国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2004/08/16

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
    平成16年(2004)8月16日(月曜日)
        通巻 第886号  
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 パウエル発言の背後に潜むブッシュ政権土壇場の石油戦略
  日本の憲法改正、国連安保理事国入り支持???
その隙間を縫ってライス補佐官はモスクワに何を打診したか?
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 石油価格、ついに史上空前の45ドルを突破した。一部には50ドル突破は時間の問題とする声もある。
 一転してブッシュ再選選挙、苦境である。

イラク戦争のリーダーシップ蛇行ではない。ケリーの減税案が魅力でもない。石油の価格暴騰は致命的衝撃を伴ってアメリカ消費者の財布を襲撃するからだ。
 ガソリン価格高騰は「ブッシュ政策の失敗」と選挙民は捉えるからである。

 まずは二つの新聞報道を並べる。

 「【ニューヨーク13日共同】ニューヨーク・マーカンタイル取引所の米国産標準油種(WTI)の9月渡しは(8月)13日、イラク情勢の緊迫化などを受けた供給不安から急伸し、一時、1バレル=46.30ドルをつけ、46ドルを突破、前日取引時間中につけた最高値を更新した」(「日本経済新聞、8月14日)。 


 「パウエル米国務長官は十二日、産経新聞などと会見、日本の憲法九条について、日本が国連安全保障理事会常任理事国入りする場合は「再検討されるべきだろう」と述べた。
 また、日本がイランとの間で契約を締結した同国西部アザデガン油田の開発計画で、国務長官は日本側に計画の再検討を強く促した。九条が日本の国連安保理常任理事国入りのほか、日米同盟に基づく協力関係の障害となり得るとの見解は、アーミテージ国務副長官も先に表明。国務長官は「日本が世界の舞台で完全な役割を演じ、安保理の完全な参加者としてその義務を担うなら、九条は検討されなければならないだろう」と語った。イランに関して、国務長官は「イランが核兵器を開発していることは明白。日本政府とビジネス界は、イランが投資すべきところかをよく検討してほしい」と述べ、アザデガン油田計画を念頭に抑制を求めた」(「産経新聞」、8月14日)。

 パウエル国務長官の重点は日本の憲法改正より、イランの石油開発を日本に「再検討」を迫ったことにある。「再検討」ではない。事実上の断念を要請しているのである。
 これは日本の外交に容喙する干渉であり、率直に言って日本は毅然としてはねつけるべきである。

 さて石油価格は何故あがったのか?
 第一は中国要素である。
 世界第二位の石油消費国に「昇格」した中国の、はてしない石油消費は怪獣のごとし。
 
 第二は世界石油消費の四分の一をしめる米国の動向である。イラクの石油の当てがはずれた。本来なら今頃は日産350万バーレルに恢復しているはずのイラク石油、パイプラインと石油関連施設が700回ものゲリア襲撃を受け、輸出がストップしたまま。

 第三はベネズエラとナイジェリアの政情不安だ。明日にも政権がひっくり返るかも知れないという不安定要素は、石油生産最大容量の数分の一しか市場に供給できない劣悪な環境を招いた。需要と供給のバランスは崩れた。

 第四はメキシコ湾をおそった台風、テキサスの石油施設の火災などだが、これは短期的季節的要素であっても大局を左右する大きな要素とは言えない。

 忘れていることがもう一つある。
 サウジアラビアに次ぎ世界第二位の石油輸出国・ロシアの魑魅魍魎たる動きだ。

 パウエルは12日の日本人記者団とは別の記者会見で「ホドルコフスキー問題」に言及しているのだ。「ユコスは法の正義に照らして順当に処理されるべきであり「政治的熟慮」をユコス問題に介入すべきではない」と。

 ドミトリー・メドベドフなる人物は誰?
 コンドレーサ・ライス補佐官のカウンターパートである。
 つまりドミトリー・メドベドフはプーチン大統領の安全保障担当補佐官だ。このドミトリーにコンドレーサ・ライス補佐官が会見もしくは電話会談を行った。(「ウォールストリート・ジャーナル」、8月12日付け)。

 そこででた話がユコス問題の適切なる処置であり、さもなければ世界の原油価格は暴騰するであろうとの警告だった。(これは8月7日、8日にかけて行われたとAP)。

 だがこの秘密会談は裏目に出た。
 ロシアの投機筋はユコスの株式操作に熱中した。
 というのも欧米メジャーの一角がユコス買収に触手を伸ばしているからだが、そうした噂を巡ってユコス株が乱高下を繰り返し、原油価格を暴騰に導いたとする説が市場を駆けめぐった。ユコスの操業は殆ど停止状態だからロシアからの石油輸出も減量となっている。

 尖閣諸島が中国領と嘯く中国の石油盗掘は続いている。中国の石油確保は必死の形相、世界第三位の石油消費国ニッポンは、最後の可能性をかけた西シベリアとイランの石油鉱区を米国からの横やりで、中座しかねない。パウエル発言の真意を善意に解釈するべきではないだろう。
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『 フォルモサの夢 』音楽会の御案内

盧孝治氏が監督・制作する無料コンサート「フォルモサの夢〜蕭泰然先生東京音楽会」が8月22日東京都文京区のシビックホール大ホール(1800席)にて行われる(開場:午後2時30分、開演:午後3時30分〜5時45分)。
今回は声楽とオペラで最も評判のバリトン巫白玉璽、ソプラノの何康[女亭]、ウィーン帰りのバイオリニスト王中禎、指揮者の欧陽慧剛が共演する。実践大学交響楽団(台北市)および「フォルモサ・フェスティバル合唱団」総勢200名を率いての来日。蕭泰然(シャウ・タイジェン)氏の来日も予定されている。
フォルモサ・フェスティバル合唱団は、台湾基督長老教会所属のバンカ([舟孟][舟甲])教会、双連教会の聖歌隊によって構成されている。
 プログラムの目玉は蕭泰然先生の作品である「バイオリン協奏曲」、「玉山頌」、「ああフォルモサ、受難者の鎮魂曲」。3曲共に日本初演となる。蕭先生は1938年、高雄生まれ。台湾で今最も尊敬され、最も支持されている作曲家である。かつて武蔵野音楽大学で学び、作品はロマン派の手法で濃厚な台湾の郷土情緒を表現しており、「台湾のショパン」とも呼ばれている。一行には、邱垂亮総統府顧問、林重謨立法委員、管碧玲高雄市文化局長、詩人の李敏勇氏、文化論者の林衡哲氏が同行する予定。
「玉山頌」は2000年の陳水扁総統、呂秀蓮副総統の就任式において演奏された。「ああフォルモサ、受難者の鎮魂曲」は台湾のために犠牲になった者に捧げる大作である。

 音楽会 〜総勢200名交響楽団の日本初公演〜
日時:平成16年8月22日(日) 
開場:午後2時30分 開演:午後3時30分〜5時45分
会場:文京シビックホール 大ホール(東京都文京区春日1丁目16番21号 電話:03-5803-1100)
 ●入場無料  ◎直接会場にお越しください! (席は十分あります)
【最寄駅】地下鉄丸ノ内線南北線、後楽園駅  4bまたは5番出口(徒歩0分)●営地下鉄三田線、大江戸線 春日駅(文京シビックセンター前) 文京シビックセンター連絡通路(徒歩0分)●JR中央・総武線水道橋駅  (徒歩8分)
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(読者の声1)昨日(終戦記念日)、あの雨の中、先生は靖国神社に行かれませんでしたか?傘の乱立でよく見えなかったのですが、境内でお見かけしたような気がしたのです。
(HE生、横浜)


(宮崎正弘のコメント)もちろん8月15日には、必ず靖国神社へ参拝しております。上京して40年、故郷に墓参りで帰省した年を3回だけ除いて、連続37回、必ず8月15日には靖国神社へ行きます。また誰か彼か、この日には知り合いに多数会えますね。黛敏郎さんが生きておられたころは殆ど毎年お目にかかりました。昨日はあれほどの大雨にもかかわらず夥しいひとの列が靖国神社を埋めていて、なにか名状しがたい安堵感と安らぎがありました。
 

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(読者の声2)宮崎さんはどうも女性の政治家(例えばヒラリーなど)や政治家の妻(それもいまのところは当然女性ですが)にはいつも辛口な皮肉をいうんですね。この前もヒラリーのことを「あばずれ」と報じたことがありますよね(8月13日号、885号)。
批判的な民主党員や複数の専門家 (多分右よりが大多数ですが、ぜひソウスを披露してください)のことばかり引用するとフェイア&バランス(fair and balance) 公平的かつ客観的な報道とは言いかねますね。宮崎さんのニュウスレーターを読む日本人が多いので影響力も巨大なもので、日本国内の政情でもないかぎり、一辺倒な報道をやめ、もっと客観的にものごとをみることはできないのでしょうか。
 ハインツ(ケリー) 夫人は自分の考え方を持ち、はっきり、ずばり言う女性ですから、それを新鮮で良かったと思う民主党の選民もかなりありますよ。(私も拍手を上げたい一人です)ブッシュ大統領夫人ローラさんのように、例えご主人との意見と違っても(夫人は実は中絶問題も環境問題も夫の政権と反対な立場をお持ちである)なにもいうことはできないのを見ると一人の人間としてはうすさびしく感じます。ケリー夫人は自分なりの意見を述べることをはばからない人間です。強力な選挙圧力にも曲げず、偉いとおもいますよ。男の政治家もなかなかできないことですよね。
 また、執拗な質問をした新聞記者に夫人は「糞食らえ」と発言の件も事実とはまったく違うことです。このことの前後の経緯をまったく抹消して、また誤訳を伝えるのは絶対無責任とおもいますよ。これだけは公開で訂正してほしいです。この新聞記者はペシルベルニア州ならよくしられている右翼保守的な記者ということはよくしられている事実です。彼女の亡くなった夫ハインツ氏時代から共和党でありながら彼のリベラル政策を散々批判し、実はストーカーみたいなやつなんです。今回の事件の前も彼女の発言を誤報し、だから同じことをくりかえして聞かれたとき彼女が「どうして私のインタービュのときと全く反対な発言を報道したか」の質問にたいして、彼は逃れているばかりで彼女が癪に障って「shove it! あっちへいけ・やめて」と言ったのです。私はこの目でテレビ報道の実況をみたのでけして「糞食らえ」とは彼女の口からでてきません。日後、メディアの報道もみんなshove itと報道しeat shit ではありません。だから、まずこの一件だけは訂正してください。もし、もっと客観的な報道に努めれば、ついて先月、副大統領チェニー氏のリッチ参議院に対する 汚言「Go fuck yourself!自分で自分をファックせよ」もご一緒に報道すればよいのではないかと思います。
 大統領の妻がどうこうで投票しないアメリカ人の政治性の不熟さもよほどのこと、日本のように政治家の個人生活にあまりかんけいなし投票するのは政治成熟度の証でしょう。
(FK生、アメリカ)


(宮崎正弘のコメント)「パパラッチ」や「ストーカー」のたぐいの新聞記者、フリーカメラマンを、それなりにあしらうのも西側の政治家に課せられた課題のひとつでしょうね。ファーストレディにも、もちろん求められます。
日本だって石原都知事にくっついて、いつもばかげた質問をする朝日の記者がいますが、都知事は巧妙にあしらっています。台湾の記者は、北京で共産党指導者から強硬発言を引き出すため執拗な質問を繰り返します。怒り出した朱首相(当時)が台湾へ強硬姿勢の発言をしたら、翌日のトップ記事になりました。2000年選挙土壇場で、あの朱発言は陳水扁陣営のプラスとなりました。
 さてヒラリー上院議員は、たしかに日本の60歳以上の世代から見れば「あばずれ」イメージを付帯した政治家ですが、小生は何回も書くように「端倪すべからざる政治家」と認識しています。2008年レースのトップを走っている、と見ています。
女性蔑視? とんでもない。
そもそもアジアの国家元首はフィリピン、インドネシア、スリランカ、過去にはインド、パキスタンと女性が多い。
「山の神」(女房族)を敵にして、日本では何事も達成できません。最近の若い日本人男性の結婚選びの基準をご存じですか?「頼りがいのある女性」です。アマゾネス現象ここに極まれり。文学にしても女流全盛。19歳、20歳の芥川賞作家ばかりか、アマゾネス元祖・山田詠美、跳びすぎた前衛・柳美里、日本版アガサクリスティ・乃南アサ、金融ブームを先取りする幸田真音、男のビジネスを描ける服部真澄、凄絶な犯罪心理を描く桐野夏生、はては瀬戸内寂聴なる売僧(まいす)まで。皆さん、じつにパワフルですねぇ。男性作家は奥でおとなしくしております。
 この女性上位時代を憂うると袋叩きに遭うのが、現日本の現象ですよ。  
 さてもうひとつ、ケリー夫人の問題ですが、情報に拠れば、アリゾナ州フラッグスタッフに宿泊中のケリー夫婦が大喧嘩をはじめ、ケリー候補は深夜に別のホテルに移ったそうです。「楽ではないね。カネ目当ての政略結婚は!」(或る評論家)。      


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(読者の声3)久しぶりに先生のラジオ番組における時局解説(13日ラジオ日本)を二時間堪能しました。是非テレビにも出てほしいのですが、どうしてテレビには出られないのですか?


(宮崎正弘のコメント)岡崎久彦さんが言いました。「わたしに五分喋らせてくれれば日米関係は変わる」。その自信のほどは別として、ワイド番組では専門家のとなりにすわるタレントやら競馬評論家やら芸能人が、たとえばイラク問題を評価する。その猥雑な知的頽廃の風景に耐えられないのです。専門家に発言を求めない司会者。だから出演しても長くて2分、へたをすると40秒(テレビ局に聴いたら平均がそうらしい)。レギュラーの芸能人が目立とうとするのはディレクターの命令なのか、ゲストより長く喋る。ですから原則の第一。ワイドショウには出演しません。第二。五分以上喋らせてくれない番組には出ません。
 さてそうなると局が敬遠します(当然でしょうね。いまの時代の価値観はテレビ局側のほうが「偉い」わけで、ディレクターのフィーリングに遭わない人は呼ばれませんから)。というわけで朝ナマも過去二回、固く出演を辞退しました。この間、中国の「反日騒ぎ」でも某局と某局から依頼がありましたが、条件を伺って辞退しました。ではまったく出ないかと言うとそうでもないのです。日経テレビでの生島ヒロシ、三原淳雄さんとのトーク、メトロポリタンTVの独演会、宇宙放送テレビでは、じつは毎週のように出ていましたよ。
 というわけで、ときおり画面に現れるときがあります。
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◎宮崎正弘のロングセラーズ◎
『中国財閥の正体―その人脈と金脈』(扶桑社、1600円税込み)
『中国のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房、1500円+税)
『拉致』(徳間文庫、590円+税、以下同)
『ネオコンの標的』(二見書房、1500円)
『ザ・グレート・ゲーム』(小学館文庫、476円)
『胡錦濤 中国の新覇権戦略』(KKベストセラーズ、1460円)
『いま中国はこうなっている』(徳間書店、1500円)
『迷走中国の天国と地獄』(清流出版、1500円)
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