国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2004/08/24

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
     平成16年(2004)8月24日(火曜日) 増大号
           通巻 第894号  
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◎本号はニュース解説はありません。
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<<宮崎正弘の近況>>

(某月某日)ミニコミ誌の『月曜評論』が34年の歴史に終止符をうって「休刊」となった。悲しくて、切ない気分になる。
 おなじ金澤出身の中沢茂和編集長から電話で教えられた。
 同紙が創刊当時、保守の雑誌はと言えば『自由』と『諸君』しかなく、保守派言論人が糾合して週刊のタブロイド新聞『言論人』が細々と刊行を続けていた。もっと活力のある保守の議論をしよう、と東京工業大学の桶谷繁雄・元教授と鹿児島地裁の飯盛重任・元所長が中心となって呼びかけられ、資金も集め、当初は千駄ヶ谷にオフィスを構えて、昭和46年に創刊された。飯盛裁判長は、例の「飯盛書簡」で、朝日新聞から攻撃された硬骨漢、兄上は田中耕太郎(最高裁判所長官)。よく狛江のご自宅へも伺ったが、音楽家の長男はドイツへ留学されて交響楽団のメンバーだった。長男の嫁さんはドイツ人。奥さんは英語が得意、飯盛さんはご自身がピアノを弾く。ある日、飯盛邸で同席したのは鬼頭史郎氏だった。
 桶谷さんは学生時代に何回か講演をお願いした。
科学者なのに、大変な文才の持ち主で文士劇にもでた。その楽屋で「桶谷さんの演技は下手だねぇ」と小林秀雄が石原慎太郎に言うと、後ろで化粧を落とさずにいたのが桶谷教授そのひとだった。第一回夏目漱石賞を受賞されているが、文士劇のできごとからすっぽりと小説を書かなくなった。
 『月曜評論』創刊までの経緯は、小生自身も黛敏郎氏と桶谷繁雄氏との対談を進めていたときに直接聞いた。
 飯盛さんが亡くなったとき、千日公会堂の葬儀で弔辞をよんだ桶谷先生は途中で号泣した。熱血漢がふたりで創刊したミニコミ誌だから、左翼には絶対に譲歩しない。中途半端な保守派、擬制の保守論客にも容赦なかった。
 月曜評論は、その後紆余曲折、有為転変があって、ラジオ日本に一時経営権が移り、中沢茂和氏が編集長からおりて『文武新論』を創刊されたが、また編集長に返り咲き、経営も独自路線。週刊のスタイルは月刊誌と衣替えし、硬質な愛国論調を前面にしてたたかう雑誌だった。
小生も随分といろいろなことを書かせてもらった。そういう意味でも想い出が深い。
 最終号は西村真悟、松原正、遠藤浩一、高森明勅の各氏らが力作を並べている。歴史的使命を終えたか、どうかは別として、バックナンバーは歴史の証言録にもなる。


(某月某日)書斎にたまった“ツンドク文庫”から三冊ほど抜き取って、おもむろにバスに乗る。最近、もっとも効率的な読書方法と考えるようになったのは、バス、電車を乗り継いで(それも来た順番に方向を構わず、着いた駅でふらりと次の電車を待ちながら)本を片っ端から読むのである。
 土曜日が多いのも通勤ラッシュも行楽ラッシュのないからだが、こうやって読み進むと結構はかどる。
 読みかけだった山室信一著『キメラ』(中公新書)。じつに不愉快な本である。自虐史観で満州建国を裁断し、要するに満州国の建設と崩壊は馬鹿だった、と軍と関係者を糾弾している。背後にあったコミンテルンの謀略を一顧だにしていない。ただし、旧満州関係、なんでも目に留まった書籍は読むことにしているので、不愉快な本でも巻末の参考文献などで収穫になることもある。本書は浩瀚で、かなり精密に読んだが、読後感はやはり「不愉快」。
中国人とロシア人が書いた本かと思えるほど愛国の視点がない。
 対照的に、おなじ中国を論じても共産党の草創期から延安までを、ダイナミックに活写しながら広東人脈の怨念を、一種ユーモラスに綴ったのが譚路美さんの『中国共産党 葬られた歴史』(文春新書)。いやはや、これはでてから二年以上経っていることを忘れていた。「ツンドク」に二年間ですか。
譚女史はニューヨークに居住して、ときどき驚くような仕事を次々とこなされ、個人的にお目にかかったことはないが、注目してきた。とくに89年の天安門のときの学生指導者を追ってのルポは読み応えがある。
 彼女の大叔父は毛沢東、周恩来にならぶ共産党草創期の大物だった譚平山。その甥の譚天度は、国民党幹部にして共産党幹部であり、民主第三党を組織して、とうとう政治協商会議をまとめあげた。それが毛沢東、周恩来との密約であった、と推定し、その歴史的証拠をおって何回も広東に関係者を訪ね宛てる。この本、へたな推理小説より遙かに面白い。
 第一次国共合作は国民党が圧倒的に強く、共産党員が国民党員を兼ねるのは常識だった。
蒋介石の反共クーデタでは30万以上の青年が殺された。
さて思い出すまま、その日の乗車コースを辿ると、バスで音羽から江古田へでて、私鉄に乗り換え、鈍行を乗り継ぐうちに所沢へでたようだ。ここで一冊読み終わったので、その駅で降り、駅前商店街の豚カツ屋で昼。それから次の本を読み始めると飯能かとおもいきや川越に着いた。
途中の景色を一切見ていない。混んだ電車には乗らない。座れなければ意味がないし、急ぐ旅でもない。逆戻りすると急行の池袋行きだった。また乗り換えて飯田橋。ここで電車に疲れたので、喫茶店にはいり、そこで一時間ほどいてもう一冊も読みおえる。
 家にもどってさらに一冊。
田中秀雄『映画に見る東アジアの近代』(芙蓉書房出版)。
 この本もまたずるりと引き込まれるほどに魅力に富んでいて、じつに面白い。冒頭に黒沢明の「七人のサムライ」の舞台設定が満州と酷似するという「映画解説」。思わず唸った。
 戦国時代に設定を置き換えているが、満州となぜ似ているか。毎年、農村はこうりゃんが背丈ほどのびる収穫期になると武装する土匪、匪賊、強盗団に襲われ、自衛のために、食い詰めたサムライを雇う。軍事のレアリズムに秀でるサムライは農民にも戦争戦法を叩き込み、おそってくる匪賊を退治する。
 満州もまた開拓に行った日本人の村は満蒙土匪や強盗におそわれ、自警団を組織した。雇われ軍隊には本土の食い詰め組も多かった。
 ともかく田中氏は、この『映画に見る東アジアの近代』のなかで、市井にはびこる映画評論家の左翼的インチキを一方において批判しながらも、他方では「時代」「歴史」の、しっかりした眼をもって、名作を再分析していくのである。
 こうやって活字に浸りきっているうちに夜が来た。


(某月某日)呉善花さんが熱海の別荘に誘ってくれる。熱海では恒例の花火大会が開かれるのに合わせ、新幹線で酒瓶かついでやってきた「おじさん三人組」は井尻千男、加瀬英明の両氏に小生。
 駅で迎えてくれ、SUVのクルマを運転するのも呉さん。やはり韓国軍人あがり、運転は鮮やかである。海岸通りは海水浴客でごった返し、通り抜けるのに30分近くかかる。それから山道に入り、海抜500メートル。
周辺は緑が深く、じつに空気がおいしい。景観は綺麗で、そのうえ猛暑をわすれるほどに涼しい。
 さて呉邸は敷地が150坪ほど、入り口に奇岩が並び小さな滝の施設も。家屋は完全に日本式。温泉も引いておられる。テラスは森に囲まれ、静謐そのもの。
 なるほど、次々と名作を産む呉善花さんの書斎を兼ねているのだ。
 そのテラスで姪御さんも手伝いにかり出されており、まずはビール、珈琲でひとしきり世間話のあと、加瀬さんが持参の「越の寒梅」を始める。そのうちに日が暮れてきて、遠くで花火が始まり二階でバーベキューに舌鼓をうちながら、こんどは「やまねこ」(対馬の焼酎)。小生が持ち込んだレミー・マルタンはまだ出番はない。
 花火は遠景からみると映画の回想シーンのように夢幻の世界となる。文化論と哲学的(?)はなしにも厭きたので、つぎにカラオケ大会をはじめる。気がつくと越の寒梅はカラっぽ。焼酎も半分以下に減っている。
 そうとう酔って来たので近くのホテルへ退散した。
 翌朝、目覚めるとまっすぐに歩けないので、井尻先生を誘って、ホテルの一階にある朝風呂へ。そこでさっぱりして、覚醒した。
ホテルをチェック・アウトし、再び、呉邸でこんどは西洋式の朝飯をいただく。帰りの新幹線では加瀬さんとビールで迎え酒。井尻さんはお茶なぞ。
 ひさしぶりにゆっくりとした気分を味わえた。


 (某月某日)「路の会」のゲストは西岡力さん。西岡教授は数々の証拠を示されながら北朝鮮は核兵器ならびに長距離弾道ミサイルを保有したと言われる。
 拉致問題に、その日は触れない。
小生は「パキスタンの核はサウジが胴元で中国が技術を供与したと考えられますが、さてパキスタン、中国は55年にわたる軍事同盟。その宗主国たる中国が黙認しないかぎり、パキスタンへ北の核とミサイル技術がいったとは考えに国のではないか、まだタリバン攻撃に際して、アメリカはなぜパキスタンの核には安心していたのでしょうか」と質問した。
 同様に片岡鉄哉、黄文雄、小田村四郎、小田普氏らから質問がつづき、例によって、この会が終わるのは夜10時を廻る。それから西尾幹二氏を中心に二次会が始まり、終電間際まで談論風発。論壇の情報交換などが続いた。


(某月某日)昼をミッキー安川氏と広尾の新山王ホテルで摂る約束ができたのは二日前。
雨のなか、タクシーをとばして行ってみると、警備員が「まだきていない」と返事。つまりミッキーが来ないと、小生は門から先へは入れない。米軍将校専用のホテルだから警備は大使館並の厳しさ。もちろん、写真付き身分証明書が必要。
 さて、門で30分待って、「あ、忘れているな。ミッキーさん」と気がつく。帰ろうとしたときにミッキーと共通の知り合いのボブ夫妻が自家用でやってきたので、「やぁ」と手をあげ、ついでだから中へ入れてもらう。ホテルの内部は「米国主権」。だから通貨はドルしか通用しない世界。このバァ、ハリウッドやラスベガスのような雰囲気が面白いので、やおらビールを飲む。そこでボブ氏と議論になった。
イラク戦争?違います。パラ・サイコロジーのはなし。
 ボブ氏は17年間をアジアでたたかった空軍情報将校。ベトナム、ラオス、タイ、台湾は馬祖島でも勤務体験がある人。
この超心理学(パラ・サイコロジー)というのはソ連が謀略に用いた形跡がみられ、催眠によるだましから、医療、通信。相手の心を遠隔地で読みとる技能などを言う。
とくに深い海にもぐった状態でロシア潜水艦同士が地球の西と東で通信をしあった例などがある。
 ボブ氏、元横綱の曙がF1に転じたときに、管理トレーニングをおしえるほどのスポーツの理論家だが、じつは8つもドクターをもつ医学者である。そのかれが「現代医学で、決定的に欠けているものは何か。それがパラ・サイコロジー」と言う。
 それにしても、小生、どうしてこういう超常現象的なはなしも好きなんでしょうね。ときに分からない語彙が混ざるので会話に苦労したが、またたくまに二時間。バアにミッキーから電話がはいり、「いっけね。忘れてた」。
 でもあの人が加わるとパラ・サイコロジーの会話は、どこでどうやって決着していただろう?
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(読者の声1)石原知事が15日靖国参拝の際ぶら下がりの質問に答えて来年是非天皇陛下に靖国神社参拝をお願いしたいと言ったが、その際『天皇陛下が私人として参拝』という奇妙奇天烈なことを言っていた。が天皇陛下に私人などということは建前からも実質からも金輪際ありえないと私は理解していたのです。が、そうではなくて、天皇陛下も私人の瞬間ってあるのでしょうか?
いずれにせよこの石原発言は単なる錯誤によるものと理解しています。でも最近の皇太子殿下のご発言、雅子妃殿下のご環境などをみると皇室にも私人があるかのような俗論が出てくるのは分かるような気がしますが。一歩譲って天皇陛下に私人としての立場がありうるとしても、靖国神社は天皇陛下として参拝されてこそ意味があるので、石原知事に限ってこの私人発言は錯誤に違いないとは思いますがね。         (AO生、世田谷)

(宮崎正弘のコメント)もし、石原都知事がいうような事態が起きるとすれば、三島由紀夫が預言したように「ニュートラルで、なにもない日本」ということでしょう。ことしの「憂国忌」、11月25日午後六時。いつものように九段会館です。



(読者の声2)江沢民の私軍と化した人民解放軍の恐ろしさをひしひしと感じる今日のレポート。中国に対するODAはもちろん隠れた国際協力銀行経由の援助も含め、日本は何をしてきたのでしょう。たまたま昨夜、篠田正浩監督の「ゾルゲ」をNHK衛星TVで見ましたが、まるでゾルゲ・尾崎賛美かと見まごうばかりの作り方に強い違和感と怒りを持ちました。
今日の書評(貴誌8月23日付け)で取り上げられた三田村武夫著『大東亜戦争とスターリンの謀略』の復刻版はまさにタイムリーで、さっそく探しましたが、売り切れです。そんなに売れているのなら世の中捨てたものでもありませんか(古書市場でも探しますが)。        (HS生、豊橋)

(宮崎正弘のコメント)篠田監督のゾルゲは、まさにスパイ礼賛、愛国と正反対の立場の映画ですね。国民の殆どが違和感を持ったと思います。
それからODAですが、対中国援助は終わっていません。例の「毒ガス化学兵器撤去」です。村山、河野、橋本が認めてきた経過はご存じの通り。すべての残存兵器は「日本の費用で」 となりました。んな、馬鹿な。
 合計一兆円になんなんとする「大事業」です。兵器解体作業、その置き場所から、解体工場まで、日本の業者が入ります。危険な作業もなんのその、群がる業者。形をかえての対中国援助です。
 何を考えているのか、気の遠くなるようなことを考え出す、自称「日本人」がいますね。



(読者の声3)5月20日ごろに2ヶ月かかるとして始まった台湾総統選挙の票再集計の結果をご存知ありませんか。先日、日本に住んでいる台湾人実業家にどうなっているのかと尋ねたら、結果なんか出るわけない、と言って笑っていましたが
         (ST生、神奈川)

(宮崎正弘のコメント)まだ結果は出ておりません(8月23日現在)。裁判官いがい、開票できないのですから、少人数の裁判官が手間暇かけて、開票を一票一票、確認しているんですよね。まだまだ時間がかかりそうです。
これは中国人の考え方、遣り方、非常にわかりやすい事件です。負けても負けたと言わないのが、かれらの原則ですから。やはり台湾人と中国人は違うのですよ。


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(読者の声4)そうすると軍事委員会も党から独立しているわけ? 前近代的よりも、反マルクス・レニン主義だね。次に胡錦濤が党から独立した政府を作って、江沢民に対抗するのかな。(参照「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」、平成16年(2004)8月23日(月曜日)の「面妖なり、軍が党の顔色を窺うのならともかく、党が軍に阿諛追従。江沢民チルドランの元凶は、この「軍党逆転」の悲劇に存在するのではないか」をめぐって)。
(TK生、港区)


(宮崎正弘のコメント)トウ小平が生きていたとき、称号は「最高実力者」でした。江沢民は、いま「最高指導者」だそうです。いずれも憲法に書かれていない超法規的地位です。江沢民は「中央軍事委員会」の主任と「党軍事委員会」の主任です。一応、法的な根拠はある。
国民党時代の台湾も軍に「政治将校」がいて、オモテの軍の序列より偉かった。行政でも「省長」より、「省・党書記」が偉いように、法律とは関係のないパワー・バランス。
 小生の申し上げた「軍党錯綜」は、あくまでも比喩ですが、胡錦濤は三月の全人代でも江沢民を先に歩かせたほど、依然、へりくだった態度で、徹底的に江沢民をたてています。江沢民は、子飼いの曾慶紅(政治局常務委員序列第五位)を次期軍事委員会主任に就けて、ようやく引退という野心のようです。中国の人物中心の権力闘争を、やはり『三国志演義』風に見るのが正しいと思っています。


 ♪
(読者の声5)「空白の10分」問題について(編集部注=5月22日の小泉訪朝では、通訳を入れずに金正日と小泉の会談が行われ(通訳は北側のみだった)、なにか大きな密約をしたのでは?と推測があがった。最初の定義は中西京都大学教授、ついで西尾幹二氏らが問題を追求している)。
 
(1) クライン孝子女史がこの問題でコメントした、最大の間違いは、「北朝鮮は小泉を落とし入れようといる」 という前提に立っていることだ。
 小泉を落としいれようとする北の情報戦略であるという認識がクラインさんの基礎認識である。田原の金永日インタービューにおいても、金永日は「小泉首相サマ(朝鮮語では 「任」=ニム)こそが日朝関係の重要性を理解し、建設的に対応しようとして具体的に政策を打ち出してきた初めての日本の総理」 と評価し、心から小泉政権の持続を願っていることをにじませていた。宋日昊も、小泉訪朝の事前打ち合わせでコメ支援などの約束を取り付けたときの<満面の笑み>は北朝鮮にといって小泉サマサマをにじませていた。
 小泉がいま失脚していちばん困るのは北朝鮮である。 「空白の10分」 というのは万一 真実が露呈したら、いちばんの被害者は小泉であり、ひいては北朝鮮である。
 ドイツの事情とは背後の脈絡がまったく違う。
 クライン孝子はたぶんこう考えているのだろう。
  「共産主義・全体国家はとんでもない陰謀を弄ぶ」 「日本人は国際的なことには不慣れ、非常識、無知であり、国際政治の背後でそれを動かしている多くの陰謀には土地勘もなくあまりに鈍感である」 「私はそういう問題について知識も体験もあり、皆さんとはレベルが違う」 「小泉はそういうことを分かった上で 大石蔵之助のように一見世間を欺き、金正日の警戒心を和らげなから、本来の目的を達しようとしている」。 
 そもそも東ドイツと北朝鮮では、同じ共産主義独裁でも相違点はあまりに多いし、東アジアの<国際磁場・力学構造>はまったく違う。日本国内事情もドイツのそれとは違う。西尾も中西も国際に悪について、クラインに説教されることはない。
 そんな難しいことを言う以前に、いま小泉を脅し、小泉をおだて、援助をせしめ、小泉体制の維持を図ることに腐心するのが北の利得であるという野が北のいまの立場である。「空白の10分」がばれてしまえば小泉も金正日もともに不利になる。少なくとも現状では「空白の10分」は秘め事でなければならない。
 わざわざばらして情報操作して得する人は、反北朝鮮・反小泉の勢力であるが、それはさしずめ平沼赳夫あたりということになるだろうが、彼はそんな細工はしない。「空白の10分」の本質は情報操作ではなく情報遺漏とであると見るほかない。
 小泉が大石蔵之助のような戦略的詐術を行使できる器であるとは思わない。北朝鮮へののめりこみと態度の急変を戦略的詐術の一部と見ることは不可能である。残念ながら小泉はそれほどの思慮深く根治強い策士ではない。
 
(2)緘口令、圧力とは具体的にどういうことか? 「事実は確信しているが、上層部のほうからある筋から自粛するように無言の圧録があるから止めておくように・・・」という政治的圧力なのか、「事実に決定的な自信がないので、掲載には無理がある」 あるいは「主観的には事実と思うが、書いたもので正式に残すには客観証拠が不十分」という編集者の自主判断・自粛なのか?
 最初は前者の印象を受けたが、いまは後者だったのか?という感じです。この辺の現場・当事者の感じが分からないと判断できないのだが、事実は前者であっても、表には後者の形で現れた(圧力とはそのこと) ということもある。
 
(3)もしも「空白の10分」がニセ情報であるなら、官邸は、報道関係者に自身をもって堂々と公式に否定すればいいのだが、それもなかったこと・・・・・。官邸は  日本TV が 国益に反する記事を書いたとして、訪朝同行を拒否した事件があったが、それに比べれば、「空白の10分」 など 「事実に反するいい加減なこと書くべきでない」といえば済むことである、そもそも メディアは証拠をもってそれに反論することは不可能であろう。
        (TK生、世田谷)
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◎宮崎正弘のロングセラーズ◎
『中国財閥の正体―その人脈と金脈』(扶桑社、1600円税込み)
『中国のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房、1500円+税)
『拉致』(徳間文庫、590円+税、以下同)
『ネオコンの標的』(二見書房、1500円)
『ザ・グレート・ゲーム』(小学館文庫、476円)
『胡錦濤 中国の新覇権戦略』(KKベストセラーズ、1460円)
『いま中国はこうなっている』(徳間書店、1500円)
『迷走中国の天国と地獄』(清流出版、1500円)
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◎宮崎正弘のホームページ http://www.nippon-nn.net/miyazaki/
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