国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2004/09/03

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
    平成16年(2004)9月3日(金曜日)
          通巻 第905号  
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「イスラム」と「イスラム原理主義」と「イスラム原理主義過激派」の峻別
  三島の議魚とテロリズムを同一視する愚かさについて(2)
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 もとよりイスラム教はユダヤ、仏教、ヒンヅー、キリスト教に比較すると誕生から千三百年しか経過していない若い宗教だ。

  そのことは既存の宗教世界に無用の警戒心を産む。ハンチントンが「文明の衝撃」のなかで21世紀の戦争が「キリスト文明 vs イスラム文明」などと浅薄な歴史観をのべたことに象徴されるように西側はキリスト教文明を基本とするからイスラムを誤解している。

 イスラムは基本的に寛大な、優しい側面をもつ宗教である。

  ちょうど浄土真宗に酷似していると言えるかもしれない。念仏を唱えて刻苦勉励すれば悪人でも極楽へいける、と親鸞は説いた。アラーは一日に五回メッカに向けてお祈りを捧げれば神に近づけると説いた。
 浄土真宗の徒らは信長の軍事力にもひるまず、長島一揆では三万人が殲滅された。彼らは仏の教えに殉じたのである。

 古代中東に栄えたのはゾロアスター(拝火教)だが、ユダヤ教が最初にこうした砂漠の原始的な信仰を基盤に「旧約聖書」の世界を築く。その後に、「ユダヤ教の改革」に立ち上がったのがイエス・キリストで、既存勢力のユダヤが新興宗教・キリストをカルト扱いし、弾圧するのも当然である。

 そのころ南アジアに起こったのは「ヒンズー教を改革」しようとした釈迦が仏教を広める。

 仏教は激しく拡大し、アジア各国へ伝えられて燃え広がり、儒教の中国を経由して日本にきたあたりが絶頂期、その後は内輪もめ、分裂、そして衰退へと至る。今日の日本での仏教の扱いは葬儀産業と同列なレベルにまで落とし込まれている。

 キリスト教も「新約聖書」が成立し、ローマで国教になるのが絶頂期でその後は分裂、カトリックは「正教系」とローマとなって対立し、さらに分裂を繰り返し、改革運動の後はさらにローマ・カソリックとプロテスタントに分裂した。

 仏教もキリスト教も熱狂的な時代は終わり、衰退もしくは停滞期に入っている。欧米では科学が進展すると「神は死んだ」派や、ダーウィン派、そして新興宗教・マルクス思想が生まれた。

 イスラムは絶頂期である。若いがゆえにエネルギッシュである。

 スンニ派とシーア派の対立はあるが、異教徒との戦争を継続するほどの純粋さは希薄になり、世俗化が激しくなった。それゆえに過激セクト、超過激カルトがでてくる。ラディーン一派は、どう見ても狂信的カルトで、本来のイスラム思想からは乖離している。

 「日本赤軍」と日本人全体とは関係がないように、「オウム真理教」は同じ日本人と言っても日本中が迷惑を被ったように「テロリスト」とイスラム世界は同じではない。

 こういう風に考えなければ、イスラム教についてほとんど無知な日本人であるゆえに根本的錯覚を起こしやすいだろう。

 宗教をあつく信じるブッシュ大統領は異教徒にも寛大である。
  常に聖書をそらんじ、大統領就任演説でも三十三回、聖書から言葉を引用したブッシュは、事件直後、米国内でアラブ系の人々や店補を襲う事件が頻発したことを憂慮し、直ちにワシントンのモスク(イスラム寺院)を訪問した。この場面を見ただけで大半のアメリカ人は今度の軍事行動の本質を了解した。

かくして「9月11日テロ」に寄って世界は大きく変わっていくだろう。基盤に「宗教戦争」があるとはいっても十字軍のときのような素朴で原始的な宗教対立ではなく、宗教信条を民族を乗り越え、リアリティを重んじた紛争が引き続くだろう。
 (拙著『テロリズムと世界宗教戦争』(2001年、徳間書店刊より抄出)
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(読者の声1)今回のイスラム・テロとパールハーバーの結びつきを否定することについて(小誌、904号)。非常に共感を覚えました。CNN やFOX では当時は日常茶飯事でした。
私にはそれよりも「神風」という言葉の方が耳に障ったような気がしますが・・・。
日本の戦争に関する考え方という意味では同じことを議論しているのだと思います。周りの日本人でさえ雑談の中で、そんな結びつきを正しいもののように語ることがありました!
 そんな結びつきを徹底的に否定するための情報をイスラム教側から紹介させてください。私は専門家ではありませんので、情報源が正しいかどうか、それはわかりませんが、情報源は『イスラム過激原理主義―――なぜテロに走るのか」(藤原和彦著。中公新書)です。

以下引用(pg 147、第5章 武装闘争、官能的な天国観と殉教)から。

「イスラム聖戦の精神的指導者、シャミの言葉より、「天国でシャヒード(殉教者)は最もデリシャスな食べ物、最も甘味な果物、そして肉の中でも最も柔らかい部分を取ることできる。天国は楼閣、流れる川、草木の茂った草原からなる世界だ。殉教者また神の右手に座り、72人のフールが付き添う。この生活への最短の道がジハード(聖戦)だ。」と

 またフールに関する説明として、同じ本のpg 146 〜147 にかけて井筒俊彦の解説を
引用していて、下記のとおり、以下引用。

「古アラビアの伝説で天上の楽園に住むと言われている神女「「白色の乙女達」」の
こと。西欧ではペルシャ化されたフーリーという名で有名で、イスラム教の天国の官
能的性格を示すものとしてよく引かれる。イスラム教の伝承によると、信者は死後楽
園に入ると同時に彼女らに迎えられ、地上においてラマダン月に段食した日の数と、
善事を行った数だけ彼女らと歓を交えることが許されるが、しかも彼女らは永遠に処
女であるという。」

少し長い引用で申し訳ありません。が、太平洋戦争当時、「フール」に会うことを夢見た日本の特攻隊員が、恋人と別れを偲んで最後の一時を過ごしたなど、想像もできません。日本人にとってのその当時の殉死は、祖国や自分の村、両親、恋人を守るためだったわけだし、イスラムの人達にとっての殉死は、上記引用から説明できるのだとしたら、一体どこに共通点があるのかと、本当に不思議に感じます。
         (YR生、)


 (宮崎正弘のコメント)冒頭に記した通りです。イスラムの基本は寛大な精神であり、戦前の日本人は、たとえば大川周明がそうであったようにイスラムの研究に没頭したものでした。●


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(読者の声2)どうも、韓国が極秘に核開発していたようですね。NPT違反を犯して、イランの100倍の量にあたる高濃縮ウランを生産していた。
 韓国政府は「少数の科学者が自主的に実施したもので、政府は関与していない」と釈明しているが、信用できますか? 
高濃縮ウラン生産を、政府も軍も関与せずに、少数の科学者だけでやってのけたというストーリーを信じてくれというほうが無理じゃないですかね。設備も予算もいるだろうに。
 これが分かってみると、これまで反米デモが激化しても韓国政府が涼しい顔でいられたのは奥の手があったためかと勘繰りたくなる。
「米韓同盟」もぎくしゃくするでしょうね。
 ところで「IAEAの査察で事実が発覚する前に、(韓国が)自主的な公表に踏み切った可能性がある」と読売は推測してるわけですが、これって、右翼が騒いで発覚する前に裏金供与を自主的に公表したナベツネと似てませんかね。
        (NK生、 福岡)


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(読者の声3)「偽憲法」「偽東京裁判」と呼称することを提唱
 中国北京の二外(第二外国語学院)で留学生生活を始めたのが2年前、二外前の地下鉄は東端・通州まで開通したようです。
3ヶ月の語学留学を経て厦門での中国企業勤務と中国生活も3年目に入りました。
  昨今、中国での「反日騒動」が伝えられ、心配をかけております。現地中国厦門では、不都合な「反日騒動」は、わずかしか伝えられず、周囲の庶民は、いたって親日的です。
官製の反日教育は、庶民に受け入れられず空中分解しているのが現状です。
  「反日騒動」は、官製反日教育の優等生(ごく一部の)が公安の庇護のもとで活動する官製「反日騒動」と推測されます。この官製「反日騒動」の根底に反政府不満分子が潜んでおり過激化するのが困る政府公安が取り締まるという、マッチポンプ状態といえます。
  今回の官製「反日騒動」の糾弾、反日の撲滅こそアジアの将来のために重要なことです。中国、韓国、北朝鮮の反日教育・官製反日は、各国政府の失政、近代史での失敗を隠し、日本悪者論で自国国民を騙している、歴史の改竄なのです。そして当の日本政府は、陳謝外交で反日をなかば認めるポーズをとり、日本の歴史教育の場は「反日教科書の総本家」のありさまです。すなわち、官製「反日騒動」の発生源は日本国の
現状そのものなのです。
  日本発の反日はアジアの将来のために罪悪となっている点に触れましょう。
「反日教育・官製反日は、各国政府の失政、近代史の失敗を隠し日本悪者論で自国国民を騙して」、反日という憎しみ・憎悪・怨念といった「負の心理」で国民を指導して独裁主義国家、非民主主義国家を維持、発展させようとしていることです。「負の心理」支配での独裁主義国家、非民主主義国家では、アジアの正常な歴史的発展は望めません。
 日本政府も謝罪外交という「負の心理」で運営され、反日歴史教育という「負の心理」で子供達が教育され半世紀以上過ぎました。現在の日本の指導層は100%反日歴史教育という「負の心理」で育った欠陥日本人です。 (李登輝前総統曰く、台湾日本の50歳代はともに教育が悪く失格、退場!)
  この「負の心理」支配(反日、日本悪者論)は、アメリカを中心とする白人世界支配の戦略なのです。19世紀の植民地支配の罪悪にすべてほおかぶりして、20世紀前半の日本の活動をすべて侵略、罪悪と位置づけ、アジアの団結に楔を打ったのが「負の心理」支配(反日、日本悪者論)なのです。これらを歴史に刻む儀式が東京裁判と日本占領時代だったのです。日本占領時代の東京裁判と日本国憲法は、歴史的政治的にまったく無効なのです。(中国流には偽東京裁判、偽日本国憲法といいます、これが真実でしょう)
  一刻も早く日本と日本人は、東京裁判と日本国憲法の無効を宣言し、新しい「正の心理」の歴史的政治的立場をつくる必要があります。 そろそろ人の良い日本人も眼が覚めても良い時期かと、隣国厦門で思っております。      (TT生、アモイ)
 

 (宮崎正弘のコメント)いつも愉しそうなアモイ報告を有り難うございます。「反日」より、福建省は「反・北京」で凝り固まっているんじゃありませんか(苦笑?)。
 ご指摘の二外国前からの地下鉄は、四恵で乗り換えますが通州まで、繋がりました。先月、小生のこの路線に乗りました。
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(おしらせ)地方取材および講演旅行のため9月6日,8日―10日付けの小誌は休刊の予定です。
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◎宮崎正弘のロングセラーズ◎
『中国財閥の正体―その人脈と金脈』(扶桑社、1600円税込み)
『中国のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房、1500円+税)
『拉致』(徳間文庫、590円+税、以下同)
『ネオコンの標的』(二見書房、1500円)
『ザ・グレート・ゲーム』(小学館文庫、476円)
『胡錦濤 中国の新覇権戦略』(KKベストセラーズ、1460円)
『いま中国はこうなっている』(徳間書店、1500円)
『迷走中国の天国と地獄』(清流出版、1500円)
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