国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2004/04/04

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
    平成16年(2004年)4月5日(月曜日)
           通巻804号
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 ワシントンポストで「事実上の独立」を語った陳水扁・台湾総統だが。。。
  “レイムダック”入りした? 世界のマスコミは逆の分析をしている
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 『ファー・イースタン・エコノミック・レビュー』誌(4月8日付け、以下FECと略)は陳水扁の勝利を「すれすれの僅差」(A RAZORーTHIN VICTORY)と表現した。
 だが、何人かの識者がのべたように「天佑」の差であった。

 「2・28」の人間の鎖デモが勝因であるにせよ(「諸君」伊藤潔論文、「正論」大島信三論文)、わざわざ二月二十八日を選択し、しかも午後二時二十八分に台湾全土で「台湾、イエス!」の大声が響いた。その2・28は嘗ての蒋介石軍の台湾知識青年虐殺事件を追悼する記念日である。
台北の総統府近くの公園には「2・28記念館」があり、しかも陳と連の票差が0・228%だった。
これは「天佑」以外の何物なのか?

 世界のマスコミが注目するのは「台湾の今後」である。
 中国は武力行使を実行するか、台湾はそれでも事実上の独立を詠う「憲法改正」に踏み切るのか?

 「2006年をめざす改憲を、北京は公式な独立行為と見なすだろう」(前掲FEC誌)。

 陳水扁は米紙「ワシントンポスト」(3月29日付け)とのインタビューで「新憲法は2006年に発布され、08年から施行される」と明快に語っている。レイムダックの元首の発言とは思えない。意気軒昂としているのだ。

 新憲法では台湾の新しい政治システムを規定し、領土を台湾に限定し、国歌と国旗を制定し、有権者の年齢を引き下げ、立法委員の削減も同時に行う、と陳総統は言ってのける。
 つまり「中華民国」の呼称をやめ「台湾共和国」憲法にすると発言しているに等しい。 
 

 ▲「五つのNO」を実際は放棄した

 これは陳水扁が総統就任式で確約した「五つのNO」を自ら廃棄する大胆な挑戦になる。つまり陳水扁は四年前に
?独立宣言をしない
?国家の名称は改めない
?両岸関係においては「国対国」の関係とはしない
?現状を変更する住民投票は行わない
?国家統一を協議する諮問機関を撤廃しない、
としてきた。

 華字世界における北京派のマスコミは「僅差の当選で、陳政権は”レイムダック”入りする」などと批判している。陳水扁総統が、明確に「台湾共和国」へ向かっての挑戦を開示している事実は無視している。

 2008年の新憲法施行は、まさに陳水扁政権のフィナーレとなる年である。
 「北京ではオリンピックが開催される年、もし北京が台湾侵攻を開始したら世界中からオリンピック・ボイコットになる」(ストレートタイムズ、4月2日付け)

 北京は建前で祖国統一を獅子吼している以上、台湾が事実上の独立を宣言する新憲法制定となると軍事力の行使に踏み切らざるを得ない。
 米国には「台湾関係法」を奉り、議会には人権無視の中国に反感を燃やし続けてきた議会多数派の存在。
 たとえ万一、ケリーが大統領になっていても、米国は台湾防衛に自動的に介入することになるだろう。

 だが、米軍の軍事的介入はどこまで本物となるか?

 結局はアフガン、イラク方式の「コアリッション(有志連合)形態で日本、豪州などに参加を呼びかけざるを得ない。
 中国はロシア、北朝鮮、パキスタンに「かれらの」コアリッションへの参加を呼びかけるだろう。韓国は後者に参加すると言い出しかねず、その場合在韓米軍は決定的な意思を表示することになる。

 ますます緊張が増大することに間違いはない。
 それでも台湾国民の半分とちょっとの人々が陳水扁総統再選を支持した。賽は投げられたのだ。
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 台湾総統選挙を中嶋峰雄氏が分析
  4月13日、プレスセンターにて
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 「アジア問題協議会」主宰の上記講演会が開催されます。

 とき    4月13日 午後6時―8時
 ところ   内幸町2―2−1 日本プレスセンター 9階宴会場
 おひとり  2000円(軽食、資料代込み)
 予約が必要です。 03−3444−5745
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(海外読者の声)台湾の近況です。総統府前でのデモも一段落しましたが、特筆すべきことは、親民党と新党が国民党本部の三階と六階にそれぞれ、事務所を設けたということです。これは、国民党の大陸派が本土系による、侵食への対策でもあります。世論が派閥争いに飽きてくることもあって、そのうちに下火になることと、思います。
  今までのところ国民党と中華民国の終焉を意味する、画期的な意味をもつ、今回の選挙の結果としてみれば、総統府前でのデモも葬式の騒音と考えていただければ、納得できるかと、思います。大陸系の人たちから見れば、親の死にあたる出来事が、陳総統の再選の結果だと言うことですから。ただ国民党系の一部の人たちは、台湾人との武力抗争をたくらみ、中国大陸の干渉を招こうとする、”不逞の輩”も多少ありますから、その意味では、注意が必要かとも思います。5月20日までに、一段落していく気がします。
  李登輝さんが王金平に激励の言葉を送っていますが、これも国民党内部の本土派に対する、団結を呼びかけているわけです。また台湾団結連盟もおそらく泡沫化していくと思われます。次の決戦は現行の民進党の現国会の88議席から過半数の120数席に到達できるかが勝負の分かれ目になるでしょう。
   (SY生、在台北)
      
           ♪
(読者の声)『選択』4月号に「温家宝首相が全人代の間に繰り返した『人を根本にする』という発想、親民路線は、実は胡錦濤・国家主席の主張そのものである」とあるのを読んで吃驚した。「親民」にである。儒教の四書のひとつ中庸の朱子が書いた序文に「親民」とある。孔子の孫の思志が書いたといわれている本文には「新民」がある。石原莞爾らが中心となってできてきた東亜連盟は後に「新民会」と称した。漢文では同じ音の漢字で置きかえるレトリックが使われる。「親民」も「新民」も同じことを言っているというのが定説である。これらのことは中国の知識人はだれでも知っていることであろう。知った上で意図的に「親民路線」といっているのであろう。これには吃驚した。そして、非常に面白い。(ST生、神奈川)
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(サイト情報)米国通商代表部の2004年版「外国貿易障壁報告書」
?テキスト(国別):"2004 National Trade Estimate Report on Foreign Trade Barriers," USTR, April 1, 2004
http://www.ustr.gov/reports/nte/2004/index.htm
?日本の項目:
http://www.ustr.gov/reports/nte/2004/japan.pdf
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五月公開講座の予告!

三島研・国防研・合同「公開講座」
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 ノモンハン事件の背後にちらつくのは大物スパイだったゾルゲの陰である。
 スターリンの巨大な謀略の渦に巻き込まれ、なぜ日本は国家政策の基本を見失ったのか、いかにして「かれら」は日本の政策決定プロセスに関与できたのか?
 前回、大好評だった「ノモンハンの真相」の続編です。


とき   5月19日(月曜) 午後7時(8時半まで)
ところ  高田の馬場「大正セントラルホテル」三階会議室
会費   おひとり 2000円
講師と演題  茂木弘道 「続“ノモンハン”の真相」
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★宮崎正弘の新刊 予告!
 『中国財閥の正体――その人脈と金脈』(扶桑社、予価1600円)
  4月15日、全国一斉発売!
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★宮崎正弘の近刊  
『中国のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房、1500円プラス税)
『拉致』(徳間文庫、590円 プラス税、以下同様)
『ネオコンの標的』(二見書房、1500円)
『ザ・グレート・ゲーム』(小学館文庫、476円)
『胡錦濤 中国の新覇権戦略』(KKベストセラーズ、1460円)
『いま中国はこうなっている』(徳間書店、1500円)
『迷走中国の天国と地獄』(清流出版、1500円)
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(C)有限会社・宮崎正弘事務所 2004 ◎
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創刊日:2001-08-18  
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