国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2004/05/03

◎本日も「臨時増刊号」 ●小誌総発行部数112万部を更新“
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
   平成16年(2004)5月3日(憲法記念日、臨時増刊)
        通巻 第819号
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ボトルネック・インフレ、不動産バブル、換物投機地獄
   中国の金融抑制はバブル崩壊の前兆ではないのか
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 大連から鞍山、遼陽、営口といった工業バブル破裂寸前地帯を回った。(これは同時に日露戦争の激戦地めぐりにもなるのだが、後者についてはいずれ雑誌に書きます)。

 遼陽郊外の東京稜(ヌルハチの弟の墓)に行った。愛新覚羅溥儀のご先祖。ところが地元のタクシーも正確な場所を知らない。
  途中で何回か路を訪ね、ようやく探し当てると門が閉まっている。
 周辺をキョロキョロしていたら鍵をもった叔母さんが登場。
「入場料はひとり六元だべ」と言った。
訛りが凄いので「ひょっとして満州族?」
「そうよ」と言って日焼けした顔をほころばせ、人なつっこく笑った。

 激戦地だった東京城は門だけが朱塗りで再建されているが、ここも観光客なし。
 要するに「漢族中心史観」は、清朝遺跡さえ否定に動いているわけだ(以前に『本当は中国で何がおきているのか』などの拙著でも指摘したが、丹東周辺の朝鮮遺跡は殆ど破壊、軽視、あのあたりに高句麗、高麗の文化遺跡は見ることはたいそう困難である)。

 過去一年で中国における不動産価格は45%前後上昇している。嗚呼、日本の80年代を思い出す。

 そこいら中で高層ビルの建築ラッシュは続き、港ではクレーンがフル稼働して荷物を陸揚げしている。大連と営口は中国東北部の二大玄関(旅順は軍港)である。

 不動産ブームに煽られ、原材料バブルが続いている。鉄鋼、鉄鉱石、セメント、アルミ、銅、ニッケルから石炭にいたるまで投機が続いている。
 「怪しげな会社がいきなり特殊鋼まで買いに来る」(日本の鉄鋼商社)。

 当局は必死の金融引き締め作戦に転じて金利を上げ、しかも貸し出しを抑制し始めた。昨年九月に中国は銀行の自己資本率を6%から7%にしたが、この4月25日からは、突如またしても7%から7・5%とした。事実上、貸し出しはストップしたままである。

▲現場にたつと異常な実態がわかる
 
 現場で次の事象を確認できた。

(1)午前五時ごろ大連は夜明けだが、ビルの工事現場では労働者がはやくも作業を始めていた! ホテルの窓から真下の現場。前日は午後10時まで仕事をしていたのに!

(2)建材や工事関係の輸送が間に合わず、定期バスにまで大量の荷物を載せて、助手席どころかバスの通路までを建材が占領している。(中国では大都市でようやくFED、ヤマト運輸など「宅配」ルートが出来たが地方都市はまだまだ)。

(3)その一方で建設途中でやめたビルが廃墟と化している。
 ゼネコンが倒産したからだ。或いは一角に瀟洒な商店街やショッピングアーケードが完成しているにもかかわらず、テナントが殆どゼロ、マンションの幽霊屋敷化も以前より進んだ印象を受けた。せっかくの新街がゴーストタウン、しかし買い手は投機グループだから景観なぞお構いなしである。

(4)建てすぎ、競合のため各地のホテルでは三割引が常態化してきた(たとえば今回、筆者が宿泊した鞍山駅前「藍天飯店」は一泊90元。営口のバスターミナルに隣接の新築ビジネスホテルが108元。大連駅前の「定宿」は普通430元だが、小生の場合、一応「常連」なので260元になる)

(5)豪華レストランは息切れが激しい。
 庶民のいく居酒屋風の店は満員だが、一流ホテルのレストランはがらがら。ちなみに大連シャングリラホテルの「香宮」で食事を摂ったが、30卓あるホールで埋まっているのが4卓(うち三卓が日本人のグループだった。稼働率13%じゃ、商売なりたたないのでは?)。
 となりの富麗華(フラマホテル)の広東レストランも同様だった。

(6)日本人相手の食堂で繁盛しているのは「食べ放題飲み放題」200元という出血サービルを三年も続けている大連賓館(旧大和ホテル)の「紅葉」くらい。
 森ビル近辺の、いわゆるジャパニーズストリートは閑古鳥が鳴き、替わって最高級倶楽部は中国人と韓国人ビジネスマンの天下になっていた。

 これは明確なデフレである。しかもデフレのなかに不動産バブルが続き、異常な原材料インフレが昂進していることになる。危険信号ではない。バブル破裂は、もはや不可避的かつ時間の問題となった。
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売れ行き快調! 宮崎正弘著『中国財閥の正体』(扶桑社、税込み1600円)
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(今週の寄贈本)

?日本政策研究センター編『日本再生の旗を掲げて』(日本政策研究センター刊)
 本書には過去二十年の間に展開された、あらゆる論争に関しての保守の原点が網羅されている。特に憲法のどこがどう間違って、その結果、不思議な判決が出たり、無謀な教育が行われたり、家族が崩壊し、価値観が非日本的となり、「日本」の歴史教科書は韓国と中国の「検閲」を受けるようになった。
大学入試に偏向した問題が何気なく挿入され、それを問題視すると、反対にそういうことを言うひとは右翼だ、とマスコミが攻撃する。日本人はここまで低俗俗悪邸脳に成り下がった。まさに本書が指摘する「日本人の魂をなくして何が保守か」だ。
これら保守主義の原点をさぐりながら、本書は様々な問題の本質をえぐり出している。
同センター設立20周年、主宰者の伊藤哲夫さんとも、長い付き合いだが、本物の保守の論理の真骨頂が、本書にはある。
 過去二十年の主な論議の再点検に最適の良書といえる。


?黄文雄著『中国の日本潰しが始まった』(徳間書店刊)
 ご存じ黄文雄節がまたまた冴える。
日本軍が遺棄してという毒ガスは、じつは日本製ではなかった。「倭豚」(=日本人)を殺せ“と叫ぶ狭隘な中華ナショナリズムの背後にあるのは、いずれ中国が日本を属国にしようとする狂気の深層心理がながれている、と黄さんは警告する。
 最近だけでも尖閣不法上陸事件、トヨタの広告への不当抗議、留学生寸劇事件などなど。
 一体全体、中国の反日運動の狙いはなにか。
不法入国はやまず、犯罪者を輸出して日本を根底的にぶっつぶそうとしているのか。激増する日本批判と若者たちの「反日」ブームの正体とはなにか?
 詳しくは本書に当たっていただくとして、結論の部分を紹介しておきたい。というのは中国の日本批判をマゾヒストよろしく無視するのではなく、これから日本が徹底的に反論し、そのうえで中国を批判していかない限り、中国属国化はすすむという指摘である。インターネット上には「中国倭豚自治区」(=日本)という記述もあるくらい、中国の反日病理は梅毒の末期的症状に似てきた。


?堤堯『昭和の三傑』(集英社インターナショナル刊)
 堤さんは一昨年の「憂国忌」で講演をお願いしたが、文春時代、オリンピック前後から三島由紀夫さんの担当だった。森田必勝氏とも車座で酒を酌み交わした仲だ。
その後、『諸君』を経て、『文春』本誌、『週刊文春』の編集長を歴任され、最近は花田凱紀氏の『編集会議』に延々と編集者時代にであった人たちの裏話を綴っておられる。このなかの三島由紀夫関係だけを抜き出しての講演だったが、大盛況で、しかも講演録は、直後の『諸君』に再録されたのでお読みになった読者も多いことだろう。
 本書は前代未聞の平和憲法の制定過程に挑み、とくに「戦争放棄条項」は、だれがなんのために策定したのかの謎に挑んでいる。
 堤さんのいう「昭和の三傑」とは「救国の宰相・鈴木貫太郎」、「知略の宰相・幣原喜重郎」。そして頑固爺ィ=吉田茂。
 吉田は憲法よりまずは食糧だぁ、と叫んだ。全面講和と単独講和は詐術に近いが、一世一代の大芝居を打った。アメリカは「吉田に騙され、狸といわれた」。忘れていたが、吉田茂暗殺計画もあった。
 面白い秘話が夥しく挿入されているが、ひとつだけ。吉田茂は朝日新聞の偏向に怒り、購読を中止したばかりか池田勇人、佐藤栄作にも「朝日を読むな」と命じたそうな(本書242p)。
 現代史を書くのは非常に難しい作業だが、内幕的な読み物風に記述するとユーモラスな吉田茂像がでてきた。
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(お知らせ)宮崎正弘の講演会
「正論を聞く会」
とき    五月八日(土曜日) 午後2時―4時。
ところ   大手町 産経プラザ二階
演題    「高転びに転ぶ中国」。
会費    おひとり1500円(学生500円)

当日は、ロビィにて宮崎正弘著『中国財閥の正体』を販売、サイン会もあります。
問い合わせ  (03)3503−6585
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★発売中の『正論』の広告(262p)で「時間が午後6時半―」とあるのは間違いです。開催は午後二時から四時ですのでお間違いなきよう。関係の方々にも注意を喚起していただければ幸いです ●また同誌には拙論「中国経済を動かしているのは誰か」が掲載されております
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★宮崎正弘の近刊  
『中国財閥の正体―その人脈と金脈』(扶桑社、1600円税込み)
『中国のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房、1500円プラス税)
『拉致』(徳間文庫、590円 プラス税、以下同様)
『ネオコンの標的』(二見書房、1500円)
『ザ・グレート・ゲーム』(小学館文庫、476円)
『胡錦濤 中国の新覇権戦略』(KKベストセラーズ、1460円)
『いま中国はこうなっている』(徳間書店、1500円)
『迷走中国の天国と地獄』(清流出版、1500円)
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◎宮崎正弘のホームページ http://www.nippon-nn.net/miyazaki/
小誌の購読(無料)は下記サイトで登録ができます ↓
http://www.melma.com/mag/06/m00045206/a00000060.html
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(C)有限会社・宮崎正弘事務所 2004 ◎
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創刊日:2001-08-18  
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