国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

全て表示する >

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2004/03/14

△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
      平成16年(2004年)3月15日(月曜日)
           通巻786号
△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△
 プーチン新政権の石油戦略、一段と西側寄りに
  エリツィン人脈の「新興成金」を排除
****************************************

 ロシア大統領選挙はプーチンの圧勝に終わるだろう(これを書いている時点でまだ投票中)。

 直前にプーチン大統領は内閣改造を断行して新首相に無名の新星=ミハイル・フラトコフ欧州連合(EU)特使を指名した。
 
 フラトコフ新首相は経済政策に詳しいベテラン官僚だが、くわえて治安機関にも人脈があるという。だがフラトコフ新首相は下馬評にのぼっていなかった。

 西側の観測筋はエリツィン前大統領の側近グループと新興財閥の影響力を排除するのが主な目的と分析した。

 フラトコフ新首相は、ゴルバチョフ、エリツィンという二つの政権下で貿易担当の対外経済関係省に勤務した。
 97年に「対外経済関係相」。その後、保険会社社長、安全保障会議第一副書記、連邦国税庁長官を歴任し、03年からEU担当特使(閣僚級)に就任。この履歴を一瞥しただけでも西側ビジネスに明るい。

 ついで新しい外相にセルゲイ・ラブロフ国連大使を任命、イワノフ前外相は安全保障会議書記に横滑り、イワノフ国防相、クドリン財務相、グレフ経済発展・貿易相らは留任した。


 △イラクの石油権益の行方

 本当の狙いはなにか?
 「ルークオイル」のアレクペトフ社長は3月10日にイラクのイブラヒム・バー・アル・ウルム石油相と会談して石油技術協定に署名した。「ルークオイル」は「ユコス」と並ぶロシア最大メジャーの一つ。
  
 同社はイラクから1500名の石油エンジニアの訓練を2010年まで引き受けるという内容である。

 サダム・フセイン体制崩壊後、ルークオイルは、イラクでの権益を失いかけていた。西クルマ油田は現在稼働中で、一日60万バーレル生産、ほかにも様々なイラクの石油利権にルークオイルが絡んできた。
  
 サダム転覆により、これらの利権が宙に浮いた。そればかりか国際的には債権の放棄を迫られ、ルークオイルは、裁判を起こして債権放棄を留保しようとした。

 イワノフ前外相とイゴール・ユスホフ・資源相はエリツィン人脈を代表し、ルークオイルに近い関係と云々されたが、新内閣に留任した。アレキサンダー・ジューコフ副首相が、もっとも大胆な改革派と言われ、二人はともに西側人脈に歩み寄った結果とみられる。

 ようするにルークオイルのイラク権益に関して過去の権益に強く固執する政権幹部は不在になり、プーチン二期目の石油戦略は西側メジャーとロシアはいたずらな対立関係を解くことにある。

 となればロシア石油業界も西側メジャーとは従来の対立関係から協調的併存体制へと、新プーチン政権の石油戦略は徐々に移行してゆく可能性が高い。
  ◎ ◎ ◇ ◎
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
          ♪ ♪ ♪
(今週の寄贈本)

?柘植久慶『日露戦争名将伝』(PHP文庫)。

 日露戦争勝利100年を記念して多くの本が出版され雑誌の特集も増えたが、戦争の指導者をすべて網羅した試みはなかったようだ。大山巌、児玉源太郎、乃木希典、秋山好古、東郷平八郎、立見尚文、露西亜側はクロポトキン、ステッセルまでは知っている。だが、本書ではアレクサンドル・フォーク陸軍中将、レンネンカンプ少将、カウリバルス陸軍大将など、これまで知られていなかった人々が陸続と登場している。柘植さんならでは、の軍記世界だ。


?林茂生著。古屋昇・陳燕南訳『日本統治下の台湾の学校教育』(拓殖大学海外事情研究所・華僑研究センター刊)。

 林茂生といえば、台湾独立運動のなかでは神格化された知識人、学者である。東大に学び、奨学金を得て米国コロンビア大学へ留学した。専攻した学問は哲学で、米国での教師は、あのプラグマティズムを提唱したデューイ博士だった。
この本は米国での学位論文であり、昭和初期の日本の植民地時代にあった台湾で、当時の日本がいかに教育制度に力をいれたか。西側列強の収奪だけの植民地ではなく、日本が教育を台湾へ運び、文化と文明を豊かにしたかを著した幻の名著として関係者の間では有名な存在だった。小生も、この話を羅福全{台湾大使}から何回か、伺っていた。
 林博士は「2・28」事件で犠牲となられた。子息の一人は航空パイロットとして金門空中戦で「撃墜王」の異名をとった林田清。小生はなぜか、この豪傑パイロットと気があって台北で夜中まで呑んだ記憶がある。数年前にこの撃墜王も急逝した。
台湾と縁の深い拓殖大学の学者によって翻訳され、75年ぶりに日の目を見た。なお本書は一般書店での入手が難しいので希望者は拓殖大・同センターへ(3947−9352)。定価は1200円プラス税。248ページ、カラー地図数葉。
    

?山本皓一『来た、見た、摂った! 北朝鮮』(集英社インターナショナル)

 北朝鮮へ通い続けて片っ端から写真を撮って来たフォトジャーナリストの山本さんは、すっかり北朝鮮通のカメラマンとして知られる。本書はその集大成。安倍晋三氏の推薦がついている。
     ■ □ ■ □ ■ □
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

(読者の声1)拓殖大学といえば「落つる夕陽よしばらくとまれ・烈士脇 光三」碑のある大学でしたね。脇光三といえば、カラチン王府日本語教師・河原操子。一昨年11月北京第二外語在学時に、内蒙古赤峰郊外のカラチン王府に河原操子の足跡を訪ねました。
今年が日露開戦100年、100年前河原操子が単身、教師と諜報活動にあたった訳ですね。当地はカラチン王府が再建され河原操子の写真も展示されていました。ところで厦門は再び停電(こちらでは限電)に。弊社は週2回(月曜24時間、火曜17:30〜23:00)が限電、おかげで日曜出勤、月曜休みの変則勤務をしいられています。さらに夏場にむけて停電の心配は尽きません。
               (TT生、在アモイ)


(読者の声2)宮崎さんの先日メルマガでご紹介のあった「歪められた日本神話」を読んでいて、気になる文がありました。「実際、梅村猛氏の提出した古代史にかかわる着想を、まともに論破できた人はなかったし、それに勘づいてか古代史や古代文学の側の人からは論破しようとする人も出なかった。」
いや、違う。単に大手出版社やマスコミが金の卵を産む作家の虚妄を大切にしただけである。あるいは、虚妄とすら知らないほど無知であっただけである。古田武彦著、原書房刊「人麿の運命」に梅原氏のマスコミへのデビュー作ともいえる「水底の歌」の反証が記されている。「人麿の運命」に著された古田氏の所説ならびに結論の当否は別として、梅原氏への反論は、私のみるところ完璧である。
「人麿の運命」によると古田氏はこの件に関し梅原氏と8時間にも亘り議論し、梅原氏は最後には自説の誤りを認め再度の会談を約したが、その後、会談には応じなかったそうである。
その後、梅原氏は「水底の歌」を新潮文庫から出している。最近、ある梅原氏の書いたある本を読んでいて以下のことに気付いた。氏はその本の中で明治時代に日本の宗教団体が相次いで学校を設立したと述べ、その例として、浄土宗は日本全土に8つの僧侶養成学校を創り、それらは、後に旧制中学となり、現在では新制高校となっていると指摘し、例として京都の東山高校を挙げた。例など出す必要はない。出すならその八校の内唯一、一流旧制中学となり、一流新制高校となった名古屋の東海高校を挙げるべきであろう。名古屋を創め東海地方各界有力者に綺羅星のごとく卒業生がいる。彼自身がその卒業生であった。東大講師の職を擲った若き哲人教育者椎尾校長のもと、校舎ばかりか生徒の質まで最低であったところから、厳格ななかにも自由と愛のある教育を通して一流校への変革していくその過程を彼自ら体験したはずである。愛知県立一中の受験に失敗し、三流旧制中学へ入学した劣等感からか、自分を浄土宗と関連付けられることへの虞からか、敢えて他の学校の名前を挙げている。能力のない人間にも働きどころはある。しかし、誠の心を欠く者と忘恩の徒は役に立たない。
      (ST生、神奈川)
          ◇
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(サイト情報)米上院は3月9日に新日米租税条約(2003年11月に日米間で署名)の批准を正式に承認した。上院外交委員会のLugar委員長は3月4日に日米両国の条約批准を3月31日までに完了させ、7月1日から条約の実施を望むと言った。
?3月9日の上院本会議でのアクション: TREATIES WITH FLOOR STATUS ACTIONS IN THE CURRENT CONGRESS TREATY DOCUMENT NUMBER: 108-14
http://www.senate.gov/pagelayout/legislative/one_item_and_teasers/trty_act.htm

?2月25日に上院外交委員会で行なわれた公聴会: "The Japanese Tax Treaty and the Sri Lanka Tax Protocol," Hearing before the Senate Committee on Foreign Relations,
February 25, 2004: http://foreign.senate.gov/hearings/2004/hrg040225a.html

?財務省声明: Treasury Applauds Senate Approval of New U.S.-Japan Tax Treaty
March 10, 2004 http://www.ustreas.gov/press/releases/js1227.htm

?新“日米租税条約”のテキスト: "Convention Between the Government of the United States of America and the Government of Japan for the Avoidance of Double Taxation and the Prevention of Fiscal Evasion with respect to Taxes on Income, signed at Washington on November 6, 2003." 
英語:http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/sy151107a2.pdf
日本語:http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/sy151107a1.pdf
            ◎ ○
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 本日15日、です!
 @@@@@@@@@@@@@@@@@@
 三島由紀夫研究会「公開講座」のご案内
 @@@@@@@@@@@@@@@@@@

 「朝日ジャーナル」は、三島事件で全共闘の山本議長が「敗北宣言」して以来、路線に修正が加えられるのも時代の変遷で読者が離れ、廃刊。75年に「三島由紀夫は蘇るか」を特集したが、なかに保田與重郎への珍しいインタビューが。
この企画から保田へのインタビューをこなしたのが当時編集部にいた井川一久氏である。井川氏はベトナム特派員などを経験し、朝日路線との距離を発見し退社。現在評論家。
 
       記
とき     3月15日(月曜日)午後7時―8時半
ところ    大正セントラルホテル 3階大会議室
講師     井川一久(元朝日新聞記者、評論家)
演題     「三島由紀夫と保田與重郎」
おひとり   2000円
お問い合わせ  三島由紀夫研究会 東京都新宿区高田馬場2-5-23-1205
TEL      03-3200-2295
            ◎    ◎
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(お知らせ)小誌は3月17日より22日まで休刊します。台湾総統選挙取材のため。★
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
★宮崎正弘の新刊  発売中! 忽ち二刷。
『中国のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房、1500円プラス税) 
  http://www.nippon-nn.net/miyazaki/saisinkan/index.html〔←詳細〕

<<宮崎正弘のロングセラーズ>>
『拉致』(徳間文庫、590円 プラス税、以下同様)
『ネオコンの標的』(二見書房、1500円)
『ザ・グレート・ゲーム』(小学館文庫、476円)
『胡錦濤 中国の新覇権戦略』(KKベストセラーズ、1460円)
『いま中国はこうなっている』(徳間書店、1500円)
『迷走中国の天国と地獄』(清流出版、1500円)
             ◎ ◇ ◎
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
◎宮崎正弘のホームページ http://www.nippon-nn.net/miyazaki/
小誌の購読登録は下記サイトでできます ↓
http://www.melma.com/mag/06/m00045206/a00000060.html
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(C)有限会社・宮崎正弘事務所 2004 ◎
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:2001-08-18  
最終発行日:  
発行周期:ほぼ日刊  
Score!: 99 点   

コメント一覧コメントを書く

この記事にコメントを書く

上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。 コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。

  • コメントはありません。