国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2004/07/12

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成16年(2004)7月12日(月曜日)
           通巻 第864号
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 アフガニスタンの麻薬はトルクメニスタンの中央銀行金庫に保管されていた!
    欧米、ロシアが注目する元中央銀行副総裁の証言
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 アンダリィ・ハジエフは元トルクメニスタン中央銀行副総裁を勤めた。かれは01年にロシアへ帰国(ロシア国籍)、現在ブルガリアに住んでいる。

 そのハジエフがロシアの『ナザヴィシマヤ・ガセッタ』紙のインタビューに応じて爆弾発言をした(6月21日)。
 な、なんと、トルクメニスタン中央銀行の金庫には秘密警察が自由に出入りして麻薬を管理していたというのだ。

 前々からトルクメニスタンにはアフガニスタンから麻薬が流れ込み、ここが集積センターとなって外交行李に詰められモスクワへ出荷されている疑惑が指摘されてきた。

 93年にニヤゾフ大統領府主任に突如呼び出しを受けたハジエフは、中央銀行の金庫室の鍵を呉れ、と要求された。
「国家にとって貴重な財産を保管するためである」と説明があった。ハジエフは「法に照らしても中央銀行の金庫は銀行業務以外のモノを預かることはできない」と突っぱねようとした。
 だがハジエフは政治圧力に負け、鍵を渡した。

 金庫の開閉は中央銀行の係官3人が立ち会う。
 運び込まれた「政府貴重品」なるものは金属製の容器で厳重な梱包がされ、すぐに麻薬だと想像が付いたという。

 レゼェポフ(大統領警備局長)とムハンマド・ナザロフ(国家安全保障委員会委員長)は、再びハジエフを呼び出し「政府の貴重品」について厳重な箝口令を引いた。

「もし口外すればキミは、第二のウサチェフになるだろう」。
 ウサチェフはトルクメニスタンの国境警備隊長で麻薬摘発に辣腕を振るいすぎた結果、銃撃を受け、謎の死を遂げた。
 
 アフガニスタンではタリバン政権下であれ、現在のカルザイ政権下であれ、世界の麻薬工場という汚名は注がれていない。現実に世界中から麻薬の仲買はカブールに集まり、契約を交わし、そのうちの多くがトルクメニスタンに中継され、モスクワ経由で欧米へ運ばれているといわれる。

かくて西側が支援したアフガニスタンも、元の黙阿弥?
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(サイト情報)評論家遠藤浩一さんのHP↓
http://2.suk2.tok2.com/user/endohopinion/?c=002
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(今週の寄贈本)

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?片山文彦・加陽済編『いま日本の心を問う』(原書房)
 神官ふたりと意外な人達との連続対談の記録だが、ゲストが唐十郎とか、俵万智とか。その人選に首を傾げながら読み進むと、やはり片山宮司、面白いところにポイントを置かれて居ることがわかった。
片山さんは花園神社宮司にして医学博士。そのうえ氷川神社の山本宮司と過去36年にわたる勉強会を主催しておられるユニークな先生である。
じつは小生も二、三度、この勉強会に講演に伺ったことがあるが新宿周辺の商店主らで満員の盛況。忘年会にもいろいろな人が集まり話題があちこちに飛ぶ。そういえば蜷川幸夫のギリシャ公演の最後の練習会場も花園神社でした。
 宗教や和歌を論じながら、ときおりのぞく医学のテクニカル・ターム。その総合力で社会のフリーターとか、ひきこもりとか、じつにいろいろな現象を歯切れ良く解かれる。
 さて本書のもうひとりのパートナーが加陽済氏だが、この方も田無神社宮司にして医学博士。神官で医学博士のふたりのホストが井沢元彦(作家)らを相手に丁々発止と、歴史、科学、人生の論争を展開され、おもわず膝を打つ箇所が多かった。


 ♪
?ラルフ・タウンゼント著・田中秀雄・先田堅紀智共訳『暗黒大陸中国の真実』(芙蓉書房出版)。
 本書は民族派、保守派にとって必読の資料的価値がある。
 ラルフ・タウンゼントという人物は以前から識者の間で知られた。日本を擁護し、真珠湾攻撃直後に「反米活動」」で逮捕され、一年間投獄されたアメリカの良心。タウンゼントは米国の上海領事館副領事から福建省で領事をつとめたが、ジャーナリストでもあったので、観察が鋭く、汚染された河と汚い小舟しかない当時の中国を旅行した。
 訳者の田中氏らは、どうにかして日本人に忘れられた、このアメリカ外交官を顕彰しようとして処女作を手に入れ、おおくの人の協力を得て、ここに訳出した。その功績や大である。
 この本は1933年の作品でタウンゼントが米国大使館上海副領事として、日々、かの猥雑なペテン師だらけの國で実際の目撃した出来事と、直接体験から考えに考えての中国人論を展開し、日本の経営する満州こそ、中国人にとっては天国ではないかと、その真実を報告しているのである。
 「中国人はただ働けて束縛されずに生きられれば、どんな旗がはためこうとまったく気にしない。懐具合が良くて家族が無事でいればあとはどうでも良いのである」(280ページ)。
だから「満州は中国人にとって天国」となった。
事実、日本が経営した満州の評判を聞いて数十万の漢族が入植した。学校は日本人より中国人のほうが多かった。
 元も清も、いや唐さえ、異民族王朝である。吐番、大月氏、突厥、金と数え上げればきりがない異民族王朝が三百年つづこうとも、漢族は気にしなかった。
 著者の中国への学識が方々で生かされて、しかも64年前の中国人の本質といまのそれとはまことに同一軌道をまわっている事態を、読者は感嘆と同時に体得するだろう。


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?越智道雄『ジョン・F・ケリー』(宝島社)
 副大統領候補にケリーはジョン・エドワードを南部の大票田を固めるために選ぶや、現職ブッシュ大統領との支持率の差を4%に広げた。このまま突っ走ればケリーの勝ち?
民主党内でリベラル左翼が穏健保守をおさえ、世界最長の馬面(うまずら)男が民主党の大統領候補となった理由は、最初は民主党がどっちみちブッシュには勝てないだろうと「投げやり」で、しかも本命のヒラリーが2008年の正念場をねらって、予備選から逃げたからである。
本命視されるケリーの生い立ちから大学時代、交遊、反戦活動家、その富豪ぶりを余すところなく描き出すのが本書。
それにしてもアメリカ通の越智道雄教授はなんという早業だろう。
ダークホウスのジョン・ケリーが登場し、スーパー・チューズディで勝利をおさめてから、短時日で米国はすっかり様変わりした。
イラクの泥沼で米兵の死者は1000人を越え、あの9・11テロは風化し、イラク戦争に反対する声がカリフォルニアやニューヨーク州などでは、ナショナリズム派より大きくなった。
タイミングは絶妙、ケリー候補については本邦初出版でもある。
ひょっとしてカーターやクリントンのよう本番では百八十度の番狂わせでケリーが大統領になるという「懼れ」が日を追う毎に強くなっている。
小生にとっては、ケリー一族の出自が大いに興味の覚える問題である。ケリーのご先祖はチェコから逃げてきたユダヤ人。米国で改宗してゆく過程。アイリッシュ、WASPとの混交など、このファミリーの閨閥は、米国の新しいエスタブリッシュの一断面を象徴しているからだ。
ともかく小泉―ブッシュ枢軸で良好な日米関係は越智教授が「あとがき」に指摘するようにケリーを歓迎しない。
だが現実の世は、「最悪のシナリオがあるときは、そちらにぶれる」(マーフィーの法則)わけだから、世界一の馬面(うまずら)大統領の誕生、日米関係悪化というワースト・シナリオの実現には十全の要理をしておくべきであろう。
「第二のデュカキス」だとおもって舐めていたら、ひっくり返ることになりそうである。ともかく日米関係にとって「悪夢」の到来のごときジョン・ケリーであるがゆえに、その冷酷で左翼的な政治本質をいまから見極めておくことは極めて重要である。
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(今月の拙論)
?「三通、金門島の現場では」(『共同ウィークリー』、6月28日号)
?「水不足で中国大陸大崩壊」(『新潮45』、7月号、発売中)
?「思想家としての村松剛」(『月刊日本』、7月号、発売中)
?「さようなら中国幻想、こんにちはインド」(『正論』、8月号、発売中)
?「北朝鮮の選択」(『自由』、8月号、発売中)ほか。
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☆宮崎正弘の近刊  
『中国財閥の正体―その人脈と金脈』(扶桑社、1600円税込み)
『中国のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房、1500円+税)
『拉致』(徳間文庫、590円+税、以下同)
『ネオコンの標的』(二見書房、1500円)
『ザ・グレート・ゲーム』(小学館文庫、476円)
『胡錦濤 中国の新覇権戦略』(KKベストセラーズ、1460円)
『いま中国はこうなっている』(徳間書店、1500円)
『迷走中国の天国と地獄』(清流出版、1500円)
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