国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2004/03/30

●慶祝 小誌通算800号を昨日付けで突破! 総発行部数104万部を更新! 
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
    平成16年(2004年)3月31日(水曜日)
           通巻801号
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 「国親連合」に深刻な亀裂、次の”呉越同舟”は挫折か、大分裂か?
    台湾に吹く政界再編の嵐は日本より遙かにダイナミックだ
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 陳水扁総統の再選をまだ認めず、陰湿な無効闘争を展開してきた国民党、親民党の「国親連合」だが、次第にその勢いも尻つぼみとなり、26日に中央選挙管理委員会が陳水扁当選を公式に認めたあとは流石に息切れである。
  
 かれらに止めを刺したのは、米政府が公式に「陳水扁総統の勝利をお祝いする」と大統領報道官の声明だった。
 台湾中央選挙委員会が陳総統の当選を公告し、これを待って米国が正式に祝意を表したのである。
  
 陳水扁政権と国民党・親民党の野党連合は政局混迷の打開を探ろうと、三党秘書長(幹事長に相当)会談を開催し、票の再集計を裁判官立ち会いの下で実施する方式では一致した。

 だが陳総統と連戦・国民党主席との会談は陳総統側が無条件を言っているのに、野党側が銃撃事件の真相究明のための独立調査委員会の設立を持ち出して、結論が先送りされた。
  無茶な要求を繰り返すのは「かれらの」伝統的な遣り方である。

 そもそも票の数え直し?
 選挙管理委員の八割は国民党支持者であり、「無効票」となった30万票のうちの七割以上は陳水扁に投票したのですよ?
 これを再カウントせよ、と連戦陣営が要求するからには、何らかの事前工作があったのか?
 
 それはともかく、今回、僅差ではあれ、野党の敗北、とくに連戦の「連敗」により、国民党主導だった台湾の戦後政治は、別次元の段階に入ることになる。もともと国民党には本土派と統一派の呉越同舟、混在する価値観のもとで現世の利益をもとめた集団だったのだから。
 しかし、これからは「中華民国よ、さようなら」の時代に政治が対応しなければならないのである。

 第一に、総統選挙の敗北により、向こう四年間、国民党は再び権力から遠のく。都合八年の「空白」は、利権構造を乾かしてしまうだろう。
 つまり国民党は資金枯渇時代を迎え、同時に大量の党員を動揺させることになるだろう。

 第二は責任の取り方をめぐる党内の見えない暗闘である。
 連戦は依然として責任をとらず、選挙無効を理由に主席に居直り、宋楚諭は自ら率いる親民党を「国民党と合体させて生き残りをかけようとしている」(台湾の事情通)。
 だが連戦は主席さえ続投できれば、合併もよし、宋楚諭のマキャベリズムの深謀遠慮が読めない。宋は批判も多いが、基本的には端倪すべからざる「中国的」政治家である。

 第三は両党(国民党、親民党)に燻ってきた本土派、要するに台湾人(本省人)らが、次にいかなる行動に出るか?
 
敗戦の翌日から馬英九(台北市長)と王金平(国会議長)は、連戦・宋楚諭の執拗な反陳水扁攻撃に批判的で、しかも反対集会を解散するよう屡々説得にまわったのは,意外なことに統一派の旗手とみられた馬英九だった。
 
本土派の有力政治家には、ほかに粛万長(元首相)、江丙伸(元通産相)らがいる。
 かれが国民党内で次はいかなる行動にうってでるか?
 「つまるところ国民党は『土着派』と『伝統派』とに分裂するだろう(「アジア・タイムズ」、3月26日付け)。

 国民党のなかの外省人を軸として”プロ中国派”が「親民党」に合流し、ここへ「新党」(中華思想二世組)も合流して”ネオ統一派”の新党を結成するシナリオが急速に浮上している。

 となれば国民党内に残留した「本土派」(本来なら民進党か、台湾団結連盟から出るべき人たちなのに選挙区事情で国民党から議員になっている人も多い)が、一斉に民進党入りするシナリオも存在する。

 そこで国民党と親民党との「選挙協力」が緊密化し、より効率的な選挙戦が展開される。明確な大陸政策を鮮明にして選挙を戦えば、民進党を圧勝できる選挙区が多いのも事実だ。なにしろ台湾北部と東部は宜蘭県をのぞいて今回も民進党が僅差で敗れた。
 
 だが、基本は連戦と宋楚諭の時代が終わったことであり、従来的な中国派、台湾派が争点になった古き時代は確実に終焉を迎えている。焦点は年末の総選挙に移る。

 (注 宋楚諭の「諭」は「王」扁。江丙伸真」の「伸」は「土」扁)
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(読者から)台湾の専門家から以下のような情報がありました。事実かどうか? 事実ならいかなる意味意図が潜むかご解説をお願い致してよろしいでしょうか。台湾は乱気流に入り込みトレモロ状態で危険になりつつありますね。  
<<もう届いているかもしれませんが、とんでもないことが起きています。台北の騒乱のことですが、国民・親民党の連戦一味は中正記念堂に拠点を移したようですが、そこに「陳水扁の墓」なるものを作って、お線香を手向けているらしいです。やりすぎ。狂っているとしか思えません。これは人の道に外れています。>>
(しなの六文銭)

(宮崎正弘のコメント)支那人の世界では何でもあり、東条英機や王兆銘の後ろ手に緊縛した銅像を造って小便をかける世界ですから。
墓を暴き侮辱を与える、水に落ちた犬を打つ、という酷薄な処世は、そうしないと今度は自分が生き残れないからです。
いずれ毛沢東も蒋介石もこういう運命にある。
台北郊外に芝山巌があり、昔、日本人教師6人が蛮族に教育するために青雲の志を抱いて赴任しました。ある日、武装した蛮族の集団に襲われ、用務員を含む日本人七名が惨殺された。なかには吉田松陰先生の流れをくむ青年もふくまれ、かれらの功績を顕彰する石碑が、伊藤博文の雄こんな筆致で掘られました。
 戦後、台湾へ進駐した国民党は、この記念碑を倒し、日本人の墓を破壊しました。
 これが「中華思想」の本質です。
尖閣諸島を侵略して昂然とした犯人たちが日本人を侮蔑した態度に共通します。
台湾が民主化された90年代に、ようやく台湾の人々の善意により「六氏先生の墓」は再建された。ところが、中華思想に凝り固まる支那人らが、この墓を損壊し、伊藤博文の石碑に赤ペンキで「日本人は死ね」などと書き殴った。
 いま、陳水扁総統の墓をつくるのも、まったく共通した病理が出てきましたね。
「人の道に外れている」?
しかし中華思想の路をまっすぐに走っていますよ。蒋介石を奉る中正記念堂で、それをやっているのも象徴的です。
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