国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2004/06/07

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
  平成16年(2004)6月7日(月曜日)
           通巻 第842号
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インド新政権の予算措置が暗礁に
   マンモハン・シン首相は財政のエキスパートだが。。。
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 先月のインド総選挙は大方の予想を覆してパジパイ前首相率いたBJP(人民党)が下野、野党の国民会議派が第一党に返り咲いた。

 外国投資家は、人民党の貧困層救済の公約に嫌気して、保有株式を売り一色に転じた。外国からインド株式市場には昨年だけで100億ドルが流れ込んでいた。それが引き上げとなれば株式は暴落する。

 インドの借金体質はすこしも改善されておらず対GDP比で82%、海外からの借り入れは困難な局面にあり、外国企業の直接投資増を待つしかない。
 たとえ高い経済成長率を誇示しても、税制に欠陥があって、これ以上の歳入増加は望めない。
 貧困層、小売業および農業の大半が納税をしていない上に、汚職が蔓延しており、まして新政権が選挙公約を貧困層の救済においている以上、税率の引き上げも叶わないからである。

 唯一残された手段は国有企業の民営化、海外への売却の加速である。昨年だけで35億ドルの国有企業株式を売却し民営化を急いだが、効果は期待はずれだった。

「まだ方法はある」と専門筋は言う。
 「インドの外貨準備率は1340億ドル、国民の貯蓄率はGDPの23%、これらに加え欧州のように”付加価値税”(VAT)を導入すれば、財政赤字は縮小に向かい、予算措置によるプロジェクト増の景気刺激策を打てる」という。
 インド新政権、多難なスタートになる。
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(今週の寄贈本)

?同人雑誌『昧爽』(まいそう)。日本浪漫派の流れに沿う志の高い文学同人誌だが、今月は村上一郎の特集だ。主宰者のひとり山本直人氏が「未完の維新――三島由紀夫と村上一郎」と題する論文を書いている。なかなかの力作である。
村上の「堀辰雄における哀しさと美しさ」「日本浪漫派覚え書き」も収録されていて読み応えがあった。また「村上一郎を偲ぶ会」の報告は中村一仁氏が書いている。桶谷秀昭、松本健一の各氏も出席して、今年の三月に開催されたとか。事前に知っていれば小生も出たかった会である。
同誌は季刊。駿河台「風光書店」や高田馬場「平野書店」でも購入できる。一部600円。または nahoto@wf7.so-net.ne.jp に申し込む。


?竹本忠雄著『ル・武士道』(扶桑社)
パリに再び拠点を移した竹本忠雄氏の新作である。
3年間、10回にわたって拓殖大学日本文化研究所の『日本文化』に連載されたものに加筆補筆を加えた。日本はラストサムライではなくファーストサムライたれ! 
昨年来、李登輝前台湾総統の『武士道解題』を嚆矢として新渡戸稲造の「BUSHIDO」の翻訳が復刻、大ベストセラー入りした(小生の文章も、この本の最後に収録されています)。
さて竹本忠雄氏はといえば、武士道再評価の日本における草分け的存在。アンドレ・マルロォが来日の際に天皇陛下に拝謁されたが、「なぜ武士道に興味があるのですか」と問われ、「騎士道を起こしたフランス民族が武士道をおこした民族に興味をいだかぬわけがありますまい」と答えた逸話は広く知られるが、マルロォを親交深い竹本氏が通訳を務めた。
三島の武士道を世界で真っ先に評価し「三島が羨ましい」とつぶやいたマルロォは晩年にバングラディッシュ義勇兵を旗揚げし戦場に死のうとした。
「晩年のマルロォは三島に嫉妬していました」と愛人のひとりだった女性が語ったと、村松剛氏が何かに書いていたのを、突如おもいだした。
 ハリウッド映画が武士道を評価し、武蔵、楠木、三島への再評価が続いた。
 ところで小生と竹本氏との出会いは知人を介しての偶然だったが、いまから30年近く前、ちょうど竹本氏が17年間滞在したパリから帰国し、渋谷で「浪人」時代だった。あの時代、渋谷の書斎を尋ねて大いに議論し、夕方からはよく飲み歩いた。それから筑波大学教授に就任され、住まいを茨城に移された。
 筑波では友人の五十嵐助教授(サルマン・ラシュディ『悪魔の詩』の訳者)がイスラムのテロリストに殺害され、竹本氏が葬儀委員長をつとめた。
そのあたりの経緯は拙著『三島由紀夫“以後”』でも書いた。
筑波大学を退官後、しばし富士の麓で悠々自適の思索生活を送られていたかと思いきや、東京へ活躍の舞台を変転され、いくつかの会合やパーティでお目にかかった。
昨年、再び拠点をパリへ。憂国の筆致は、ますます冴える。
 本書の中味はよんでのお愉しみ。


?日本政策研究センター機関誌『明日への選択』(月刊)
 志を同じくする情報交換的なメディアとして、この月刊誌はすでに221号を迎えた。毎号隅々まで読む。
 今月号(6月号)は平松茂雄教授の「中国のシーパワーに包囲される日本」と、下条正男氏の「竹島問題“妄言”の背景にある歴史認識」は資料的価値がある力作である。連載のなかでも「歴史の指標」は、日露戦争の各場面を解析しているが、小説より遙かに面白い。毎号貴重なデータが満載。年間購読は7000円。
申し込みはhttp://seisaku-center.net
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★宮崎正弘の最新刊  
『中国財閥の正体―その人脈と金脈』(扶桑社、1600円税込み)
http://www.fusosha.co.jp/senden/2004/046355.html

◎宮崎正弘の近刊
『中国のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房、1500円+税)
http://www.namiki-shobo.co.jp/

☆宮崎正弘の好評ロングセラーズ
『拉致』(徳間文庫、590円+税、以下同)
『ネオコンの標的』(二見書房、1500円)
『ザ・グレート・ゲーム』(小学館文庫、476円)
『胡錦濤 中国の新覇権戦略』(KKベストセラーズ、1460円)
『いま中国はこうなっている』(徳間書店、1500円)
『迷走中国の天国と地獄』(清流出版、1500円)
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◎宮崎正弘のホームページ http://www.nippon-nn.net/miyazaki/
小誌の購読は下記で登録できます(無料です!)
http://www.melma.com/mag/06/m00045206/a00000060.html
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(C)有限会社・宮崎正弘事務所 2004 ◎
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創刊日:2001-08-18  
最終発行日:  
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