国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2004/09/01

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
   平成16年(2004)9月1日(水曜日)増刊号
       通巻 第903号  
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「反日サイト」を閉鎖、東山島での台湾侵攻軍事演習を中止
   “上海幇”追放の宮廷内クーデタが準備OKなのか? 
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 異様な事態の連続である。
 江沢民の面子に泥を塗る行為でもある。

 第一は8月31日、突如として中国当局は「反日サイト」を閉鎖した。
 第二は台湾の目の前の東山島で展開されてきた中国人民解放軍の台湾侵攻を想定した軍事演習が先月末に突如、中止されていたこと。
 台湾も呼応して軍事演習を中断した。

 この二つの出来事は狐につままれた状況を産み、専門家のあいだでも「迷解説」がでてきた。
 曰く「北京オリンピック、いよいよ目の前にして、すこしは大人になったからだ」。

 もともと江沢民の院政を快く思っていない党高層は夥しくいる。
 長老連中に至っては総すかんと言って良いだろう。

 胡錦濤は、就任直後に故意に毛沢東が籠もって革命のビジョンを描いたという村に滞在し、その後地方視察を繰り返して庶民の味方を演出した。

SARS騒ぎの時は、上海に隠れた江沢民とは対照的に、全国各地を視察し、病院関係者を積極的に激励、国民の人気を得ることに成功した。そして北戴河の幹部会議を中止し、奥の院の密議による非民主的決議スタイルをあっさりと放擲した。

 胡vs江の水面下の暗闘は抜き差しならない段階にきていることは事実である。
 表面は二人がニコニコ握手する。面従腹背の芸当は、まさに天才的芸術の域。

 反日サイトの中断は、小生が度々指摘したように「反政府」「反共産党」の記号に用いられてきたからである。
高速鉄道に日本企業がからむとか、オリンピックへの地均しとか、たしかにそうした一面もあるが、大局的ではない。
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(読者の声1)日経新聞に連載された山口淑子さんの「わたしの履歴書」ですが、その後の彼女の中国首脳陣との付き合いからいって、ああいう発言をせざるを得ない面があると思う。その点、現代においても中国の伝統的な外交巧者を感じさせる。
と同時に中国の内部の統治の難しさや、権力争奪の動きも垣間見ることが出来る。
なお山口淑子さんの行動を冷静に観察すると、旧満州時代は旧軍部に、戦後は見事に女優にカムバックし、そして米国に行き、有名なイサム・ノグチと結婚(と離婚)をし、更に彼女の発言趣旨とは凡そ矛盾する自民党議員に、更に日中関係が復活すると早速過去の経緯を武器に中国首脳陣にといった具合に正に絶えず脚光を浴びるポストに居座っている。
これを明哲保身の術というべきか、或いはヌエ(鵺)性格と見るか。
がいずれも日本人離れした大陸的な大柄な演技・演出の持ち主であるには間違いない。もちろん日本も戦前の行為に反省をしなければならないが、年から年中反省を強要されるようでは正常な関係とは言い難いし、先が思いやられる。日本のデポロマシーも権謀術策にあけくれた大陸国家の爪の垢でも啜り、執拗狡猾に国益を護って欲しいものだ。
(MI生)


(宮崎正弘のコメント)各方面で様々な波紋を呼んだようですね。山口女史の自叙伝は。最後にロシア人の親友と50余年ぶりに再会するあたり、その謎めいた戦後を書かないあたり、やっぱり書きたくないことがたくさんあるんでしょうね。
 小生は、通読して山口女史の「良識過剰」、「強迫観念としての贖罪意識」を随所に感じました。
 戦後三十年ぶりの訪中に際しても彼女のホテルに孫平化がやってきて夜中まで「査問」した、などというくだりも、中国側の論理を基盤に回想していて、がっかりでした。
 ああみえて、彼女はじつに恥ずかしがり屋で、ナイーブなところがありますね。往年の大スターと言っても、小生らの年代から見れば「化石」のような方ですが、一度、母親に一緒にテレビに出たと言ったら驚いていました。父親も李香蘭の名前を知っていました。しかし小生にとっては「親の代のスター」というわけで感慨も感傷もありません。
 そのうえ、満州建国、その理想に対しての彼女の投げやりとも言える評価は、歴史家でもない彼女にそれ以上の愛国を求めることは無意味でしょう。


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(読者の声2)毎号楽しみに愛読してゐます。ところで、8月30日(月曜日)附の通巻第900号の記事と同じもの(一字一句付け合せてはゐませんので完全に同じとは断言しませんが)が、8月30日附の「台湾の声」に、「【論説】中国の水不足と環境汚染で民族大移動 宮崎正弘」として、配信されてゐます。ところが、「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」からの転載とか、貴台の諒解のもとでの掲載とかの断り書きの類は全くありません。
筆者の貴台ですら、文末で、「本稿は『新潮45』7月号に掲載したものです。発売期間から二ヶ月を経過しましたので再録します。ただし、雑誌掲載の文章と必ずしも一致しません。ゲラの段階で雑誌の特色と読者向けのための修正が一部行われることがありますので。」と断り書きをしてをられるのに、転載をした方が何も記さないといふのはどういふことなのでせうか。
これでは、どう見ても、「台湾の声」のために御執筆になつたといふことになります。
そもそも貴台はさういふ形式の転載を許可されたのでせうか。それとも「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」の記事は一切の断り書きなしに自由に転載できるのでせうか。
           (SN生、横浜)


(宮崎正弘のコメント)以前「転送自由」とは謳っておりました。雑誌掲載再録の文章を他の媒体が転載の場合は発行者においてなんらかの考慮が必要だと思います。「台湾の声」の場合は、拙メルマガを同士だと思ってくれているようですが。


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(読者の声3)ちょっと時間が経過しましたが、先ごろの重慶でのサッカー試合において、中国人の観客が騒ぎ、日本人観戦者が会場を離れることができず、手配されたバスの到着まで2時間も競技場で待機させられるという「事件」がありました。このとき、在北京の日本公使も会場を出るとき、公用車が「暴徒」に取り囲まれ、人身に被害はなかったものの、後部ガラスが割られるということがありました。搭乗していた公使(氏名を知りません)も、さぞ恐怖したことと思います。誠に気の毒ではありますが、よく考えて見ますと腑に落ちない点があります。
 というのは日本公使が会場を後にしたのは、何時の時点だったのでしょうか。多数の渡航邦人の身体への危険が危惧され、そのための安全措置が要請されつつあるとき、同じ場所にいた公使は、同胞を置き去りにして、その場を離れたのではないでしょうか。日本人サポーター全員が無事に会場を出発したか、または出発するのを確認して、自身もその場を離れたのでしょうか。このような場合の公使の行動規範が公務としてどのように定められているか分りませんが、この日の公使の行動をマスコミが検証したものを見聞きしません。ことによるとこの日の公使の「被害」は、在外公館職員の業務である邦人保護の責任を一時的にも放棄した結果、招来したものではないかという疑念すら持ちます。
もしそうならこの日の事件は、「公使に加えられた被害事件」ではなく「公使の職務放棄事件」として、例の「瀋陽領事館」事件の失態につぐ、大事件と見るべきではないかと思います。外務省本省はこの事件をどのように、査察したのでしょうか。何か情報をお持ちでしたら、解説していただきたく御願い致します。イラクでの2人の外交官の殉職の記憶は鮮明であり、古くは明治十五年の朝鮮公使館殉難事件、大正九年の尼港殉難事件における在外公館の奮闘の功績を思い起こすと、在外公館に課されている「邦人保護」の責任と、またそのことへの国民の信頼の大きさは、多大なものがあると思います。今日の外務省はもっとそのことについての意識をしっかり持って欲しいと思うからです。
       (kI生、東京)


(宮崎正弘のコメント)公使より「大使」ではありませんか? 阿南大使は観戦後、まっしぐらにパトカーに守られて公邸に引き上げられたそうです。阿南陸将の息子とは思えない行動ですが、彼はチャイナスクールの中心人物のひとり。さもありなん。
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◎宮崎正弘のロングセラーズ◎
『中国財閥の正体―その人脈と金脈』(扶桑社、1600円税込み)
『中国のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房、1500円+税)
『拉致』(徳間文庫、590円+税、以下同)
『ネオコンの標的』(二見書房、1500円)
『ザ・グレート・ゲーム』(小学館文庫、476円)
『胡錦濤 中国の新覇権戦略』(KKベストセラーズ、1460円)
『いま中国はこうなっている』(徳間書店、1500円)
『迷走中国の天国と地獄』(清流出版、1500円)
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創刊日:2001-08-18  
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