国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2004/08/06

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成16年(2004)8月6日(金曜日)
          通巻 第878号 
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中華思想と“劣根性”
  憎しみを梃子に本質の議論、失政をすり替える政治が中国の伝統である
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 中国人の考え方の中には「根性」という語彙がない。かろうじて存在するのは「劣根性」である。
 従って「ヤマト精神」とか「大和魂」とか、言葉で理解できても、実態として何故日本人が、かれらの認識から見ると「架空」の目的の為に団結できるのか正確に把握できない。
  
それならば「漢族」という概念で、かれらが団結できるか。
それも無理である。
漢族も、そもそも雑多な多くの諸民族の混交体であり、嘗てのフン、鮮卑、凶奴などが漢字を習得し、普通語(漢語)を喋るようになって同化したのである。この時期に騎馬民族と農耕民族も同化を始めた。その後、もし漢族が団結できたならば、しかも「漢族精神」なるものを発揮できていたならば女真、金、元、清という異民族支配を受け入れる筈はないであろう。

 ならば愛国を鼓吹する北京の言うとおりに「国家」のために死ぬ?
 そんなことはまっぴら御免である。中国人にとって第一義的な守るべき価値は自分であり、家族であり、親戚であり、ついで友人、同郷人となる。址の人々は敵であり、絶対に信用をしない。
 近年の戦争をみても、武器を持たないチベット民族をなぶり殺しして、「併合」をできても、ほかの戦争は全て負けた。(日中戦争で蒋介石は南京から重慶へ逃げて米軍の支援をあおぎ、また共産党が「中国が『勝った』」と宣伝している三つの山岳戦争はゲリアの待ち伏せ戦術)。
あのベトナムにさえ、中国は負けている。
 
だが、中央集権の統一メカニズムを維持するためにさかんに情報操作、政治宣伝、悪質な謀略を用いる。
 憎しみを梃子に本質の議論、失政をすべてすり替える政治が中国の伝統である。
 「南京大虐殺」なるでっち上げが、それを象徴している。
 だが民衆レベルにおいては、たまたま所属する國、王朝が何処かと戦争を始めようが、それは自分とは関係がないのである。李鴻章が日本と戦争をしたことも、つい最近までは「あれは北洋艦隊と日本の戦争」であり、国家レベルではない、と解釈されてきた。95年に江沢民が反日キャンペーンのついでとばかり「甲午戦争記念館」をつくり、北洋艦隊の戦士達に愛国者の評価を与えた。

しかし、中国人には日本人のような「滅私奉公」の精神がないから、仕事のために家庭を省みないなど中国では冗談にもならない。北京でも上海でも午後五時から一時間ほどの交通渋滞は、残業をしないで、一斉に帰るからである。

だから中国の指導者にとっては、容易に団結し、会社のためには残業もいとわない日本人が羨ましくて仕方がない。疎ましくもある。
「太平天国」「義和団」、なんでもかんでも民族主義と結びつく動きは、拝外主義的ショービニズムの本質は棚に上げてでも、最近、突如として高く評価するのである。

そこで近年政治レベルで頻出してくる語彙とは「中華民族」、「中華文明」である。
いずれも架空の概念である。笛吹けど踊らず、だが、今回はサッカーで踊り出したから当局が慌てた。

「中華民族」なるは全くのフィクションだが、何回も何十回も唱えていれば、やがて真実に聞こえるらしく、江沢民は本気で首唱しはじめ、党大会にまで持ち出した。
この概念を端から疑問視しているのは蒙古、満州、チベット、ウィグル、チワン族ばかりか、各地のイスラム教徒、パイ族、イ続など合計56の小数民族(「小民」という)。
中国人にとって、手で触れるような実態として感触があるのは福建人、上海人、北京人、華南人、湖南人などといった地域文化特性放言が濃厚な「コミュニティ」であり、それらを一気に大風呂敷につつんでしまう「中華民族」は、じつは実態において理解しがたいのである。

したがって日本は中国の「反日」に少しも慌てることはない。
嫉妬心と群集心理が織りまざった、サッカー場内での「反日」行為など、端から問題にするべきことでもなく、そのレベルでしか「愛国」を発揮できない、面妖な「中華民族」などという民族主義が、確実に情報操作されたフィクションであることに日本人は気づくべきであろう。
           ◎
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(読者の声1)何時も拝見して、新知識をご教示いただき感謝しています。ただ「読者の声」欄を含め、小泉首相への評価があまりに厳しすぎるのに違和感を持っています。
 フォーサイト7月号巻頭論文に次の記事があります。田勢康弘の「小泉政権の真贋・一変した意思決定のメカニズム」。宮崎さんは勿論お読みと思いますが。「批判はたやすいが、評価することは難しい」とあります。私は田勢氏の所説にかねがね敬意を表しています。読者の方に一讀をお勧めしたいと思うものです。
    (YH生、大阪府。会社役員、80才)

(宮崎正弘のコメント)随分とセーブしてきたつもりですが、小泉政権に辛口ですか?。だからといって小生は民主党ファンでもありませんが。
ご指摘の『フォーサイト』誌は過去五年ほど読んだことがありません。日本の媒体はあまり読まないことにしておりますので。したがって例の金銭スキャンダル事件を起こした『選択』という雑誌も、じつは一度も読んだことがありません。ミニコミ誌で読んでいるのは『エルネオス』『テーミス』『DECIDE』くらいでしょうか。
田勢さんについては日経新聞でときどきコラムを拝読する以外、よく存じ上げません。朝日の船橋某に比べるとかなり良質であるとは思います。


  ♪
(読者の声2)貴紙メルマガ昨日付けに、「もしあのときの義和団が”官製やらせ暴動”ではなく、たとえば洪秀全が率いた『太平天国の乱』のように長期的ビジョンを持った指導者が存在していれば、攘夷暴動はほぼ間違いなく中華攘夷、打倒清朝となる筈だった」とありましたが、これは少々筆が滑ったようですね。
洪秀全は、誇大妄想狂はであったかもしれませんが、長期的ビジョンを持った指導者とは言いがたい人物です。政策及び指導方針はコロコロ変わり、末期には幹部の殺し合い。挙句の果てに約十年間の乱の間に、戦死、民間人の犠牲者合わせて約1億5千万人、実に日本の総人口以上が直接あるいは避難民の餓死、病死で引き起こされました。まさに狂気の世界です。
 ところで、現在の日中関係は明治20年ころに似ていませんか。
アヘン戦争後軍備強化を図った清国の北洋艦隊が下関等シナに近い日本の港に強行に寄航し、下船した水兵たちが、地元民から略奪、暴行を頻々と行なっていた。日本等アジア諸国と連帯して、欧米の脅威に対抗しようという日本政府の提案を拒絶し、欧米列強に次ぐミニ覇権国家を目指した。その結果が日清戦争である。今の日本人は殆どこのことを忘れているが、中国人は忘れてはいない。したがって、何故日本は対抗してこないのであろうと内心びくびくしながら、反日行為をおこなっている。にもかかわらず日本政府も国民も全く反応しないので、不思議におもっている中国人も多くいることであろう。それともそんな中国人はもういないかな。
        (ST生、神奈川)


(宮崎正弘のコメント)洪秀全は王府をつくらせ(南京に残ります)「皇帝」然として振る舞い、それまでの哲学者、政治革命家の面影を晩年はなくしたのは事実でしょう。しかし、南京から広東、江蘇省の南部を事実上、おさえ、換言すれば魏・蜀・呉のように「三国鼎立」を目指した。そういう意味では「白蓮教の反乱」とは違い、小生はこの波乱に富んだ冒険的人物を評価します。現代中国に「太平天国の乱」が必要である、という意味において、ですが。。。


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(読者の声3)中国のクラッカー(ハッカーではなく破壊主義者)集団が、8月1日より日本側のHPに攻撃を繰り返しています。下記サイトが紹介しています。
http://popup5.tok2.com/home2/usam/fenn/

http://popup5.tok2.com/home2/usam/fenn/20040802_r.htm#cncrack20040802
http://popup5.tok2.com/home2/usam/fenn/20040801_r.htm#cnhack20040801

pop広告が大量に出しまうのが難点です。西村幸祐氏の酔夢ing Voice、クライン孝子の日記、なども標的の模様です。現在のところ、靖国神社、日本青年社が襲撃されダウンしました。(現在は復旧しました)。警視庁や省庁サイトも襲撃されている模様です。
コチラにも(極東情報網の転載?)
http://home.newsch.net/edp/archives/blog119.html
ご参考まで
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(おしらせ1)

(自治調査研究会「公開講座」)
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 嘗てDKB時代に宝くじ整備に尽力、その後、マクドナルドワコール、ヨドバシカメラなどを大企業に育てた小穴雄康氏を招いて「中小新企業と金融維新」について目から鱗のお話を伺う。誰でも参加できます。

  とき      8月27日(金曜)午後6時(時間厳守)
  ところ     横浜駅西口「かながわ県民サポートセンター」。304会議室
  講師と演題   小穴雄康『中小新企業と金融維新』
  会費      おひとり2000円
  お問い合わせ  (045)263−0055
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(おしらせ2)◎小誌は8月9日付けが休刊になります。●
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◎宮崎正弘のロングセラーズ◎
『中国財閥の正体―その人脈と金脈』(扶桑社、1600円税込み)
『中国のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房、1500円+税)
『拉致』(徳間文庫、590円+税、以下同)
『ネオコンの標的』(二見書房、1500円)
『ザ・グレート・ゲーム』(小学館文庫、476円)
『胡錦濤 中国の新覇権戦略』(KKベストセラーズ、1460円)
『いま中国はこうなっている』(徳間書店、1500円)
『迷走中国の天国と地獄』(清流出版、1500円)
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(C)有限会社・宮崎正弘事務所 2004 
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