国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2004/08/12

●祝!小誌登録読者、待望の3500名を突破!(8月11日現在)
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
   平成16年(2004)8月12日(木曜日)B版
      通巻 第884号  臨時増刊
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 ロシアが西シベリア石油のパイプラインを日本向けに一本化した真因
   ブルーストリーム作戦の失敗に懲りた?
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 ユコス倒産を理由に中国向け「大慶ルート」をロシアは白紙にもどす一方で、70億ドルもの大盤振る舞いオファーをしめした日本案「西シベリア北側」→ ハバロフスク→ ナホトカ・ルートをほぼ正式に認める手筈となった。

 石油資源に明るいプーチン政権は、日本が川口外相訪ロ時に示した7700万ドルの「商業化可能性市場調査」に傾き、近く本格調査に乗り出す模様だ。ただし米国は依然として「あそこに本当に膨大な埋蔵があるのか」と疑問視しているが。。。

 中国は距離的に近い大慶ルートに拘泥してきたが、ロシアにとってみれば開発費を負担しそうにない中国への「一国単独ルート」には魅力がないのだ(中国のビジネス誌は、これを「日本がカネでロシアを買収した」などと嘯いている)。

 先に”ブルーストリーム作戦”と銘打たれた、西側メジャーの石油ルートは衛星圏だったアゼルバイジャンの石油をロシア領内をまるで経由せずに、トルコの南海岸ジェイハン港へといたるもの。来年三月には完成し、いよいよトルコからもアゼルバイジャンなどの石油が西側へ輸出される。ロシアのうまみは完全に消えたのだ。

 そこで反省が生まれた。
 ロシアの目論見は日本ルートとして、日本のカネで開発される西シベリア石油は、ナホトカまでパイプラインで運ばれたあと、日本はもとより米国、台湾、亜細亜諸国など西側へも輸出が可能となり、商業的魅力に富むからである。
 
 そんな欲張りな! 
よもや忘れたのではありますまい。ロシアが終戦のどさくさに満州、シベリア、南樺太、全千島列島を日本から強奪して何をしたか、を。
 日本は西シベリア開発の契約書をよほど慎重かつ厳密にしておかなければならない。
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(おしらせ)明日13日(金曜日)午後1時より「ラジオ日本」(1422khz)の「ミッキー安川のずばり勝負」に宮崎正弘が二時間に亘って生出演します。関西方面のかたには午後2時まで。関東方面は午後3時まで●
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(読者の声1)先般の中国取材以来、先生の筆致が日本の安全保障政策のひ弱さを直言叱咤する形になったように感じています。これまで中国に対しては、その反日行動を批判しながらも、愛情あふれる表現で一般国民のレベルでは反日も反米もなく、金銭優先私生活優先に明け暮れると書かれていて、共産党政府の発信情報ばかりがすべてではないと戒められておりました。しかし、ご帰国後の筆先は、たまたまアジアサーカーにおけるホスト国の民度の低さが露呈したこともありますが、日本企業や政府が軍事優先中国の危険な面に注意を払わないのは国家戦略に悖るとの日本批判に向けられています。安保上の警鐘の音色が鮮明になってきました。
  このことは先生が、中国の暴発を含む激変が近いという認識を明確にされたと受け止めていますが、今般の取材旅行で今までにはなかった何かを察知されたのでしょうか。新日鉄の宝山製鉄所から始まり、IT、自動車と企業進出が続き、これに伴って最新技術が移転していきました。そして今回、高性能鉄鋼の技術も持ち出されます。
  安全保障を決めるのは常に情報と高性能兵器です。ヨーロッパ諸国からの技術売り込みに対抗してという側面はあるにせよ、日本は最も警戒すべき隣国にその両方ともを売り渡してきました。まさに「ペイラントの自由」を思い起こさせます。

  「自由貿易を信奉するオランダ商人のなかには、敵国スペインに大量の武器弾薬を売って大儲けするものもいた。その一人ペイラントは、逮捕されても「貿易は万人にとって自由でなければならず、戦争によって妨げられてはならない」と主張して、裁判で無罪を勝ち取った。この主張を「ペイラントの自由」と呼ぶ。
   政治家も、私利私欲のためには国家全体の危機も省みないという、「ペイラントの自由」の信奉者であった。   1665年の第二次英蘭戦争の前には、すでにオランダ船200隻が拿捕されていたにも関わらず、オランダ商人は英国に大量の軍艦用資材を売りつけて、倉庫を空にしていたという。これまた「ペイラントの自由」である。        
     政敵を利すまいと国家の危機にも目をそむける政治家と儲けのためには、敵国にも資材を売る商人たちと、国中に「ペイラントの自由」の信奉者がはびこっては、さしもの経済大国オランダにも勝ち目はなかった」。

JR東海の反対にも拘らず、新幹線の中国輸出を目指して外務大臣も経団連会長も北京詣でを繰り返す現在の日本は、このJFEスチールの件でもブレーキを掛けることはないでしょう。すべてが自由勝手な国になっているようです。煽るような言動はお好きでない先生ですが、しかし蒙を啓くための筆はますます鋭くしていただきたいと期待しております。
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 (宮崎正弘のコメント)とくに変わったという感じを小生自身は持っておりません。ハイテクの中国への供与は新幹線を含めて危険極まりなく、やがてブーメランのように日本、台湾、ひいては西側の安全保障を撃つであろうという警告は従来からの主張ですし、反日は「反共産党」の符号、記号であるという認識に代わりはなく、ただしこれまた従来より「反日」のもつ「瞬間的破壊力」にだけは警戒すべきと言ってきました。
サッカーで、あの程度の「暴動」で終わったのは共産党の締め付けと情報操作に他ならず、あそこまでは当局が黙認するであろうことも活動家たちは知っていたわけですから、そういう意味では反日活動家と当局のあうんの呼吸を感じますね。
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(読者の声2)私も今日(8月11日)の日経朝刊を見て愕きました。それにつけても思い出すのは、昭和初期フォード自動車が日本に進出ようとしたときのことです。フォードの横浜工場建設計画に対して、日本の自動車メーカー各社が猛反対をして政府を動かし、ついにフォードは横浜工場建設を諦めました。
そのときフォードの社長が、「戦争になれば、技術も製造設備もみんな日本のものになるのに、なぜ反対するのだ」と慨嘆したそうです。フォード初代社長の慧眼、度量の大きさ、まことにあっぱれなものです。JFE首脳陣もフォード氏のような太っ腹で中国進出を考えているのでしょうか。
ところで満州で使われた日本の軍用トラックは大体3000キロくらい走ると故障して、修理しないと動かなかったそうです。ところが、当時フォード製のトラックは3万〜5万キロは無整備で動いたそうです。そのなかで日本製でも五十鈴自動車のトラックだけは約1万キロ無整備で走ったそうです。これが、トラックを含む自動車生産台数で昭和39年まで五十鈴が日本一であった遠因です。今や、米国製の自動車は故障が多いことで定評があり、いすゞ自動車はGM系列に入り、トヨタ、日産、ホンダが高品質車の代名詞です。
 時代は変わりましたね。そして、今回のJFEの中国進出の結果やいかに。全く我々の創造もつかぬ状態に70年後になっていることでしょう。
(ST生、神奈川)


(宮崎正弘のコメント)フォードが寛大なこころ?であるとすれば50年後にアイアコッカを倉庫番にとばしたりもしなかった(苦笑)。JFEにしても、新日本製鉄にしても、サラリーマン重役ですから、永田町と霞ヶ関の論理に組み込まれて、銀行の論理には突き動かされ、国家百年どころか、企業来年の計も持っていないのではありませんか?
 話は変わりますが旧満州の奥地も、かなりの自動車道路が舗装され、昔(といっても二三年前)バスで8時間というコースが4時間になっていたり、文明の進捗の早さは凄まじいモノがあります。あの発展を目撃すれば、数年後のハイテク供与なんぞ、怖くはない、って考えになるだろうと思われます(日本企業にとっては、たとえ現在のハイテクでも、日本では数年後にはロウテクになるであろうから)。
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◎宮崎正弘のロングセラーズ◎
『中国財閥の正体―その人脈と金脈』(扶桑社、1600円税込み)
『中国のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房、1500円+税)
『拉致』(徳間文庫、590円+税、以下同)
『ネオコンの標的』(二見書房、1500円)
『ザ・グレート・ゲーム』(小学館文庫、476円)
『胡錦濤 中国の新覇権戦略』(KKベストセラーズ、1460円)
『いま中国はこうなっている』(徳間書店、1500円)
『迷走中国の天国と地獄』(清流出版、1500円)
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