国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2004/01/24

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
     平成16年(2004年)1月24日(土曜日)<<臨時増刊号>>
通巻 第746号
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芥川賞選考委員は誰が「選考」するのか
 あまりにお粗末な受賞作、倒錯した評価
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 三島由紀夫が十四歳のときに書いた処女作が発見され、現在刊行中の全集に収められた。
 信じられないほど完成された戯曲である。周知のように三島の文壇デビュー作は「花盛りの森」(昭和十九年、七丈書院)。刊行は十九歳のときだが、書き始めたのが十六歳である。
 ジャン・コクトーもランボウも十代で天才的な作品を次々と世に問い、とくにランボウは二十歳になると詩を書かなくなった。三島が憧れたレイモン・ラディゲ「ドルジェル伯の舞踏会」と「肉体の悪魔」は二十歳前の作品。文学史にのこる二作を残してラディゲは二十歳で夭折した。

 ともかく天才という名を恣にする作家は古今東西、世に存在する。
 
 さて日本のジャーナリズムが総立ちで「新現象」と騒いだのは19歳と20歳の女性が芥川賞を同時受賞したという”事件”だ。石原慎太郎、大江健三郎いらいと、その「年齢」を問題にした。
年齢は、しかしながらこの際、大きな問題ではない。文学的使命と文字によって天地(あまつち)を動かすパワーとを失った日本文学そのものに新受賞作品がいかほどの貢献をするのか。
本当に文学史を画期する作品なのか。問題は「質」ではないのか。

文章を読んで目を覆いたくなった。
ピアス、入れ墨を書いた金原ひとみ「蛇にピアス」という受賞作の次なる一文。
「私は血まみれの舌に焼きゴテを当てるシーンを想像して、腕に鳥肌が立つのが分かった」。

 私が別な意味で一点だけ評価するとすれば、「芥川賞」のもつ久々の商業的興行的効果で、とくに蛇にピアス嬢は、自身が不登校、高校中退の落ちこぼれ。その経験を逆バネとして出てきた事実は、これから若い世代へ強烈なメッセージとなることだろう。

生存本能も、いや生殖能力も失った若者たちの生態を如実に反映している。ふにゃふにゃ世代にガツンと渇を入れた。
これを前向きな現象として捉えるとすれば、そのインパクトが若者へ与える何かが社会にプラスにあらわれていけば、まさに商業興行的成功に繋がる可能性を秘めている(直木賞はプロの作家に与えられる勲章であり、それなりに日本の水準は高い。もう一人の芥川賞学生作家はなかなか達者で、将来の曾野綾子的存在になれる可能性がある)。

 ほかに論じなければならないことは多いが、気になるのはこういうレベル以下の作品を受賞に値すると選んだ選考委員会の先生方である。その鑑識眼、その皮相な阿諛追従ぶり。その時代感覚の錯綜、倒錯。

いったい全体、選考委員会は「誰が選考し」、その「資質」の審査はどうなっているのか。
この際、そのほうが遙かに問題だ。
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            ♪
(読者の声1)センター入試という”壮大な無駄”につき合わされ、さらにこれから受験生に様々な機会を与えようというオヤクニン様の有難いご配慮で数多い試験に付き合わされるのかと思うと憂鬱至極です。以前、大蔵省で次官候補者といわれながら”微罪”で将来を棒に振ったお方が、戦艦・大和と東京湾アクアラインと何かを「昭和3大バカ予算」と揶揄していたように記憶していますが、共通一次からセンター入試へと繋がる愚行もこの「バカ予算」の中に組み込むべきではなかろうかと思います。
これは形を変えた「ムダな公共投資」であり、郵政3事業や道路公団の民営化以上に重大な問題です。教育は国家百年の大計などと大仰に構えるつもりはありませんが、教育に対するバカ役人のオセッカイほど将来に禍根を残します。国家の存命と自主性をかけた世界規模の教育戦争を先の大戦になぞらえるなら、センター入試はインパール作戦では?
 この件について無批判であり、文部科学省という”愚かな大本営”が垂れ流す情報を有難く戴くがままのメディアが、「イラク派兵」となると、”小泉・福田大本営”を揶揄・批判する資格があるのかと思うや切。片腹痛いとは、このことです。
          (X教授)


(読者の声2)26日の三島研究会公開講座。伺います。昨年夏、ロマーノ・ウ゛ルビッタ氏を囲んで山崎行太郎氏とご一緒に勉強した『ムッソリーニ』に関連しますし(勉強会の後銀座の軍歌バーや美女付き?カラオケ屋をはしごしました)。ペマ氏や片岡鉄哉氏が講師以来さぼっておりましたので、久しぶりに参加させて頂こうと思います。 よろしくお願いします。 先週私用で友人とペキンに旅をしました。いまペキン市内の古い味わいある商店街や胡同が次々に破壊されています。  このニ、三年の間に瑠璃廠近くの朝鮮料理屋は根刮ぎ無くなっています。
観光客が集まる街区や周辺には徹底した゛改造゛が加えられつつあります。 2008年までにもっとひんやりした冷たい民の息つかいの感じられない町に変貌していくことでしよう。
            (しなの六文銭)

 (宮崎のコメント)王府井を散歩なさいませんでしたか? サマランチ以下、北京誘致の立て役者たちIOC委員の銅像が建ってますよ。誘致の政治過程がわかって思わず苦笑しました。
              □ ■ ■ □


(読者の声3)尖閣列島は戦前長崎県の属する島嶼で、第二次大戦後、GHQに接収され、沖縄とともに日本に返還されました。GHQ及び米軍の統治下にあった期間でも、また沖縄とともに日本に返還された時点でも、中華民国も、中華人民共和国もGHQないし米国政府に対して、抗議も領土返還要求もしていません。
また中国政府発行の地図にも領有権を主張する以前は日本領土として記載されていました。従って明確に日本領土です。
現実的に考えて、現今の中国の挑発行動に対してとるべきアプローチは以下の2つのどちらかでしょう。
1.これは、明らかに日本領土への侵略行為なので、米国政府も認めているように、日米安全保障条約上米軍が防衛義務を負っている。従って、米国政府に対して防衛出動を要請する。条約上、明確に米国政府は防衛義務を持っているにもかかわらず、実際には米国政府が上記要請に応える可能性は少ない、というよりない。しかし、初めから、米国政府が呑みそうな要求をすることは得策ではない。なぜならそうすれば米国政府は後で、条約上の当然の義務以下のことを行なっただけで、恩を着せられた後で「みかじめ代」を要求されるからである。あくまでも、米国政府の方から「それはちょっと勘弁してくれ。替わりに、国連安保理事会と総会で中国非難決議を米国政府が提案するから」等と言わせるのである。そうすれば、逆に日本政府が「まあそれで負けてやろう」と逆に恩を着せることができる。

2.今までどおり海上保安庁の巡視艇が中国船に放水し続ける。
今の日本政府には「1.」の方策をとるだけの度量はまずない。ゆえに、世論を盛上げて、「米軍に防衛出動を要求せよ。拒否するなら、安保条約は無効だ」との署名を5000万通集めるのである。それができず中国の横暴を口先だ非難するのは、大和魂のない口説の徒である。韓国の竹島侵略は日米安保締結前なので上記の方策はとれない。さてどうするか。宮崎さんや名越先生あたりに知恵を出してもらうしかないか。
        (ST生、神奈川)

(宮崎のコメント)ジョークとして聞き流してください。竹島は爆破して海に沈める。そうすると200海里水域が適用され、日本の漁業権は確保され、領海も保証される。


(読者の声4)もう一つ。先日国連のWebで国連憲章英語版を読んでいてびっくりしました。安全保障理事会の常任理事国に「Republic of China」とありました。中国語版ではどうなっているのでしょうか。中共は台湾政府が国名を台湾とすることに反対していますが、常任理事国に居座り続けるつもりなら、むしろ「中華民国という国名を使うな」というべきでしょう。または、中共が国名を「中華民国」と変えるべきでしょう。そのうちこのことに気づいたら中国共産党が、「いやー、実は、中国共産党は中華民国国民党の最左派でボルシェビキ(多数派)ですよ」なんてしゃーしゃーと言い出すかも知れません。早く気づくように、小泉さんから胡さんにそっと耳打ちしてあげたら感謝されるかもしれません。それとも逆恨みされるのでしょうか。
      (ST生、神奈川)
 

(宮崎のコメント)亡くなった林金茎(中華民国元駐日大使)さんが法律家の立場からよくおっしゃっていました。「中共は中華民国から独立したのであって、国際法的には台湾独立反対云々はおかしい」と。
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○来週月曜日です! ○どなたでも気軽に参加できます“

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 三島由紀夫研究会「公開講座」のご案内
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 三島由紀夫が若き日に憧れたイタリア人作家にダヌンツィオがいます。
「死の行進」など世界的ベストセラーで知られるダヌンツィオは、義勇兵を率い、ムッソリーニに先駆けて北イタリアのフィウメで決起しました。実に三島氏の最後の行動と酷似するのです。そこでつぎの公開講座には「ダヌンツィオの楽園」を上梓された演劇評論家の田之倉 稔氏(前静岡県立大学教授)をお招きし、両者を比較研究された成果について大いに語って貰います。 
               記
とき     1月26日(月曜日) 午後7時から8時半まで。
ところ    高田馬場「大正セントラルホテル」3階会議室
http://www.taisho-central-hotel.com/
〔↑会場までのアクセス〕
演題と講師  田之倉 稔 先生 「三島由紀夫とダヌンツィオ」
会費     おひとり 2000円
お問い合わせ 三島由紀夫研究会
169-0075 東京都新宿区高田馬場2-5-23-1205 TEL/FAX 03-3200-2295
E-MAIL       miura@nippon-nn.net
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(サイト情報)
?ブッシュ米大統領、2004年の一般教書。
1.一般教書演説フルテキスト: State of the Union Address, by President George Bush  January 20, 2004
http://www.whitehouse.gov/news/releases/2004/01/print/20040120-7.html

2.演説で強調された新しい取組み: New Initiatives in President Bush’s State of the Union Address  January 20, 2004 
http://www.whitehouse.gov/news/releases/2004/01/print/20040120-6.html

?北朝鮮の寧辺の各施設を視察した米訪朝団のメンバー、ヘッカー元ロスアラモス研究所長が1月21日に米上院外交委員会の公聴会で証言したテキストとジャック・プリチャード前対北朝鮮特使がブルッキングス研究所で行なったスピーチ。
1.ヘッカー元ロスアラモス研究所長の上院外交委員会での証言: "Visit to the Yongbyon Nuclear Scientific Research Center in North Korea," Testimony of Siegfried Hecker before the Senate Foreign Relations Committee, January 21, 2004.。
http://www.ceip.org/files/projects/npp/pdf/Testimony/Hecker1_24_04.pdf

2.プリチャード前対北朝鮮特使のブルッキングス研究所におけるスピーチ: "The North Korea Deadlock: A Report from the Region," by Charles "Jack" Pritchard, Richard C. Bush, and Sook-Jong Lee. Brookings Center for Northeast Asian Policy Studies and Asia Society Washington Center, Brookings Institution, January 15, 2004 
http://www.brook.edu/comm/events/20040115.pdf
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<<宮崎正弘のロングセラーズ>> 
「拉致」(徳間文庫、590円 プラス税)
 「ネオコンの標的」(二見書房、1500円 プラス税、以下同)
 「ザ・グレート・ゲーム」(小学館文庫、476円)
 「胡錦濤 中国の新覇権戦略」(KKベストセラーズ、1460円)
「いま中国はこうなっている」(徳間書店、1500円)
 「迷走中国の天国と地獄」(清流出版、1500円)
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