国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2004/07/09

◎ 本日深夜(10日午前零時。ラジオ日本「ミッキー安川の朝まで勝負」に宮崎が出演!
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成16年(2004)7月9日(金曜日)
           通巻 第861号
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 江沢民 vs 胡錦濤に見えない暗闘が再び?
   軍のトップ人事に「?}と憶測が逞しくなった
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 先月末から蘇州で開催されていた「第28回世界遺産委員会・蘇州会議」が7月8日に閉幕した。ところが会期中に江沢民も胡錦濤も出席しなかった。

 会議そのものは48件の世界遺産審議を行い、世界文化遺産29件と世界自然遺産5件を新たに登録した。なかには長春の「高句麗王城及び王陵・貴族墓」、遼寧省の「盛京三陵(永陵・昭陵・福陵)」、「瀋陽故宮」など中国の遺産がめだった。

 さて問題は世界遺産ではない。
 例年、この会議のホスト国は国家元首クラスが出席して歓迎の演説をするのが慣わし。まして世界に名を売ることが大好きな江沢民が胡をさしおいて出席すると見られていただけに大きな憶測を呼んでいる。

 事実上の「院政」を敷く江沢民は、新たに15人の将軍人事を発表した経過は先にも伝えたが、ポストにしがみつく江沢民・中央軍事委員会主席みずからが15人に辞令を授与した。

 新しく「将軍」となって江沢民に忠誠を誓った軍人のなかでも江沢民のボディガードでしかなかった由喜貴(総参警衛局局長兼中央警衛団団長)が三段跳びで将軍になったことにチャイナ・ウォッチャーの間では注目が集まっている。

 「つまり由喜貴の起用により新しい軍閥を形成する時間が必要。江沢民は、少なくともあと一年以上は軍事委員会主任を辞めないだろう」(アジア・タイムズ英文版、7月8日付け)。

 ほかの14名の新将軍(上将)は次の通り。

  葛振峰・副総参謀長、張黎・副総参謀長、張文台・総後勤部政治委員、胡彦林・海軍政治委員、鄭申侠・軍事科学院院長、趙可銘・国防大学政治委員、朱啓・北京軍区司令員、李乾元・蘭州軍区司令員、劉冬冬・済南軍区政治委員、雷鳴球・南京軍区政治委員、劉鎮武・広州軍区司令員、楊徳清・広州軍区政治委員、呉双戦・武警部隊司令員、隋明太・武警部隊政治委員。
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(おしらせ)●本日深夜(正確には10日午前零時から)。ラジオ日本「ミッキー安川の朝まで勝負」に宮崎正弘がナマ出演します。この番組は君が代斉唱から始まります。宮崎の出演時間は午前零時から午前1時すぎまで。 !
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(読者の声1)「國際ニュース・早読み」を興味深く読ませていただいております。目からウロコの落ちることがしばしばです。また、山東省の情報ありがとうございました。中国の実情が政治家にも伝わると、少しは政府の対中国姿勢が変わると思うのですが、小泉内閣もちょっと色を変えた「張子の虎」にすぎなかった現実からいえば、日本の変革もこれからですね。宮崎さんのご活躍が十分生かされることを期待しています。
       (KM生、板橋)

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(読者の声2)昨日付けの御誌で、許世楷(台湾駐日代表)の記者会見の模様が精密に了解できました。新聞では産経でもほんのすこし触れていただけでしたし、日経は「尖閣」問題だけに焦点を当てた報道でしたので、詳しく知りたかったのです。こういう意味でも御誌は、本当に助かります。
       (YT生、秋田)

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(読者の声3)いつも楽しく「国際ニュース・早読み」を読んでいます。私の知らない事やいろいろと勉強になり、とっても楽しみにしています。ところで「標準語」の件ですが、今、日本では標準語は無く、「共通語」と言うのだと思うのですがどうでしょうか。確か昭和43年か45年頃に国語審議会とかで決定されたと記憶しているのですが、政府の機関というのはいい加減で気まぐれですから、又もとに戻したのかもしれませんね。
この標準語、共通語の問題は、我が家でも玉に揉めるので、正確なことを知りたいのですが、どなたか知りませんでしょうか。
私はシドニーに20年以上住んでいますので、調べたことがありません。怠け者をどうぞ助けて下さい。新聞も何も取っていませんが世の中の事に何とかついて行けるのは、宮崎先生のお陰で物凄く助かっています。有難うございます。
     (YS生、シドニー)
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(サイト情報)?スタンフォード大学・アジア太平洋研究センターのM・アーマコスト元駐日大使とD・オキモト教授の論文: "The Future of America's Alliances in Northeast Asia," by Michael H. Armacost and Daniel I. Okimoto, Asia-Pacific Research Center, Stanford Univ, July 2004: (pdf, 32p)
http://iis-db.stanford.edu/pubs/20641/1_Introduction.pdf
?L・ロジャース米陸軍訓練オフィサーが戦略研究所(SSI)から出した論文: "NORTHEAST ASIA--CULTURAL INFLUENCES ON THE U.S. NATIONAL SECURITY STRATEGY," by Mr. Larry B. Rogers, Jun 2004: (pdf, 20p)
http://www.carlisle.army.mil/ssi/pdffiles/00371.pdf
? 米陸軍戦争大学の季刊誌「Parameter」2004年夏季号に発表されたラップ中佐の日米同盟に関する論文: "Past its Prime? The Future of the US-Japan Alliance," by William E. Rapp, Parameter, U.S. Army War College Quarterly, Summer 2004: (pdf, 17p) 
http://www.carlisle.army.mil/usawc/parameters/04summer/rapp.pdf
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昨日付けの「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」(平成16年(2004)7月8日(木曜日)が文字化け、判読不明という読者が多かったので、下記に再録します。
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(再録)「台湾の新外交目標は”改憲”への国際理解」、許世楷・新駐日代表が会見
     日本、米国、台湾は「見えない安保の鎖」で間接的に結ばれている
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 陳水扁政権二期目の重要課題は「憲法改正」である。
 陳総統自身は「困難な工程」と言っている。しかし民間ではすでに李登輝前総統が中心となって「改憲運動」が組織され、長い闘いの火蓋を切った。
 許世楷・新大使(正式には「台北駐日経済文化代表処代表)は、直前まで、この運動の中心にいた。
  許氏は日本へ亡命、早稲田に学び東大で博士号。津田塾大学教授。92年にブラックリストから解除されて帰国、静宜大學教授、建国党主席をつとめた。
 「新憲法」が如何に重要か、5月17日に許世楷氏は陳総統に呼ばれ、次期駐日代表を打診された。
 許世楷氏は、次の三点を強調し、総統の賛意を獲られたので新代表を受諾したと語った(以下は7月6日の新代表着任記者会見での発言要旨)。

 ▲改憲運動の重要性

 第一は「憲法制定」を如何に推進するのか。まずは「民意の高まり」が必要であること。
 立法院で四分の三、さらに国民大会で四分の三以上の賛成を得られなければ改憲は成立しない。さきの「国民投票」(3月20日)は、結局、民意の盛り上りを欠いたため「不成立」となった。
 同時に重要なのは「関係国の動向」、とくに米国、日本などの理解を得なければならないことだ。(改憲運動の中心にいた)わたしが駐日代表になるからには、台湾の新憲法に関して日本に理解して貰うための説得を重ねる。また陳総統自信の決意を硬いものとしなければならず、これらに賛成していただけるなら、わたしとしては「戦場を移すだけ」の心境で取り組みたい、と陳総統に申し上げた次第だ。
 台湾の外交にとって特色ある立場とは「台湾の存在」を国際環境のなかに確立してゆく作業である。
 ほかのくにぐにならば、どんな小国であっても、たとえ「国家」が崩壊しても、「国」は残る。たとえばイラクのように。しかし台湾の場合、「国」そのものがなくなってしまう可能性がある。
 だが(実態としての国際環境では)日米安保条約を米国が日本と結んでいる一方、米国と台湾のあいだには「台湾関係法」がある。
 1996年の台湾総統選挙で、中国がミサイルを台湾沖へ撃ち込んだが、米国は空母を台湾海峡に派遣した。
 また台湾は近年も(中国の反対を無視して)米国から武器を購入している。
 詰まり日米安保と台湾関係法を繋げると、日本と米国、台湾には間接的な、隠れた「防衛の鎖」が存在する。ましてや中国が軍事力を増やせば増やすほど、日米台のチェーンが強くなるだろう。
 日・米・台には共通の守るべき価値観(自由と民主主義)がある。中国は全体主義であり、共通の価値観とは違う。「台湾海峡を中国の内海としてはならない」と言うのが、我々に共通の政治目標ではないのか。
 
  ▲事実上の「主権国家」が存在している

 日本は形式上「ひとつの中国」政策をとっているものの、事実上、そこにはひとつの主権国家が存在している。
 事実上の主権国家=「中華民国」は徴税し、行政が機能している。したがって主権国家には外交が存在する。日本には台湾代表処が、台湾には(日本の)交流協会があるように。
 かといって(北京との間で)必要以上の衝突を避け、むしろ歴史的文化的学術的に交流を拡大し、日本と台湾の絆を深める努力をしたい。
 ガリバーを縛ったこびとたちのように、深い絆が強まれば巨人でも動けなくなることがある。
 以上が記者会見の概要である。

このあと質疑応答に移り、共同記者が「尖閣諸島」問題を許代表に問うた(李登輝前総統は「尖閣は日本の領土」と言い、陳水扁総統は「台湾の領土」と発言している)。
 許代表は「話し合いの余地がある」として、「そこに住民がいるのなら、それを最優先させるべきだが、尖閣には住民が居ない。誰の領土とも言えない」とした。
  「台湾の土地であるとも言えるので、双方が話し合うべきだ」。また「中国が探査船などを派遣しているのは同時に日本の反応を探査しているからだ」と発言があった。活発な質疑応答は予定時間をかなりオーバーして続いた。
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