国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2004/08/09

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
  平成16年(2004)8月10日(火曜日)
       通巻 第881号  
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中国の東西を跨ぐ{西気東送プロジェクト}から欧米三社が撤退へ
    市場経済を度外視したガス輸送を懸念?
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  外国企業を甘言を用いて誘いこみ、コンソウシアム(企業連合)でプロジェクトを完成、先端の技術を盗んだら、「はい、さようなら」というのは中国の常套手段である。

 いま首相官邸サイトなどに襲撃を繰り返す中国人ハッカーの技術とて、もともとは日本へ留学したハイテク研修生が(しかも日本政府や日本企業のカネで)CG(コンピュータグラフィック)のハイテクを日本人が懇切丁寧に教え、忽ちのうちに中国人留学生らが習得し、持ち去ったものだ。恩を仇でかえすのは中国人の得意技。

 さて、新彊ウィグルの砂漠から全長約4200キロをまたいで上海へ繋ぐ”世紀のガス・パイプライン”、ついに工事は完成した。
 その途端、この大プロジェクトから、英蘭ロイヤル・ダッチ・シェル、米エクソン・モービル、露ガスプロムの三社が撤退へ追い込まれる様相を呈している。

 利益の配分比率が原因とされるが、もともと商業採算を度外視したプロジェクトだけに、これから逃げることは英米露にとっては予定の行動であったかもしれない。
 なにしろガス輸送プロジェクトであるにもかかわらず、パイプライン沿線で新設のガス燃焼発電所は、まだ一基も建設されておらず、そればかりか沿線企業にガスを売却する気配もないのだ。

 これまでの開発費、建設費などは総工費は180億ドル(約2兆円)にのぼる。ただし新彊ウィグルから峡西省まで2400キロのパイプライン建設に国際コンソシアムが絡んだ。ロイヤル・ダッチ・シェル、エクソン・モービル、ガスプロムの三社には「出資金が返還」される、などと中国は言っているが財源がないので、次は日本を騙そうと、はかりごとをめぐらし始めたらしい。

 当初の交渉ではペトロ・チャイナが50%を出資し、中国石油化工(シノペック)が5%。これに外国企業三社が、各々15%ずつだった。契約は2002年7月に交わされた。
完成間近の土壇場になって国有企業ペトロ・チャイナは「外資の取り分を12%台に減額する」と一方的に通知、英米露がむくれてしまった。

 反日サッカー報道の影に隠れたが、こちらの動向はもっと深刻である。
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            ◎
(記録のために)「拉致議連」は役員会を開き、外務,警察,拉致被害者支援室から事情を聴取したうえで、次の見解を表明した(8月5日)。

「1、北朝鮮が拉致した十名の安否結果の確認から無関係に、支援だけを決定したのは極めて遺憾である。
 この決定は、小泉総理が5月22日にピョンヤンで約束してきた結果であるとしても、10月からの実施までの間に、政府は北朝鮮が拉致被害者を解放するように圧力を加えるべきである。拉致議連としても、北朝鮮が支援だけを受けとって日本人を解放しないという従来から繰返されてきたことは、もはや日本国民が許さないということを知らしめるために家族会や救う会と連携してなお一層努力する。
2、拉致被害者が政府が認定しているように、十五名で終わりということはありえない。特定失踪者調査会が努力して四百名近くが拉致されている疑いがあると判明してきたが、政府は、今にいたっても自ら乗り出して、一体何人の日本人が拉致されているのか調査しようとはしていない。このような怠慢はもはや許されない。
 未だ知られていない多くの日本人が救出を待っている。
3、原および久米両氏を拉致した犯人は判明しているのであるから、速やかに逮捕など強制捜査に乗り出して拉致の解明に向かうべきである。現状は、職務怠慢・許しがたい不作為の継続である。
4、政府の拉致救出体制は,未だなきに等しい。よって,議連は立法府の衆参両院に「拉致被害者救出特別委員会」を設置して,国会の国政調査権を発動すべく,立法府としての努力を続ける」。
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(読者の声1)6月に(宮崎さんが)インドへ行かれた後、本コラムに格別の紀行文などがなかったため、やや不思議に思っておりましたが、本日(8日付け、880号)のコラム登場で、データ整理をする傍らでタイミングを計っておられたのだと(勝手に)理解しました。
 中国にへつらうあまり押し込まれっぱなしになっている日本は、もっとインドを重視した国家戦略を構想すべきだということは、地政学的に考えれば当然の帰結だと思います。
私は素人なりに理屈でそう考えて、しかし実地のインドを見たことがなく、ようやく昨年春に意を決して初めてインドを2週間訪れました。ずいぶん用心したのですが、下痢で苦しむ経験もしました。一口に言うのは無謀ですが、想像以上の貧富の差とヒンズー教の複雑さ、そしてハイテクと悠久の混在同居する不思議さを感じてきました。先生の本日のコラムを読み、たしかにそうだと相槌を打ちながら改めて勉強の必要を感じています。
        (HS生、豊橋)
 

(宮崎正弘のコメント)そうですね。インド報告を小誌で、すぐに出来なかったのは雑誌に優先権がある場合、その発売期間中、ほかに書かないのが物書きの礼儀ですから。
おっしゃるようにインドは問題が多いのです。けれども、人間の質を考えた場合、中国とどちらが長期的な利益になるのか、どちらが吾が国家百年の計に資するかを熟慮すべきでしょう。北京サッカー大会での「反日」行為、数々の狼藉を日本国民の大半がテレビで目撃し、深い失望とくらい怒りに燃えました。あれほど中国人に対してナマの形で日本人の失望がひろがったのは15年前の天安門事件以来でしょう。これから中国進出を真剣に考え直す企業も増えると思います。
         ◇ ◇ ◇


(読者の声2)アジア・カップで日本が敵地で優勝、やはり宮崎さんが予測されたように「暴動」が起きましたね。公使の乗った車のガラスが破られ、北京のほうぼうでに日の丸が焼かれ、モノが投げつけられ、大使館前では大音響とともに中国軍歌。石原都知事が言ったように「民度が低い」。しかし、どうしてこれほど執拗なのですか?中国人というのは稀な人種なのですかね?


(宮崎正弘のコメント)中国人サポーターの一部がしていた鉢巻きのひとつを御覧になりましたか?「日本海」を「東海」と書いてあったでしょう。「東シナ海」も、いまや「東中国海」と表現しています。地図の上では台湾は勝手に中国領内に編入されています。いま、韓国と歴史論争をやっている高句麗にしても、現場では「将軍塚」は世界遺産に登録成功、観光客から30元もの入場料をせしめていながら、あれは中国起源の王朝だ、なんて嘯いています。この劣根性による、歴史の改竄をみても、大国である、と自負する國が、あんなちっぽけな日本に負けること自体が、くやしくて仕方がない。その憂さを理論的にはらせないので暴力に訴える。それが真相のひとつでしょうね。
 聞くところによれば中国チームの監督は「あれはまぐれで、事実上、中国は勝てた」と言っているそうです。台湾でも三月の総統選の敗北を連戦陣営は、まだ認めていない。負けても勝ったと言い張るのは、体質的に深く深く刷り込まれた中国人たるべきキャラクターです。前にも書いたように「中国語に『根性』という語彙はありません。あるのは『劣根性』という言葉です」。
「中華思想」というのは、あの國がもつ独特の強迫観念からきている、どす黒くて薄暗い、不治の病理、短時日に快癒させるのは無理でしょう。
          □


(読者の声3)先日、サッカー・アジアカップ決勝を見ておりましたが、あまりにひどい応援マナーにあきれ返ってしまいました。表彰式の時にはスタンドはガラガラです。あんな状態で北京オリンピックなど可能かと首を傾げました。公使の車に対する攻撃もあったそうですが、そんなことはそ知らぬフリの川口外相のコメントも呆れるほかありません。
やはり石原都知事の「民度が低い」というコメントは否定しようがありません
             (KS生、大阪)
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◎宮崎正弘のロングセラーズ◎
『中国財閥の正体―その人脈と金脈』(扶桑社、1600円税込み)
『中国のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房、1500円+税)
『拉致』(徳間文庫、590円+税、以下同)
『ネオコンの標的』(二見書房、1500円)
『ザ・グレート・ゲーム』(小学館文庫、476円)
『胡錦濤 中国の新覇権戦略』(KKベストセラーズ、1460円)
『いま中国はこうなっている』(徳間書店、1500円)
『迷走中国の天国と地獄』(清流出版、1500円)
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創刊日:2001-08-18  
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