国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2004/05/24

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
  平成16年(2004)5月25日(火曜日)
         通巻 第834号
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「国民年金」議論でせせら笑うのは社会保険庁だけ?
   財界と労組の奇妙な”共闘”が年金政局を180度ゆがめた
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「国民年金」の議論を聞いていると、イロハの段階から得心できないことばかりだ。

 違法でもないのに政治家の一部に「未納期間があった」とすっぱ抜かれると何故カメラの前で誤るのか。
  どうして福田官房長官も管直人・民主党代表も、くわえて党首を管直人から替わると宣言して笑った途端に、小沢一郎に火の粉がふりかかる。党首を辞める。
 この過程がさっぱりわからない。

「政治家にはすでに政治家年金があり、国民年金にはむしろ加入しなくても良い」と言われた時期があった。貰いすぎになるだからだ。
 国民年金が強制加入となったのは昭和40年代である。(詳しく言えば昭和36年から昭和55年まで国会議員は適用除外、55年から61年まで任意加入)
 そのときに政治家が未納だった事実を指摘されるや、一種犯罪者イメージである。(社会保険庁のリーク?)

 まして民間のテレビのタレントやらコメンテーターから女子アナウンサーまで未納組は槍玉に挙がった。社会保険庁に問い合わせなければ個人の未納状態が把握できないというシステムの不備への不満はあまり聞こえて来ない。

  制度上の大きな矛盾をだれも重視した形跡がない。
  国会議員は歳費月額123万円平均のうちの10万3千円を毎月かけつづけ、十年で支給資格をえられる。
 65歳から支給額は年間412万円前後となる!
 国民年金は一ヶ月13300円を25年間支払い続けて、65歳から年間79万4500円(平成16年現在)!
  
 となると橋本龍太郎元総理がもらえる額は毎月673513円(「週刊文春」、5月27日号による)、小沢一郎が660546円(いずれも国民年金と併用で75歳満額と仮定)。
 このほかに厚生年金、共済年金の積立金がある。年金一元化といっても「共済年金」は主管官庁が財務省、総務省、文部科学省の三つに別れ、それぞれが利権の維持でせめぎ合っている。
 一元化?とても無理な話なのだ。
 こうした国民年金議論、本当にどうかしていないか。本質の議論は何だったのか?
 基本的に政府と社会保険庁は「多く集めて薄い配給」が最大の眼目である。保険料はちゃっかりと上げ、支給額は年齢を遅らせたうえに金額を減らすというものだ。


 ▲財界と労組が奇妙な共闘

 ここへ財界と労組が”奇妙な共闘”をはじめたため、自民党がむしろ国民年金の負担に追いつけない中小企業の味方という、従来考えられなかった一種面妖な構造的図式の登場となった。
 財界は経営側の論理だから企業負担を減らしたい。労組は掛け金の負担をもうすこし企業側にもってもらいたい。そこで労使がすりあわせを行って、対立ではなく両者で落としどころを模索してきたのだ。労組はダラ漢ばっかりになってしまったの?

 だが、よくよく数字を眺めると、年金とは{率が良すぎるほどの貯金}ではないのか。
 国民年金を例にとれば、25年かけて、65歳以上になれば年間79万円前後を受け取れる。
  もちろん80歳の平均寿命として15年間支給を受けるとしても単純に計算して、貰える金額のほうが大きい。加入した方が得なのである。

 かりに同様な条件で定期預金をした場合、受取利息と比較しても甚だ有利であり、貯蓄金利による老後を国家が準備している福祉システムの一環である。

 であるとすれば制度上の欠陥をこそ、議論すべきだろう。
 それは恩給、厚生年金、共済年金と国会議員年金と国民年金が混在し、バラバラな状況をいかにして一元化するのか、議員特権的な年金をいつ撤廃するのか。
 こうした議論に行き着くべきであり未納スキャンダルなんぞにうつつを抜かして本質を忘れるべきではないだろう。
 
 ところが現在マスコミがはやらせている議論はシステムの欠陥を指摘するのではなく、スキャンダル偏向の報道合戦で、まさに欠陥をリコールを懼れて隠し続けた三菱自動車の前の経営陣と同様に、陰湿で姑息な、スキャンダル回避であり、民主党に代弁される野党とマスコミは、醜聞をあばいて点数を稼ごうとした遣り方を採ってきた。
 ところが追求の構えを見せた民主党も社民党も党首クラスが未納だった。
 民主党はこれで参院選挙を戦えると短慮に暴露路線を走ったが、むしろ結果はピエロとなった。
 本来、民主党はシステムの改編議論を前向きに声高におこなって財界と労組の圧力をはねのけるべきだったのだ。
 

 ▲社会不安が国民の深層心理をゆがめている

 将来への不安がひろがる一方で国家への不振が増大するために「本当にもらえるのか」として国民年金に加盟しない人が増えた。
 400万のフリーターと100万の引き籠もりも物理的に支払い能力がない。
 支払い能力の欠如、人生への不安、老後への不安、國への不信・不満がないまぜになって名状しがたいほど臆病でややこしい国民の深層心理を形成している。

 むろん、増え続ける税制赤字、累積してゆく一方の赤字国債、悪性の地獄にある日本の財源を考えたら「年金をかけるのは馬鹿馬鹿しい」と短絡的結論にいたる人々もいるだろう。

 それは国民に夢を与える政治が不在となり、財界は目先の利益のために中国へ投資して利敵行為に走り、教育現場は反日的歴史観と外国の指令、情報操作。マスコミは外国の思惑を並べ立てて自国の利益をないがしろにする論調に耽り、国民は不安で堪らなくなった。社会全体の不条理が年金問題にも露呈しているのである。
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〔休刊のお知らせ〕◇小誌は5月29日から6月6日まで宮崎がインド取材旅行のため休刊します◇◇◇◇◇
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(読者の声1)明治時代日本を引っ張っていた指導者たちは江戸時代に四書五経を中心に素読・暗記をし徳育を施されていました。武士階級の子弟は武術鍛練を通じて体と心も養っていました。人はどうあらねばならないか、男子は、女子は、夫は、妻は、子は、他者にどう接するべきか。特に武士は藩(=国)が危殆に見舞われたらどう対処すべきか、それらを測る深く広い教養の持ち主たちでした。いわゆる武士道の精神と幅広い教養と知識を支配階層(町人も)が共有していました。ペリー・ショックからわずか15年で日本の政治体制の再編を完了し、それから38年で西欧列強の侵略を防ぐ国力に辿り着きました。
ところが昭和の政治指導者は前の時代の教養も徳も持ち合わせず西洋的教養の上っ面を撫でた程度(語学ができれば大教養人!)で海軍陸軍の上層部は軍学校で軍事知識を詰め込んだ専門バカばかりになっていました。両者が同質なわけはありません(我々は国を誤らせた無教養な戦前世代より更にレベルが下の戦後偏向`無徳´教育を受けていますが・・・)。
国家のレベルがどんどん低下するのは当然です。
国運を過たずに導く政治家が乏しいわが国にあって救いは国民の全体的レベルの高さと、マスコミや特に最近はインターネットを通じてかなり高度な情報が自由に無碍に洩れ広まりこれらが相俟って官僚や政治家が行動を厳しくチェックされ、民意に沿ってしか動けないことです。
民主主義は得てして衆愚政治や劇場型政治に堕しますが、チャーチルの言うが如く、”その時どきで試されてきた民主主義以外のあらゆる政体を除くと統治の形態としての民主主義は最悪である。”のです。専制、独裁、テロ、恐怖、警察国家体制よりはましな害のない必要悪の体制だということを皮肉を以って喝破しています。また次のニーバーの明解な警句があります。”人間の善が民主主義を可能にし悪が必要とする” 。こういう毒のある言葉に真実があります。
日本に健全な議会制民主主義があることを世界に示す為にも解散し民意を今問うことです。年金法改正は当事者議員の未納が絡んでモヤモヤとしています。小泉総理再訪朝の「成果゛はマスコミの報道にデフォルメされ、あらぬ方向に引っ張られつつあり危険な状況です。小泉政権が解散しきちんと今この時点で民意を問い直すなら日本の議会制民主主義は担保されたことになります。国民は納得し小泉政権を引き続き支持するでしょう。未納問題のもやもやがあり参院選だけでは駄目です。解散総選挙が必須です。【拉致年金ダブル禊衆参同日選】しかありません。これが出来るなら日本の行く末に希望を持っていいでしょう。
          (HN生、横浜)
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(読者の声2)「しなの六文銭」氏の投稿と(宮崎正弘から)の意見にまったく同感です。
 今回は完全に金日正の狡猾な外交トリックに見事に引っかかりましたね!
 まさにテレビに映った金日正の笑みと、小泉氏の険しい表情とが端的にこの事情を現
している。またこれにはマスコミも悪い。余りにも蓮池・地村氏の家族の帰国だけに焦点を当てすぎ、残りの行方不明者の問題から遠ざかっている。まあニュースにならない故もあるでしょうね!
 今から思うとこの蓮池氏らを帰国させたことは金日正の巧妙な罠だったのかも知れない。
蓮池・地村氏は巧みに北で生き残り、子供も大学まで行かせた。それだけ環境適応性が高かった。環境適応性の高さを評価し、彼らを帰国させても極端に北に不利になることは無いと読んだ。もちろんこれは蓮池・地村氏には何の責任も無いのであり、決して非難している訳でもない。なぜなら彼らだって人生の半分を失った被害者だからだし、依然北外交の人質だからだ。思うに行方不明の10人、更にそれ以外の多数の拉致者はどうてるのだろう。多分m「本当は北朝鮮の土と化したのでは無かろうかと思うこともある。これは金の口から言えないし、日本の当局も言えないことだが。
家族だけでなく、我々日本人にとっても無念である。これで小泉に諦めさせ、まあこれで拉致問題は”幕引き”。後は日朝正常化!?
そんなことは絶対に許せるものか。
(MI生)
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