国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2004/01/27

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
     平成16年(2004年)1月27日(火曜日)
通巻 第748号
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『小康社会』は向こう10年、絶対に実現しない
   中国の「三農問題」、果てしなく深刻化する様相
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 中国的「社会主義」というのは「富の分配」を均質化、平等化することではないらしい。
 
 むしろ一部の特権階級が富を独占している。貧乏人が飢えて死のうが、ほとんど興味を示さない。それが“中国的社会主義的市場経済“と謳ったトウ小平「改革開放」の本質である。

「三農問題(農業、農村、農民)」は解決不能である。
もっとも深刻な政治課題であるにも拘わらず目先の都市の繁栄、沿岸部の輸出産業の好調に眼を奪われたかのように、農村の改革を放置した。
それではまずいので、ときどき思い出したように中国共産党は専門家を集め、「検討会」「研究会」などと辻褄合わせの口先ゲームに興じる。

こういうときは饒舌家がそろうだけあって、翌日の新聞では「熱心に真摯に激烈に“前向きの”討論が行われた。改革は目の前だ」などと歯の浮くような論評がでる。

 一般的に農地の少なさ、農業そのものの収入の少なさが経済的難題の基本である。さらに無能な国土計画により、土地の砂漠化、無計画の工業団地化による水不足と凶作。こうした人為的な悪循環が繰り返されている。

中国の農民の収入は、じつに17%が「労務収入」にたよる。また42%が「出稼ぎ」に依存している。まして農民は都市戸籍への変更が禁止されており、この戸籍の問題が未解決なままで真の繁栄はこないだろう。
 
目下の「土地問題」とは、農民がたとえ長期土地利用権を持っていても、「土地使用権」、「処分権」、「収益権」を保有せず、したがって誠実に農作に従事しても、利益は地元幹部やら信用組合などに収奪されていく。システム的矛盾である。
 農民の土地使用権を使用期間内において農民の財産権とし、権利移転、処分もしくは土地を担保の借り入れなどが可能にならない限り、無理である。温家宝首相は、こうした改革に前向きであるが、保守派の巻き返しにあい、なかなか改革草案さえまとめられない状況という。

 農民は「酷税」にも泣く。
奇妙なことに中国では給与所得者や事業者より農民の税負担は大きいのである。
 
毛沢東は農村から都市へ!とゲリラ戦争を呼号し、農民よる革命という側面を誇大に鼓吹した。農民はしかしながら革命後、一度も重宝されず、都市居住者のような得点は皆無である。
 
加えて中国の農民には社会保障が制度として確立されていないのだ。
都市居住者がもつ失業保障、養老保険、医療保険などの社会保障が整っていない。
 流行の生命保険にしても農村へはセールスに行かない、という。

 出稼ぎで都市へ入り込んで短期的な、人生設計とは無縁の、その場限りの仕事をしても農民には、居住権、子女の教育、医療救済等の「福祉」の恩恵にはなかなかあずかれないのである。
 繁栄の陰に、いまも貧困と闘い、呻吟する農民が八億。向こう10年、この国に「小康社会」が実現されることはないだろう。

〔注 「小康社会」は16回共産党大会で決議された当面の目標〕

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〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜(おしらせ)講演旅行などのため明日28日付けを休刊の予定です。◎
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(読者の声1)いつもラジオを拝聴している平塚市在住の盲人です。最近「馬鹿の壁」が「馬鹿」に売れていますね。点訳されるのが遅れるので読む頃には時代遅れになっていることでしょう。残念です。内容はともかく、私は放送の世界に起こっている矛盾について書きます。この「馬鹿の壁」がベストセラーになる前は、放送では「馬鹿」という言葉は差別用語とまではいかないものの、不適切な言葉として自主規制してきました。ところが、本が売れてくると手のひらを返したように「馬鹿」が市民権を得たのです。
 私たち障害者に対して「めくら」とか「つんぼ」という言葉は差別用語で、決して言ってはいけない言葉だそうです。でも、もし私が「めくらの盲点」という本を書いてベストセラーにでもなったら、昔懐かしい「めくら」という言葉が復活してくるのでしょうか。「馬鹿」という言葉を規制したために被害を受けているのは古典芸能です。特に落語はテレビでは放映できません。かつしんの「座頭市」も駄目です。たけしの「座頭市」は大丈夫かもしれません。なにしろいい加減な世界ですから。放送の世界の自主規制の常識をそのまま当てはめると、「馬鹿の壁」は発禁になるはずです。勝てば官軍とはこんなことなんでしょうかねえ。
(TO生、平塚) 

(読者の声2)昨夜、三島由紀夫研究会の公開講座、熱気の篭った勉強会に出席させて頂きました。 田之倉先生が感慨深くおっしゃっられていましたが、ファシストと色をつけられると十把一からげにタブー視されてしまう風潮が長らく彌漫していました。 そろそろこんな変てこりんな雰囲気をブレイクスルーする潮時ですね。
 今回触れられる時間のなかったダンヌンツィオとムッソリーニとの関係に焦点を絞って田之倉先生に続編を期待したいですね。 二人の互いの心的葛藤を探って行くとそれぞれの容易に窺い知れない偉大な詩人と政治家の魂の暗い源泉に辿りつくと思います。よろしくお願いします。
          (しなの六文銭)
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<<宮崎正弘のロングセラーズ>> 

「拉致」(徳間文庫、590円 プラス税)
 「ネオコンの標的」(二見書房、1500円 プラス税、以下同)
 「ザ・グレート・ゲーム」(小学館文庫、476円)
 「胡錦濤 中国の新覇権戦略」(KKベストセラーズ、1460円)
「いま中国はこうなっている」(徳間書店、1500円)
 「迷走中国の天国と地獄」(清流出版、1500円)
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