国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2004/08/20

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
     平成16年(2004)8月21日(土曜日)
         通巻 第891号  
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 ☆本号はニュース解説がありません。
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(読者の声1)古代「高句麗王朝」がいずれの国家に帰属するかについて、中国と韓国(北朝鮮)ともに奇妙な論争になっています。
 もとを糾せば「高句麗」は満州族(女真族)の一族である扶余国王の系統によって東満州に建設されたレッキとした満州族の国家です(実は百済王も扶余族の末裔です)。
ところが中国の主張では、高句麗を満州を拠点とする”中国の地方政権”の諸国家の1つであり、半島北部にも進出したとし、元から朝鮮族の国家であったとする考えを否定している。
一方、中国の主張は嘗て強盛を誇った高句麗を、同一民族と見なす雄大なロマンを包含する朝鮮史観を真っ向から否定するものであり、朝鮮人特有の激烈な憤激を引き起こしている。
しかし歴史的事実からみると半島の主要部である平壌・京城(ソウル)の一帯は楽浪郡・帯方郡という漢の支配下にあった訳で、韓民族の基幹を構成する馬韓(百済)・辰韓(新羅)・弁韓(任那)は僅か半島の南・東端を占めていたに過ぎません。
高句麗は後漢末から3国争乱に乗じて、西は遼河を超えて現在の満州の大部分を支配下におさめ、東は大同江を超えて新羅・百済および倭と境界までその版図を拡大した。しかし後に”隋”が中原を統一すると、3度にわたる高句麗遠征を行っていますが失敗した。そこで”唐”は単独での高句麗征服を止め、新羅と組んで東西から挟み撃ちをしたために、さしも強勢を誇った高句麗王朝も滅亡した。結局、新羅が高句麗の鴨緑江以東を併合し、半島を統一した訳です。このことは韓民族が満州族の駆逐した訳であって、決して朝鮮人が考えているように新羅・百済・高句麗という同一民族の3カ国が合体した訳でないです。
しかも高句麗滅亡後は、その末裔によって建国された”渤海”、”金”、”清”に受け継がれたが、これらはいずれもれっきとした満州族の国家です。
一方、高句麗を中国の一地方政権という中国側の主張も、満州族をあたかも漢民族の一部のように捉えておりますが、これまた歴史的事実の歪曲としかいいようがない訳です。
まあ、遙か古代の境界を巡って奇妙な論争が行われていますが、満州族のように滅亡した民族は何も言えないのが哀れです。
朝鮮半島を統一したのは新羅ですが、その民族の出自が中国(燕)と非常に濃い関係にあります。そしてその新羅から見ればからみれば、凡そ極東北の辺鄙な場所に存在する白頭山が朝鮮人の聖山として民族的尊崇を集めているが、地理的にみてどうもオカシイ。
しかしこれも東満州に住む住民(満州族)の立場から見れば、長白山(中国名)は国の中心に存在し、別に何らオカシクはない。
白頭山信仰”は、後に高麗となって半島を統一した後、民族的対立を解消し融和のために満州扶余族の嘗ての「聖地」を自己のものに”換骨奪回”したといえる訳です。更に日本の植民地時代に満・鮮国境沿いの僻地にいた抗日抵抗運動のシンボルとして、金親子が”白頭山信仰”を盛り上げ、自らの出生地と(偽)証するだけでなく、神の子として満・韓・沿海州を包摂した大高句麗国家の復活を夢想していると伝えられている。
同じ辺鄙な局地にある日向高千穂の峰は日本の民族的聖地であるが、これはもともと海を渡って渡来し、九州に君臨した天孫民族の一末裔の聖地であり、この末裔が後に大和政権を築くことによって全体の聖地になった。しかし天孫族以外の神々、例えば出雲の大山信仰、関東の富士信仰などは、あくまでも地方の信仰に留めてのとは少し異なっている。
ですから破れた高句麗国の聖地が国家の中枢的信仰の立場にあるのはどうみてもおかしいとしか言いようがないわけです。

 追伸 念のためにネットで調べたら現地の写真では、下記のものがありました。結構遺跡の概要が鮮明に出てますね。
http://www.ne.jp/asahi/overland/japan/jilinhigashieurasia3.htm
 ところで高句麗の古都集安を地図でみたのですが、この辺はやはり鴨緑江一帯に居住していた東満州族の勢力地帯ですね。何故なら満州族は農耕もやったが元来が狩猟民族であり、この点で農耕を生業とする漢民族や韓族とは異なり、また遊牧を生業とする蒙古族と異なる訳です。
鴨緑江一帯の山々は彼等の狩猟に絶好の狩り場を与えた訳です。だから鴨緑江一帯から沿海州までの山地こそ満州族の生活の基盤ですが、漢民族や韓族のような農耕民族は到底ここでは生活が出来ない。韓族(朝鮮族)が高句麗と同族と主張しますが、満州族を程度の低い野蛮人という評価をしてきたのです。この差別は20世紀まで続いたのです。                               
(MI生)


(宮崎正弘のコメント)貴重な歴史的考察、参考になります。ただし、全面的に賛成しているわけではありませんが。というのも漢族の起源は諸説あり、騎馬民族、遊牧民族だった。旧満州は農耕民族とは言っても穀物栽培が主であって、稲作ではなく、黄河の南から長江にいた農耕民族と戦争を繰り返すうちに同化した、というのが通説です。
倭寇の「倭」は黄河以南の農耕民族の総称と考えられ、とくに長江流域にいた倭が、漢族の侵入でタイやカンボジア、ベトナムへ南下し、もしくは海へ逃れ、その一部が日本へ逃げた。日本の農耕文明は明らかに長江が発祥の地です。おそらく雲南、四川、廣西あたりから江南にかけて。ただし、小生はこの分野の専門家ではありませんので、京都大学の某教授など「現地探査」の経験豊かなエキスパートから伺った話を元にしておりますが。

戦後、中国では国共内戦を四年間に亘って繰り広げるわけですが、現在の朝鮮族自治区のゲリラの帰属を巡って、双方が謀略の限りをつくし、あげくに中共が成立すると、満州族の虐殺、あるいは強制移住が始まります。スターリンが1930年代前後に強行した少数民族の強制移動を、毛沢東も真似をして、じつは多くの満州族は新彊ウィグル地区へも追放されています。
 小生自身、ウィグル自治区で何人かの満州族に偶然、会っており、「どうして?」と聞くと50年代の親の代に移住してきた、と聞かされました。満族はご承知のように、あの日焼けした皮膚などで分かりますからね。 
 そこで住んでいた地域に残ろうとした満族は、あろうことか戸籍における「民族」を「漢族」に変更します。あの時代、戸籍制度は未整備でしたから、こういう作為も可能でした。
 まさに「哀れな満州族」、その漢族への怨念は、いずれなにかで噴出するでしょう。
 それからもうひとつ。ご指摘のサイトの写真をみました。小生が撮影できなかった日本軍のトーチカや、日本軍が敷設した鉄道橋まであって驚きました。
あのサイトにでてくる写真で、通化のホテル(通化賓館)は、小生もビールでも飲もうとタクシーで行ったのですが、現在工事中でした(苦笑)。丘の上に豪華高層ホテルができる由です。集安のホテルは、小生が泊まったところです。


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(読者の声2)いつも先生のメールマガジンを楽しみに拝読しています.プリントアウトして,通勤の途中で電車の中で読むのが習慣となっています。今回の旧満州旅行記,大変に興味深く拝読しました.何よりも先生のヴァイタリティに感動致します。
先生のような視点からの中国観察は非常に貴重だと思います.これからも元気でご活躍ください.いずれ今回のご旅行も御本におまとめになることと思いますので,楽しみにしています。(YN生、八王子)


(宮崎正弘のコメント)単行本になるのは、何時のことか分かりませんが激励を頂き、有り難うございます。出版不況は、いよいよ最悪の情勢で書籍市場は、10年前の不動産市場のように底冷えですからね。
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(読者の声3)本日(8月19日)の産経新聞『産経抄』を読みました。驚きましたのは巨人から栄養費を受け取った大学生の名前を読売が公表したことに憤りを表されているようです。私は実はこの栄養費を受け取った大学生に何の処分もないことに驚いていたのでございます。
何故、大学生だけが『買収』たる不正行為の一旦を担いでいても赦されるのでしょうか?まさにスポーツマンとして今後人生を歩まれる人間としてここはお灸をすえられてしかるべきなのです。日本の社会の甘さをつくずく感じていた矢先に産経新聞ともあろうものが大学生を庇うとは信じられないことです。
前途ある青年だからこそここはきっちりと罰を受けてしかるべきと考えるのであります。それが真の保守主義者の取るべき立場であると信じているものです。
    (AO生、世田谷)


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(読者の声4)イージース艦よりもはるかに台湾の防衛力強化に有効なのは高性能潜水艦でしょう。同じ値段で数十隻買えます。Time誌アジア版最新号(8月23日号)に面白い記事が載っていました。中国の対台湾攻撃準備に関するものです。
「Possibly because they are eager to buy expensive weapons from the U.S., such as diesel-electric subs and Patriot- antimissile systems.......」。
どこか変ですね。
そうです、米国は原子力潜水艦への依存度が高く、ディーゼル・エンジン潜水艦の製造能力をほとんど喪失してしまっているからです。Time誌の記者の質の悪さは言わずもがなですが、今世界で高性能ディーゼル・エンジン潜水艦の製造能力で一番は日本、二番はドイツです。日本は兵器の輸出を(公式には)行なっていないので、単価が恐ろしく高くなっています。
そこで妙案です。
台湾に日本政府が開発費を除いた限界生産コストという超破格値で潜水艦を販売するのです。日中友好のため、非核三原則なぞ「糞くらえ!」です。通常価格との差額は、対中国ODA枠から引き当てます。こうすれば反中国派日本人も納得することでしょう。
 ところで尖閣列島周辺等の石油及び天然ガスについていろいろと宮崎さんは書かれていますが、東アジアにはもうひとつ面白い地下資源があります。1992年に米国政府からの要請で日本政府は、衛星写真を解析してそれまで未発見の鉱物資源の可能性を探求するための非公開プロジェクトに協力したそうです。日本からも第一線級の科学者、技術者が参加しました。衛星写真を解析した結果、東太平洋上のインドネシアから日本列島までの島々に大量の金鉱脈がある可能性が高いことが分かった。おそらく、10万トン以上あるであろう。特に日本列島、九州や北海道の十勝には非常に良質かつ大規模な金鉱脈がある可能性が高い。ただし、あまりに大量かつ良質の金鉱脈なので、この事実が一般に知れると金価格が大暴落して世界経済に大きな影響を与える可能性があるので、米国政府からの要望でこの事実は公開しないことになった。
 ことさら嘘をつくことで発言者にメリットのある席ではなかったので、事実である可能性が50%くらいあることでしょう。事実なら、おそらく日本の大手鉱山会社から技術者が参加していたはずです。しかしそれでも話がもれないし金鉱開発が行なわれないのなら、やはり、日本人はよほど生真面目な民族なのですね。それとも臆病風にふかれているのでしょうか。
(ST生、神奈川)


(宮崎正弘のコメント)その昔、蒋介石が隠匿した金をひそかに台湾へ運ぶ軍事作戦が展開され、それを知った投機筋が共産党と組んで、その輸送船を東シナ海に沈めた。このため世界の金価格が暴騰した。というのは短絡的で表面的な動き。
実際には蒋介石ははじめから金など保有していなくて、嘘情報を流しつつ、金の先物(現代流に解釈して)に投資していて、沈没の嘘放送で、大暴騰の際に売り抜けた(伴野朗『蒋介石の黄金』)。かれは再び大金持ちになった。
 上記の真偽はともかくとして、日本はマルコポーロの時代から「ゴールドの国」と言われました。佐渡の相川は、当時、江戸、金澤とならび10万都市でした。
 諸外国は(二・三世紀おくれた情報をもとに)日本のゴールドを狙って日本にやってきた、というあたりまでは事実でしょう。鹿児島の菱刈で四半世紀ほど前に、金が大量にでたとき住友金属鉱山の株価が暴騰しました。ところが日本の産金コストが高く、その後のメキシコ、カナダ、ウズベキスタンそのほかの金鉱山の発見と労働賃金の安さから、日本の金山が省みられなくなったというのも事実です。
 もうひとつ。最近マスコミの表現で気になっているのは「尖閣列島」です。
あれは「尖閣諸島」。列島と書くと沖縄トラフと連結するイメージとなり、なにやら中国の宣伝に乗っけられる懼れはありませんか?
 いや、これは考えすぎですかね? 
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◎宮崎正弘のロングセラーズ◎
『中国財閥の正体―その人脈と金脈』(扶桑社、1600円税込み)
『中国のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房、1500円+税)
『拉致』(徳間文庫、590円+税、以下同)
『ネオコンの標的』(二見書房、1500円)
『ザ・グレート・ゲーム』(小学館文庫、476円)
『胡錦濤 中国の新覇権戦略』(KKベストセラーズ、1460円)
『いま中国はこうなっている』(徳間書店、1500円)
『迷走中国の天国と地獄』(清流出版、1500円)
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  • 百済人2006/02/09

    まあ、高句麗は、カラ半島とは、もともと無関係の国だけどね。満州方面から来て、カラ半島に侵入した、いわば侵略者。日本民族の敵ですよ。

    朝鮮人もシラキを侵略したけど。