国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2004/03/11

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
     平成16年(2004年)3月12日(金曜日)
          通巻784号
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中国語に「管理責任」という語彙はあるが。。
    意味を知ることと実践することとはまったく違う 
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 「管理責任」という語彙は確かに中国語にはある。しかし言葉が存在しても、その意味するところを誰も理解できないのか、或いは理解しようという意思がないのか。

 最近もこんな事件があった。
 長江の支流の一つ、沱江上流の化学工場から化学物質が流れだし、中・下流を激しく汚染してしまった。このため流域100万人の住民が飲用水を飲めないという甚大にして深刻な被害を被った。

 沱江の汚染はアンモニア窒素によるもので、濃度は標準の数十倍にも及んだ。
  公害対策はなされ予算も付いているのに、工場がそれを実践しないのだ。

 地元のダムや井戸から飲料水を運搬して急場を凌いだが、このような河川の汚濁は至る所、水道に毒を入れる風習がのこる中国らしい話である。

 さて60年も前のおはなし。
 「旧日本軍遺棄毒ガス弾」と称するものの「処理現場」を昨年、河北省が公開した。河北省鹿泉市が「旧日本軍遺棄毒ガス弾」なる現場を公開したのである。
 チチハルでの毒ガス弾発見のニュースに湧いていた頃である。

 中国国内および外人記者およそ50名が現場を取材した。
 日本政府は五十数名もの職員と専門家を派遣して、毒ガス弾の鑑定、密封を行った。
 中国側がこの「現場」を”発見”したのは、91年5月。学生寮の増築工事をしている最中に腐食した砲弾52個が見つかり、「中国側専門家」によって旧日本軍のホスゲン弾と鑑定されていた。
 
 国際法に照らして、これらは中国側の管理責任であり、日本側(たとえ百歩ゆずってそれが日本製であっても)に管理責任はない。

 1945年8月9日、ソ連がいきなり旧満州に侵略し、日本が降伏した際にあらゆる武器は解除されソ連に引き渡された。
 化学兵器は「ソ連が接収した」のである。当時の目録も残っている。それを「継続」したのは中国であり、畢竟するに管理責任は中国にある。こうした国際常識を無視し中国に譲歩してきた村山、橋本など歴代政権と外務省は日本の国益を同時に中国に売り渡してきたことになるだろう。
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(サイト情報)外交問題評議会(CFR: Council on Foreign Relations)がイラクの状況および米国の政策、今後のコミットメントに関してまとめた報告書「イラク:あれから一年」という報告書。これをまとめた特別委員会(代表はJ・シュレジンジャー元国防長官とT・ピッカリング元ロシア連邦米国大使)報告書全文:"Iraq: One Year After," Independent Task Force on Post-Conflict Iraq, Council on Foreign Relations, March 2004. (pdf, 53p)
http://www.cfr.org/pdf/Iraq_yearafter.pdf
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(今週の寄贈本)

 莫邦富『mo@china―――莫邦富・中国レポート』(THE JAPAN TIMES刊。1500円)。

 小生、朝日新聞を読んでいないので、このコラムの存在も知らなかったが、同新聞に連載された随筆ものを一冊にしたのが本書だ。
莫邦富さんは歯に衣を着せぬ日本批判で有名だが、ほかの中国人批評家とちがって、その底には日本への愛情がある。この点は在日中国人学者の多くと異なり、そのことは岩波から上梓された回想記『これは私が愛した日本なのか』を精読するとよく理解できる。
一方で、日本企業より、遙かにサービスの良い中国企業を盛んに紹介するのも、逆に言えば「日本よ、がんばれ」という隠れた意図があるように、私は勝手に解釈している。
 さて本書は中国の最新情報が満載だが、よほど隅々に気配りをしないと、得ることの出来ない情報が何気なく籠められていて参考になる。莫さんは中国の繁栄一辺倒でもなく、路地裏の真実もちゃんと伝えている。
たとえば、
(A)「中国の炭坑での事故死は毎年六〇〇〇人前後。石炭採掘一〇〇万トンあたりの死亡率は、ロシアの十一倍、インドの15倍、米国の182倍」(8ページ)
(B)「中国のユダヤ」といわれる温州で、「就業人口の約半分が職業欄に「社長」と記入する」(23ページ)。
(C)「中国の国民が、おなじ中国に属する改革・開放の象徴の地、深センへ行くには、住んでいる警察当局の審査をパスして、通行証を入手しなければならない」のが先日までのルールだった。(同126ページ)。
(D)「いまや仙頭(スワタウ)と言えば、詐取と偽造品の代名詞だ」(148ページ)。
(E)「中国の地方都市の役所」のビルは豪華過ぎるが、「必ずしも経済的な実力をともなっていない」くせに「北京や上海より豪華」で、要するにバブルそのものだが、地方幹部が「役所のビルを立派に建てることを自らの業績と」勘違いして「“箱モノ”つくりに異常なまでに情熱を燃やしている」(176ページ)。
(F)「きれいだった松江江が、いまや深刻な汚染状態」である。「工場・生活排水などがなんの処理もされないまま流れ込んでいる。黄色い排水が凍った川の上にもう一本の川をつくり、毒々しい泡があたり一面を埋め尽くしている」(180ぺージ)。
 などなど。
 さて一カ所どうしても気になったのは新幹線の売り込みに関しての解説である。
中国側は、まったくあべこべの論理で「日本から買う必要はない」と言っているのだが、セールスに熱心でない日本をドイツ、フランスの熱意とくらべて「このままでは独仏にビジネスをとられますよ」と警告的な書き方をしている箇所だ。JRは率直に言って「売りたくない」のであり、わが国民感情は「いずれ技術を盗まれ、中国人の責任で事故が起きても日本の責任にされかねず、そのうえ、資金も日本が大半を出す。どうしてそんな必要があるのか」というメンタリティを理解出来かねているようである。政財界の表層の動きと国民感情とは大いなる懸隔が存在している。
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(読者の声)金沢の読者です。おそらく宮崎さんはお読みになっていないと思いますが、今朝(3月10日)の「北国新聞」のコラム(時鐘)に次の文章がありましたので、お知らせします。
(引用開始)「元人民日報高級評論委員・馬立誠さんの『日本はもう中国に謝罪しなくていい』(文藝春秋)が、小紙「北風抄」執筆メンバーの宮崎正弘さんを端倪(たんげい)すべからざる中国ウォッチャーの一人に挙げている。
その宮崎さんが七日の「北風抄」で「いつまでもインターネット上での反日論調が若者の主流と考えていたら現代中国の状況判断を誤る。かつてあの国を壟断(ろうだん)した『共産主義』なる価値観は何処にもない…」と論じていた 。
一昨年、対日関係に新思考が必要だとの見解を発表して激論を巻き起こした論客が馬さんだが、いみじくも全人代に私有財産の保護強化や、初の人権保障規定を明記した憲法改正案が上程され、最終日の十四日に可決される見通しという。私有財産の否定は「新しい奴隷(どれい)労働」を生んだだけ。共産主義は中国においても失敗だったと言う必要がないほど中国は変わっている、というより変わらざるを得なくなっているのだろうか。 
天安門事件を反革命だとした誤りを正せ、の手紙も全人代へ寄せられているそうだ。先を行く現実を、共産党の政府が追いかけている図式が見える。政治も民主化されてほしいものだ(引用終わり)」。
   (YS生、石川県)


(宮崎正弘のコメント)馬さんの指摘も「北国新聞」のコラムも、ともに初耳です。ご教示有り難う御座います。
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来週の月曜日です。どなたでもお気軽に参加できます!

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三島由紀夫研究会「公開講座」のご案内
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 嘗て「朝日ジャーナル」という週刊誌があった。全共闘世代のバイブルなどと言われたが、三島事件で山本議長が「敗北宣言」。爾来、路線に修正が加えられるのも時代の変遷で読者が離れ、廃刊となった。ところで75年に同誌は「三島由紀夫は蘇るか」を特集。そのなかに保田與重郎への珍しいインタビューもある。この企画から保田へのインタビューをこなしたのが当時編集部にいた井川一久氏である。井川氏はベトナム特派員などを経験し、朝日路線との距離を発見し退社。現在評論家。

       記
とき    3月15日(月曜日)午後7時―8時半
ところ   大正セントラルホテル 3階大会議室
講師    井川一久(元朝日新聞記者、評論家)
演題    「三島由紀夫と保田與重郎」
おひとり  2000円
お問い合わせ 三島由紀夫研究会 東京都新宿区高田馬場2-5-23-1205
TEL    03-3200-2295
E-MAIL   miura@nippon-nn.net
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<<宮崎正弘の新刊 3月15日発売>>
『中国のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房、1500円プラス税) 
 http://www.nippon-nn.net/miyazaki/saisinkan/index.html〔←詳細〕
 予約特典の申し込みは締め切りました。

<<宮崎正弘のロングセラーズ>>
『拉致』(徳間文庫、590円 プラス税、以下同様)
『ネオコンの標的』(二見書房、1500円)
『ザ・グレート・ゲーム』(小学館文庫、476円)
『胡錦濤 中国の新覇権戦略』(KKベストセラーズ、1460円)
『いま中国はこうなっている』(徳間書店、1500円)
『迷走中国の天国と地獄』(清流出版、1500円)
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(C)有限会社・宮崎正弘事務所 2004 ◎
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