国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2004/05/28

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
  平成16年(2004)5月29日(土曜日)
           通巻 第839号
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北朝鮮への食糧支援は70億円、しかもコメはやめ、トウモロコシ、小麦を中心
 コメ関連議員と業者の思惑はずれ、穀物は米国産か?
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  日本政府は北朝鮮に対する25万トンの食糧支援について、コメ支援をやめ、金額で70億円余として穀物を忠心の援助を決めたようである。26日午前に関連議員らが表明した。
従来の北朝鮮へのコメ支援は、古々米、倉庫、政治家のコネクションや、北朝鮮が第三国へその援助米を転売している噂など、批判が多く、また民衆の末端に行き渡っていることを査察するチームも極めておざなりだった。軍が独占すれば半年、食糧をまかなえることになり、これでは敵に塩をおくるようなものだ。
北朝鮮側はいまも「コメ支援」を主張しているらしいが、トウモロコシを中心に小麦の混合とする。つまり米国産が主流になる事態を示唆している。
日本の医療支援の1000万ドルと食料支援とを合計すると、北朝鮮への「人道支援総額」は80億円余となる。
これらは世界食糧計画(WFP)が出す北朝鮮への食糧要請に応じる形の支援となる。唐突なコメから穀物への切り替えは大いに「関連議員」「その筋」を慌てさせたようである。
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(今週の寄贈本)

?薄木秀夫著『メコン発・アジアの新時代』(凱風社)
 薄木さんは、その昔『サンデー毎日』の辣腕記者として、よく国際経済の取材に小生のところにも来られた。それから毎日新聞外信部へ移籍され、すぐさま韓国特派員。その時代、よくソウルでお目にかかったが、帰任後、今度は台湾へ取材に行かれた。後日、台湾の物語も薄木さんは一冊、上梓されている。
 それから数年したら薄木秀夫さん、今度はバンコック特派員として赴任され、小生がカンボジア取材のときにも一晩のみましたっけ。
 そう、そう。その前年にもバンコックで檄辛のタイ料理に連れて行ってもらいましたね。
バンコック支局は、ラオス、ベトナム、カンボジアもカバーする要衝で各社、ここを拠点にインド、パキスタン、アフガニスタンの中継地をすることもある。バンコック時代の薄木さんは、しょっちゅうハノイ、プノンペン、ホーチミン、ビエンチャンに取材旅行に出掛けられたが、そのコラムを毎日新聞に綴られていた。バンコックで出ている『バンコック週報』に書いたコラムもあわせ、加筆して本書はその集大成。
 東京帰任後、二年のあいだに五回もこれらの地を回り直した。メコン大好き人間でないと、こういう真似はとてもできないのではないでしょうか。


?濤川栄太著『教科書から消された偉人、隠された賢人』(イーグルパブリング)
 教科書が黙殺する日本史の偉人達。たとえば大村益次郎、吉田松陰、徳川慶喜、山岡鉄舟、近藤勇、土方歳三、小栗上野介、坂本龍馬、勝海舟、西郷隆盛、高杉晋作、大久保利通などなど。本書はそれら消えた偉人の群像を追う。
 考えてみれば私たち戦後世代は、これら人物を教科書を通じては習わなかった。すべては偉人伝、映画、それから小説で知った人々ばかりである。
 ところで著者の濤川さんは「新・松下村塾」を主宰されユニークな教育者として知られる。二が月ほど前に、この会に講師をたのまれ小生も出講したが、熱心はメンバーの燃えるような雰囲気の会で驚かされました。


?中村彰彦著『敵は微塵弾正』(実業の日本社)
「戦後の世の中、武士道に様々な女が哀楽の影を落とす」とサブタイトル。
 えっ。著者にはめずらしく女性が絡むというジャンルに挑んだ作品集だ。と言ってもまだ読んでいないので、コメントを綴るのは次回に。これから旅行鞄にいれるところです。
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(読者の声1)香港が行政長官選出の手続きを巡って大きく揺れています。TVのキャスターの降板騒ぎ含め先生の情報力と鋭い切り口で分析して現地の状況を教えてください。台湾問題(台湾への影響)も絡めてお願いします。
       ◎

(宮崎正弘のコメント)董建華行政長官は寧波出身の海運マフィアから出世した人物であり、姿勢は北京寄りです。海運といわれた包玉剛(パオ・ユイカン)の流れを汲み、要するに反共だったのですが、改革開放とともに北京と握手して「経済優先」となりました。香港財閥はみんな、このパオに右へ倣え、となりました。(詳しくは拙著『中国財閥の正体』をご笑覧あれ)。
 香港は水と野菜などを大陸に依拠している以上、台湾ほどの独立気運もなく、市民はビジネスライク。共産党を懼れる人たちはとうにカナダや豪州へ移民しております。のこっているリベラル闘士は李さんですが、米国の支援をうけているくらいで、真綿で首をしめられるように日々、香港の自治の独立は失われています。
 台湾は事実上の大使館が「中国旅行社」と、数年前までは「図書館」が有りましたが、その後、規模を縮小し、むしろ広東へ企業が進出を果たしてからは経済摩擦のほうが大きい。心理戦争では北京のほうが政治宣伝が巧妙なので、台湾は心理的脅威を感じているのは事実でしょう。香港マスコミは北京批判組が皆無。僅かに雑誌『開放』くらいとなりました。
マスコミはスポンサー筋に北京が無言の圧力をかけたため、広告を降りるといわれれば大手マスコミも立ちゆきませんからね。『サウス・チャイナ・モーニング・ポスト』も新聞王のマードックから北京寄りの華僑・郭鶴年が買収して往年の共産主義批判は薄れ、李鵬を批判して急速に部数をのばした『リンゴ日報』は、芸能人のスキャンダルと殺人、
猟奇事件ばかり。スポーツ新聞と日刊現代のようなイエローペーパーです。
というわけで香港の自由は、徐々になくなりつつあります。


(読者の声2)ずるいのはフランスだけではありません。その通りです。欧州では独・仏・露の3カ国がその代表です。彼等は世界で自国に不利なことがあると必ず団結し干渉する。そして密かに自国の利益を収める。また不利とあらば国際条約を平然と破棄する。
かって日本は独・仏・露の3カ国の干渉によって無理やり遼東半島を返還させられ、後の日露戦争の原因を作った。ドイツは何の相談もなく独ソ不可侵条約を締結し、事実上日独伊防共協定を無効化した。しかしこの不可侵条約もあっという間に破られたし、日ソ中立条約もまた同じ運命をたどる。
これは例えば三菱自動車のように、企業間の提携の場合でも全く同じ構図ですね。弱いとみれば吸収し、役に立たなければ平然と捨て去る。翻って考えるに国際政治とはいわば権謀術策が蠢くところでして、条約なんて簡単に破られるのが当たり前なんです!例えば中国の歴史を紐どくと正に裏切りの連続でして、いわば権謀術策の東の本家本元、あらゆる手練手管を弄して自らの利益を求めるわけで、いわば深く彼らの遺伝子に組み込まれている訳です。まあそこに行くと米英などアングロサクソンの方がずっと信頼性が高い訳ですが、彼らも苦い体験を積んだ結果、諜報機関の活動は世界一、あらゆる情報を集めて変化に対応しているでしょう。
この点、我々日本人はあまりにも体験不足でして、非常に甘く国際親善、国際協調とまるで絶対的なように考えるのですが、裏切られたと言って泣き、もはや後の祭りですね。我々はプロレスや国際サッカーで十分その狡すからい手口を見てきているのであって、常に相手の変化を前提に対応しなければならない訳です。   
(MI生)
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     三島由紀夫研究会公開講座のご案内
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 三島由紀夫はさまざまな比喩(メタファー)を用いたが、そのひとつに「薔薇」がある。薔薇のメタファーがどのように登場し、どのような展開を経たのか? 三島の作品群のなかにそれを探ることによって、その文学世界の特質を明らかにする。それは同時に、肉体にこだわり続けた作家の「内と外の弁証法」(澁澤龍彦)を検証することでもある。
              記 

 とき   平成16年6月15日(火曜日) 午後6時半開場/7時開演  
 ところ  大正セントラルホテル・3階大会議室
         【高田馬場駅前・ビッグボックス前】 
         http://www.taisho-central-hotel.com/  
 講師    谷川 渥氏(國學院大学教授)  
 演題    「三島由紀夫の薔薇」
 会場分担金   会員・学生 千円/一般二千円
 問い合わせ      03-3200-2295/ miura@nippon-nn.netまで
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★宮崎正弘の最新刊  
『中国財閥の正体―その人脈と金脈』(扶桑社、1600円税込み)
http://www.fusosha.co.jp/senden/2004/046355.html
目次
プロローグ 誰が中国経済を本当に動かしているのか
第一章   新興チャイナ成金の人脈と金脈
第二章   中国経済繁栄の原型をつくった香港在場atsu
第三章   “開放”以後の政商と“太子党”
第四章   中国新人類のベンチャー成功譚
第五章   台湾財閥がIT産業を牽引
第六章   日本企業はどうするのか
第七章   金融、エネルギー、通貨リスク
巻末ドキュメント 上海繁栄街道の裏道をゆく
エピローグ  されど中国人
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◎宮崎正弘の近刊
『中国のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房、1500円プラス税)
http://www.namiki-shobo.co.jp/

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『拉致』(徳間文庫、590円 プラス税、以下同)
『ネオコンの標的』(二見書房、1500円)
『ザ・グレート・ゲーム』(小学館文庫、476円)
『胡錦濤 中国の新覇権戦略』(KKベストセラーズ、1460円)
『いま中国はこうなっている』(徳間書店、1500円)
『迷走中国の天国と地獄』(清流出版、1500円)
             ◎ ◇ ◎
◎宮崎正弘のホームページ http://www.nippon-nn.net/miyazaki/
小誌の購読は下記で登録できます(無料)
http://www.melma.com/mag/06/m00045206/a00000060.html
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(C)有限会社・宮崎正弘事務所 2004 ◎
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