国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2004/09/21

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
    平成16年(2004)9月21日(火曜日)
          通巻 第913号  
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 人民解放軍が重装備で、三峡ダムを厳重に警戒
  台湾からのテロリストが「爆破計画」に備えるそうです
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 毛沢東が蒋介石の大陸反抗をおそれた事実はあるが、21世紀の今日、台湾政府はとうに「大陸反抗」のスローガンを下ろし、いやむしろ、台湾企業が5万社も大陸へ進出してエンジニア、マネージャーがおよそ100万人も駐在している。

台湾ビジネスマンは広東、福建、上海を中心に工場を展開しており、昨今は電力不足に悩み、三峡ダムの完成をいまか、いまかと待っている。

 三峡ダムをテロリストが爆破すると、核爆弾10個分に相当する破壊力があり、下流住民数百万の被害が予想される。家屋も工場も道路も水没する。
 したがって毛沢東時代からダム建設に強硬に反対したのは軍である。

 軍の当時のシミュレーションでは、インドからの核攻撃を想定したものが筆頭で、ついでイスラム過激派による爆破というシナリオ、90年代に台湾からのテロリストという想定はなかった(拙著『中国台湾電脳大戦』、講談社ノベルズ参照)。

 おりから江沢民が党の中央軍事委員会主任のポストを引退した。
自らやめたのか、改革派との綱引きで、上海幇の多くが主流派へ寝返ったためか、真相は藪の中だが、この人事の直前に三峡ダムへの警戒が強化され、重武装ヘリ、爆弾探知ロボット、河川警備ボートなどで武装した人民解放軍が湖北省を中心に展開された。

 AFP(9月15日付け)によれば部隊を率いるのは劉少奇の息子・劉源(総後勤部副政治委員、中将)である、という。
 
 軍ははたして三峡ダム第二期工事を阻もうとしてのデモンストレーションなのか、自ら強硬路線を修正するために政治的な「台湾」カードの利用なのか、政治謀略がはげしい国であるだけに、その背後に流れる深謀遠慮を、いま解析するのは難しい。
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(読者の声1)中国の反日ブーイングにより、日本の若者達のナショナリズムが覚醒されたとの指摘ですが、当の中国の若者達は事の重大性に気づいていないのではないでしょうか?
 あのスタジアムに集まった若者達は、どこか遊び半分で反日ブーイングをやっていたと思われます。その中には日本の音楽やファッションを楽しむ若者もかなりいたでしょう。中には日本留学や日本で働きたいと思っている子も少なくないと思われます。やはり韓国人同様に、中国人にも日本に対する甘えのようなものがあると思います。
  アジアカップ開催中に宮崎さんは中国を旅行され、日本に強い関心持つ若者達と交流されたようですが、情報が閉鎖された社会にいる彼らには、今回の反日ブーイングにより、日本の若者から嫌悪、白眼視の対象となってしまったことに気づいていないように思われます。
 彼らが来日したとしても、日本人の冷たい視線にさらされることになるわけで、新たな摩擦にならなければよいと思うのですが。     (MT生)


(宮崎正弘のコメント)北京は急遽、サッカーのファン倶楽部組織化などを推奨し、応援のモラルを教え込もうと方針を修正しました。これまた「江沢民」路線の大幅な修正です。
北京オリンピック直前の出来事が「良い教訓」となれば、まぁ一歩前進ということでしょうか。


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(読者の声2)中国の政治人脈を表現するとき、よく「上海閥」という言葉が使われます。江沢民を筆頭に側近の曽慶紅や呉邦国、黄菊などがそうだといわれます。
しかし、上海は先生もお書きのように「上海はむかしからグローバルな視野にたっての教養人が多い。文壇の中心でもあり、ファッションの遡源地域でもあり、北京の愛国姿勢を軽蔑している。」とのことですから(郷土出身者を誇りや利権の繋がりとは見ずに)、実は「江沢民らの政治屋を嫌っている」となるのでしょうか。
 上海出身には朱鎔基や銭其琛もいますが、彼らは上海閥には入らないのでしょうか。とすれば上海閥とは単なる地名でなく、何かの組織をさしているのでしょうか。


(宮崎正弘のコメント)厳密に定義はありません。「上海閥」とも「上海幇」とも言いますが、それはときとして江沢民派と意味したり、或いは単純に上海出身者を意味したり、また時には利権構造の文脈で特定のグループを意味します。
 出身グループとしての定義なら朱前首相も銭前外相も「上海閥」に加えられるでしょうし、不動産取引における利権グループを意味する場合においては、呉官正、黄菊、呉邦国李長春らが加わって特定のタームと化ける。組織はありません。便宜的は発生し、付和雷同、そのときそのときの合従連衡を繰り返しながら、つぎの政変では、また局面が変わります。さしあたっては江沢民が一昨日(9月19日)の中央委員会最終日に党軍事委員会主任を引退したため、次の“上海幇のボス”が誰におさまるのか、曾慶紅の捲土重来はあるのか、そのあたりからドラマの新幕というところでしょうか。
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(おしらせ)拙論「北京、南京、トンデモ反日記念館めぐり」が発売中の『新潮45』10月号に掲載されております。
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(サイト情報)パウェル米国務長官が米議会上院政府活動委員会の公聴会で「イラクの大量破壊兵器の備蓄は発見されることはないであろう」と述べた証言(9月13日)は、以下の証言のあと行われた。
http://govt-aff.senate.gov/index.cfm?Fuseaction=Hearings.Detail&HearingID=202
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◎宮崎正弘のロングセラーズ◎
『中国財閥の正体―その人脈と金脈』(扶桑社、1600円税込み)
『中国のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房、1500円+税)
『拉致』(徳間文庫、590円+税、以下同)
『ネオコンの標的』(二見書房、1500円)
『ザ・グレート・ゲーム』(小学館文庫、476円)
『いま中国はこうなっている』(徳間書店、1500円)
『迷走中国の天国と地獄』(清流出版、1500円)
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(C)有限会社・宮崎正弘事務所 2004 
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創刊日:2001-08-18  
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