国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2004/06/17

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成16年(2004)6月17日(木曜日)
           通巻 第851号
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北京、「外貨準備高」発表を故意に遅延させている理由は?
   資本の海外逃避を隠蔽か、それとも不良債権処理の奥の手か? 巨額の武器取引か
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 毎月発表される中国の外貨準備高。二ヶ月遅延している。
 日本、シンガポール、香港、印度などの中央銀行はすでに5月の集計を公表しているのに中国は三月公表分のまま、次の発表を見送っているのだ。

 異常事態が発生していると推測される。

 年末から年始にかけて中国は外貨準備から中国建設銀行と中国銀行の不良債権処理のために公的資金を注入した。その額たるや450億ドルだった。
 
 他方、中国から海外へ投資された金額も300億ドルを超えたとの発表があった。

 もちろん海外から中国への直接投資は前年を上回るハイペース。今年は600億ドルを超えるだろう、と予想されている。

 2003年末の中国の外貨準備高は4033億ドルだった。
 今年二月に4160億ドル
 同三月は、4440億ドルに達した。
 4月統計は遅くとも6月早々に発表されるべきだが、依然として公表されていない(6月15日午後三時現在)。直近のロンドン『エコノミスト』誌(6月12−18日号)でも、中国のそれは4440億ドルのままである。

 国際金融筋に流れるシナリオはあまたあるが、最大にして第一の可能性は「海外への資本逃避」だ。

 不動産ブームが金融抑制によって去りつつあり、投機筋がカネを引き上げているのではないかとする疑念は払底しきれない。
 
 投機家にとって絶好のカジノだった中国が突如魅力を失えばカネはすぐさま移動を開始する。


 ▲ちかく金利あげがあると?

  まして中国では近く金利上げが予測されている。
 6月15日に公表されたマネー・サプライは前年同月比で17・5%もの高い伸びを記録している。
 ところが銀行は貸し渋り、貸しはがしに転じており、発電、石炭、運輸関係以外の投資には新規融資がなされない。
 
 第二のシナリオは、国有銀行の不良債権処理のために再三再四、しかも密かに外貨が充当された可能性があることだ。

 5月18日に中国銀行と中国建設銀行の関係者は「不良債権の再処理」が進行中である、との記者会見をしている。
「奥の手がある」と「世界経済週報」(5月22日号)も示唆している。

 失業率はこの間、過去の23年間で最悪の4・3%を更新した。GDP成長が9・1%成長というのに面妖なことに失業が増えているのだ。
国有企業のリストラが進み、かれらに再雇用のチャンスが無いという悲壮な現実を示してあまりある数字であろう。

 ところが五月のインフレ率が5%、消費者物価は4・4%の上昇をみた。
 この境遇に中国当局は金利上げを狙っている。現行の貸し出しプライムレートは5・3%、銀行預金(一年定期)は2%。
これが上昇すれば、もっとインフレになる。

 しかし第三のシナリオはロシアから巨額の武器を購入した可能性である。  
 イスラエルからもAWACS導入の噂が絶えず、またEUからの武器輸入解禁も日程に上っている。
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 奇妙奇天烈、珍妙無比の摩天楼群が建ち並ぶ北京
   2008年オリンピックは不思議な建物の展示会になるかも。
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 もともと自己主張のつよい国柄だけあって、中国の最新ビルは奇妙な形の三角形、菱形や真ん中が空間のビルが全土に建っている。
芸術や彫刻作品ではない。それが商業ビルだから、始末に負えない。お台場のフジテレビなんて目じゃないって。 

 北京は2008年オリンピックを目指してあちこちの道路を掘り返し、ハイウエィをつくり、スラム街をブルドーザで破壊して緑地をつくり、新築ビルを並び建て、地下鉄をあと四線建設している。

 いま北京市民が大きな関心を持って見守っているのは天安門広場近くに3億ドルを投じた国立劇場だ。
 あと18ヶ月で完成する。ガラスとチタンの奇妙な建物は、その非中華的デザインでも国内から不評を集めているが、フランス人設計士のポール・アンドリュの作品。

 ポールは上海浦東空港、オペラハウス、広州のスタジアムを建てて中国では有名人だが、フランスでは「問題だらけ」。先日のドゴール空港で屋根が落下し四人が死亡した事故がおきた。
「あれもポールが設計した」と中国の事情通が言う。

 この珍妙奇抜なる国立劇場のデザインは誰が許可したのか、国内設計者より遙かに高い予算を誰が了解したのか? と問いつめていくと江沢民に行き着くと「ヘラルド・トリビューン」は指摘している(6月15日付け)。

 オリンピック競技会場のメインスタジアムはスイス人設計士のジャック・ヘルツォグとピエール・メーロンが落札した。
 鉄骨をメッシュのように組み合わせ鳥の巣を模した建物となる。総予算は5億4300万ドル。
 英国のノーマン・フォスターが落札した北京国際空港は龍のかたち、総予算19億ドル。

 タイム誌も表紙にした宇宙基地のような[Z]型で55階のツインビルは中国中央テレビ。7億3000万ドルでオランダ人設計疑似のレム・クルハスとオレ・バン・シエレーンが請け負った。

 6月15日付けの「人民日報」に拠ると、
「北京市で14日午後6時40分ころ、突然強風が吹きはじめ、町じゅうが砂けむりに包まれた。観測によれば、瞬間最大風力は7(風速13.9〜17.1メートル)に達し、強風に巻き上げられた砂で北京の空は黄土色に変わった。市内中心部のほとんどの地区で視界が急激に悪くなり、わずか30分で1キロメートルを切った。」

 黄砂が北京を覆うと摩天楼は煤だらけとなる。まさに虚栄の市。
毎年平均10−14%もの増大をみせる中国の軍事力もスホイ27,スホイ30,ソブレミニン級ミサイル巡洋艦など、摩天楼とおなじレベルの“虚栄の陳列”だといいのだが。。。。。。
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(休刊予告)6月18日から地方講演旅行などのため小誌は来週火曜つけまで休刊します。
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http://www.fusosha.co.jp/senden/2004/046355.html
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