国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2004/04/01

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
    平成16年(2004年)4月2日(金曜日)
           通巻803号
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サマルカンドの夕日、ブハラの古城は美しいが。。。。
  中世イスラム王朝の夢を破壊した現世のイスラム世俗政権は「かれらの敵」だ
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 ウズベキスタンでも、いよいよテロ戦争が始まった。過去3日間で、19プラス23,少なくとも42名の死亡が確認されている。
カリモフ体制を揺さぶる自爆テロだという。
 
 3月30日、タシケント郊外の大統領公邸付近で武装集団と治安部隊と衝突、銃撃戦でテロリスト21人が死亡したとされる。ちかくでも車が爆発し、なかにいた4人が死亡。さらに民家に立てこもったテロリストと治安部隊が銃撃戦を展開、ここでも19名が死亡した。 
タシケント郊外でテロリストたちは小型バスを爆発させてダムを決壊させようとした。タシケント郊外の住宅地では、女性による自爆テロがあり、前々日の28日には聖地ブハラでも爆弾テロ。一連の事件はイスラム教団「ヒズブット・タハリール・アル・イスラム(イスラム解放党)」が関与しているとされる。
ウズベキスタンはカリモフ大統領の独裁、要するにソビエト時代の地域書記が、そのご、大統領として独裁を敷いて居座り、おまけに軍隊と秘密警察で体制を守っている。実態はスターリン体制と変わらない。
 地元民はカリモフ「大統領」とはよばず「カリモフ・ハーン」と呼ぶ。

 ソビエトが崩壊してすぐに小生はウズベキスタン各地を旅行した。
 タシュケントからブハラ、サマルカンドを見て、タジキスタンの国境を越え、古代のゾロアスター教の神殿がのこるペンジケントという町を見た。
 その旅行記をなにかの雑誌に書いて、それから拙著に収録したのだが、さて、自分の著作の何処に入っているのか、本棚をぱらぱら見たがどうしても思い出せない。

 まずタシュケントは静かな町である。
 花々が咲き乱れ、意外に清潔で、しかもイスラムの町である。三十数年前、この地を訪れたインドの首相が「怪死」を遂げたのもタシュケントの宿舎だった。
 当時からKGBの仕業と噂されたが、なにも証拠はない。羊肉レストランがはやっている印象を持った。
 
 ブハラと言えば嘗て栄光をきわめて砂漠に埋もれたブハラ汗国の古城が残る。
 城跡で、金ぴかのコルランを売っていた。サウジアラビアとイランが当時、贈呈作戦で競争していた。聖典を観光局に売りつけるのは何事か、と思ったが、さにあらず、ペルシア語とアラビア語の聖典はウズベキスタンでは通じないのだ。

 ウズベク語というのは古代の突厥、トルコ人の故郷は中国北方である。それがきょうど、フンなどにおわれ、中央アジアへ移動、新彊ウィグルは「東トルキスタン」というように、ウィグル語もチュルク語の変形である。同様にチュルク語はカザフ、ウズベク、トルクメニスタンにほぼ共通する言語だ。しかし文字がないので、ソ連独裁体制のもとではキリル文字が適用された。アラビア語もペルシア語も通じない(タジキスタンがペルシア語の変形であるタジク語をつかう)。

 その後、アルファベットに文字を切り換えて教育をはじめたと聞いているが、どのような実態なのか、私は知らない。ともかくせっかくの金ぴかのコルランは、読む人がいなかった。わたしは二冊ほど買ってかえりアラブ学者への土産とした。

 インド人は異国での布教なぞ興味もなく、ひたすらレストランとホテル建設のブームに湧いて、投資をしていた。日本人? 影も形もなかった。

 バザールでは、おどろくことに「キムチ」を売っている。
 あ、そうか。スターリン時代、極東の沿海州にいた朝鮮族を強制的にウズベクや、カザフに移住させたのだ。その数、50万人とも60万人とも。

私の旅行に前後して韓国の廬泰愚大統領がウズベクを訪問したが、朝鮮族の帰還問題については、ひとことも触れなかった。ただのひとことも。

 ようするに「あれは棄民なのですか?」
と私は韓国の実力者に直接聞いたことがある。「そうだ」と無表情で言ったが、なるほど、北朝鮮の拉致になにほどの感傷をしめさない国民性は、あの当時もいまも共通なのだ。

 サマルカンドから砂漠を越えた。
 途中の村々で、若者たちの失業の群れをみた。ほとんどの村人に職はない。
 都会ですら、サマルカンドの失業は30%から40%と見積もられた。アラブ世界共通の失業、なにもすることのない若者。手をつけられない政府。無秩序、無教養。ここにイスラム原理主義の主張を吹き込めばどうなるか?

 テロ自爆を「ジハード」と教え込まれ、洗脳され、次々と爆弾を抱えて突撃する若者をイラクにイスラエルにサウジアラビアにみた。そして昨今はスペインにみた。

 それがとうとうウズベキスタンまでやってきた。
 
かれらがアルカィーダの秘密基地で軍事訓練をうけた証拠はないが、おそらく地下で深く繋がっているだろう。
 そのネットワークは中国の新彊ウィグル自治区へも繋がり、カザフ、キリギスタンにも細胞がある。
 
 新しい中央アジア政変の始まりである。
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(サイト情報)アフガニスタン復興支援国際会議(Dnors conference for Afghanistan)が3月31日と4月1日 にベルリンにて。
1.国務省国際情報プログラム室の特別サイト: International Conference on Afghanistan
http://usinfo.state.gov/sa/south_asia/rebuilding_afghanistan/donors_conference.html

2.ワシントンの外国プレスセンターで行なったテイラー・アフガン調整官のブリーフィング: Ambassador William Taylor, Coordinator for Afghanistan, U.S. Department of State Foreign Press Center Briefing, Washington, DC, March 26, 2004 
http://fpc.state.gov/fpc/30831.htm

3.戦略国際問題研究所(CSIS)報告: "The Road Ahead: Issues for Consideration at the Berlin Conference for Afghanistan、March 31- April 01, 2004," CSIS (pdf, 49p)
http://www.csis.org/isp/pcr/0403_AfghanistanReport.pdf
          ♪
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(読者の声)「週刊アカシック」の推測記事に対しての知人のコメントです。
国民投票の結果を報じているマスコミは見当たらず私が知り得たのは投票率45%で不成立ということだけでした。50%を切った場合不成立で開票をしなかったのかと勝手に想像しておりました。不成立でも圧倒的に賛成票が投じられたことをもっとアピールしてもいいのではないでしょうか。
 (引用開始)「国民投票の投票用紙を受け取るか受け取らないかで、事前に3万票差を読みきるほどの正確な票読みができたというのも、私には疑問です。これは専門家の分析を待ちたいと思うのですが、総統選挙の得票数、国民投票のそれぞれのテーマの得票数は以下のとおりで・・・

*総統選挙(投票率80.28%で投票総数約1324万票)
 陳・呂   647万1970票
 連・宋   644万2452票
*国民投票(投票率45%で投票総数約742万票)
 第一案(国防強化)  賛成 651万  反対 58万  合計709万票
 第二案(対等交渉) 賛成 631万  反対54万    合計685万
 つまりこの結果から、結果として固定的な民進党支持者と、固定的な野党支持者の割合はわかるにしても、事前に3万票までを読みきる票の行方がわかるとは思えません。その固定的な支持者の割合は、私が分析した結果では、民進党652万票、野党638万票です。その根拠は、国民投票で野党陣営は投票用紙を受け取らないようにキャンペーンを張ったのですから、受け取らなかった人たちは、間違いなく固定的な野党支持者でしょう。
つまり総統選挙に行った人たち(1324万人)から投票用紙を受け取った人たち(742万人)を引き、さらに国民投票に第一案、第二案とも明確に反対票を投じた人たち(平均すると68万人)をたしてみると・・・、638万人になります。
これが野党支持者で、1324万から638万をひき、無効票34万票を引くと652万票になりますが、これが民進党支持者。これは結果からの後付の分析ですから、ここまで計算ができますが、事前にこれよりも正確にできるとは、選挙で飯を食っている私にとってはとうてい信じられるものではありません。ただし浮動票がほとんどなかったのではないか、いうマガジン氏の分析には賛成です。投票日前日に、私の台湾人の友人たちにも聞いてみましたが、みんなそれぞれ主張を持ってだれだれを支持するといっていました。したがって当日または前日まで投票すべき候補者を決めきれなかった人は、選挙に行っていない、あるいは無効票を投じのだと思います。今回の銃撃事件は偶然の出来事で、この事件があってもなくても、民進党が勝っていたと思います。民主化と台湾人という民族のアイデンティティを求める流れは、そう簡単に止まらないと思うからです。(引用おわり)
  (NH生、神奈川)
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