国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

全て表示する >

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2004/02/20

△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
     平成16年(2004年)2月20日(金曜日)
          通巻 第767号
△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△
ボルトン国務次官、やんわりと北京で抗議
  核拡散防止を踏みにじる中国に新しい制裁措置はあるか?
******************************

 中国の条約破りはいまに始まったことではない。
 パキスタンのカーン博士の自供とリビアが提出した証拠書類によって、中国が核技術を方々の「やっかいな」国々へ供与していた事実が明るみに出た。

 中国は93年に核拡散防止条約に調印、96年には総合的核実験禁止条約に調印、97年には化学兵器禁止条約を批准した。
 しかし中国はミサイル技術管理体制(MTCR)には加わっていない。これは無人宇宙航空兵器および300キロ以上の射程、500キログラム以上の爆薬を搭載出来るミサイルおよびミサイル技術の輸出を管理するシステムだが、中国は「その精神に賛成」と言うのみ。

 今回、訪中したジョン・ボルトン国務次官との協議でも中国側は「大量破壊兵器の拡散には十分な注意を払っている」とするステーツメントを発表しただけである。
 李肇星外交部長は17日の記者会見で、この件について「中国政府も高い関心を寄せている」と無責任は言葉を言い放ったが、設計図の出所、経緯についてノー・コメントだった。

 米国の情報筋は「米国がいかに抗議しようが中国の核技術の流出は続くだろう」と半ばあきらめ顔だ。
 2001年には中国の軍関係の武器輸出商社および船舶会社8社を制裁したが、これという効き目はなかった。手を変え品をかえ、ダミー会社を経由して、アフガニスタンのタリバンに光ファイバー通信網を供与し、サダム・フセイン健在なりし頃のイラクにもミサイルなどの武器を供与してきた。
 
 これまでも中国はシリア、サウジアラビア、イラン、イラク、パキスタンにこうした技術やミサイルの実物を売り渡していた。これは国家のエネルギー戦略から来ている外交の一環である。

 翻って言えば、些細なことで米国はミャンマーを制裁し、今回はマレーシアを締め上げたが、人権問題で多少の批判はしても、もっと大きな違反を続ける中国のような軍事大国には殆ど何もし得ない。
 米国の御都合主義は、またしても同盟国を痛く失望させている。
        ◎ ○ ◎ ○ ◎
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(サイト情報)米国務省人口・難民・移住局より2月9日、アフガニスタンとイラクの難民と帰還者のために活動するNGOが、政府から認可を受ける際のガイドライン。現在政府がNGOに求めている活動内容の紹介とともに、各NGOからはプロジェクトの説明や問題点の分析、マネージメントや現地での安全配慮、予算繰りなどについてまとめ、提出するように求めています。
?イラク難民と帰還者支援のNGO向けガイドライン FY 2004 PRM Guidelines for NGO Projects: Assistance for Iraqi Refugees and Returnees
http://www.state.gov/g/prm/rls/fs/2004/29499.htm
?アフガニスタン難民と帰還者支援のNGO向けガイドライン FY 2004 PRM Guidelines for NGO Projects: Emergency Relief for Afghan Refugees and Returnees
http://www.state.gov/g/prm/rls/fs/2004/29498.htm
?NGOの難民活動のために支出される政府予算 Funding Actions Finalized With Organizations, January 2004
http://www.state.gov/g/prm/rls/orgfund/2004/28750.htm
?米国の難民政策について議会への報告書 Proposed Refugee Admissions for FY 2004 -- Report to the Congress October 2003
http://www.state.gov/g/prm/asst/rl/rpts/25691.htm
      ◎
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(トピックス) ショーン・コネリー氏が「2・28百万人デモ」に参加

 中国の台湾へのミサイル配備等に抗議するため、2月28日に台湾で行われる百万人デモ(人間の鎖)に国際的映画スターのショーン・コネリー氏が参加する。当日は総統府前広場で、群集と手を繋いで「中国NO」「台湾YES」を叫ぶ予定だ。
 スコットランド独立を支持することで知られるコネリー氏。台湾を訪問したことはまだないが、台湾の民主化の進展に関心が強い。同氏は昨年十一月のパナマ建国百周年式典で、同席した陳水扁大統領と出会い、「あなたの映画のファンです」と語りかける陳大統領に、「私にとってあなたはアイドルです」と応えていた。その後、李登輝前大統領や台湾団結連盟の働きかけがあり、デモへの参加を快諾した。
 コネリー氏の訪台計画は中国の妨害を避けるため、これまで伏せられていた。26日に日本で、デモ参加を宣言するという。
 国際的著名人の参加は、台湾の国際社会へのアピールに繋がる。デモの主催者側はこの他、チベット独立を支持する俳優のリチャード・ギア氏にも参加を打診してきた。
 なおデモの参加予定者はすでに百万人を超え、主催者は動員目標を二百万人に切り替えている。(「台湾の声」2月19日号より転載)。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(読者の声)766号(2月18日付け)の貴誌に「(CSISとは「国際戦略研究センター」。ワシントンKストリートを代表する有力シンクタンク)」と注釈があります。この「Kストリード」とは、どういう意味ですか?
        (KE生、秋田)

(宮崎正弘の回答)“ウォール・ストリート”が単なる地名を越えた米国財界の象徴であるように「Kストリート」には米国政権に政策提言をする有力シンクタンクがズラリ並び、政権と民間の回転ドアの役割を果たしています。日本で言う「永田町」「霞ヶ関」「丸の内」が地名を越えて、あることを示唆するように。権力への距離も象徴しています(詳しくは拙著「ネオコンの標的」(二見書房)を参照してください)。
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@

宮崎正弘著 最新刊予告 
「中国のいま、三年後、五年後、十年後」(並木書房刊、予価1600円) 
              ◎
◎    三年後、クルマを年間1000万台を生産しているだろう
 ◎    携帯電話3億台を突破、消費大国化がすすむ。「情報革命」が次の段階へ
 ◎     香港ディズニーランドは大陸からの人手で満員の盛況
 ◎ 2008年、米国大統領はヒラリー、中国と人権問題で対立へ
 ◎ 米国の軍国主義・中国への警戒は頂点に達し、ロシアとは再び軍事緊張時代を迎えるだろう。台湾には独立のチャンスがくる可能性がある。
 ◎ 日本におけるチャイナ・タウン人口は200万人を超えるだろう
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
◎版元のご厚意により、早期予約読者への特典を近日中にこの欄でご案内します!
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
◎宮崎正弘の近況◎
@@@@@@@@@

(某月某日)「最近、朝日新聞の批判をしませんな」とよく友人知己から聞かれる。批判するほどの紙面でないこと、偽知識人しかコメントしていないことなどで、「じつはまったく読んでいないのです」と答える。本当にその通りなのだ。
それでもまだ昔は朝日新聞を隅から隅まで読んで、論理的矛盾や、その作為的意図を分析したりもしたが、突如、興味を失った。
 朝日新聞が何を書いたかを知りたければ「正論」「諸君」「週刊新潮」「週刊文春」などを読めばすむし、たとえば勝谷誠彦氏の名物メルマガは、ほぼ毎日朝日批判である。ミニコミ誌も日本は豊富で「月曜評論」「月刊日本」「カレント」などを読んでいると朝日の作為的報道の分析と批判がある。会員誌にも「テーミス」「エルネオス」「選択」。
 変な論調を読まされて、不愉快になると情緒まで乱される。心が落ち着くまでに十分は掛かるだろう。それが無駄だと感じ始めたら、朝日は購読しなければ良いのである。
それでも駅のゴミで目に入れば拾って読んで腹が立つことも屡々あったが、もう二十年以上、まったく読まない。極くまれに飛行機に乗ったときに朝日しか機内でおいていないときは仕方なく読む。カッとなる紙面、怒り心頭になる作為的な偽善の文章がそこにはある。だが、よくこういう文章をつづって売国行為を結果的に助長し、恥ずかしくないのか、朝日文化人のことを思うとむしろ哀れを感じるようになった。
 かのチョウニチ新聞は読まないと精神衛生上、これほど健康なことはない。


(某月某日)映画「赤い月」を池袋の最終回で見た。なかにし礼の原作〔同名、新潮文庫〕を読んでいたので、シナリヲがどこをはしょっているかまでよく分かる。原作はまぁまぁ良かったが、映画はあまり佳くなかった。結論を先に書くとそうなる。
 なかにし礼の両親は小樽で知り合い、当時の貿易の勃興による運送業で当てて、「さぁ。満州で一旗あげよう」と稼いだカネをもって、満州の牡丹江へわたる。そこで軍出入りの酒造元になる。牡丹江の水が醸造酒に適していることが分かり、「森田酒造」(作中の主人公の店)は、わすか十年で大躍進を遂げた。軍部に戦闘機を一機プレゼントできるほどの財閥になっていて、日本から呼び寄せて女中、使用人も大勢いた。
 主人公の女性は子供たちの教育のためにと雇った家庭教師のロシア女と、取引先の出入りの青年が通じ合っているのに嫉妬し、「ソ連のスパイだ」と密告するところから物語は始まる。出入りの青年は関東軍の情報部員だった。
しかし映画、「赤い月」は、なぜか旧ソビエト・ロシアに遠慮しているのである。長期ロケを旧満州で展開したので中国に配慮するのなら、その立場は分かるが、女性スパイが「祖国ソビエトのために」とか、ソ連人が在留日本人為何をしたか、まったく描かれず、この映画は何が目的で、ロシア批判を控えたのか? ちなみに監督は降旗康男。
ソ連が日本人居留民を虐殺し、日本軍人を66万人も抑留し、婦女を暴行した事実はなにも描かれていない。ソ連への怒りはない。
原作には連れ歩いた女中二人がソ連兵に暴行される場面があるが、映画ではそれもない。引き上げに際して、日本人は合計10万人が殺された。北安などでは集団自決があった。
中国への批判はもちろん予想したとおりに、極力抑えられている。
たとえばソ連が満州に侵攻を開始し、牡丹江から逃げ出す日本人の修羅場。主人公(常盤貴子)は主の留守を健気に守り、軍車両に乗れる切符の手配までしてハルビンへ逃げた。
使用人が居残りを決めた森田酒造の日本人三人を主人公は雇っていた中国人に殺害され、カネを奪う箇所、中国人が森田酒造を襲って片っ端から財産を略奪する場面。いずれもカットされている。正確に言うと、日本人を殺す中国人は使用人であったことがぼかされ、その現場を目撃した日本情報部員で、のちに阿片患者になり、主人公の女の家に転がり込む青年が撃つ、という展開が映画のほうである。
出征兵士を見送る場面や、日本の大儀のために死地に赴く軍人などは一部分、よく描かれている。満州国で「他人の土地で勝手に踊りを舞って、でも軍が置いてきぼりにした民間日本人の多くだって、一攫千金を夢見て満州に踊りにきたのよ。私は後悔しない。わたしの夢は愉しかった」と主人公が独白して終わる。満州の夕日が綺麗である。
だが、随所にあらわれた敗北史観の台詞。なんとも後味の悪い映画である。日本の満州建国の理想は遠く、いやいかにして建国したのかの説明は全くなく、無駄な行為のごとく総括されていて、映画の入りが最悪に近いのはよく理解できた。


(某月某日)ようやく書き下ろし原稿を脱稿した。うららかな小春日和。読みたかった本をもって散歩に出る。途中、春一番に遭遇し、結局、のんびりとしての散歩にならず帰宅してしまう。読んで面白かったのは久世光彦の「ダニーボーイ」。昭和の流行歌の歴史と、それにまつわる個人的な逸話と、そして言葉を大事にした昭和歌謡の精神をさりげなく、しかしこまやかに綴っている。昭和かれすすき、唐獅子牡丹、なんだか、わが青春時代とも重なるが、当時の心境を、こうも微細に記憶できるものであろうか、それとも氏は日記をつけていたのか。中野孝次の「良寛」ももって出たが、けっきょく一ページも読まなかった。
            ◎○ ◎ ◎○
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

<<宮崎正弘のロングセラーズ>> 
「拉致」(徳間文庫、590円 プラス税)
「ネオコンの標的」(二見書房、1500円 プラス税、以下同)
「ザ・グレート・ゲーム」(小学館文庫、476円)
「胡錦濤 中国の新覇権戦略」(KKベストセラーズ、1460円)
「いま中国はこうなっている」(徳間書店、1500円)
「迷走中国の天国と地獄」(清流出版、1500円)
          ◇ ◎ ○ ◇ ◎
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
◎宮崎正弘のホームページ◎
http://www.nippon-nn.net/miyazaki/
小誌の購読登録は下記サイトでできます ↓
http://www.melma.com/mag/06/m00045206/a00000060.html
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(C)有限会社・宮崎正弘事務所 2004 ◎
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:2001-08-18  
最終発行日:  
発行周期:ほぼ日刊  
Score!: 99 点   

コメント一覧コメントを書く

この記事にコメントを書く

上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。 コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。

  • コメントはありません。