国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2004/08/22

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
     平成16年(2004)8月23日(月曜日)
         通巻 第893号  
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面妖なり、軍が党の顔色を窺うのならともかく、党が軍に阿諛追従
 江沢民チルドランの元凶は、この「軍党逆転」の悲劇に存在するのではないか
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 中国は国家に従属する軍隊を持たない。
 「人民解放軍」は中国共産党に従属する。だから中国は近代国家ではない。

 その軍が、党の顔色を窺わなくなった。
あべこべに党が軍の顔色を窺うという面妖な現象が、いまの中国の力関係のアンバランス、奇矯な政治状況を象徴している。

 党に所属する軍隊などという異形さは世界常識に照らせば異常極まりないが、(つまりそうである以上、一党独裁であり、中国は近代国家たり得ない)、江沢民は軍に阿諛追従して13年間、いつのまにか、軍の高層幹部を巧妙な人事で掌握し、軍の主任ポストを奪い、昨今は好きなままの人事を展開、自分のボディガードまで将軍に昇格させたから、国内の失笑を買った。

 そうならば、制度的視点からいえば、あの巨大な人民解放軍は江沢民の私兵?

 江沢民の上海の“豪邸”は護衛が幾重にも張り付いていて、最近、撮影に行った日本人カメラによれば、写真撮影をすると拘束され、フィルムを抜き取られたそうな。

 首相官邸を撮影して、注意される国家はイスラエルなどあるかもしれない。
 それは安全保障上の理由である。
小生自身、エルサレムで首相官邸を撮影したら警備兵が飛んできた。ただし、フィルムは抜き取られませんでしたがね。

「前」の国家主席の私邸である。中曽根や森喜朗の自宅を写真に撮って逮捕されたら日本の新聞は騒ぐでしょうね。それなのに、この江沢民の私邸を撮影して、一瞬とはいえ、拘束されそうになった「日本人ジャーナリスト」のことを、日本のマスコミ、一行も書かなかった。
 要するに江沢民は依然として「皇帝」なのである。

 ともかく党は軍を指導し、軍は党をまもるために(人民を弾圧し)存在する。
 しかし軍はアルバイトのビジネスに忙しいし、党は「権力の市場化」(何清蓮)に、これまたおおわらわ。
党も軍も社会主義革命の理想をどこへ捨ててしまったのだ。
 あまつさえ、毛沢東以来の伝統を誇ってきたはずの共産党が、党の所属でしかなかった立場の軍の顔色を窺うというポンチ絵。
要するに国家主席兼党総書記たる胡錦濤が、軍をにぎる江沢民に頭が上がらないという錯綜構造!

 この状況を矛盾と感じない中国の知識人が、日本を批判する資格などあろうはずがないではないか。
この“党軍錯綜”という現状は、中国共産党史に対しても歴史的禍根を残すだろう。
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<<今週の寄贈本>>

?安東幹著『日本共産党に強制収容所』(日新報道)
安東氏はバリバリの共産党員だった。だが矛盾が多い党活動に疑念を抱くようになり、ある日、党の在り方に疑問を投げたところ、代々木の日本共産党系の「精神病院」に行くように言われ、診察と治療を強要された。
それは「監視と圧迫という屈辱的な苦しい体験だった」。
旧ソ連にも「強制収容所」があった。いまの中国には「労働改造所」(老改<ラオカイ>)がある。
文中の身の毛もよだつ共産主義者の妨害の詳細については、本書に当たっていただくとして、兵藤達吉氏らの推薦文に続き、米国のハリー・ウーの推薦がつづいている。
ハリーこそは、中国労働改造所の研究と告発で有名な活動家。日本でこそ無名だが、世界的に人権活動家として知られ、一部にはノーベル平和賞に推す声もある。
数年前にもカザフスタンから中国へ潜り込んで捕まり、懲役十年を言い渡された。たまたま中国系アメリカ人だったため、米国のマスコミと議会が騒ぎ、その釈放要求運動を無視できず、中国はハリーをとうとう国外へ追放した。
その後も、ハリーは懲りずに今度は香港へ入り、二度目に香港の集会に出ようとするが、手配が廻っていて香港入境を拒否された。ハリー・ウーの本名は呉弘達という。
 

 ?三田村武夫著『大東亜戦争とスターリンの謀略』(自由選書)
 三田村氏は戦時中の衆議院議員。しかも中野正剛について東条に歯向かい、留置されたりの波瀾万丈。本書は原題が「戦争と共産主義」で、主としてコミンテルンの謀略と、その先兵となったスパイ・ゾルゲおよび朝日新聞記者で近衛のブレーンとして活躍した尾崎を大局的な史観のなかで描き出している。
 そもそも東京裁判など、スターリンの子分でばりばりのコミンテルンのメンバーが検事や判事として送り込まれた。貴重な記録、証言の殆どが証拠採用されなかった事実は、こんにち、多くの人は知っている。戦争犯罪の真犯人は誰か。スターリンである。
 だが、昭和25年に出版されたとき、日本はまだ占領中であり、本書はGHQの検閲に引っかかって発売禁止処分とされ、この世から消された。GHQのなかにコミンテルンの息がかかったスパイが潜り込んでいたのだ。
昭和62年に当時ラジオ関東社長だった遠山景久氏が本書を見つけだして、復刻した。
 この名著は、そのときに知識人の間では話題を呼んだものの、その後、また久しく絶版となっていた。今年の五月に自由社から復刻・再刊された。
 三田村氏はやはり岸信介らも勾留された巣鴨プリズンに、しかし戦前にぶち込まれた経験があり、しかもそのときにゾルゲと談笑する尾崎を拘置所内で二、三回目撃している!
 二人は死刑をまつ身ながらも「なにか仕事をやり遂げた達成感にみちていた」と珍しいことを書き残した。本当はふたりとも死刑にはなるまい、とタカをくくっていたのだが。
 しかし尾崎の上司だった元朝日社会部長の鈴木文史朗氏が、現職時代の尾崎がいかに無能であり、また上海へいって「中国通」などと名乗っていたことがよほど片腹痛く、その後、尾崎の書き残した『愛情は降る星の如く』などといった偽善と虚偽に満ちた少女趣味を徹底的に批判している書評など、歴史の証言が満載されている。
 岸信介がいみじくも序文で言っている。
 「シナ事変を長期化させ、日支和平の芽をつぶし、日本をして対ソ英仏蘭の南進戦略に転換させて、ついに大東亜戦争を引き起こさせた張本人は、ソ連のスターリンが指導するコミンテルンであり、日本国内で巧妙にこれを誘導したのが、共産主義者、尾崎秀実であった、ということが、じつに赤裸々に描写されている」。
 小生は学生新聞を主宰していたころ、『東京新聞』の主筆だった梅原一雄氏に、ゾルゲと尾崎というコミンテルンの第五列が、いかに壮大な陰謀を進めたか、いかに近衛内閣に食い入って祖国の方針を転換させ、日米戦争必至という謀略的シナリオに日本を引きずり込んだかを、詳述してもらった経験がある(昭和43年から45年頃だったか)。したがって、そうした史観の源流ともいえる本書の復刊をとりわけ欣快とする一人である。


 ?中西真彦著『日はまた必ず昇る』(日新報道)
財界で活躍する氏は、衆議院議員・中西一善氏の父親でもある。また中西さんは、丹羽教授の唱える「太政官紙幣」すなわち政府紙幣発行による景気梃子入れ論の良き理解者であり、推進者でもある。先日も或る会合で氏から、いろいろと貴重な体験談を聞く機会があった。
本書は日本の改革を六つの方面から提唱されているが、教育、財政改革、資源政策など具体的にきめこまかな提言で並んでいる。
それも氏が財界活動ばかりか政府委員として各種審議会などで具体的に熱意をこめて討論されてきた豊富な経験があるからだろう。
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(トピックス)現在発売中の「『現代』9月号に金正日のコックだった日本人の藤本健二という人が内輪話を書いていて腹を抱えて笑ったり、「えっ!」と改めて驚かされる箇所多々。なかでも後継者が金正雲という断定的予測がある。でも「金正雲」って誰? 金正日の三男で21歳というのだが。。。
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(読者の声)Bush Jr.の選挙対策で致命的なのは、「大型減税」の主張を言い出せないアメリカ経済のもたつきである。
過去無数に、ガソリンの価格は上下した時がありました。
 減税は戦費の高騰で余剰予算が組めない現今では、減税対策はしりつぼみであるし、勘腎なる政策が出せない現状である。その打破はほとんど今は難しいでしょう。
 そのケリー陣営ですが大型減税をうちだしているが、終戦をどの様にもってゆくかが判明していないです。
どちらが当選しても変わらぬという気分が若い世代に広がっている。甲乙つけがたい両候補は接戦となり国連の選挙監視委員会が入る必要がありますが、ブッシュは嫌っているらしいです。
         (RRS生、在米)
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◎宮崎正弘のロングセラーズ◎
『中国財閥の正体―その人脈と金脈』(扶桑社、1600円税込み)
『中国のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房、1500円+税)
『拉致』(徳間文庫、590円+税、以下同)
『ネオコンの標的』(二見書房、1500円)
『ザ・グレート・ゲーム』(小学館文庫、476円)
『胡錦濤 中国の新覇権戦略』(KKベストセラーズ、1460円)
『いま中国はこうなっている』(徳間書店、1500円)
『迷走中国の天国と地獄』(清流出版、1500円)
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(C)有限会社・宮崎正弘事務所 2004 
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創刊日:2001-08-18  
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