国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2004/05/02

◎臨時増刊号をお届けします●
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
   平成16年(2004)5月2日(日曜日、臨時増刊)
        通巻 第818号
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 ロシア最大メジャー「ユコス」の倒産は秒読み、最悪の被害は中国
   イルクーツク→大慶パイプライン工事はかくして絶望的となった
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 S&P(スタンダード&プア社)はロシア最大と言われた石油企業「ユコス」の格付けをBBからCCCへ格下げにした。倒産寸前と判断したのだ。
 同社は昨年にホドルコフスキー社長が「脱税」で逮捕され、プーチンは直後に行われた大統領選挙に圧勝した。
ホドルコフスキーは野党に選挙資金を大量にばらまき、次の次の大統領をねらっていたため、プーチンの野望に「犠牲の山羊」とされた。

 この結果、同社は税務当局による捜索がおわり、資産はすべて凍結され、書類は押収された。
まもなくホドルコフスキー社長は起訴され、おそらく同社は倒産にいたるだろう。

 さて結果として最悪の被害者は中国である。

 中国はボドルコフスキーの逮捕直前に胡錦濤が訪ロし(03年5月)、向こう20年間、50億バーレル、予測売り上げ合計1500億ドルという途方もないプロジェクトにサインしていた。 
 それはシベリアの石油とガスを黒龍江省の大慶までパイプラインを敷設して、日本を蹴飛ばそうとした大工事だったが、ホドルコフスキー社長の逮捕で白紙に戻ったからである。

 実際の金銭的損害は軽微である。問題は中国のエネルギー戦略上で、最悪の失態を招いたという戦略的敗北である。
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(宮崎正弘の近況)

(某月某日)『翼』という航空自衛隊連合幹部会の発行する雑誌がある。この雑誌の常連執筆者や学者と自衛官が交流する会が年に一度行われ、主賓には防衛庁長官が出てくる。今年も都合がついたので参加したが、ドイツからわざわざ駆けつけたクライン孝子さんの顔まであった。
 ゲストの挨拶は神谷不二・慶応大学名誉教授。驚いたことにF104で宙返り体験試乗をおやりになったこともあるそうな。
航空自衛隊音楽隊の演奏もあって華やかである。自衛隊の海外に於ける活躍のヴィデオ上映もされ、会場では篠沢秀夫、小田村四郎、小室直樹、井沢元彦、藤井厳喜の各氏に加え工藤雪枝女史、川添恵子女史らと立ち話をした。
散会後、井尻千男氏、小堀桂一郎氏と神楽坂のショット・バアで仕上げ。小腹が空いたのでその店で頼んだ“ロシアルーレット”というピザの辛かったこと。


(某月某日)早朝に羽田を飛び立って午前10時過ぎには佐賀へ着いた。過去三年間でちょうど三回、この有明湾に源五郎のようにへばりついた格好の飛行場に降り立ったことになる。飛行場の真ん前に聳えるのが雲仙。かの普賢岳は噴火のあと、じつは150メートル高くなった。
溶岩が上にたまって普賢岳の形を無骨に変形したのだ。空港から市内までは平坦な田園地帯、ふと信号をみると「末次」という地名を発見した。そういえば「国士」といわれた末次一郎氏は、佐賀の出身だった。
 さて佐賀と小生は因縁が深く、母親の一族は佐賀県武雄市出身。ただし母はソウルで生まれ、育ち、結婚し、戦後、父の郷里の石川県へ生まれて初めてやってきた。佐賀は小生を生むための里帰りで、もちろん記憶はないが、合計で一年半ほど暮らしたらしいのだ。昭和21年から22年のはなし。その後、小学校、中学校の時に二回ほど夏休みに遊びに行ったことを覚えている。
 三年前だったか、佐賀の有志が主催する勉強会の講師に呼ばれ、一泊した帰りに、突如おもいだして、34年ぶりに叔父を武雄市に訪ねた。歓待された。そのときに叔父の運転で、小生が育ったという家を見に行った。半世紀以上を経ても、武雄市のはずれに、その廃墟同然の家屋がまだ建っていた。
昨年の春に佐賀、鹿島、唐津で連続講演をしたおり、多久の孔子廟に詣でた。あんなに広い敷地の孔子廟は、本場の中国では曲阜(山東省)の孔子廟以外にはないのではないか。
 さて佐賀の講演は「土曜セミナー」を過去30年に亘って主催される松永又次さんという篤志家が自費で組織され、今回は116回目の由。
 ホールに満杯の佐賀市民ばかりか長崎や福岡から駆けつけた同士もいる。一気に140分のロングスピーチを終えたが、壇から降りたとき、喉がからからだった。そのあと、松永さんの友人らとニューオータニの大観園でご馳走になり、珍しい話をたくさん拝聴した。食後は、またもラウンジでお喋り。11時頃、部屋へもどってシャワーを浴びるとすぐに寝た。


(某月某日)台湾からアメリカへ帰国するY氏が東京に立ち寄る。各社のチャイナウォッチャーと一緒に同氏の宿舎に集まり、麻布十番の高雄飯店で食事を摂った。名物のシジミに舌づつみを打ったが、やっぱり本場の味とは少し違う。
 顔ふれは読売、時事、共同、日本テレビ、それにフリーの女性評論家と小生、Y夫妻の七人だった。陳水偏台湾総統の暗殺未遂事件の真相について突っ込んだ討論をしたが、消去法でいくと北京の指令をうけた殺し屋説が博打マフィア説より有力だ、という結論になる。あくまで「消去法」での推論だが。。。
アンディ・チャン氏のメルマガでも同様な北京謀略説が説かれている。


(某月某日)土曜日の朝、時間があったので急いで上野の西洋美術館へ。ヴァチカン美術展が開催中だが、とくに彫刻が70点ほどローマから持ち込まれ、展示されているという。慌てて駆けつけた理由は、四年前にイタリアへ行ったおり、午前八時半にヴァチカン美術館にかけつけたのに、驚くなかれ数千の観光客が行列! いまから30年前にイタリアへ行ったおりにかすかに記憶したアントニゥスの像を見たかった。
本場では行列が三時間ときいて断念した。その日、午後の便でわたしはシチリア島へ行くことになっていたから。
 で、あのアントニウス像も日本に持ってきたのか? 駆け足でみたが、残念ながらアントニゥスの像はなかった。三島由紀夫が憧れて、何回もヴァチカンにかよったあの大理石の像である。
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(今月の拙論)?「中国経済はだれが動かしているのか? その財閥の正体」(『正論』、6月号)?「日本文学の衰退に似てきた中国文壇」(『日本文化』平成16年春号)?「台湾近未来は危険がいっぱい」(『月刊日本』5月号)?「ロシアルートに傾くか、シベリアの石油」(『自由』6月号、5月10日発売)?「バブル崩壊が近い中国経済」(『北国新聞』、4月25日付けコラム)?「分水嶺に立つ米国」(『国民新聞』、4月25日号)ほか
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売れ行き快調! 宮崎正弘著『中国財閥の正体』(扶桑社、税込み1600円)
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(お知らせ)5月8日(土曜日)午後二時から大手町「サンケイプラザ」二階(旧産経ホール)二階。「正論を訊く会」で宮崎正弘の講演会があります。
主催は「正論の会」。
演題は「高転びに転ぶ中国」。会費おひとり1500円(学生500円)
★今月『正論』の広告で「時間が午後6時半―」とあるのは間違いです。開催は午後二時から四時ですのでお間違いなきよう。●
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(読者の声1)イラク戦争が始まる前、早くから仏露などサダムフセインと組んだ国際不正疑惑が囁かれ、それが開戦反対理由ではないかといわれていましたが、ようやく全容が明らかになってきたようです。どこまで行っても、世界は金、銭、Moneyのことばかりで・・・・。日本人人質の解放は、身代金いくら払われたのでしょう。
     (HS生、豊橋)

(宮崎正弘からのコメント)身代金はひとり一億円前後が国際相場だそうです。だからタクシーの運転手のなかで、テロリストとつるむ連中がひとり5000ドルで日本人を売る。ジャイカ(JICA)がキリギスタンで四人、誘拐されたときの身代金は3億円弱だった、と聞いています。もっとも現場ドゥシャンベで「かれら」と交渉した武見敬三参議院議員(当時外務次官)は、「絶対に口外できない」と機密保持ですが、数字はジャーナリズムのなかでは一人歩きしています。
イラクの石油代金の秘密コミッションは、小生も小誌や他の拙著ではやくから指摘しておりますが、フランスばかりか、ロシアも相当のワルです。なぜロシアのほうの賄賂の話が出ないか、不思議ですね。またイラクからシリアへ密輸されていた一日26万バーレルの石油代金分もサダム個人の懐に入っていた筈です。サダムが拘束されたときに「サダム・ディナール」という自ら発行したイラク紙幣ではなく、75万ドルもの米ドルのキャッシュをもっていたことはご記憶の通りです。
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(サイト情報)先月21日に米議会下院国際関係委員会は25年目を迎えた「台湾関係法 Taiwan Relations Act」。さらに今後の25年の米台関係がどうなるか公聴会が開かれたが、以下にテキスト。
?Opening Remarks of Henry J. Hyde, Chairman of Committee on International
Relations:
http://wwwc.house.gov/international_relations/108/Hyde042104.htm
?James A. Leach, Chairman, Subcommittee on Asia and the Pacific:
http://wwwc.house.gov/international_relations/108/Lea042104.htm
?James Kelly, Assistant Secretary of State for East Asian & Pacific Affairs:
http://wwwc.house.gov/international_relations/108/Kel042104.htm 
?Peter W. Rodman, Assistant Secretary of Defense for International Security Affairs:
http://wwwc.house.gov/international_relations/108/Rod042104.htm
?William Kristol, Chairman, Project for the New American Century: 
http://wwwc.house.gov/international_relations/108/Kri042104.htm
?John Fuh-sheng Hsieh, Professor of Political Science and Director of the Center for Asian Studies, University of South Carolina:
http://wwwc.house.gov/international_relations/108/Hsi042104.htm
?Richard Bush, Senior Fellow of the Brookings Institution: 
http://wwwc.house.gov/international_relations/108/Bush042104.htm
?Ming WAN, Department of Public and International Affairs, George Mason University: 
http://wwwc.house.gov/international_relations/108/Wan042104.htm
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★宮崎正弘の近刊  
インターネットからのご注文は下記サイト↓からも可能です。
http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_result_book.cgi/3f31f0f307f4a0103739?aid=&kywd=%B5%DC%BA%EA%C0%B5%B9%B0&ti=&ol=&au=&pb=&pby=&pbrg=2&isbn=&age=&idx=2&gu=&st=&srch=1&s1=za&dp=

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『中国財閥の正体―その人脈と金脈』(扶桑社、1600円税込み)
『中国のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房、1500円プラス税)
『拉致』(徳間文庫、590円 プラス税、以下同様)
『ネオコンの標的』(二見書房、1500円)
『ザ・グレート・ゲーム』(小学館文庫、476円)
『胡錦濤 中国の新覇権戦略』(KKベストセラーズ、1460円)
『いま中国はこうなっている』(徳間書店、1500円)
『迷走中国の天国と地獄』(清流出版、1500円)
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◎宮崎正弘のホームページ http://www.nippon-nn.net/miyazaki/
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(C)有限会社・宮崎正弘事務所 2004 ◎
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