数を失うだろう」(ストレートタイムズ、10月13日付け)とする予想が拡がっているものの、「中華思想組は投票ボイコットにでる可能性もある」(同紙)。つまり別の戦術も準備中ということだ。

 台湾議会は225の定員。内訳をみると、小選挙区(定数168)には369人が立候補、比例区(定員41)には89人、6人の海外華僑区には20人が、さらに8人の原住民選挙区には9人の立候補があった。

 異色候補は前の李登輝ブレーンとしてしられ第一次陳水扁政権では大陸問題委員会主任(閣僚級)をつとめた蔡英文女史が民進党候補として、比例区から出馬する。
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(今週の寄贈本)

?ポール・ウィリアムズ著、大蔵雄之助訳『ビンラディンのアメリカ核攻撃指令』(イーストプレス刊)
 衝撃の本である。
 本書の原題は「オサマの逆襲――911テロの次にくるもの」となっていて、2002年11月に米国で出版されたが、直後に本書に登場するアル・カィーダのテロリスト二人が逮捕され、逆に本書の情報の精密さ、正確さが浮き彫りにもなった。
物騒な世の中、物騒な預言。お尋ね者オサマ・ビンラディンは米国400万人を殺戮するために、すでに20個のスーツケース核弾頭を保有しているとするイスラエルとパキスタンからの秘密情報がある。
アフガニスタン周辺で栽培の麻薬を資金源として、アルカィーダは数千万ドルを用意し、チェチェン・マフィアから超小型核を入手したというのだ。
ならば兵器はソ連製である可能性が強く、あのソ連崩壊のどさくさに腐敗したソ連軍が平気でマフィアに横流しした小型核の一部ではないかと言われる。しかし米国マスコミはこの秘密情報を意図的に無視するか、軽視し、政府も知らん顔を決め込んでいる。
本書によればアメリカ人400万人を殺戮するというビンラディンらの言い分の根拠は1000年前の十字軍いらい、ムスリムがそれだけ殺されたからであり、しかもイスラエル建国を「犯罪」と見る彼らは、その首魁が米国であるという方程式を描く。


?ハイム・グラノット。ジェイ・レビンソン共著、滝川義人訳『イスラエル式テロ対処マニュアル』(並木書房)
新しい都市型テロにインティファーダ蜂起以来、毎日のように犠牲をだして悩まされてきたイスラエルは、いかにして爆弾テロと対処してきたか。おそらくテロ対策では世界一の国家が公開する、そのノウハウが詰まっている珍しい本である。
テロリストの心理から解説を始める本書は、爆発物の特徴と探知方法、緊急対応の原則を述べた後に爆発後の死者への対応、テロによる精神衛生上の対応、群衆の処理、マスコミへの対応ノウハウまで幅広く解説していて、親切でもある。
 すでにパレスチナの過激派によって三千名以上の犠牲者をだしているイスラエルは、米国よりもテロを知悉し、対応も世界一の技量である。それでもテロは防げない。
 もちろん、こうした類いの本は読まれないような平和の時代の到来が望ましいが、テロの嵐は当分続くであろうからには、日本でも警察、自衛隊、公安ばかりか、地方自治体、企業幹部および担当者も読むべき常識的な事柄が羅列されている。


?黄文雄著『華禍』(ワック出版)
 ご存じ黄さんの新作。唸るほどに本の題名が良い。羨ましいくらいの命名力。一言で中国の軍国主義の実態を著している。
嘗て白人が騒いだ「黄禍論」(イェロー・ペリル)や「タタールのくびき」論を越えて、脅威は世界にひとつ、中国の脅威(チャイナ・ペリル)だ、と断定。これはイスラムの脅威より恐ろしい、と最初からガツンと一撃。
 内容は多岐にわたり、とりわけアフリカにまで花嫁として進出する流民の大量な「移民」は、日本を飲み込んでしまう脅威でもあると警告する箇所など思わず身震いを覚える。
 小生、この著作で「えっ」と感心したのは、さすが文明史家としての黄文雄節が比較文明論をかたりはじめると異彩をはなち始める箇所だ。
 すなわち中華文明なるものはもともと孤立的であり、おなじユーラシア大陸にあっても、イスラムや近代西欧文明と比較すると「まるでインカ文明のようにきわめて孤立的な文明である」。その理由は種々と説明され学術的な論争にもなった。
じつは「黄河流域に誕生して以来、ずっと孤立的な文明だった」(中略)「北には砂漠がり、万里の長城があるので、中華文明は南向きにした発展できない」地政学的要件もあった。
また「性格的にも閉鎖的」であり、理由は万里の長城で北から西までを閉鎖し、「長城内には無数の城郭があって、二重三重に囲まれ、村という村もすべて排他的である」
こうしたトインビー的視点から中華文明を解きほぐしていく手法は鮮やかである。
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(サイト情報)米国のアーミテージ国務副長官が日本とアジアの安全保障に関して日本で行なった記者会見記録。
(1)"U.S. Will Maintain Military Strength in Asia" Press Conference in Tokyo by Richard L. Armitage, Deputy Secretary of State, at U.S. Embassy, Tokyo, October 13, 2004 http://www.state.gov/s/d/rm/37049.htm
(2)Armitage Answers Reporters' Questions After Meeting Japanese Leaders October 13, 2004
http://japan.usembassy.gov/e/p/tp-20041013-62.html
(3)Armitage Speaks to the Press after MOFA Meeting October 12, 2004
http://japan.usembassy.gov/e/p/tp-20041013-63.html
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(読者の声1)尖閣諸島周辺のガス採掘からもメジャーが撤退しましたが、「商業コスト」に合わなかったのか、地質が日本側と同一で、国際問題になるのを見越したのか、あるいは別の理由があるのか、どの様に観ておられますか?
      (KK生、京都府)


(宮崎正弘のコメント)詳しい情報を中国側が明らかにしないので、率直に言って結論的な断定をしかねます。ただ撤退メジャーのなかに「ユノカル」というがめつい企業が入っていますので「商業コスト」に見合わないか、中国の契約条項があまりにデタラメだからか、その、どちらかでしょう。
ほかの雑誌にも書きましたが中国が抱いているエネルギー確保への強迫観念は石油ルートの要衝=マラッカ海峡の防衛。いずれこの戦略的要衝を米国が抑えるという恐怖に取り憑かれ、そこから資源争奪のパラノイアが産まれています。


    ♪
(読者の声2)教科書採択を舞台とする「ミステリー」の傑作が出ました。題名は『壁のない密室』(石井竜夫・井原まなみ共著、本体1700円)です。
学校現場の生々しい問題とともに教科書採択の背景、わが国の教育行政が抱える問題点など、この本一冊ですべてが理解できるような、優れた作品です。著者はよくよく、教科書問題を調査されたものと思えます。
同書の帯には、
「教科書騒動、不毛な対立、イジメ、セクハラ、不倫、密室殺人? ちょっとヘンな教師たちを相手に孤軍奮闘、元警察官・志保の推理が冴える!」「日本の教育現場の歪みに警鐘を鳴らす、書き下ろし長篇ミステリー」と書かれています。
教科書問題に関心を持っておられるすべての方にお薦めします。
(TM生、大阪)
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 自治調査研究会勉強会のおしらせ
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 河童ブックスから「やくざリセッション」とか「泥棒国家の完成」とか、相当的はずれで、ユニークな日本論を次々と上梓している雑誌『フォーブス』のフルフォードアジア太平洋支局長が、突如、横浜に登場して、「日本の弱点をかたる」。
             記
とき       11月15日(月曜日) 午後六時
ところ      横浜駅西口三越裏「かながわ県民センター」304会議室
講師と演題    ベンジャミン・フルフォード「日本の弱点」
おひとり     2000円
お問い合わせ   (045)263−0055 
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◎宮崎正弘のロングセラーズ◎
『中国財閥の正体―その人脈と金脈』(扶桑社、1600円税込み)
『中国のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房、1500円+税)
『拉致』(徳間文庫、590円+税、以下同)
『ザ・グレート・ゲーム』(小学館文庫、476円)
『いま中国はこうなっている』(徳間書店、1500円)
『迷走中国の天国と地獄』(清流出版、1500円)ほか。
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